2010年9月27日15時0分
【北京=坂尻信義】中国河北省の軍事管理区域に入ったとして日本人4人が当局に拘束された問題で、中国外務省が26日、丹羽宇一郎・駐中国大使が申し入れた会談を拒絶していたことがわかった。尖閣諸島沖の衝突事件後、丹羽大使は中国側の再三の呼び出しに応じてきただけに、外交儀礼上も極めて異例。中国人船長の釈放後も中国が「謝罪と賠償」を求めて強硬姿勢を崩していない表れといえる。
日中関係筋によると、日本側は、拘束されている準大手ゼネコン・フジタの社員ら4人の安全を確保するため申し入れが必要と判断。26日午前に中国外務省に対し、丹羽大使と同省高官の会談を要請した。丹羽大使は日本側の「重大な関心」を伝え、「迅速な処理」を求める予定だった。
しかし、中国側は明確な理由を示さないまま、この要請を拒絶した。結局、申し入れは同日夜、日本大使館では大使、次席公使に次ぐ堀之内秀久公使が、中国外務省の邱学軍領事局副局長に電話で行った。日本大使が会談を要請した場合、中国外務省に数人いる次官の1人が対応するのがこれまでは一般的だった。
日本大使館によると、26日夜、4人の安全確保、領事面会や弁護士の接見など継続的なアクセスの確保を求めた堀之内公使に対し、邱副局長は4人の安全を保証するとしたうえで「中国の法律に基づき、公正に審議される」と答えた。また「日本側の重大な関心については中国外務省の指導者に伝達する」とした。
尖閣諸島沖の衝突事件では、中国側が事件発生当日の7日から11日にかけて外務次官、次官補、筆頭次官、外相、外交担当の国務委員(副首相級)が5日連続で丹羽大使を呼び、5度目の会談は12日午前0時に始まるという異例の展開をたどったが、いずれも日本側は応じた。