今回は〜、藤原がメインとなりま〜す。脇役から準主人公までランクUPしました〜
番外編 其の六
side Yukari
「準備はいいわね?藍」
「もちろんです紫様。ですが、よろしいのでしょうか?ご自分で拮抗を破るなど...」
「目的のためなら手段を選ぶな。これは常識よ?」
夫の所有権確保のためにも、これだけは譲れない。ルール?そんなもの、境界をちょっといじれば問題ないわ。
「...いろいろと突っ込みたいことはありますが、今はやめておきます」
「それでいいのよ。後で油揚げ百枚あげるから」
「粉骨砕身頑張らせていただきます!」
フフフ...我ながらいい式を作ったものね。こんなに単純に動いてくれるんだから...
side out
side Sakuya
「咲夜、どういうことかしら?」
今現在、お嬢様に協力を求めらている。しかし、よく考えてみれば漁夫の利を得た方が合理的。お嬢様が紫様に敵う確率は極めて低い。妹様も含め、二対一でようやくなんとかなる程。
「ですから、私は今回は中立とさせていただきます。刀弥が居ないのに誰が紅魔館の家事をこなすんですか?お嬢様」
そして相手が式を使役してこないとも限らない。そうすると、妹様とお嬢様が同時にかかっても確実に敗北する。そして油断したところを空間ごと潰して勝利する。
「...まあいいわ。今回は私とフランだけで出る。それでいいわね?」
「ええ、頑張ってきてくださいませ、お嬢様。吉報をお待ちしております」
最高のタイミングで、横から全力で殴りかかる。最後にリングの上に立っているのは、お嬢様でも妹様でもあのスキマ妖怪でもない。この私。お嬢様には悪いけど、この勝負は私が勝たせてもらいます。
side out
side Fulandole
「ウフフ...刀弥の所有権を一か月...私が勝ったら、いっぱいいっぱい遊んでもらうんだから!」
そう言ってレーヴァテインを素振りして、自分が勝った時のことだけを考える。
side out
side Toya
...?今何か寒気が...
「何か嫌な予感がするな」
人里を二人で歩きながらつぶやく。勘を信用するのはあまり好きではないのだが、いやな予感ほどよく当たる。
「どうせお前の嫁が『刀弥の所有権をかけて勝負!』とか言ってんじゃね?ああ、妬ましい。これだからリア充は...」
「愛情も度が過ぎれば狂気になり得る。何事も適度が一番だ」
とりあえず藤原の焼き鳥を食べながらそう返す。俺は紫、レミリア、フラン、咲夜の所有物であり、同時に独立した個人でもある。大抵の場合は皆の意思に従うが、流血沙汰やその他の争い事となれば話は別。
「心配しすぎだ」
どうやって帰ろうかと思考を巡らせていたところ、藤原から声がかかった。
「なんでそう思う」
「そりゃあ、それだけ愛情が深いなら彼女たちもお前が悲しむような事はしないだろう」
「...甘いな。あいつらは妖怪だ。咲夜は人間だが、それでも考え方は普通とはかなり違う。外の尺度で物事を測ると痛い目見るぞ」
「忠告どうも」
以前にも似たようなやり取りをした記憶があるが、そこは割合する。
「ま、それよりもだ。軽い手合せしてくれないか?正直今の体が前とどれだけ違うか、いまだに実感できてなくてな」
「他を当たれ。主に零」
「勘弁してくれ、あんな化け物相手にしたら確実に死ねる」
「ならあきらめろ」
しっかりと拒否しておく。曖昧な返事をして後になってから付け込まれるのは嫌だしな。
「よし、じゃあ行こうか」
野生の零が現れた。というのは冗談で、いつの間にか現われて藤原の肩をがっちりと掴んでイイ笑顔で死の宣告を下した。
「だが断る」
「しかし答えは聞いていない」
「なら逃げるぜ」
「逃がすと思ってるのか?」
「逃げる。と思わせといて、死にさらせ」
藤原が幽香と同じくらいの出力のマスタースパークを、ゼロ距離で零の頭に当てた。なかなかこっち側に染まってきたな。あそこまで容赦がないと逆に清々しい。
「あきらめろ」
「...おい、見てないで助けろ」
「死なない且つ精神崩壊を起こさない程度なら何をやってもOKだ。幻想を見せてやれ」
現実ではなく幻想なのは、現実を超越しているからだ。分子単位まで分解しても死なない、魂を消滅させても用意さえしていれば死なない。そんなものは幻想以外にはないからな。
「素晴らしい。さすがは我が友」
「俺がいつお前を友人と認めた?」
「初めて会ったときから?」
「一度死ね~!」
藤原が叫ぶが、生憎俺も能力さえ使えばこいつと似たようなことができる。面倒だからしないが。
「あきらめろ。ここが貴様の終焉だ」
「ザケンナちくしょ~!」
「ドナドナドーナ~子牛を連れて~♪」
拉致された藤原を見送り、二人の姿が見えなくなってから能力を使用。スキマをそこに存在するという結果を出して、中から叢雲を取り出す。
「アマノ、出て来い」
刀身を鞘から引き抜いて、軽く叩く。
「フアァァ...おはようございますご主人様」
すると、剣から精霊みたいなもので、俺の式みたいな存在のアマノが出てきた。
「最近全く使われてませんでしたからね。寝てました」
「まあ、掃除以外にやることもないしな...で、さっそく悪いんだが、藤原の様子を見てきてくれ。死にかけたら救助と手当を頼む」
「了解しました。お安いご用と言いたいところですが、 非常に高いですね。後で霊力を補給させてもらいます」
「了解した。行ってこい」
「はい」
さすがに殺されることはないだろうが、アフターケアというやつだ。精神崩壊起こされても困る。
side out
side Fujiwara
「ちくせう...恨んでやる」
ずるずると引きずられて行った先は、見覚えのある、いや...生涯忘れることのできないだろう向日葵の畑。
「ハッハッハ!人間諦めが肝心だぞ?」
「言っておくが俺は半分は人間じゃない。つーかせめて場所変えやがれこの化け物」
もしもここで、流れ弾が向日葵の花にでも当たったら...ぞっとしないな。
「なるほど、確かに流れ弾が当たればゆうかりんが怖いな」
「なら「だが断る!」...よし、逃げよう」
向日葵のすきまを縫って走る。
「逃がすかあ!この俺の最も好きなことは「はいはい乙ね~」せめて最後まで言わせてくれ!!」
空から追ってくるが、これは戦略的撤退だ。あくまで戦略的な、だ。
走っていると、向日葵の無い広場に出た。ここなら流れ弾が向日葵を傷つけることはないだろう。斜め四十五度、射線よし!逝けるぜ!
「ッシャア!」
鉄串を投擲して弾幕を張る。一撃一撃が対人では必殺の威力を持つぜ。あいつに通用するかどうかはさておき...
「いてえな畜生!チクチクするじゃねえか!」
...全然効いてねえ...結構自信あったのに...
「お返しだ」
お返しね...畜生...
「化け物め...」
目の前に展開される、数えるのも馬鹿らしいほどの弾幕を見てつぶやく。
「よく言われる。さあ、歌い踊れ藤原。豚のような悲鳴を上げろ」
「...」
こいつは、今、何と言った?
「おい、今なんつった?」
「ん?『歌い踊れ藤原。豚のような悲鳴を上げろ』だが何か?」
クックック...いいだろう。俺の前で、アノ旦那のセリフを言うとは...後悔させてやろう。
「化け物を倒すのは、いつだって人間だ。かくいう俺も半分は人間だ。そうでなければ始まらない」
霊力を溜める。妖力を溜める。神力を溜める。そして砲身を形成し、最良のタイミングを見計らう。
「おおう、やっとそっちもその気になってくれたか。自分の限界を知るならそうでないとな」
あちらはまだ油断している。六本の鉄串を地面に刺し、簡易の魔法陣を描く。
「何をする気かは知らんが、一撃目は黙って受けてやろうじゃないか」
「そりゃありがたいことだ。んじゃ遠慮なく。
『接続、吸収、循環』」
一々ルーンなんか使うよりも、表意文字である漢字を使用する方が圧倒的にイメージがしやすい。弾幕はイメージ。スペルカードに焼き付ける。
鉄串を介して地脈から力を吸い上げる。もちろん花が弱らない程度に。吸い上げた力を、そのまま魔法陣に流し、循環させてさらに大きくする。これで砲弾は完成。砲塔は地面、砲塔は俺自身。
肥大化した地脈から流れる力が陣の中に収まりきらずにスパークする。それを俺が受け止め、臨界まで溜める。この作業を見ても平然としているあたり、やはり真性の化け物だ。
「灼禍!『ミレニアム・フレア』!!」
手を真上に突き出し、陣からの力を自分に全てかき集め、そのまま収束して砲撃する。規模としてはファイナルマスタースパークの軽く二十倍、密度はざっと五十倍。千年に一度あるかないかのクラスの、太陽の表面での大爆発を再現した砲撃を放つ。体が弾け飛びそうな反動。核が爆発したかのような閃光と爆音。天に突き立つは半径百メートルの熱の柱。
博麗大結界をぶち抜かないか心配だが、こいつは魂が消されても生き返るそうだ。これくらいしないと勝てないだろう。
魂ごと吹っ飛んじまえ。
長い長い砲撃が終わり、地面に膝をつく。我ながらよくやったというところだな。
「こんがり焼けました~...さすがに死ぬかと思ったぞ。まさか地脈から力を吸い上げるとはな。さすがは俺の見こんだ奴の友人だけある」
「あれくらって消滅しないとか...マジどんだけだよ」
「いやいや、なかなか良かったぞ。ただし、周りへの考慮が足りなかったな。俺が能力でどうにかしてなかったら、余波だけで間違いなくここら一帯の地面がガラス化してたぞ?」
え~っと、地面がガラス化する温度って確か千度以上だったよな?
「無自覚って怖い」
「そうだな。三十回ほど体が消滅したぞ。俺じゃなかったらどうする気だった」
「あんただからいいじゃまいか」
おっと、噛んだ。
「わーお、すっかり幻想郷色に染まったな」
「だって半分人間じゃないし。そういうわけでさいなら」
「待て待て、どこへ行くつもりだ?」
「ちょいと黒羽をボコりに」
よくも俺を売りやがったな。
「やめとけ、あいつにはさっきの攻撃自体当たらん」
「ありえん」
収束率の高さと、空気抵抗、重力による減衰率、それらをすべて計算して、理論上だけなら月まで届く砲撃だ。いくらあいつでも...
「ありえないこそありえない。グ○ードさんも言ってただろ?あいつの能力を持ってすればどんな攻撃も当たらない。下手すれば撃ったのを全部自分に返されて終わる」
恐ろしいまでにチートだな。さすがはうちの常連、ただの高校生とは格が違った。
「...そういえば、あいつの能力を聞いてなかったな」
「過程と結果を操る程度の能力、過程を省いて結果を得る程度の能力。俺の能力と同系統だ」
「テラチート乙」
「イヤ、それにしてもお前もあいつも殺すのを躊躇わんな。恐ろしい」
「あいつはちょっと特殊な事情があるからな〜。あと俺はあんたが死なないとわかってるから遠慮なく殺らせてもらった」
死なないとわかっていて、尚且つ相手が男なら遠慮する必要はゼロ。それが俺クオリティ。
「ダメですよ〜、ご主人様を痛めつけようなんて私が許しません」
声がした方を向くと、刀を背負った幼女がいた。みょんじゃないよ?
「子供?もしかしてお前黒羽の式か?」
「いえいえ、正確には天叢雲剣についていた精霊みたいなものです。それでご主人様に名前をつけてもらい存在を確立させているので、式とはまた別ですね。主に掃除洗濯の補助をさせてもらっています」
マジかよ…神剣まで持ってたか…というかThe雑用。
「ときどき戦闘にも使われたりします。本来は儀式用なのに…確かに雑用や実験材料にされるよりはマシですけど…」
「 …あいつ結構外道だな」
うむ。確かにそれには合意する。
「けどお前が言うべきじゃないと思う」
「気にしたら負けだぜ。常識に囚われないのが幻想郷だ」
どっかで聞いた事のあるセリフだな。
「…ダメだこいつ早くなんとかしないと」
「俺はマトモだぞ?」
「お前がマトモなら◯山首相も◯沢幹事長もマトモだ。あと某国の◯総書記も」
「失敬な、あんな脳味噌の腐った政治家と一緒にするな」
「だったらその性格を直せ」
「うん、それ無理」
これだから人外は…あ、俺もか。
side out
番外編クロスは次回で終了(の予定)です。そろそろ本編も更新しなければ…