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【甘口辛口】“役所仕事”みたいな大関 ファンもうんざりか
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「“角聖双葉山”の大記録に…」と相撲中継のアナウンサーが何度も口にしていた。双葉山の69連勝に白鵬が着々と近づいているが、ふつう“角聖”といえば双葉山ではなく明治時代の横綱常陸山を指す。現役時代の強さもさることながら、協会筆頭取締として力士の生活向上など改革に尽力し、功績の偉大さからそう呼ばれる。
同じ世界に聖人が何人もいるのもおかしなもので、“角聖”は唯一無二。常陸山によって相撲界の地位が向上し、その後に現れた双葉山はさしずめ“神様”だろう。連勝を69で止めた安芸ノ海(のち横綱)の大金星は『神様を倒した男』というタイトルの小説になっている。
となると白鵬が九州場所も勝ち進んで双葉山の69を塗り替えたら、生きたまま“神様”になってしまうわけで大変なことになる。一体全体、他の力士、特に大関連中は何をやっているのか。北の湖や千代の富士や、かつての大横綱が大関から上がるとき、「何としても横綱になる」と、ほとばしる闘志が土俵上だけではなく周囲にまで充満したものだ。
だが、いまの大関を見ていると、決められた日々の仕事をそつなく淡々とこなして、時間になるとそそくさと帰ってしまう“役所仕事”みたいだ。せっかく「横綱」という相撲人生最高の目標がありながら大関で満足してしまい、あとは大過なく努めて無事定年を迎える、という感じだ。
これでは、すでに神がかった白鵬を誰も止められない。賜杯の行方が序盤でわかってしまうような展開は、ファンもうんざりだろう。ほかの力士たちに敢闘精神をフルに発揮させるにはどうしたらいいのか。改革も結構だが、肝心の指導方針の改革こそ急務といえる。(今村忠)