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  幻想郷訪問録 作者:黒羽
ふと思ったのですが、一話一話の長さというものは一定にしたほうがいいのでしょうか?
長いのもあれば短いものもある。あまりこういうのはよくないと思ったのですが、どうなのでしょう。
会話
side Toya

「...藤原」

 いきなり我が家に思い切り見知った人...妖怪を連れてきた友人の頭に手を置く。

「次元のy「待て待て待て! 殺す気か!」...何のようだ」

 半ば呆れながら手を離す。何をしに来たのかは知らないが、とりあえず話程度は聞いてやろう。

「頼む! かくまってくれ!」
「理由は」

 腕を組んで藤原を睨む。理由次第ではお帰り願おう。我が家は厄介事はお断りだ。

「お袋がこいつを見て勘違いして追いかけて来るんだよ!」

 向こうと変わらない格好をした、紅魔館の門番を指差して叫ぶ藤原。なぜ美鈴が外に? 少しだけ考えて可能性を探す。...考えるまでも無かった。

「...わかった。紫が原因なら、俺が責任を持とう。とりあえず二人とも入れ」

 玄関の扉を開いて中へ入れる。またしても紫が原因だとは...少し後で話をしておこう。少しでいいので事情の説明はしてもらおう。

「サンキュー、助かった」
「ありがとうございます」 

 どこまでも陽気な友人を家の中へ蹴り入れ、美鈴も中へ放り込む。その直後、藤原の母親が砂煙を上げて突撃してきた。

「うちの流ちゃんがお邪魔してないかしら?」

 家の玄関の少し手前。具体的に言うと1メートル丁度で慣性の法則を完璧に無視した完璧な急停止をしてみせた。驚愕の身体能力だ。

「ついさっき家の前を通り過ぎていたところ声をかけたら、隆二の家に行くと言ってました」

 表情を全く変えずに完璧な嘘を吐き、相手に嘘を本当だと認識させる。どうしてこんなスキルが身についたのかは知らないが、とりあえず便利だからいいだろう。

「そう、ありがとう」

 それだけ言って人間とは思えないスピードで隆二の家のある方へ走っていった。

「普通じゃないよな...」

 どこかで妖怪の血でも混じったのだろうか。だとすると藤原が幽香の血に適合したのも頷ける。もともと持っていた要素が大きくなっただけだろうからな。

「まあ、いいか。とりあえず二人に話を聴くとしよう」

 扉を閉め、家の中へ入る。今すべきことは他にある。
 居間へ向かい、障子を開くとそこには...

「美味いな、このお茶」
「そうですね。このお茶菓子もなかなか...」

 まるで自分の家のように寛いでいる二人がいた。とりあえずナイフを投げる。

「うわ!」
「きゃあ!」

 慌てて飛んでくるナイフを避ける二人。

「俺は入れとは言ったがくつろげとは一言も言ってないぞ」

 例えくつろげと言われても、ここまで堂々とするか? 普通ならしない。

「ともかく、話を聞こう。とりあえずどうして美鈴がここに居るのか教えてくれ」

 そんな疑問は頭の隅にしまっておいて、最初に聞くべきことを聞く。

「自分の奥さんに聞けよ...」
「残念ながら今ここに居るのはお前と美鈴だけだ。どこにいるかわからない紫を探すよりもここに居るお前らから話を聞いたほうが早いだろう」

 壁に刺さったナイフを抜き、残った穴を能力で消してから二人の前に座る。

「あいかわらず便利な能力で羨ましいな」
「ですねー。私よりも刀弥さんが門番したほうがいいんじゃないですか?」
「黙れ」

 何気なく発した一言で二人が本当に黙った。本当に黙ることはないだろうに。

「まあ、とりあえず話せ」
「Sir,Yes,Sir!! ゆかりんが昨日家に来てカクカクシカジカ(略、わからなければ二話戻ってください)という理由であずかってほしいと言われ、今日こいつが家に来て両親に勘違いされてそのまま助けを求めに来たのであります!!」

 助けを求めるなら電話でもすればよかっただろう。

「はぁ...わかった」

 まあ、紫のやったことは俺が責任を持つことにしてあるし、助け舟は出してやるか。

「まあ、とりあえず帰って説明しろ。そうすれば万事丸く収まる」

 能力を使って少し細工をする。レミリアの運命を操る能力と似た方向の使い方だ。とは言っても、俺のそれは運命なんて形の決まっていない曖昧なものではなく、未来に結果を創り、未来を確定させるもの。言うなれば世界への干渉か? 自分の能力ながらずいぶんと大層なものだ。

「た、助かった~」

 安堵からのため息をつき畳に倒れる藤原。なんとなく気分で能力を発動し、藤原の倒れている畳を文字通りの針のむしろにかえる。

「痛ええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 途端に飛び上がる藤原。幽香が他人を甚振るのがわかるような気がする。

「...刀弥さ~ん」

 今度は美鈴が泣きついてきた。

「どうした」
「私門番の仕事があるんですよ!? 仕事しなきゃ咲夜さんに怒られるんですよ!?」

 ...いつも寝ているくせに、どの口が言うか。それに、居ても居なくても変わらないだろう。魔理沙が突撃してくるのを足止めすらできないのに。

「私じゃなくても三途の河の死神でもよかったじゃないですか!」

 小町か。まあ、たしかに同じくサボり魔だな。だがな...

「「お前が言うな」」

 俺が美鈴をナイフで串刺しにするのと、藤原が御柱のバットで美鈴をホームランするのは、まったく同じ瞬間だった。

「...黒羽、思わずやっちまったけど、大丈夫か?」
「安心しろ。あの程度は日常茶飯事だ」

  はるか彼方へ飛んでいった美鈴を、能力を使い戻ってくる結果を創ってから部屋から出る。放っておけば二、三分程度でもどるはずだ。

「式符『アマノ』」

 久々に剣の精霊であるアマノをスペルカードを媒体にして呼び出す。

「はいはい、なんでしょうかご主人様」

 俺よりも頭一つ分ほど小さい女の姿だが、一応日本最大級の神剣の精霊だ。少々幼く見える外見とは裏腹にかなりの力を秘めている。

「藤原の相手をしてやってくれ」

 客を一人でほったらかしにしておくのは、レミリアに色々と言われるからやめたほうがいいのでアマノに任せることにする。

「ご主人さまがご自分ですればよろしいのでは?」
「俺は紫を探してくる。少し話を聞かないとな」

 藤原からある程度事情は聞いたが、やはり本人から聞いたほうが物事の確信に近づくというもの。そういうわけで能力を使って紫の居場所を探す。そして話を聞かせてもらう。幻想郷の管理者である紫が、自分から幻想郷を危険に曝す行為をしてどうするという話だ。いくら能力で誤魔化せると言っても限度があるだろう。

「...?」

 おかしい。紫の場所を割り出した結果を出したはずなのに、紫の場所がわからない。基本的に俺の能力にミスはありえない。なのになぜわからない?

「いや、わかった。...紫、出て来い」

 能力による探知を止め、目の前の何もない空間に声をかける。今思えばあいつは物事の境界を操る妖怪。過程と結果の境界を操られれば探知は不可能だ。だが、俺の能力は即時発動が可能なもの。能力の発動に気づくのは、よほど近くに居なければわかるものではない。逆に言えば探知ができない=境界を操られている=近くに居る。という簡単な方程式ができあがる。つまり、探知ができない今、紫は間違いなくそばに居る。

「ばれた?」

 いつものように空間が裂けて、小さくなった紫が出てくる。小さくなったというのは、文字通りの意味でだ。身体がいつもよりもかなり小さい。

「誤魔化すだけなら完璧だったのにな」

 紫の目を見つめて、話を聞くまでは逃がさないという意思をしっかりと伝える。

「...怒らないわよね?」

 少しだけ涙目になりこちらを見上げてくる紫だが、残念ながらそれで誤魔化されるほど俺は甘くない。いや、甘いが、厳しさも持ち合わせている。

「怒りはしない。ただ、正直に話してくれないとしばらく消える」
「!!」

 ちなみに、『消える』というのは文字通りの消滅だ。一定期間だけ自分の存在を、存在しないという結果で上書きし、その期間が終わると同時に俺の存在が再構成される。理論上では可能だが、非常に危険な行為だ。再構成されるときに異物が混じればどうなるか。確実に違う存在になる。

「...ごめんなさい...全部話すわ」

 神妙な顔つきで語り始めた紫。少し、悪いことをしたかもしれない...

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