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  幻想郷訪問録 作者:黒羽
贈り物
side Ryoko

「ねえクロやん」

 家でのんびりとおやつを食べていたときにいきなり突入してきて拉致してくれた友人に質問を投げかける。

「なんだ」

 私がここに居るのがさも当然のように返事をするクロやん。とりあえず一発殴りたい。そしてドラム缶にコンクリ詰めにして東京湾へ放り込みたい。私のオヤツタイムを邪魔した罪は万死に値す。

「とりあえず、なんで私がここに居るのか。居なければいけないのかを説明して」

だけど、その前にある程度事情を教えてもらわなければならない。内容によっては大気圏外からのフリーフォールで許してあげないことも無い。

「ああ、そういえば説明も何もなしで連れてきたんだったな」

 せめて説明してから連れて行きやがれこのヤロウ。コンクリ詰めにして沈めるぞ。お母さんに言いつけてやる。ウチは結構大きなヤのつく自由業なんだぞ!

「少し買い物に付き合ってもらおうと思ってな」
「別に私じゃなくてもよかったんじゃないの? 隆二なり藤原なり、奥さんもいるんだしさ」

 買い物だったら奇妙な友人か、あの綺麗な奥さんに付き添ってもらえばそれでいいのに、なんで私が指名されなきゃならないのかがわからない。

「四人には秘密にしておきたい買い物だ。そして、お前を選んだ理由は、口が堅いのと、女だから」

 男女差別はあまりよろしくないけど、ずいぶんと面白そうな話じゃないの。

「女心というのは少し俺には理解しがたい」
「ほほ~......もう少し詳しく」

 前言は撤回しよう。家でダラダラとすごすよりも、こちらの方がずいぶんと面白そうだ。一聞の価値がある。

「どんな物を送れば喜ぶか。それが俺にはわからん」

 少し気まずそうに呟くクロやん。

「そういうことなら力になろうじゃないの!この涼子様にまっかせなさ~い!」

 まあ、自分の奥さんに対しての贈り物だ。力になってあげようじゃないの。

「で、エンゲージリング。ってのはどう?」

 定番でしょ?やっぱ。
 
「それは式のときに渡す予定。だった」
「いいじゃないの。どうせもうしばらく先に延期になったんでしょ?」
「......」

 ブワっと、いきなり真っ黒いオーラがクロやんが纏ったような気がしたが、気のせいだ。うん、唇の端を吊り上げたクロやんの表情なんて見てない。見てないったら見てない

「ッチ...」

 こ、怖い! 今小さく舌打ちした! 

「もうそれは用意してある。自分でな」

 そう言って手を開くと、中には四つの宝石がはまった指輪が...真っ赤なルビーがはまったのが二つとブルーダイア、大粒のサファイア。単価いくらだよって聞きたくなるようなのがゴロゴロと...

「...そこはクロやんの便利能力か。流石、セコイね」

 たしか、過程と結果を操る程度の能力だっけ?あと過程を省いて結果を出す程度の能力。チートもいいとこだ。そしてせこい。

「それほどでも」
「ルビーの中でも最高品質とされるピジョンブラッドに、希少価値の高いブルーダイア。それとカシミール産のすらも越えかねない高品質のサファイア。オークションに出せば確実に億単位の収入が入るね」

 家でそういった宝石の取り扱いもしてるからわかることではなく、素人が見ても最高品質だとわかるほどの代物。流石は幻想郷クオリティ。恐るべし...

「ルビーはフランとレミリアに。ブルーダイアは咲夜に。サファイアは紫に」
「ルビーの宝石言葉は威厳。ダイアは完璧。サファイアは崇高。なるほどなるほど、色もそれぞれのことを考えてあるんだね」

 奥さん思いだねぇ...ゆかりん達が羨ましいよ。こんな恋人が私にも欲しいけど、残念ながらいい男がいないんだよね~。
 
「能力で何とかならない?」
「出来ないことはないが、倫理的に無理だ」

 だよね~。ま、私も自分で探したいし。

「じゃ、レミィに」
「自分で頼め」

 薄情だね~。親友の癖に。

「まあいいや。何を買ってあげれば喜ぶかだっけ?」
「忘れてただろ」
「うんにゃ、そんなこたぁないよ」

 この私がそんなに面白そうなことを見逃すわけが無い。

「.....エプロン!」

 新婚さんの定番といえば、やっぱり裸エプロンでしょ。あ、でもフランとレミィで姉妹丼とかもしてたりするのかな? まさか四人まとめて? 猛者だね~。

「家に普通にあるんだが?」
「そりゃ残念。すでに経験済みでしたか」
「なんのことだ?」

 っけ、面白くないわね。

「あ、そうだ。家から薬もらってこようか」
「待て、どんな薬だ」
「もちろん精力剤と媚薬。言っとくけど違法じゃないよ?」

 もちろんご所望とあらば違法のもあげるけど、お金はもらう。

「......当初の目的を忘れてないか?俺は買い物に付き合ってくれと言った筈だが」
「そうだっけ?」

 そういえばそんなことも言ってたような...ま、いいか。ほかならぬクロやんの頼みだ。

「で、どんな物を送れば喜ぶかだっけ? 愛がこもっていれば何でもいいんじゃない?」

 少なくとも私はそう。愛さえこもっていればどんなものでも...とはいわないけど、マトモなものだったら喜ぶ。
 
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