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日本は、尖閣諸島(中国名:釣魚台)沖で領海侵犯したという理由により逮捕した中国漁船の船長を、裁判にかけず処分保留のまま釈放することにした。日本の検察(那覇地検)は「国民への影響や日中関係などを考慮した」と述べた。これにより、中国人船長逮捕で緊迫した両国間の紛争は、ひとまず鎮静化の局面に入るものと思われる。しかし、中国と日本は今回の事態を政治・外交交渉で解決できず、中国の経済報復措置に日本が白旗を揚げたもので、今後も少なからぬ波紋がありそうだ。
中国は外交ルートを通じた抗議や圧力だけでなく、自国民の日本への旅行制限、日本向け発電用石炭供給の契約を協議する日中石炭総合会議の延期、航空路線増便交渉中止など、あらゆる方面から圧力をかけた。こうした圧力の中でも、ハイブリッド車・ハイテク電子製品・レーザー・高屈折レンズなどの生産に欠かせないレアアース(希土類)に関し、通関手続きを引き延ばすという方法で事実上、輸出をストップさせたのが決定打となった。世界のレアアース生産の97%を占める中国が輸出を中止すれば、電子・自動車など日本の中核産業は致命的な打撃を受けざるを得ない。中国は政治・外交的な圧力を通り越し、日本経済の首根っこを押さえるような超強硬手段を取ったということだ。これより以前から、「中国が世界一の外貨準備高を武器に、日本の国債を大量に購入し円高をあおっていることから、日本経済の低迷はさらに続くだろう」と懸念する声が相次いでいた。
中国は世界的な金融危機以降、国際的な政治の舞台で力を強めたうえ、国内総生産(GDP)基準で世界第2位の経済力を持つことから、米国と真っ向から渡り合える大国に浮上した。刀の「つか」を手にした中国が今後、外貨準備高や産業の中核を担う資源を武器に、外交・貿易で紛争が起きるたびに経済報復という刀を振りかざせば、国際貿易上の秩序や国際金融体制がどれほど衝撃を受けることか。日本のような経済大国でも太刀打ちできず、中国による圧力の前に頭を下げなければならないなら、ほかの国はお手上げだ。かつて、「ニンニク紛争」で携帯電話の輸入中止を口にした中国の経済報復を経験した韓国にとって、今回の事態は人ごととは思えない。
中国は「国際社会において大国としての責任や役割を果たすことには関心がなく、自国の利益だけに執着し、影響力を拡大することばかり考えている」と指摘されてきた。人民元の切り上げをずるずると引き延ばし、二酸化炭素を減らそうとする国際的な合意にも強く反対してきた。韓国は、このような中国にさいなまれながらも生きていかなければならない将来について、より切実に考えるべき時期に来ている。
http://www.chosunonline.com/news/20100925000017
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