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【大相撲】白鵬 4場所連続全勝 62連勝!! 双葉山にあと72010年9月27日 紙面から
◇秋場所<千秋楽>(26日・両国国技館) 横綱白鵬(25)=宮城野部屋=が、大関日馬富士を寄り切り、前日決めた4場所連続16度目の優勝を全勝で飾った。15日制定着後では大鵬と並んで最も多い8度目の全勝優勝。初場所からの連勝を62に伸ばした。春場所から4場所無敗で、15日制の連続全勝記録も更新。九州場所7日目まで勝ち続ければ、昭和以降1位の双葉山の69連勝に並ぶ。表彰式では、野球賭博問題のため名古屋場所で手にできなかった賜杯を、2場所ぶりに抱いた。三賞は、技能賞に新関脇で2けた白星を挙げた栃煌山(23)=春日野部屋=、敢闘賞に嘉風(28)=尾車部屋=と豪風(31)=同=が選ばれた。殊勲賞は4場所続けて該当者がなかった。3人ともに2度目の受賞。 万感の思いを込めて、白鵬は賜杯の重みを両腕で受け止めた。「いいもんでしたね。やっぱり。光ってた」。名古屋場所であふれた涙はない。晴れ晴れとした思いで、夏場所の千秋楽以来126日ぶりに29キロのトロフィーを、放駒理事長(元大関魁傑)から受け取った。 誇りを取り戻した。相撲が国技である象徴の賜杯。胸を張って抱くためには、一点の曇りも許されない。千秋楽は圧巻の横綱相撲で締めくくった。日馬富士の当たりを全身で受け止めると、右を差し左を抱えて、まわしにこだわらず一気の寄り。力の違いを見せて連勝を62とし、連続全勝優勝を4場所に伸ばした。 「先場所は本当につらい思いをした。賜杯は自分がもう1回受け取らなきゃいけないと思っていた」。悔しさにくれた名古屋場所を終え「賜杯は絶対に戻ってくるはず」との思いを秘め、けいこに励んだ。けいこに裏打ちされた自信は連勝の重圧にも揺るがなかった。「場所中も落ち着いていた」と紗代子夫人。来年1月に3人目を出産予定の妻を気遣い、子どもと遊ぶ横綱の姿があった。 ついに九州場所で「横綱である神様の中の神様の中の神様」とまであがめる双葉山の69連勝を目指す。双葉山の連勝前も、角界は未曾有の危機にあった。1932(昭和7)年の「春秋園事件」で有力力士が大量に脱退。人気低迷の危機を救ったのが、全国民が注目した双葉山の連勝だった。 番付発表の時に現在の危機を「歴史が繰り返している。これから良い方向に向かっていくはず」と話した横綱。優勝インタビューで「私が勝つのを見たい人が、1人でも2人でもいればありがたい」とアピールした。白鵬が「平成の角聖」として「双葉山超え」を果たし、角界の救世主になってみせる。(田中一正)
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