幻想郷ツアー 藤原ルート
side Ryuto
幻想郷に連れてこられて二日目。朝は紅魔館によってしばらく読書していたが、ランチを頂いてからは各自好きな場所へ行くことになった。隆二は迷わず太陽の畑へと行こうとしていたが、当然刀弥に止められた。
で、俺は神社へ行きたいと思い、東風谷さんにお願いして連れて行ってもらうことに。
縄にぶら下がりながらのんびりと俯瞰の風景を楽しむこと一時間近く。神社らしい建物に降り立った。
「なあ、ここってどこなんだ?」
「守矢神社です」
...神社ね。幻想郷だし、神様もたぶんいるだろう。賽銭は入れておいて損はないな。
「...なあ、東風谷さん」
「なんでしょうか?」
一つだけ、重要なことを忘れていた。ここは幻想郷。俺が持っているのは外の世界のお金。
「外のお金ってこっちで使えんの?」
「使えませんね」
「マジかよ...せっかく入れようと思ったのに」
「!」
入れる、という言葉にピクリと反応した東風谷さん。
「入れる、というのはもしかしてお賽銭のことでしょうか?」
「ん?まあ、そうだけど...外の金使えないんじゃ...」
「全然OKです!助かります!是非入れてください!!」
「はぁ...んじゃ...」
がま口の小銭入れを開いて中身を確認。五百円玉が二枚と、百円玉三枚。一円五円がそれぞれ一枚。
計千三百七円。賽銭に入れるにはかなり多いが、本物の神様がいるのなら安いものだ。
「っと、まずは一揖してと...」
次に鈴を鳴らし、賽銭(千三百七円)を入れる。んで、二礼二拍手一礼。
まず二礼、腰を九十度に折り、二回深くお辞儀する。
次に二拍、腕を肩幅に開いてから大きく拍手を二回。
そして最後に一礼。深く頭を下げる。
「ああぁ!ありがとうございます!!」
...ものすごく感謝された。なんで?
「おかげでしばらく生活できます!」
...野口英世を一枚追加しておく。
「ありがたいねえ」
「うわ!」
真後ろから声をかけられた。
「な、なんですか?」
「ああ、始めましてだね。私は八坂神奈子。この守屋神社の神様だよ」
なんか、こうもっとすごい現れ方をするのかと思ってたんだけど...
「意外と...地味?」
「む、地味で悪かったね。そりゃ北欧の神話に出てくる神々に比べたら私は地味だけどね、今はこれでも全盛期は結構な力を持ってたんだよ?」
「でも過去形なんですね」
確かに、妙なオーラというかなんと言うか...神々しさみたいなのはちょっとはあるけど...ずいぶんと親しみやすい神様だな。
「......早苗~、最近の子はみんなこんなんなのかい?」
「いまどき神様なんて信じるほうが稀ですよ」
うんうん、その通りだ。俺のように神様を信じてる奴はかなり稀なのだ。けど...
「神としての威厳があんまり感じられないんだよな~」
「うぐ...」
「まあ、威厳がないのは今に始まったことではありませんから」
「そうそう、神奈子はもうちょっと威厳を持ったほうがいいよ~」
「...?」
いつの間にか愛らしい幼女が俺の隣に立っていた。お持ち帰りしていいですか?
「ダメだよ~。私の体は刀y...zzz」
何かを言おうとしたら、一瞬で倒れた。そして眠った。
「何が起きた?」
「人の獲物(男)を横取りしようとする泥棒蛙はどうぞお持ち帰りください。賽銭のお礼です」
さすが脇巫女2Pカラー。つーかスタンガンなんて幻想郷にあったんだな。
「愛の力です」
「そーなのかー」
「そうなんです。ちなみにそれの名前は洩矢諏訪子です。かわいがってあげてください」
「...本人の承諾なしだと拉致誘拐になるんじゃないか?」
「ここは幻想郷ですし、それは人間じゃないので法律には当てはまりません」
と、なると俺も人間じゃないから法律には当てはまらないか。
「名前からしてこの神社の神様じゃないのか?」
「食費が浮いて助かります。薬漬けにしてたっぷりかわいがってあげてください」
「いや...それは拙いだろう」
倫理的にも社会的にも。
しかし、東風谷さんがここまで真っ黒だとは思わなかった。怒らせないようにしないとな...
「神奈子様、まさかとは思いますけど...」
こ、怖い...ここに般若がいるぞ...
「いいや、私は傍観に徹するよ。こういうのは見てるほうが楽しいしね。あんたもそうは思わないかい?」
話を振られた。怖い...『邪魔するなら地獄に直接叩き落す』って目が言ってる...
「見てる分には面白いで済むけど、飛び火するなら話は別かな~」
「手出しさえしなければ大丈夫だよ。これから永い時を生きる者どうし一緒に楽しもうじゃないか」
そう言って酒を勧められる。家でもよく親父と飲んでたし、いいだろう。
「あんたいけるクチだね。これならゆっくり楽しめそうだよ」
二人で地面に座る。本格的に飲むようだ。
「おう、家で親父と飲んでたからな」
「あっはっは!未成年じゃないのかい?」
おっしゃるとおりで。だがな、
「いまどきそんなの守ってる家庭の方が圧倒的に少ないって。気にしない気にしない」
「なかなか言うじゃないか。あんた見所あるよ」
「酒を飲んじゃいけないのは人間の体の成長を妨げるからだからな。半妖になった俺にゃ関係ない」
右手に妖力の弾丸を作る。んでもってそれをふらふらと蛍みたいに動かす。
「酒の肴には少し物足りないか?」
「いんや、初めてにしちゃ上出来だよ」
一つ、二つと弾丸を作り、弾幕とまでは呼べないものの、三十ほどの弾丸を自分を中心に回す。ここまで器用になれるとは...妖怪化の影響恐るべし。
数十分ほど後~
「あんたさえ良ければ、お姉さんが手取り足取り色々と教えてあげようか?」
艶っぽい笑顔でこっちにしなだれかかってくる神様。色々と当たってるんですけど~...
「遠慮しとく~。これ以上人間離れしたくない」
色々と、というのは意味によっては嬉しくもあるが、それはそれでいろいろと問題がありそうだ。これ以上人間離れしたら外に帰れなくなるじゃないか。
「あんたの友人は、とっくに人間じゃないよ」
「ん?それってどういうことだ?」
「言葉の通り。アレの本質はこっちに属するもの。人間なのは肉体と魂だけ。そういうわけで~私も最近男日照りが続いててね~...」
ニヤニヤと笑いながら体を押し付けてくる神様...
「据え膳食わぬは何とやら。ほら、男なら覚悟決めて大人しくしな」
「あの、俺の意思は?」
「関係ないよ」
その後、美味しく頂かれてしまいました。
恋愛に年齢は関係ないといいますが、千以上も差があるのはどうなんでしょうか...