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  幻想郷訪問録 作者:黒羽
今回で番外編クロスは終了となります。名残惜しいような気もしますが、機会があり、且つ時間が許し、且つ他の作者様の許可が下りればクロスを書こうと思っています。機会があれば、ですが。
番外編 其の終
 side Toya

「今日でちょうど一週間。紫が迎えに来るはずなんだが...」

 何一つ連絡がないというのはどういうことだ。あいつが忘れるはずはないし、もしも忘れていたとしても藍が何かしら紫に対して注意をするはず。

「やっぱり嫌な予感がする。自力で帰るか」

 スキマを『そこにある』という結果のみを出して存在させる。繋いだ先はもちろん元の幻想郷。

「藤原、帰るぞ」

 後ろで夜雀を剥いて焼き鳥にしようとしている藤原に声をかける。何も知らん奴が見たら通報されるぞ。幻想郷に警察機関はないが。

「ん?いきなりだな」
「やめてー!!!食べないで~!!!焼かないで~!!!」
「...とりあえずそいつを放せ」
 
 ナイフを向けて脅す。俺の能力を教えられたらしいので、逃げられないのはわかっているだろう。

「え~...」
「黙れ。喋るな」
「すんません」
「それじゃ帰るぞ」

 襟をつかんで引きずる。俺の隙間はそんなに長くは持たないからな。

「それにしても、どうしていきなり。もう少しゆっくりして行ってもいいんじゃないか?」
「どうにも、嫌な予感がしてな。今まで生きてきた中で一番恐ろしい予感だ」

 今戻らなければ取り返しのつかないことになる。絶対に...いやな予感ほどよく当たるものだ。最悪にな。藤原をスキマに放り込んでから後ろを向く。

「なんだ、もう帰るのか」

 暗闇から声がする。

「猛烈に嫌な予感がしてな。紅さんによろしく言っといてくれ」
「おい、俺はどうでもいいのか?」
「どうでもいい。縁があったらまた会おう。縁がないことを祈るが」
「ちょい待てこら!」

 残念ながら待たない。一刻も早く戻らなければ取り返しのつかないことになる。そんな気がして止まない。

 side out

side Hujiwara

 スキマを抜けると、そこは一面の花畑でした。じゃなくて、弾幕だらけでした。

「わーお、大戦時代も真っ青だな」

 一面がクレーターだらけ。絨毯爆撃でもしなけりゃこんなんにはならないだろう。

「あら、あなたは確か刀弥の友人の...誰だっけ?」」
「マジですか...」

 なぜかPAD長がいた。

「死になさい。今、すぐに」 
「ちょおおおぉぉ!!??」

 ナイフが大量に飛んできたので、ひたすらにそれを避けるが、連続した時間停止のせいですぐに後ろに回られて上下左右前後から大量のナイフ弾幕が同時に襲ってくる。いいかげんに避けるのが辛くなってきた。かといって手を出せば間違いなく黒羽に殺されるだろうし、逃げようにも時間停止のせいで意味を成さない。

「咲夜、ストップ」
「ナイス黒羽!」

 新しく開いたスキマから黒羽が出てきて咲夜さんを止めてくれた。いやいや、助かった。危うく殺されるところだった...

「あら、刀弥、お帰りなさい」
「とりあえず、ナイフを下げてくれるか?あいつは後で制裁しとくから」

 ...結局制裁は加えられるのね...俺ってば不幸な子...

「いつもの通りお前が全面的に悪いんじゃないのか?」
「グェ...ちょ、苦しい苦しい、放して...」

 襟をつかんで持ち上げられる。く、首がしまる...

「選択肢をやろう。三途の川を渡るか、冥界に行くか、直接地獄にたたき落とされるか、どうする?」

 ...全部死亡フラグじゃねーか...

「俺、家に帰ったら親父の店を継ぐんだ...」
「いいだろう、永遠に眠れ。閃符『ファイアワークス』盆には帰ってこいよ」 

 そして、目の前で炎が舞ったと思うと、俺の意識は闇に落ちた。

 side out

side Toya

 さて、藤原は眠った。別に殺したわけではないが、少し脳に直接衝撃を与えて気絶させただけだ。

「咲夜、この惨状の説明を頼む。どうしてこんなに空間の歪みがひいどいんだ?視認可能なほどに歪むなんて、通常ではありえないよな?」

 肩を掴んで逃げられないようにしてから問い詰める。いつものようにうまくはぐらかされるのはごめんだ。

「...え~っと、ちょっとね?」
「どうして目を逸らす?俺のことが嫌いになったか?」
「そ、そんなのじゃないわ。ただ...」
「ただ?」
「やっぱり言えないわ」
「...そうか。まあ、俺に隠し事は通用しないことはわかってるよな?」
「あ...」

 重大なミスに気づいたという様子でこちらを向く咲夜。すっかり俺の能力を忘れていたようで...ここに存在する結果から、今に至る過程を逆算する。下手をすると根源まで知ってしまいかねないのである程度目算を付けてから使うが...

「......そうか。レミリア、フラン、紫を三人まとめて空間圧縮で潰そうとしたのか」

 はぁ...手遅れになる前に戻れてよかった。本当に...。待てよ?もしかして俺を過去に送ったのは

「紫、レミリア、フラン、咲夜...」
「「「「......」」」」

 四人がこちらに視線を向ける。今回ばかりは許せない。下手をすれば幻想郷が壊滅しかねない争いだった。妻に手を出すわけにはいかないので、精神的なダメージを与えて反省してもらおう。
 スキマを四つ開いて、とある場所に繋げる。

「まとめて映姫様に説教されて来い!!」

 そう、つなげた場所とは、三途の川。今回ばかりは笑って済まされる話ではない。しっかり反省してもらわないと困る。

「「「「イヤ(エ゛)アアアァァァアァァァ!!!!」」」」
 
 今後ともこういったことがないように、しっかりと反省してもらう。映姫様の地獄の説教十時間フルコースをしっかりと堪能してくれ。