閑話 テストの日
side
Toya
今日は学校でテストの日だ。高校三年生一学期の中間テスト。これからの進路に大いに影響を及ぼすテストなのだが、別に俺にとってはどうでもいい。
「いいよな~...進路が既に決まってる奴ってさ~」
「隆二、お前もやればできるんだからちょっとはやったらどうだ?犯罪行為ばかり繰り返さずに」
「紳士的活躍と言ってくれ」
こいつは暇さえあれば女子にちょっかいをかけたりストーカー行為をしたり...よく退学にならないなと思ったりもする。
「ああ、そういやこの前小学生の女の子を助けたってことで表彰されたぞ?」
「聞いた。4tトラックに真横からタックルしてトラックの進路を逸らしたって話だろ?」
普通ならありえない話だ。だが、こいつならできると何となく思ってしまえる。なんとも不思議な話だ。
「到底事実とは思いがたいな」
「紳士に不可能はないんだよ」
「変態の間違いじゃないのか?」
「失敬な。仮にそうだとしても、変態という名の紳士だ」
聞きなれたセリフ。今更になって思うが、なぜこんなやつと友人になったのやら。
「クラスの中では嫌われ者。しかしその正体はぁ!」
「いい加減に黙れ」
顎を殴って黙らせる。放っておいても害しかないからな。
「ナイスパンチ。さすがは黒やん」
「頼むから呼び方は統一してくれ涼子」
声で大体誰かはわかるが、混乱する。
「いいじゃん別に。このクラスで黒のつく苗字はあんたしか居ないんだからさ~」
「そうだとしても頼む」
「むぅ...土下座したら考えてあげてもいいよ?」
「半殺しと半殺しと半殺し。選ぶならどれがいいんだ?」
営業スマイルで話しかける。
「...わ、わかった。今度からは善処するよ」
「ならいい」
改めて自分の席に着く。学校で位大人しくさせてくれ。
「...不機嫌そうだね。なんかあったの?」
「幻想郷でちょっとな」
あの天人があんな時期に異変を起こしたせいで式は最低でも三年後。ああ、思い出しただけでまたボコボコにしたくなってくる。
「もしかして、式が延期になったとか?」
「...お前はエスパーか?」
一体何なんだこいつの勘の鋭さは。霊夢よりも鋭いぞ。
「顔に書いてあるよ~ってのは嘘で、ヘヴンズドアーの前には隠し事なんて通用しないのさ」
「スタンドか。幻想郷に放り込むぞ?」
「これも冗談。やっぱりご機嫌斜めだねぇ」
「ああ、そうだ。わかってるなら聞かないでくれ。機嫌が悪すぎてへこんでる」
机に突っ伏してため息を吐く。今、ものすごく精神的に不安定な状態だ。今すぐにでも妖怪退治にでも出かけたいくらいに不安定だ。だが、外の世界に妖怪はほとんど居ない。都市伝説が実際に具現化しただけのもの程度しか...
「ん、そろそろテストが始まるよ。私は就職コースだから、じゃね」
「ああ、じゃあな」
ちなみに先日は全くと言っていいほど勉強はしていない。紫、レミリア、フラン、咲夜。四人とも式が延期になったのに腹を立てていて、暴れるわけにも行かずにそのまま不満を別の形に変えて俺にアタックしてきた。おかげで寝不足だ。
「はぁ...」
欝だ。親が死んだとき以来だな。ここまで欝が入ったのは。
「おーい、テスト始めるから全員席につけ~」
先生が教室に入ってきて、一声挙げるだけで先ほどまで騒がしかった教室が静まり返り、そのまま全員が黙って席に着く。
「よろしい。今回のテストでお前らの進路が決まると言っても過言ではない。そこんとこ忘れずにきちんと勉強してきたか?」
すみません先生。昨日は妻の相手で勉強する暇なんてありませんでした。
「黒羽、勉強のし過ぎで寝不足か?目の下に隈ができてるぞ」
「...似たようなもんです。さっさと配れ独身ロリコンジジイ」
「...今の言葉で成績にヒビが入らなきゃいいな。よし、解答用紙に名前を書け」
そのままテストが始まった。
キング・クリムゾン!!過程は消え去り結果のみが残る。
テストが終わり、ホームルームも終わった放課後。生徒達はそれぞれ話をしたり部活へ行ったり勉強をしたり家に帰ったり。
「紫、一つ聞いていいか?」
「何?」
「前々から思ってたんだが...外見年齢の境界弄ってないか?」
学校の制服を着ている紫は、いつもの普段着に比べてこう、なんというか...言葉に表しにくいんだが、同年代の女子のような雰囲気が感じられる。決して普段の生活で年をとっているというわけではなく、いつもよりもほんの少しだけ違和感を感じる程度だ。
「...そんなことありませんわ」
なぜそこで敬語になる。そして今の間はなんだ。
「...まあレミリアとフランも外見年齢は誤魔化してあるし、問題はないといえばそうなるか」
下手に追求して機嫌を損ねるのはよくない。俺は紫たちと喧嘩なんてしたくもないし、する気も無い。
「つまらないことは聞かないでちょうだい」
「ああ、悪かった」
のんびりと会話を続けながら学校を出る。俺はさっさと帰る派だ。
side out
side Hujiwara
「...楽勝だったな」
俺も進学コースであり、テストもそれなりの難しさ。のはずだったんだけどな。数学英語現国現社世界史古典etc etc...とりあえず全部できた。前日にちょいと復習しただけで、別に一日五時間勉強とかそんなもんはやってない。
「人外化の影響は頭脳にも及ぶか...」
大変結構!楽して成績が上がるほどうれしいことはないだろう。なあ、本作を読んでいる学生諸君。元がつく諸君もだ。この気持ちがわからないはずがないだろう。
「おうおう、馬鹿の焼鳥屋が一丁前に人の言葉使ってんじゃねーよ」
クラスの中でヒジョーにウッゼーイケメンヤンキー君が話しかけてきた。成績優秀で運動もできて顔もいいヤンキー。そしてなぜか罵倒されると快感に悶える変態。本校において隆二と並ぶほどの変態だ。
「やかましいぞ。ド変態」
「素晴らしい!」
...変態の相手をするのは疲れるぜ。
「うわ、引くわ~...」
「顔はいいのにあの性格だからね...」
あちこちでクラスの女子がヒソヒソと話をしている。わかるぞその気持ち。顔がいいのに、この性格ゆえに非常に残念だと思われる。
「テメーはなんでここに居る?」
ものすごく上から目線。うざい通り越してウッゼーです。ものすごく殴りたい。けど殴れば喜ぶので触れたくもない。
「将来のためだよ。それ以外になにがある」
「彼女作るとかだろ、やっぱ」
うん、こういう奴は死ねばいいと思う。そう思ってスペカに手を伸ばすが、やめる。変態は不滅。いまここでこいつを掃除しても第二第三のこいつが...考えるだけで恐ろしい。
「そのヤル気をもっと他に活かせよ。下衆」
「いいぞ...もっとだ!」
もうやだ...
「帰って焼き鳥作ろ...」
「ああ、帰れ帰れ。この負け組」
「るせーよ」
負け組であるという言葉は不適切だこのやろう。俺は美人なメイドさんを侍らせてるんだぜ!...ドSだけど。