最後主人公がいい具合に壊れてます。ゆうかりんはやっぱりドS
三名様スキマツアーへご案内 中
side Hujiwara
「いや〜絶景だな〜」
悪趣味で散らかった空間から出ると、そこは向日葵畑。
前後左右どこを向いても目に入るのは無数の向日葵。一つ一つが人間の背丈の倍近くある茎の上にこれまた大きな花が乗っている。そんな向日葵が視界一杯に広がる様は、絶景以外の言葉が思い浮かばないほど素晴らしいものだった。
「しか〜し!俺は一刻も早くこの場を離れたい!そして人里に行きたい!!」
もしもここが本当に幻想郷なら、ここは太陽の畑で間違いないはず。そして、太陽の畑といえばUSC(アルティメットサディスティッククリーチャー)として名高い風見幽香がいるはず。というか絶対いる!
「もしも見つかったら……」
確実に花の肥料にされます。わかります。BADエンドルートまっしぐらです。それはもう、日本の次期首相が共産党にならないくらい確実です。
てか高校も卒業してないし年齢=彼女居ない歴な記録を持つのに、死にたくねぇ!!せめて彼女作ってキャッキャウフフな時間を送ってから我が人生に一片の悔いなしと言えるようになってからでないと死んでも死にきれねぇ!!
「と、言うわけで逃げるとしますか」
ここにいて花の肥料になるよりは、頑張ってどこかで保護してもらうのが一番だろう。ダサいとか言われても命の方が大事だ。
「あら、どこへ逃げるつもりなの?」
近くに見える森に向かって歩き出すと、目の前に日傘を持った一人の女性が現れた。
顔が引きつるのがわかる。目の前にいる女性は緑の髪、軽く赤みがかった日傘。チェックのスカートと上着。
…終わったな。
「怖い妖怪が出る前に人里にでも逃げようかな〜と、思ったんですけどね…」
冷や汗が滝のように流れる。生存本能が悲鳴を上げている。脳が指示を出す。逃げろ、と。目の前に居る妖怪から今すぐに逃げろと…
「ふーん、で、どうするの?逃げないの?」
「いやいや、日本男子たるものそう簡単に逃げることはできませんよ〜」
すんません嘘です。本当は今すぐにでも逃げ出したいです。
「人間にしては珍しいわね。私を見て逃げないだなんて」
「そりゃどーっも!」
意味はないと思うが、刀弥から貰ったナイフを投げつける。んでもって後ろへ向けて全力疾走する。これは逃走ではない!
「逃げないんじゃなかったの?」
「戦略的撤退だよ畜生!」
全力で逃げる!妖怪の相手なんかできるかボケ!そして刀弥!!次会ったらぶん殴る!!
「避けないと死ぬわよ」
「ッツ!!」
慌てて横に転がってその場に伏せる。さっきまで俺が居た所を熱線が通り抜ける。
「人間にしては楽しめそうね」
「こっちは全然楽しくねえ!」
顔を上げると、こっちを見下しながら笑う妖怪。すごくいい笑顔だが、怖くて怖くて失神しそうだ。しかしそうなれば花の肥料ルート決定なのでなんとか意識を保つ。畜生、笑顔が綺麗だな!向日葵みたいに清々しい笑顔だなこのUSC!
「噂に違わぬドS具合だな!!」
「お褒めの言葉ありがとう。ほら、まだまだ行くわよ」
風見幽香が片手の平をこちらに向けたと思うと、多分妖気だと思われる光がすごい勢いで集まりだす。
「あ~...マズ...死んだわこりゃ」
もう冷や汗も尽きた。彼女いない歴=年齢のまま死ぬのか~...嫌だな~。いくらこんな綺麗な女性でも殺されるのはな~...
「まあ、元祖マスタースパークなんて避けれるわけないよな」
いろいろと考えながらも、目の前に迫る極光は避けられないことも分かっているのでジタバタしない。ジタバタしてもしょうがない。
てか着弾までの時間長くね?いくら走馬灯現象でもここまで長く感じられるはずはないだろう。
「おかしいわね...」
「おお、生きてる!ヒャッホー!ラッキー!!」
何かは知らんが助かった!相手も考え事してるしこのまま逃げ...戦略的撤退だぜ!
「いくら考えても普通の人間だし...普通の人間に私の攻撃が防げるわけないし...わからないからもう一発くらいなさい」
「嘘だろおい...」
さっきの数倍の太さの光が俺に向かって飛んでくる。だが、多分お守りのおかげだろうと思い、それを突き出す。
「おお!お守りすげえ!!」
俺の予想は正しかったようだ。御守りから発生している壁のような物がマスパを防いでくれている。
「仕方ないわね」
そう気だるげに呟いたと思うと、悪寒が全身を貫く。慌てて後ろを向き、ボクサーのガードの姿勢をとる。
「ッグゥ!!」
ガードしたのはいいのだが、ボキッという嫌な音がして体が後ろに吹っ飛んだ。
「直接攻撃は普通に通るのね」
「ア…ガハッ…!」
腕が折れた。いや、折れたというのには少し語弊がある。砕けた、というのが正しいだろう。激痛でまともに呼吸もできない。
「それにしても、手加減してあげたのに...やっぱり脆いわね。人間って」
畜生、まともにしてれば一目惚れしそうなくらいな美人なのに...残念だぜ。ってかこうなった元凶である友人を恨まねばなるまい...呪ってやる~!
「じゃあ、よく粘ったご褒美に...舐めなさい。そのあと一撃で花の肥料にしてあげる」
俺の血のついた指を差し出してくる。
「ちねみに...断ったら?」
「ゆっくりと虐めた後に花の肥料にしてあげる。べつにどっちでもいいわよ?」
「それじゃあ...」
差し出された手に顔を近づけ...
「痛っ!?」
指を思い切り噛む。食いちぎればはしなかったが、文字通り窮鼠猫を噛むを実証してやった。やられっぱなしは性に合わないぜ!
「転んでもただでは起きない!それが俺だ!!さ、一思いにやってくれ。できることなら一撃で安楽死希望」
にやりと笑う。人間の顎の力は野生の動物には劣るが、それでも結構な力がある。犬歯で噛み付いたのだからかなり痛いだろう。
「......ハァ」
噛まれた自分の指を見てため息をつく妖怪。少し傷が入ったのか、俺の血ではない血がポタリと地面に落ちた。
「興が冷めたわ。どこへなり行きなさい」
「え?殺さないの?花の肥料じゃないの?」
当然の疑問を問う。公式設定では人間友好度最悪とあったが...
「そうされたいのなら今すぐにでもしてあげるけど?」
「いやいや、んなことありゃしませんよ。逃げれるのなら今すぐにでも尻尾を巻いて背中を見せながら無様に戦略的撤退したいところです」
こちらを見下す妖怪に向かって本音を漏らす。逃げると言わないのは男の意地だ。
「ならそうすればいいじゃない」
「いや、さっき言いましたよね?逃げれるならって。腕の感覚が切れて痛みももう無いんすよ」
「足には攻撃してないはずよ。立って歩けばいいじゃない」
ごもっともで...
「いや、それが腰が抜けちゃって」
「這い蹲っていけばいいじゃない」
んな無茶な。腕の骨が粉々なんですけど...
「腕の骨が粉々でんなことできませんって」
「顎で進めば?」
「無理っしょ」
「......で、結局のところどうして欲しいの?」
「できれば治療して欲しい、かな?」
肘から先が全く動かない腕をぶら下げて言う。せめて固定くらいはして欲しい。
「嫌よ。なんで私がそんな事しなきゃいけないの」
「いやいや、殴って腕砕いたのあんたでしょうが」
指差そうとするが、両腕は砕けているので全く動かせない。ああ、畜生...
「妖怪が人間を襲うのは当然の事。なんでそれを責められないといけないわけ?」
「知らん。つーかさっさとしてくれ。いい加減に痛覚が戻ってきて死にそうなほど痛い」
ポーカーフェイスで誤魔化しているが、マジで痛い。腕の骨が砕けるってどうなんだよ。
「一つ言っておくわ痛いのは治癒が始まってるから。噛んだときに私の血をたった一滴とはいえ飲んだんだから体が変化したんでしょう」
「うっそだー」
「本当よ」
腕を持ち上げられる。
「ギャース!!...ってあれ?思ったより痛くない」
「やっぱりね。あとで永遠亭に行って薬をもらいなさい。でないと確実に死ぬから」
「マジで?」
「マジよ。迎えも来たみたいだし、行きなさい」
そう言って向日葵畑の奥へ消える妖怪。
「おい藤原、無事か?」
ちょ~~~~ど良い所に来たな。この糞野郎。
「Fuck you!!」
地面に降りたところで殴りかかる。
「残念だったな。で、どうしたいきなり」
ヒラリと軽く避けられる。ああ、やっぱりクソッタレだよお前は...
side toya
よかった、最悪の事態は避けられたようだな。しかし、こいつよく幽香と遭遇して生きていられたな。
「まぁ、見たところ大丈夫そうだな。人里行くからしっかり捕まってろ」
「ハァ...ああそうだ。風見の血を飲んだらしいんだが、どうなるんだ?」
...なんだと?こいつ今なんて言った?
「すまん、よく聞こえなかった。もう一度言ってくれ」
「ん?風見の血を飲んだらしいが、俺はどうなるんだ?」
......最悪の予想の斜め上数億光年行きやがった。
「...行き先変更。音速は軽く超えるからしっかり捕まれ。超高速飛行『X43A』」
能力使用制限解除。能力の連続使用による障害は無視する。過程の連続短縮によって永遠亭までの最短ルートを飛ぶ。これから使う魔法は、低空で使用すればひどいことになるので数キロ上空まで飛び上がる。
「へ?......ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
続いて超音速飛行用に作った魔法を起動。風の魔法で空気を圧縮、そこへ同じく風の魔法で分離させた水素と酸素を混ぜ、火の魔法で着火。爆発的な加速で一気にトップスピードまで上げる。
速力はマッハ7.0とても人間に絶えられる速度ではないが、身体強化と霊力魔力の放出でGと空気抵抗を軽減する。
「死ぬか死ぬかかの瀬戸際なんだ、少し黙れ」
「無茶言うな~!!てかどっちも死んでる!!」
悲鳴を上げる藤原だが、コイツも人間卒業はしたくないだろう。なので少しは我慢して欲しい。あいつの血を飲んでこうした普通の状態で居られる事自体奇跡なんだ。
「墜ちるぞ。舌噛むから黙ってろ」
一気に急降下。否、速度を保ったままでの垂直落下。場所は永遠亭の真上。数秒と待たずに屋根が見えたのでナイフを抜き、投げる。音速の数倍の速度で飛翔するナイフは、そのまま爆弾以上の威力を発揮して永遠亭の屋根を破壊する。
「痛いわね、一体何?」
頭から血を流しながら瓦礫の中から立ち上がる永琳。その表情はとても怒りの様子。だがそれは今のところ問題ない。
「永琳!急患だ!!コイツが幽香の血を飲んだ!!」
「な!なんですって!?ウドンゲ!急いでオペの準備!てゐも連れてきなさい!早く!!」
「あの~、俺どうなるんだ?」
藤原はいまいち状況がつかめていない様子。この際⑨でもわかるようにわかりやすく且つ簡潔言ってやろう。
「死ぬ」
「うっそだー」
信じていないようだ。だが、事実だ。俺の能力は生物は対象外なので無かったことにはできない。
「嘘だと思うなら放っておくが?」
「すんません信じます」
「準備が整ったわ。急いでその外来人をこっち連れてきて」
「逝ってこい。幸運を祈る」
「ちょ!字が違う!それと普通逆だろ!!」
襟を掴んでオペ室に向けて投げる。それを鈴仙がキャッチしてオペ台に乗せて拘束する。オペ室の扉は閉まり、中の様子が完全に見えなくなる。
「騒がしいわね。何の騒ぎ?」
「ニートか。特別に教えてやろう。俺の友人が人間卒業か生命の損失の危機だ」
「面白そうね。で、どんな経緯か聞かせてくれない?」
面倒だな。適当に誤魔化そう。
「カクカクシカジカ四角いマーチというわけだ」
「全然わからないわね。外の暗号かしら?」
「そう考えてくれてかまわない」
ああ、それにしても...俺の友人になんて事を...幽香には、少しだけ灸を据えておこうか。偶にはこちらから責めてみるのも、悪くは無いか。
「ちょっと、かなり黒い顔してるわよ?」
「ああ、少しだけ。少しだけだ。ほんの少しだけ向日葵畑に大輪の花を咲かせてみようかと思ってただけだ。真っ赤に咲く花が向日葵を赤く彩るところを見たいと思ってな。一面の黄色の花の中に一輪だけ咲く大輪の血の花だ。クックック...」
「ちょ、怖い怖い。その真っ黒な笑顔やめて」
「妖怪が人間を襲い、人間が妖怪を退治する。実に単純明快。実にわかりやすい。実にシンプル。実に素晴らしい。流石は紫だ。最高のルールを作ってくれた。
花の妖怪よ、俺の友人である焼き鳥屋を生命の危機に晒した罪は重いぞ」
あいつの焼き鳥が食えなくなったら国家レヴェルの損失だ。いや、世界遺産崩壊クラスだな。
「というわけで少し散歩に行ってくる」
すがすがしい笑顔で言い放つ。鏡で顔を見れば、きっと目と口が三日月の形にゆがんでいるに違いない。
装備を確認。ナイフはある。銃はあいつに対しては役に立たない。縄と鞭か...まあ持っていくか。霊力の量は供給されている神力と妖力でカバー可能。さあて、散歩に行こうじゃないか...
それから一時間後、太陽の畑で嬌声があがったことは誰も知らない
最後のは、幽香がMに目覚めかけたということにしておいてください。脳内補完でお願いします