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  幻想郷訪問録 作者:黒羽
藤原君視点です。今回は主人公は出ません。犯人探しに東奔西走しています。
神社倒壊後 ある焼き鳥屋の場合
side Hujiwara

 さてと、犯人探し手伝えって言われてもなぁ...調べようにも当てが無い。紫もやしが天気を操る魔法を使えるって公式設定にはあったけど、そんなに毎日、しかも広範囲にわたって使えるもんじゃない。

「と、なると紅魔館の線は薄いな。けど他に天気を操れるような奴はいない...こともないな」

 妖々夢で春を幻想郷のあちこちからかき集めて雪にしたってことは知ってる。けど博玉楼の二人が異変を起こす事はないだろう。それに、よく考えてみれば幻想郷で間違いなく最強の夫婦の結婚式を邪魔するような命知らずはいない。

「困ったな~...」
「困ってるのは私の方よ。これからどうすればいいのよ。神社は倒壊したし、分社も倒壊。今は晴れだけど、いつ天気が崩れるともわからない。風雨をしのげる場所が欲しいわ」
「それは黒羽かゆかりんに頼めばいいと思うんだが」

 たぶん、泊めてくれると思う。あいつは無愛想に見えて意外と親切なところも有る。紅魔館には俺もこっちに来たときには泊めてもらってるし、部屋もかなりの数がある。脇巫女一人位なら大丈夫だろう。

「そうね。それはいい案だわ。あなた、頭悪そうに見えて意外と頭いいのね」
「ひでえ」

 ここまでストレートに言われるとかなりへこむ。さすがは脇巫女霊夢。普通の人には言えないことをさらっと言ってくれる。そこに痺れもしないし憧れもしない。

「ところで、あなた誰?」
「今更すぎるだろ...」
「だって知らないんだもの」
「...じゃあ自己紹介だ。藤原流斗、半人半々妖半々神の焼き鳥屋だ。以後よろしく」
「あっそ」

 ...普通名乗ったら名乗返すだろ。ああ、ここで普通を求めちゃダメだな。うん。

「ほれ」
「!!」

 とりあえず餌付けしてみる。五百円玉を辛うじて無事だった賽銭箱に入れる。ちなみに拍手も礼もしないのは、ここには神様が居ないから。

「私は博麗霊夢。楽園の素敵な巫女とか呼ばれてるわ。言っとくけど完全な人間よ」

 おお、賽銭パワーすげえ。

「ところで、あなた犯人が誰かわかる?」

 おお、いきなり話しかけてくれるほどになるとは...賽銭の力恐るべし。

「少なくとも、こんな時期に異変を起こすような命知らずは知らん。てかぜってー居ねえ」
「どうしてそう言い切れるのかしら?」
「あのな、考えても見ろ。紅魔館の吸血鬼姉妹とそこのメイド長、そして幻想郷の管理者である八雲紫、それの結婚式を邪魔するようなのが居ると思うか?」
「......居ないわね」
「だろ?それに、こんなに広範囲にわたって気候変動を起こせるような力を持つ奴も俺は知らん。天気を変える魔法も有るらしいが、そんなに毎日使えるものじゃない」

 となると、まあ、新キャラの仕業だろうな。神主の新作発表がまだだからどんな奴かは想像も付かん。俺にできることは、この巫女が暴走して被害を撒き散らさないように焼き鳥を与え続けるだけだ。

「美味しいわね」
「そう言われるとうれしいぜ」

 倒壊した神社の木材を、黒羽がいくらか炭にして行ってくれたので火は大丈夫。材料も地鶏の肉を一キロほど持ってきてるので大丈夫だ。亡霊の姫様が来ない限りは...

「ん?雨だな...」

 霧状の雨が降り始めた。テントを張って焼き鳥をしているので火の心配はしなくてもいいのだが、おかしい。ついさっきまでは雲一つない青空だった。なのになんで急に雨が?

「霊夢~...って、なんだこれ!!」

 白黒の魔法使い...確か、名前は霧雨魔理沙。大出力の魔法が得意で、本泥棒の常習犯らしい。

「ああ、魔理沙。見ての通り神社が倒壊したのよ...まったく、どこのどいつかは知らないけど、犯人見つけたら生まれてきたことを後悔させてやるわ」
「おいおい、大丈夫なのか?神社が壊れたならどこで過ごすんだ?」
「紅魔館か紫の家ね。他にアテも無いし」

 ないんかい!と、思わずツッコミを入れそうになるが、そこは我慢。夢想封印を食らうのは簡便な。

「ところで、そこの焼き鳥は?」
「焼き鳥言うな。俺は人間だ。半分だけど」
「藤原流斗さんだそうよ。半人半々妖半々神、この前天狗の号外に載ってたでしょう?」
「ああ、そういえばそうだったな。私としたことが、うっかりしてたぜ」

 天狗の号外だと?...どうせ碌でもないこと書かれてんだろうな...ああ、欝だ。死のう。死なないけど。

「『魔砲使い二世誕生か!?霧雨魔理沙に続き外来人も魔砲を開発!!』ってタイトルだったわね」
「そいつはなんとも...」

 これで俺も魔砲使い!...微妙だ。焼き鳥屋で魔砲使い。微妙すぎる組み合わせだ。

「まあ気にしてないぜ。別に完全に自分で開発したんだろ?」
「陣を敷いて地脈から力を吸い出して循環させてそのまま増幅させて、んで霊力とか妖力とかその他諸々で砲身を作って発射。完全にってわけではないなかな。うん。ある程度黒羽に手伝ってもらったしな」

 マスパと違って収束率がパネェからな~...見た目もド派手で威力もド派手。けど準備に時間がかかると言う...使えね~

「実用性が全然ねえ...」

 へこむ。かなりへこむ。限りなくへこむ。へこみすぎて地面にめり込みそうだ。

「気にすることないぜ。な!」

 肩をぽんぽんと叩かれる。ああ、なんて優しいんだろう。

「ああ、そういえば...魔理沙。あなたが来た途端雨が降り出したわね。その前まではいい天気だったのにね」
「そうそう。そうなんだよ。どうしてか私の周りにだけ雨が降っててな、洗濯物が乾かなくて困ってる」
「あなたが異変の犯人じゃないかな、と私は思うんだけど?」
「おいおい、誤解だぜ。私は何にもしてない」
「そうだ。それは絶対にない」

 これはさすがにマズイと思って止めにかかる。

「あら、どうしてか教えてもらえる?」
「もしも魔理沙が犯人だとするなら、こんな所には絶対に来ない」

 歴代異変の犯人は、自分のテリトリーから離れることはなかった。これは全東方シリーズ共通だ。紅霧異変も、春雪異変も、永夜の異変も。宴会異変?あれは異変とはまた違うだろう。

「よく言うじゃない。犯人は必ず犯行現場に戻ってくるって」
「例えそうだとしても、こんなに早くには戻ってこない」

 てかそんな知識どこで手に入れた。最近少なくなった昼ドラが幻想入りでもしたか?それとも古い刑事ドラマか? ...ありえるな。ブラウン管テレビとVHS程度なら幻想入りしててもおかしくはない。電気は...不思議パワーでなんとかなるだろ。

「ともかく、そこどいてくれない?」
「賽銭千円やるから、な?」
「いいわよ」
「「軽!!」」

 そんなんでいいのかよ!いや、こんなはした金でどうにかなるなら安いもんだけどさ...

「わかってるわよ。魔理沙が犯人じゃないことくらい。今のはただの八つ当たりみたいなものよ」
「八つ当たりだったのかよ!」

 思わずツッコミを入れる。いや、入れざるを得ない。なぜならば!なんでだろ...

「霊夢ならやりかねないぜ。妖怪退治と称してついでに人間だろうと叩き落すからな」
「ちょっと魔理沙、それだとまるで私が通り魔みたいじゃない」
「あながち間違いじゃないと思う。ほれ、お茶」

 とりあえず魔法瓶に入れてあるお茶を湯飲みに移して配る。雨が降るとどうしても体が冷えるからな。とくに霧雨だと知らないうちに体中に水滴が纏わり付く。

「ありがとう」
「あんがと」
「どういたしまして」 
 
 しかし、本当に誰だかわからん。新キャラに新ステージ。そのどっちの情報も無いんだからどうしようもない。ああ...今頃異変を起こした奴は俺たちをどっかで見下して楽しんでんだろうな~。刀弥に地獄を見せられるだなんて考えてないんだろうな~。ああ、結婚式の邪魔もしたから下手すりゃ殺されるか?まあ自業自得だろうけど、同情するな。うん。この程度でキレることはないだろうが、かなりご立腹のようだったし、なんかゆうかりんの所に放り込むとか三途の川に叩き落とすとか言ってたし...ゆかりんは完璧にキレてた。美人が怒ると怖いってほんとだな。