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  幻想郷訪問録 作者:黒羽
一度本気で切れた主人公を描いてみたかったので書いてみました。

注意
本編には一切関係はありません。絶対に本編とこの番外編を一緒にしないでください。大きな矛盾が出ます。混ぜるな危険です。

人が死にます。というか殺します。想像するとエグイです。

残酷描写ありです。

オリキャラが一人出ますが気にしないでください。

注意としては以上ですが、最後に改めて。
絶対に本編と混同しないようにしてください。
以上の事でアウトな方は読まない事をオススメします。

番外編 ぶち切れ主人公
 今現在、明らかに「私、裏の人間です」と言ってるようなサングラスをかけて黒のスーツを着込んだ女性が目の前に立っている。

「本日は決して物騒な用件で来たのではありません。あと、申し送れました私、こういうものでございます」

 名刺をもらうが、読まずに近くのゴミ箱へ放り込む。正直、目の前にいる女性のことなどどうでもいい。

「あなたがどんな人間かはどうでもいい。用件だけどうぞ」

 両腕を後ろに組み、袖の中から隠しナイフをワンアクションで引き抜けるように用意する。今の俺の顔は営業スマイル。俗にゼロ円スマイルと呼ばれる、実際にやられると非常に腹立たしい笑顔である。

「あなたの知人でフランドール・スカーレット、という吸血鬼が居ますね?彼女がどうなっても構わないのですか?」

 ......イマ、コイツハ、ナントイッタ?

 殺気が溢れ出る。

「ですから、フランドール・スカーレット「フランをどうした」少し落ち着いてはどうでしょう?」

 一瞬で接近し、ナイフを振るう。反撃が不可能なように刃を頚動脈までコンマ一ミリのところまで食い込ませ、脅す。ナイフを血が伝い、地面に落ちるが、全く表情を崩さない目の前の女性。
 殺気を全開で叩きつけ、刃物で脅すなど、全く俺らしくない。だが、フランのこととなれば話は別。今日はレミリアと紫、咲夜は偶然にも幻想郷にいる。だが、フランだけは着いて来た。紫に能力を制限してもらい、普通の女子高生程度の力を持った自衛の手段を持たない少女として外に居る。

「私は決してあなたの敵ではありません」
「なら、フランはどこだ。答えろ」

 拒否は許さない。隠せば喉を切り裂く。そんな意思を込めて睨む。

「まずはこちらの話を「答えろ」ふぅ...わかりましたよ。町外れの廃ビルの三階。そこに幽閉されています。私達の手に入れた情報はこれだけです」
「貴重な情報、感謝する」

 それだけ聞けば十分だ。コイツは嘘をついていない。それはわかる。嘘をつくときには、どんな人間でも心拍数が微妙に変化する。コイツにはそれが無かった。

「こちらの話を聞くつもりは?」
「無い」

 ただそれだけ言って、全力で走り出す。ただ、一刻も早く、一秒でも早く、フランを取り返すために走る。風を切り、ひたすらに走る。

「走りながらでも構わないので、話を聞いてもらえますか?」
「っち...ついて来れるなら話せ」

 恐らく車以上のスピードで走っているにも関わらず、すぐ隣に並ぶこの女性、裏の人間というのは間違いないだろう。

「名刺を受け取ってはもらえませんでしたので、私のことを軽く口頭で説明させていただきます。私、日本魔術師協会から派遣されました、日野と申します」
「だからなんだ」

 内心、舌打ちをする。一刻一秒でも早くフランのところへ行きたい。そして助ける。

「まあそう焦らずに。ここ最近、今では珍しい、かなり強力な妖怪が複数出現したと情報が入りまして調査にやってきました。その焦りようからすると、あなたにとってかなり重要な方のようですね。ああ、名前は私どもの中の過激派が勝手に拉致して尋問して入手した情報です」
「...」

 人の妻を勝手に拉致した挙句に尋問だと?方法によっては.....殺す

「ずいぶんと恐ろしい顔をしておられますが、できれば殺傷沙汰は勘弁して欲しいものです。今のご時勢、強力な妖怪も強力な術者も早々居ないのですから」
「知るか」

 ビルが遠くにだが見えてきた。ナイフを引き抜き、霊力で身体能力を引き上げる。

「ほうほう、あなたはずいぶんと強い力を持っているとはわかっていましたが、どのような能力なのか教えて欲しいものです」

 どうでもいい事をぺらぺらとよく喋る。

「ほら、そろそろですよ」
「わかってる」

 残り数十メートル。速度はそのままに、三階の窓へ向けて跳ぶ。窓を割り、中へと飛び込む。音は結界を一瞬で張ったので漏れていない。
 慌てた見張りのような男が一人居るが、行動を起こされる前に首を掻き切る。殺しは避けてくれと言われたため、一応動脈と静脈は外してある。
 だが、これで声を上げることはまずできないだろう。
 そのまま返す刃で右腕の肘の内側を切り、腱を切断する。そのまま腕を掴み、それを支点にして背後へ低い姿勢で回り込み、回り込む勢いをそのまま両足の腱を切断。これで完全に行動不能になった。
 そのまま足を払い、力なく地面に倒れこんだ男に質問する。

「動くな。ここに金髪の少女が連れてこられただろう。どの部屋にいる。右方向の部屋なら首を縦に振れ左なら横にだ」

 そう言うと、震えながら首を縦に振る。

「この部屋からいくつ離れているか、挟む部屋の分だけ首を振れ」

 
 低い声で脅しを掛ける。五回首を振る男。
 気絶はしていないので確実だろう。だが、念には念を入れ...

「~~~!!!」

 声ではなく、ひゅーひゅーといった音が喉から漏れる。

「嘘ではないな?」

 ナイフを左手に突き刺し、捻りながら質問する。首を必死で縦に振り、肯定する男。気絶しないのは訓練されているからだろう。
 まあ、いくら屈強な肉体を持っていようと、腱を切断されればそれでおしまい。
 殴れない。蹴れない。歩けない。ほふくでの移動もできない。術者である可能性も考慮に入れての喉も潰しておいた。妖怪ならこの程度どうといったことはないのだが、人間なら絶対に抵抗できない。

「よろしい。寝てろ」

 頭を体重をかけて踏み抜く。グシャという音が聞こえ、血の水溜りが広がる。仰向けにして呼吸と脈を確認。鼻は潰れて前歯も折れているが、
生きてるな。

「よっと、いやいや、元兵隊を一秒も無い間に無力化するなんて、是非うちに「断る」やっぱりか」

 遅れて入ってきた日野とやらに視線を移し、すぐに部屋の外の廊下へ出る。聴覚を最大まで強化したので部屋の前に一人見張りが居ることも、呼吸音と心臓の鼓動、衣服の擦れ合う音でわかる。
 
 扉を静かに開き、背後からの強襲。三メートルほどの距離を一瞬で詰め、口を片手で塞ぎ喉を掻き切る。

 背後から銃弾が飛んでくるが、ナイフで弾く。すばやくホルスターからナイフを三本引き抜き、投げる。額に一本心臓に一本喉に一本。
 訓練をつんだ人間にしか反応できないほどの速さ。それを避けられるが、その避ける動作だけの隙があれば十分。
 過程を短縮し、美鈴から教わった連続技を叩き込む。
 
 地面を踏みしめながら水月に肘をねじ込み、仰け反ったところへ顎へ掌低を食らわす。浮いた体に肝臓の位置へ体をねじった回し蹴りを叩き込む。壁に叩きつけられる男。だが、その程度で終わらすほど俺は甘くない。美鈴から教わった技ではさっきの一撃で終わりだが、せっかくここには壁に叩きつけられた得物がいるのだ。しかもまだ気絶していない。
 拳を握り、中指だけを第二関節で曲げる。

「ッフ!!」

 鋭く息を吐き、霊力を込めたを全力の突きを水月の少しだけ上の、肋骨の中心に当てる。骨を砕いた確かな手ごたえ。そのまま白目をむき、倒れる男。これで三人無力化した。

「一応、魔法使いではないのですか?」

 一発、プシュという軽い音が響き、後ろで銃を構えていた見張りの一人が倒れる。

「魔法使いが武術を使って何が悪い」

 他には今のところ誰も出てこない。素早く周囲の気配を探るが、廊下には日野以外に誰も居ない。
 足音を消し、目的の部屋まで走る。そして、扉を蹴りぬく。
 そして、目に入ったのは、部屋の中心でもがくフランを眺め、愉悦の表情を浮かべる誘拐犯と思われる複数の人間。
 手のひらを前に突き出す。ワンアクションで魔法を発動する。前方に魔法陣を複数展開。一発霊弾を放ち、一人静める。急なことに驚く者が居るが、それもつかの間、すぐに魔法の詠唱を始める。
 だが、そんな事はどうでもいい。自分の持ちうる最強のスペルカードを取り出す。

「死にたくなければ、フランを返せ」

 スペルカード、外の世界では絶対に使うなと紫に釘を刺されたが、今はそんなことはどうでもいい。

 なおも詠唱を続ける魔法使いたち。部屋の中心には、結界に包まれたフランがいた。外傷は特に見当たらないが、苦しそうにもがいている。痛々しい悲鳴を上げている。涙を流している。
 頭が急速に冷えて行く。

「いや、訂正する」

 詠唱を終えたようで、魔法がこちらに飛んでくる。だが、そんな事はもうどうでもいい。どうでもよくなった。こいつらはフランを拉致し、苦しめた。
 怒りで前が見えなくなる。普段は抑えている妖力、神力が溢れて、魔法をその流れだけでかき消す。展開していた魔法陣を消し、能力を使うために霊力を込める。
 今、ここで裁判を始める。罪科はフランを苦しめた。被告は目の前の術者たち。裁判官は俺。

 判決は、死刑

「死ね」

 『次元の刃』

 カードに霊力を込めて宣言する。こいつらは、殺す。

 キン...と甲高い音がして世界に一本の線が入る。
 キキン...今度は二回音が鳴り、また世界に線が入る。
 キキキン...そこから何度も何度も音がして、聞こえてくる音の数だけ世界が分割される。

 音の数だけ術者たちの体にも線が入る。一本、二本、三本、四本五本...音の数だけ線が増える。
 そして、目の前の術者達が線で埋め尽くされ真っ黒になったと思うと、線に沿って体がずれ、元の形が何であるかもわからぬ肉片の山と血の池となった。
 恐らく自分が何をされたかも理解できずに死んだのだろうな。

 辺りは一面血の海。人を殺したという罪悪感は、無いこともないが、不思議と薄い。やったことに対して後悔はない。少し、感情に飲まれすぎたというのはあるが…

「フラン...」
「とー...や?」

 結界を破壊して、フランを抱きしめる。
 俺が着いていれば、そばにいれば、フランにこんな苦しい思いをさせずにすんだのに...

 己の不甲斐なさに唇を血が出るほど噛み締める。

 涙がこぼれる。
 それはフランが無事に戻ってきた安堵か、己への不甲斐なさか、それとも殺人を犯した悲しみか...あるいは、その全てか...

「お休み、フラン」

 少し眠らせる。何をされたかは知らないが、意識が朦朧としているだけだ。
 額に軽くキスをして目を閉じさせる。

「あ~あ、ずいぶんと派手にやってくれましたね」

 やはり遅れてやってくる日野。

「一時の感情に流された結果がこれだ」

 吐き気を催すような濃密な血の匂い。あたりに散らばる細切れの肉。普通の神経を持つ人間なら直視するだけで気絶するだろう

「まったく、何をどうすればこんな肉片になるのやら...まあ、過激派には困っていたことですし、良しとしましょう。
 実力者が数人消えたのは残念ですが、監視だけという命令を破って行動したのだから仕方ありませんね」

 そう言いながら携帯電話を取り出し、どこかへメールを打つ女性。
 
「それでは、もうしばらくしたらうちの社員が掃除しに来ますので早くに帰ってください」

 そう言いながら部屋からでる日野とやら。

「ああ、そうだ。名刺、結構お金が入る仕事なので気が向いたら是非入社してください。それじゃ」
 
 よくわからない女性だ。

「全く、外で能力を使っちゃ駄目って言ったはずよ?」

 日野が消えると同時に、スキマが開き紫が現れた。

「紫か。で、どうする?新たに人を殺した俺を軽蔑するか?外で能力を使ったことに対して処罰するか?」

 少し自嘲的な笑みを浮かべながら質問する。軽蔑するならすればいい。処罰するならすればいい。
 黙ってそれを受け入れよう。

「どうもしないわ。ただ、あなたが今まで通りで居ることを願うだけよ。私は」
「はは、ありがとう」
「それじゃ、一度幻想郷へ戻りましょう?」
「ああ、そうだな」

 しかし、俺が人を殺す事でフランが助かったんだ。殺人の正当化ではないが、正しい事をした。そう思っている。

「でも、もう少し自分の事も考えて行動して。霊力の使いすぎでボロボロじゃない。永遠亭で診てもらいなさい」
「反省はしている。だが後悔はしていない」
主人公、切れるの巻でした。
まあ、本気を出せば幻想郷でも止められる相手はまずいません。それが外の人間なら尚更です。

切れた理由は「自分にとって大切な存在を傷つけられたから」
この状態に入ると考えるよりも先に能力で殺します。


なぜ攫われたのがフランか。それは一番攫いやすそうだったからです。能力の制御が完璧でないので、紫に力を抑えてもらう事を条件に外の世界にいるわけですからね。
咲夜は時間停止で簡単に逃げれます。
おぜうさまは能力に制限が掛っていないので真正面からでも相手できます。
ゆかりんも同じく。

スペカ解説
今回使用したスペカ「次元の刃」についてですが、斬る過程を省き、斬った結果のみを残します。そして、それを何百回と繰り返す事で射程距離内に存在するものを細切れにします。
キンクリとどっちがいいか悩みました。