さて、そんなA君も結婚後10年が経とうとしている。読者の中には、きっとA君をバカにし、さげすむ人もいるはずだ。「甲斐性なしのヘタレだから、そんなつまらない人生になるのだ」と。
ところが、傍から見ても、A君はとっても幸せそうである。考えて見えれば当然だが、彼のような受動的なタイプにとっては、きっちり人生設計してくれるパートナーはありがたい存在だ。
マイホームだって、それが一番合理的だと踏んだから買ったわけで、独身だったら彼の無計画性から考えて、今も小汚いワンルームに年100万くらい貢ぎ続けていただろう。
そもそも、管理されるのが本当に嫌いだったら、私立の中高一貫校で受験勉強に精を出し、一流大に進学なんてしてないだろう。就職先まで親に相談し、内定先の中から選んでもらうなんてこともしないだろう。
それでも「俺は独身貴族だ」という人は、貴族らしく傲岸不遜に生きるといい。それができないという人は、いい加減つまんない意地なんて張らずに、腕の良い鵜飼を見つけて飼ってもらいなさい。
城 繁幸
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