ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
  幻想郷訪問録 作者:黒羽
原作よりもより凶悪化しております。誰がとは言いませんが。
英国訪問録 終
side Toya

 この一ヶ月。本当に普通のことがなかった。だが、ようやく開放された。日本の空港についてようやくあの吸血鬼から開放された。

「日本よ、私は帰ってきたぁ!!」
「うるさい」

 騒いでいる藤原を殴って黙らす。...少し訂正。騒ぐ馬鹿を殴って黙らす。

「ゲッホォお!?」
「注目の的だぞ。ボケ」

 先日のロンドン壊滅事件については、ネオナチのテロということで片付いた。ネオというよりもオールドのほうが正しいと思うが。
 まあ、ともかくその生存者ということでパパラッチがうるさいかもしれない。

「イギリスへ留学へ行ってた学生さんですね! 巻き込まれてどうでした!?」
「あのテロの最中どう過ごしていたんですか!?」
「ぜひ一言お願いします!」

 外の世界のパパラッチのしつこさは幻想郷の比にならない。インテグラさんもこういうことを考慮して情報操作程度してくれればよかったのに。

「まあ、とりあえず逃げるぞ」

 マスコミのど真ん中へ自分から突撃していく。あとは適当に引っ掻き回して、認識されない結果を出してからどこに居るかわからないようにすれば...

「見失った!」
「どこだ! どこに居る!」
「まだ近くに居るはずだ! 探し出せ!!」

 とまあこのような感じで。外の世界で能力を使うのはあまりよいことではないが、幻想郷まで着いてこられるよりはマシだろう。

「よし、幻想郷へ逃げるぞ」

 空港化からスキマを開いて幻想郷へ繋ぎ、さっさと飛び込む。出る場所はいつもと同じく博麗神社。

「いや~、外の世界のパパラッチは怖いな。ホント」
「主にお前のヘマのせいで見つかったんだがな」

 ため息を吐いて藤原をもう一発殴る。逃げ切れたからいいものの、あとで散々な目にあっていたかもしれない。

「あら、いらっしゃい。今日は千客万来ね」
「数時間ぶりといったところか」

 回れ右をしてスキマに戻る。きっといろんなことがあって疲れているんだ。目の錯覚だ。

「待て」

 逃げようとしたが、手をつかまれて逃げられない。

「なんでお前がここにいる...」

 血の気が引いていくのがわかる。

「アーカード!」

 少女の姿をした吸血鬼。ロンドン市民と吸血鬼と十字軍をたった一人で呑み込んだ吸血鬼。たしかインテグラさんと共に居た筈...

「「よし、逃げよう!」」

 ふじわら と りょうこ は一目散にどこかへ逃げ出した 。

 ......見捨てられたか。二人とも、後で覚えてろ。

「安心しろ。ここで暴れるつもりはない」
「それ以前にどうやってここに来た」

 博麗大結界は常識と非常識を分ける存在だが、だからといってあんな遠くからやってこれるわけがない。

「言うよりも見せたほうが早いか。こうした」

 アーカードが指を弾くと、空間に裂け目ができた。紫や俺の使うスキマと全く同じものだ。

「何故お前がそれを使える」
「血液は魂の通貨。血を一滴でも飲めば、相手の魂の一部を手に出来る」

 ...まさか、血を吸われた? 何時、どこで?

「呑み込んでいる最中に、空の上から一滴だけ血が降ってきた。それを巻き込んだということだ。おかげで奇妙な能力が身についてしまったがな」

 ...ああ、なるほど。あのときか。

「...帰れ」

 スキマを開いて叩き込み、そのまま閉じてここら一体の空間をスキマが開けないように固定する。

「ねえ、あの吸血鬼は一体なんだったの?」
「これ以上ないほどの...化け物だ」

 純正の化け物。最強の化け物。誰が相手であろうとも絶対に勝ててしまう化け物だ。

「ええ、たしかに化け物ね。私達が束になってかかっても勝てるかどうか。それはそうと刀弥、お帰りなさい。お土産は?」
「ああ、紫。ただいま。悪いけど土産は買う暇がなかった」

side out

side Hujiwara

「~~ということがあって薬が切れたんで貰いに来たんす」

 結局あの吸血鬼が怖くて永遠亭に逃げてきた。薬を貰いにきたというのはあくまで名目。
 
「そう。それは災難だったわね」

 答えるのは永琳さん。薬は調合してあるらしく、鈴仙がもうじき持ってきてくれる。

「同情するならその胸の中で泣かせてください」

 そのすばらしいオッパイの中でなら窒息死しても本望です。

 紳士で何が悪い!!

 一瞬隆二化してしまったが、何も問題はないはず。男なら、ツルペタが好きじゃない限りは大きいのがいいってのは男の性。だから仕方ない。大きいなら仕方ない。ああ、仕方ないさ。だって男の子だもん。重要なことなので三回言わせてもらった。

「薬の実験体になってくれるならいいわよ?」
「是非遠慮させていただきます」

 胸の中で窒息死ならまだいいが、薬の実験台にされて死ぬのは苦しいのでいやだ。

「というのは冗談よ。薬の実験台なら一人貰ったから」
「一人増えたって、姫様?」

 それ以外に考えられんのだが。

「いいえ、その世話役。少し変わった外来人よ」
「?」

 外来人? ゆかりんが神隠ししたか?

「八雲紫ではなく黒羽刀弥。ほんと、あの二人の考えてることは理解できないわ」
「案外行き当たりばったりなだけだったりして」

 深すぎて理解できないのではなく、逆に浅すぎて理解できないのかも。

「ふーん...まあいいわ。うどんげ、入りなさい」
「はい、師匠」

 障子の向こうにウサミミのシルエットが見える。ウドンゲキター!

「これが今月分の薬です。いつもと同じように服用してくださればOKです」

 いつもと同じで素っ気無い。もう少し仲良くなりたいものだ。

「流斗~! 今度こそあんたにスマ○ラで勝ぁつ!」

 障子を突き破って突入してきたのはいつもいつもNEETでゲーマーな姫様。とてもだらけ者なことで有名。

「姫様、自重してください」

 と、もう一人は見たことのない少年。

「......どッかで見たことあるような」
「......きっと気のせいだ。気のせいに決まってる。きっとこれは悪い夢だ。そうに決まってる」

 頭を抱えて部屋の隅っこでブツブツと呟きまくっている。どこか哀愁が漂っているような気がしないでもない。

「ああ、紹介するわ。彼、新入りのウォルター君。フルネームはウォルター・C・ドルネーズ」
「ああ、あのHELLSINGの執事さん。どうりでみたことが...って、若っ!!」

 思わず叫んでしまう。いや、だって前に見たときには、あれだ。老紳士って感じでかっこよかったのに今は...子供? 中学、高校、どっち? って感じだし。

「あら、知り合い?」
「知り合いと言えば知り合いですけど...軽ーく話した程度です。そこまで深い付き合いはありません」

 いやはや、それにしてもこんなところで執事(雑用)をしているとは驚きだ。

「それはそうと蓬莱NEET、俺は宿題が何一つとして終わってないから遊んでやってる暇はない。またの機会に!」
「学生って面倒ね~」
「いっつも前半に終わらそうと思うんだが、これがなかなかどうして...いっつもやるのは前日になっちまう」
「それじゃあ妹紅と殺し合いでもしてくるわ」
「行ってらっせ~。んじゃ、えーりんさん、勉強教えてください!」

 殺し合いをしに行く姫様を見送り、宿題を広げる。今日はついでに永琳さんに勉強を教えてもらおうという計画だ。天才ならこの程度は容易いはず。

「う~ん...教えるのは別にかまわないけど、私結構厳しいわよ?」
「そりゃまあ承知の上です。宿題終わって考査で点取れるならそれに越したことはないですし」

 学生は辛いよ。結局イギリス留学時に全く宿題できなかったし、一応進学校だから宿題も鬼のように出る。

「あと薬の実験台にもなってもらうわ」
「その胸の中で一時間近く泣かせてもらっていいですか?」
「そうしたらなってくれる?」
「宿題終わって点数あがって胸の中で泣けるなら。ついでにちょっとサービスしてくれたらサンプルでもなんでも死なない程度ならどうぞ」

side out

side Ryoko

「みょんみょ~ん、居る~?」

 白玉楼の階段の下で妖夢ちゃんを呼ぶ。

「なんですかそのみょんな呼び方は!」

 あ、来た来た。

「こう呼んだらすぐに来てくれるって萃香ちゃんが言ってたから。ゆゆさんに会いたいんだけど、いい?」
「あ~もう! なんでこう生きてる皆さんは白玉楼に来たがるんですか!? 冥界は死者の集う場所なんですよ! 避暑地じゃないんです!!」


 う~ん、私は避暑が目的じゃあないんだけどね...でもそう思われてるなら仕方ないか。

「私は別の用事があって来たの~。避暑なんかが目的じゃないよ」
「......本当ですか?」

 むむむ...ここまで疑うか。頭が固いといけないよ?

「閻魔様に誓って本当だよー」
「...ならいいでしょう」

 タッタッタっと助走をつけて飛び上がる。以前アリスちゃんが飛んでいるのを見て、どうやったら飛べるかなーって思ったら、自然と術式を見てコピーしちゃって飛べるようになっちゃったわけ。複写眼だね。

「それにしても、長い階段だね。こんなに長い必要があるの?」
「私に聞かれても...」

 飛ぶスピードを少しだけ上げる。ふと階段の下を向いたときに猛スピードで階段を駆け上がる何かが「見」えたからだ。

「何か居る」
「何かって...ああ、大尉さんです」

 みょんが止まったので私も止まることにする。大尉? 軍人? でもただの軍人が幻想入りするわけないし...

「大尉さーん」
「......」

 無言でこっちを見上げる大尉さん。はい、どこからどうみても軍人です。しかも腕章からしてナチスの人。戦犯なら幻想入りしても仕方ない。

「ん~...人じゃないか」

 でもカッコイイ。ちょっと私のタイプかも。

「......」

 何にも言わないし、表情も全く変わらいし、色からも何も読み取れない。何を考えてるのかサッパリだ。
 
「なんでわかった? と言ってます」
「あれ、みょんみょんなんでわかるの?」
「なんとなくです」

 なんとなく~、ですか。以心伝心羨ましいです。

「まあ、見たらわかるとしか言い様がないのよね。見ての通り私の目はちょっとおかしいから」

 片目だけ抑え、能力をオフにして普通の茶色の混ざった黒い目に戻す。片方は戻してないままなので、蒼いまま。
 こうするとオッドアイなのよね。ちょっとかっこいいかも。

「......」
「面白い目だ。と言ってます」

 ......本当に、なんでわかるんだろう。私の目をもってすら何を考えているのかわからないのに。

「ところで、なんで大尉さんはみょんと一緒に居るの?」
「......」
「ああ、つい先日三途の川を渡れずに居たところを幽々子様が拾ってきたんです」

 拾ってきた? 死人すか。

side out