スポニチ九州

サブカテゴリー

2年目の歓喜!秋山監督、奇跡の初舞い

<楽・ソ>初の胴上げで6度宙に舞ったソフトバンク・秋山監督
Photo By スポニチ

 ソフトバンクが26日、7年ぶり16度目のリーグ優勝を飾った。マジック1で迎えた楽天戦の3回攻撃中、西武が日本ハムに敗れ、決まった。秋山幸二監督(48)の胸に万感の思いが込み上げた。王貞治前監督(70=現球団会長)からバトンを受け、2年目での頂点。胴上げでは、その大きな体が6度、宙を舞った。ソフトバンクは10月14日から始まるクライマックス・シリーズ(CS)ファイナルステージに進出が決定。日本シリーズの出場権を懸け、ファーステージに出場する西武と3位チームの勝者と戦う。

 【ソフトバンク―3―8楽天】両手を上げた1メートル86の大きな体が、杜の都の夜空へ、6度舞い上がった。若い選手たちの力強さを背中で感じ、秋山監督は照れくさそうに笑った。その瞬間は午後6時44分に訪れた。3回攻撃中にマネジャーから知らされると目を潤ませ、何度も右腕を突き上げた。144試合目は敗れたが、もう関係ない。奇跡の逆転優勝のシナリオが完結した。

 「宙に舞って気持ちよかったけど、ここまで長かった。1試合も気を抜くことなく、勝ちにこだわった野球をしてきた。その積み重ねが、この日。いやあ、疲れた」

 残り6試合で、首位・西武とは3・5ゲーム差。絶望的な状況だった9月18日からの直接対決3連戦(ヤフードーム)、23日のロッテ戦(同)、ダルビッシュ相手の25日の日本ハム戦(札幌ドーム)まで5連勝。最後は西武が根負けした。

 西武との天王山で「走者を進めてくれ」と指示した小久保が自ら2年ぶりの送りバント。選手たちは自分で考え、行動していた。「理想は自分が何もしなくていい野球。西武の時は1番から9番まで、何をすればいいか知っていた」。思い描いたのは13年間過ごした常勝・西武野球。最後の最後にそのレベルまでたどり着いた。

 08年オフに最下位のチームを任されAクラスへ。2年目の今季はその上を目指すには新たな挑戦だった。西武時代のチームメート・高山投手コーチや、立花打撃コーチらと2軍の全試合のDVDをチェックすることを義務化。支配下全員の把握。自身も没頭のあまり試合前練習に出ない時もあったが、森福らニューヒーローの誕生という成果となった。

 重圧から眠れない日も続いた。ナイター明けのデーゲームだった19日の西武戦前、どんな質問も「答えたくない」とはねのけた。不眠で疲労は限界点に達し、気管支ぜんそくでせき込みながらの戦いだった。1年目も体重が6キロ落ち、オフには人間ドックで精密検査。今季も開幕前90キロ台の体重は、87キロになった。大好きなゴルフも「(並んだ)道具を見ると、目が疲れるんだ」とショップからも足が遠のいた。

 父の威厳を持つ王前監督に対し、「兄貴のような存在が理想」と言葉より行動で示した。1年目の秋季キャンプは97メートルの遠投、フリー打撃ではサク越えなど選手を驚かせた。今年は「最近、打球が飛ばなくなった」と衰えを感じながらも、春先は選手と試合後のウエートルームで積極的に筋トレもした。打つたび背中の骨と骨の間が詰まるような痛みを覚え、整体治療を受けても、バットを振ることは継続した。

 球場へ向かう前、自宅の練習スペースで南国のゴルフ場の絵が描かれた壁へ数球、打つ。数少ない気分転換だ。「2日に1度ラウンドできたら最高だ」とぼやいたこともあったが、頂点のご褒美は思う存分クラブを振れる優勝旅行。その前にやることがある。お立ち台で指揮官自らが宣言した。「日本一を目指します」。プレーオフ、CSと04年から始まったポストシーズンは5度挑戦し、すべてはね返されている。新たな壁を越え、日本一監督への道を歩む。

 ≪“その瞬間”愛妻&愛娘も見届ける≫秋山監督の千晶夫人(51)と、長女・真凛(まりん)さん(14)は福岡市内の自宅でその瞬間を見守った。家で野球の話をしないという夫人は、試合に勝っても祝福の言葉はかけない。「おめでとうと言うと、悪い時も言わなければいけないから。すごく、苦労もあるんだろうと思います」。00年8月、2000本安打達成時にグラウンドで花束を渡した真凛さんは、アマチュアゴルフで全国大会に出場するなど活躍中。「最近も練習には一緒に行きましたよ。ゴルフの話題しか、会話はありません(笑い)」と話したが、一緒にラウンドした際は父に対し、パープレーで勝利。人気アイドルグループ嵐のCDを買ってもらったという。

[ 2010年09月27日 ]

PR

ニュース

注目オークション

クイックアクセス
スペシャルコンテンツ

このページの先頭に戻る ▲