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【尖閣衝突事件】中国、「漁民保護」を名目に巡視を常態化
【北京=矢板明夫】沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖での中国漁船衝突事件を受け、中国当局は今後、同諸島付近で漁業監視船によるパトロールを常態化する方針を固めた。漁業関係者向けの中国紙「中国漁業報」が27日までに明らかにした。これまで不定期に日本領海を侵入してきた中国の漁業監視船の活動が日常化することにより、海上保安庁の巡視船と対峙(たいじ)する場面は今後急増することが予想され、同海域の緊張が一気に高まりそうだ。
中国漁業報は20日付の紙面で、農業省漁業指揮センターの関係者の話として、「漁民の生命、財産の安全を守るため、今後、漁業監視船は釣魚島周辺でパトロール活動を常態化、強化しなければならない」と伝えた。
近年、海洋権益保護に力を入れ始めた中国は今年3月から、離島の資源開発を管理し、その生態系を保護する中国初の「海島保護法」を施行した。
中国当局はその後、同法に基づいて無人島周辺への艦船による巡視活動を強化したが、同法の保護対象に含まれる尖閣諸島をはじめ、マレーシア、ベトナムなどが領有権を主張している南シナ海の南沙(英語名・スプラトリー)諸島など、外国から反発を受けることが予想される場所についての巡視は不定期で、一定の配慮をしているとみられていた。
しかし、今回の衝突事件を受け、国内の対日強硬世論を背景に尖閣諸島に対するパトロール体制が強化された。釈放された中国人船長をはじめ、福建省周辺の漁業従事者たちは、今後も尖閣諸島付近に行って漁をしたいと中国メディアに語っており、中国当局は「漁民保護」の名目で、退役海軍艦船などから改造した農業省所属の漁業監視船による巡視をまず常態化する方針を固めたもようだ。
日本側の反応をみながらこれからは、最新の通信設備が搭載されている国家海洋局所属の海洋調査・監視船や、海軍の艦船を同海域に送り、日本が尖閣諸島を支配している現状を少しずつ崩していきたい狙いがあるとみられる。