今回は戦闘などはありません。ちょっとした小話というか、移動ですね。
お盆なので、少しずつ書き溜めていたものを投稿です。
USBって便利。
英国訪問録 七話
side Toya
先日、グールの集団の撃退に一役買ってしまい、少しだけ注目されることになった俺達。一応、短期の留学に来たただの学生と言っておいたが、「ただの学生にグールが撃退できるか!」と一喝されてしまった。まあ、その後問題の無いことを少しだけ話してから、部外者だからということで、自主的に退場しておいた。
そして、それから二週間。
「平和っていいよねー」
涼子の言うとおり、俺達は平和な留学を満喫している。吸血鬼に監視されることも無く、美術館で友人が銃剣を持った神父に襲われることもなく、ただのんびりと、ゆっくりと過ごしている。
「そうだなー」
「...嵐の前の静けさ。でなければいいんだが」
つい先日、アーカードと、その子(血を吸われたて吸血鬼にされた人間)がホテルに人質をとって立てこもったというのをテレビで見てから、どうもこの静かな時間が何か大きな事件の前触れだと思えて仕方が無い。
「嫌なことは考えないのが一番! ポジティヴに生きましょー!」
涼子のテンションがやけに高い。おかしいと思い、床に転がっている瓶をよく見たら、葡萄ジュースでなく、ワインだった。
「それが出来たら苦労しないんだがな...」
幻想郷でも必ず俺が居るときに異変が起きるし...留学に来れば吸血鬼に襲われるし...グールの襲撃には遭うし...二度あることは三度あるとも言うし、警戒しておくに越したことは無い。
「まあ、黒羽の結界符さえあればどんな攻撃でも恐ろしくないな」
「核攻撃にも耐えられそうだしね~! キャハハ!」
いや、流石に核は無理だと思うぞ。自分が結界の中に居ればなんとかなるかもしれんが。
「......?」
携帯に着信が入った。発信者は...レミリア・S。レミリアか。一体何ごとだろう。
「もしもし、どうした」
『刀弥ね? 一週間以内に大事件が起きるから、警戒しておいて』
大事件? テロとか立てこもりとかか?
「もう少し詳しく」
大事件と言われても、それがどのような事件か分からなければ警戒のしようが無い。
『大量に人が死ぬ。おそらく、倫敦市民のほぼ全員』
「どういうことだ?」
大量に人が死ぬ? テロにしても、これだけの大都市が丸々一つ壊滅するなんて事は核でも使わない限りは無理だろう。...いや、あの吸血鬼ならあるかもしれん...
『わからない。けど、大量の運命が途切れるのが見えた。だから...』
「わかった、警戒しておく。わざわざありがとうレミリア」
一体どうしてこんな厄介ごとに次々と巻き込まれるのやら。本当に、二度あることは三度あるっていうのは正しいな。
「涼子、藤原、聞いたな?」
「「orz」」
......きっちり聞こえていたようだ。
「せっかくの観光旅行計画がああぁぁぁぁ!!」
「せっかくのグルメツアー計画がああぁぁぁぁ!!」
五月蝿い。気持ちはわからんでもないが、そう騒がれるとこっちも困る。
「「どーすんだよ黒羽(黒やん)!!」」
「巻き込まれて死なないようにする」
「「具体的には!?」」
具体的に、か。そうだな。
「インテグラさんに保護を求めるのが一番楽だな。あそこなら警備もしっかりしてるから、自分で動かなくてもなんとかなるだろ。事情の説明が面倒だが」
結界符は血を消費するからな...吸血鬼に嗅ぎつけられたら溜まったもんじゃない。
「「結界符は!?」」
「藤原が前に使った分が最後だ」
「「絶望した!!」」
勝手に絶望するな。特に藤原。お前は仮にも神だろう。たかが殺人事件にビビッてどうする。
「大体、何でもかんでも俺に頼るな。俺だって万能じゃない。限界はある」
「「そんな~...」」
少しイラっときた。
「涼子、お前は極道の娘だろ。もう少し自分で道を探せ。藤原、仮にも神ならもう少し威厳を持て。もう一度言うが、何でもかんでも俺に頼ったらどうにかなると思ったら大間違いだ。俺が居ないときもあるし、病気とかで伏せっているときもある。厄介ごとに巻き込まれたら自分だけの力でどうにかして抜け出すことも考えておけ。いいな」
「「え~...」」
「返事は!」
いい加減腹が立ってきたので怒鳴る。なんでいつもいつも俺に頼る。なんで勝手に連れて来たのに俺に頼る。
「「は~い」」
「Yesのケツと頭にSirを付けろ愚図共!!」
「「何故に軍曹!?」」
「黙って言う事を聞けぇ! この蛆虫がぁ!」
「「Sir! Yes,sir!!」」
「上出来だ。さてと、インテグラさんのところへ保護を求めに行くぞ。あそこなら安全だからな」
藤原と涼子に荷物を纏めるように言って、荷物を全部持ったらホテルをチェックアウトしてバスへ乗り込み、ヘルシング邸へと向かう。スキマが使えれば早いんだが、慣れていない場所で使うと最悪石の中とかもあり得るからな。
side out
side Hujiwara
は~...なんでこんなことになったんだろうな。留学に来て、吸血鬼に会って、グールを蹴散らして、事件があることを聞いて、黒羽を怒らせて。そして保護を求めに行ったら銃を突きつけられて。
「なあ黒羽、どうすんだ?」
「大人しくしていればいい」
素晴らしい回答をどうもありがとう。けど俺の寿命がストレスでマッハ。スンゲー暴れたい。
『インテグラ・ウィンゲーツ・ヘルシングに話があるので通してもらいたい』
『おいおい、一般人は立ち入り禁止だぜ?』
おお、英語が日本語で聞こえる。黒羽がやってくれたか。
『日本人の留学生三人が会いに来たと言えば許可は下りるはずだ』
『は? ただの留学生が会えるわけねえだろ』
まあ、本当にただの留学生なら会えないだろうけど...ただの留学生じゃないからな。俺達。
『とりあえず聞いてみてくれ』
『冗談もほどほどにしろよ。坊や達』
HAHAHA! その通りだ。俺も吸血鬼なんかに会いたくねえ。
『ただの学生が吸血鬼のことを知ってると思うか?』
テラ地雷。お前なんでそんな事を堂々と言うかな~。
『っ! 何者だお前ら!』
『勘違いしないでほしい。俺達は何も襲撃しようなんて考えてない。武器も持ってない』
チクリと、脳の奥を刺すような気味の悪い感覚。
『...それもそうだな。よし、連れて行こう』
嘘だろ...自分で言うのもあれだけど、こんな怪しい集団を通すか!? 普通通さねえだろ!
「ちょっとした暗示だ」
「「せこっ!!」
その後、特に問題なくインテグラさんに会い、少し話をした。一週間以内に人が大量に死ぬことを話すと、薄々感づいていたような表情で、特に事情も聞かれぬまま保護を約束してくれた。
なんでも、弾薬は馬鹿みたいに大量にあるので暇だったら実銃で射的をしていてもいいという、至れり尽くせり。でもないか。屋敷の外には出ないようにとのこと。
「黒やんって、本当に人間?」
「本人は人間と言い張ってるけどな。ん~...わからん」
side out
申し訳ありません。アンデルセン神父を出そうと思っていたのですが、それだと十話で終わらなくなってしまうのでちょっと、そんなのが居たな~、見たいな感覚で出させてもらいました! 楽しみにしてくださった方には非常に申し訳ないです。