民法の「離婚後300日規定」は違憲として総社市の両親が国と市に賠償を求めた訴えが広島高裁岡山支部で棄却されたことを受け、原告の弁護士は3日、北区内で会見した。無戸籍の子を持つ親も参加し、踏み込んだ判断を示さなかった司法に不満を漏らした。
担当した作花知志弁護士は「国会による法改正などが見込めない状況では、司法による民法などの運用の改善を求める判断がほしかった」と振り返った。さらに「民法772条はもっと柔軟に運用できる規定だと思う。無戸籍児が出ないようにすることも可能だと思う」と話した。
裁判を傍聴した無戸籍の子を持つ50代女性=神戸市西区=は「『子供の人権を奪っているということを裁判所に認めてほしい』と期待して傍聴した。『改善するように』と言ってほしかった」と話した。さらに「戸籍は本人にとって誰が親かを記録するものだが、今はそうではない。実態に即した形に改善してほしい」と訴えた。
判決を受け、出生届をいったん不受理とした総社市の片岡聡一市長は「控訴棄却は全くうれしくない。法の谷間で苦しむ子どもが生まれないように、法改正を求めていく」とコメントした。【石井尚】
毎日新聞 2010年9月4日 地方版