非国民通信

未来なんてあるわけがない

何かと危機は煽られるが

2010-09-27 22:57:21 | ニュース

尖閣問題で熱い中国ネットメディアや愛国者をスルーする人々(ASCII.jp)

 沖縄県尖閣諸島で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突し、日本側が中国漁船の拘置期間延長を決めたことに対し、中国政府は「強烈な対抗措置」として、日中間の閣僚など高官レベルでの交流を停止した。

 尖閣諸島について、領土問題ではないことは日本国外務省のページで書いてあるが、この問題について中国メディアと中国サイトの反応はどうだったのか。

 人気動画共有サイトの「優酷(YOUKU)」や「土豆(TUDOU)」などはトップページの目立つ場所で掲載。中国で著名なポータルサイト「QQ」「新浪(Sina)」「捜狐(SOHU)」「網易(NetEase)」のニュースページでもトップ記事で掲載した。

 ところがネットがすべてこうした論調かというとそうでもなく、国営の新華社による新華網では控えめな場所にトピックが掲載されている。また各都市の新聞もトップでこれを掲載せず、1面ではないページでそこそこのページを割いてこのトピックを紹介している。日本で言えばニュース番組での紹介とワイドショーでの紹介の差(関連記事1)というのだろうか、このトピックに対する力の入れ具合が、ネットユーザー御用達のサイトと、あまり見向きもされないメディアによって違うわけだ。

(中略)

 「1万人の観光客一団が訪日中止」という中国の報復が「経済に影響あり」と日本で話題となっている一方、中国でもここ数日「日本の粉ミルクが買えなくなると困る。愛国者は毒粉ミルクでも子に飲ますつもりか」というブログも散見した。

 中国国内では、日本の粉ミルクの空き缶にニセモノの粉ミルクを詰めて販売するニュースが最近伝わったばかり。日本からホンモノの商品を取り入れない限り安全確実とはいえない状況で、日中関係が冷たくなるのは非常に困るようだ。

 何となく日本だけではなく中国の政治も、ネット世論に振り回されるところがあるような気がします。ネット世論を多数派の声と勘違いしてネット世論に阿る方向へと舵を切り、本当の多数派である無党派層からは冷めた目で見られる、日本の政治にはよくあることですが、ああ見えて中国政府も世論を気にする、そして世論を取り違えて失態を犯すケースは少なくないのではないでしょうか。公害問題や食品安全問題では何かと日本の轍を踏んでいる印象のある中国ですが、政治面でも同様に「熱い」ネット世論を気にするあまり判断を誤るケースが増えてくる、中国側としても徒に対立を深めることは国益を損ねるだけに本来なら避けたい事態のはずですが、国内世論との対立の方を恐れて外交上の失策を犯してしまう、そんな可能性が危惧されます。

船長釈放 中国人観光客の街は 「騒いでいるのは一部」「日本の常識通じない」(産経新聞)

 沖縄・尖閣諸島付近で起きた漁船衝突事件で、釈放された中国人船長が帰国した25日、東京・秋葉原の電気街や池袋の“チャイナタウン”など中国人が多く集まる場所は普段通りのにぎわい。こじれる一方の日中関係を横目に買い物に励む中国人観光客と、迎える日本人店員らに聞いた。

 日本人向けと中国人向けの店のすみ分けが進んだ秋葉原電気街。この日も「免税」と書かれた派手な看板の中国人向けの店にはツアー客を乗せた大小のバスがひっきりなしに横づけし、両手に買い物袋を下げた中国人客が往来していた。

 免税店の中国人店員の男性(33)は「事件の影響は全然ない。客の大半が中国人。きょうも朝から炊飯器が18台売れた。ニュースで騒いでいる中国人はほんの一部ではないか」。

(中略)

 日本人靴店で働く日本人の男性店員(48)は「商売への影響は少ない」とし「釈放はあしき前例を作ってしまった。経済への影響を我慢してでも圧力は突っぱねるべきだった」。

 禁輸措置だの交流事業の停止だのが盛んに報道されている一方、観光客は普通に訪れているとか。特に客足がにぶるでもなく、免税店では普段通りに商品がさばけているようです。しかるに日本人靴店(ちょっと意味がわかりません、普通の靴店と何が違うのでしょうか)の日本人店員曰く「経済への影響を我慢してでも圧力は突っぱねるべきだった」と。昨日の記事では、日本外交が損得よりも勝ち負けばかりを追いかけるようになったと書きましたが、それもまた国民の声に沿ったものなのかも知れません。経済的な利益を追うのは悪いことだとばかりに精神論に走りたがる日本社会では、自分たちの「正義」を押し通すことが何よりも大事になってしまうのでしょう。欲しがりません勝つまでは!

「私だったら中国首相と話し合えた」鳩山氏自負(読売新聞)

 鳩山前首相は25日、中国漁船衝突事件に関し、「私だったら事件直後に、この問題をどうすべきか中国の温家宝首相と腹を割って話し合えた」と述べ、菅首相の対応を批判した。

 鳩山氏は、首相だった時に温首相との間で「ホットライン」(直通電話)を作ったと明かし、「ホットラインは菅首相にも引き継がれているはずだ」と指摘した。

 首相時代には米軍普天間飛行場移設問題で迷走した鳩山氏だが、対中外交では強い自負心があるようだ。

 ……で、呆れたのがこちら。鳩山兄が「私だったら中国首相と話し合えた」と豪語しているわけですが、それが本当なら今からでも遅くないのでさっさと話し合いの席について欲しいと思います。首相の座を退いたとはいえ。まだ現役の与党議員なのですから、他人事のように「私だったら」などと吹かしていないで手を尽くしてください。菅の無策ぶりも酷いものですが、だからといって閣外の政治家が何もしないで待っていることが許されるわけではありません。現閣僚が何も有効な手を打てないでいるのなら、そこは閣外からでも協力できるはずです。確かに政治主導の元では閣僚ではない議員は軽視されがちですけれど、無位無官の議員だってやれることはある、ましてや前・首相ともなれば外国に対しても相応の影響力があるわけです。本当に鳩山が温家宝との間にコネを持っているのなら独自に動いてでも仲介に走るべきではないでしょうか。

 結局、厳しい国際競争云々などと言って外国の脅威を煽りつつも国内で過当競争を続ける日本経済と同様、政治もまた外国の脅威を煽りながら国内で競争することが好まれているのかも知れません。本当に中国との関係が危機的なものであるのなら、中国政府筋とのツテがある議員が閣外から協力してくれても良さそうなものですが、むしろ菅内閣の失敗を待っている議員の方が多いように見えます。「私だったら〜」と豪語しつつ、実際には何もしない鳩山はその典型と言えそうです。菅の失敗を待って復権でも狙っているのでしょうか。そして同様の思惑は自民党筋にも少なからずあるような気がします。とりあえず現役の政治家諸氏にとって現在の日中関係は、挙国一致で当たる必要があるほどの危機的状況ではないとの認識なのでしょう。私もそこまでの危機的状況とは思っていませんけれど、日頃は国益だの何だのと喧しく、同時に隣国の脅威を強調してやまない連中が、その隣国からの圧力に対して国内の協調ではなく国内の権力争いの方にこそ関心を向けているとしたら、まぁお里が知れるというものです。

 

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