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埼玉偽装殺人、被告側が無罪主張へ 検察側は立証に自信

2010年9月14日15時4分

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 埼玉県富士見市で昨年8月、東京都千代田区の会社員大出嘉之(よしゆき)さん(当時41)が練炭自殺を装って殺害された事件で、殺人などの罪に問われている住所不定、無職木嶋佳苗被告(35)側が裁判員裁判で無罪を主張する方針を固めたことが、関係者への取材で分かった。

 起訴状によると、木嶋被告は結婚するように装い、大出さんからだまし取った金の返済を免れようとして、昨年8月5日、駐車場に止めたレンタカー内で練炭を燃やし、睡眠導入剤をのませて眠らせた大出さんを急性一酸化炭素中毒で殺害したとされる。

 捜査関係者によると、木嶋被告はこれまでの取り調べに対し、黙秘を続けてきたが、2月に木嶋被告を殺人罪で起訴したさいたま地検は立証に自信を見せている。

 その根拠が多くの状況証拠だ。遺体発見前夜に現場までレンタカーに同乗▽医師から処方されていた睡眠導入剤と、遺体から検出された睡眠剤の成分が一致▽車内にあった練炭と同じ型の練炭を購入した記録――などの証拠を積み上げれば、木嶋被告の犯行を裏付けられるとしている。

 動機についても、大出さんがブログに婚約者についてつづっていたことや、約470万円を木嶋被告に渡していたとみられることから、結婚詐欺の果ての殺人事件という構図を描いている。

 一方、木嶋被告の弁護団は、睡眠剤を飲ませて、車内の練炭に木嶋被告が火をつけたことを示す直接の証拠がないことを訴える見通しだ。

 また、結婚を装い、大出さんや別の男性5人から金をだまし取ったなどとして起訴された他の詐欺や詐欺未遂などの罪のうち、少なくとも一部については、「結婚する意思はあり、だますつもりはなかった」などと主張し、犯意を否定するとみられる。

 さいたま地裁では14日午前、検察と弁護側が公判に向けて争点や証拠を絞り込む公判前整理手続きが始まった。

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