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  幻想郷訪問録 作者:黒羽
今回は、久々に外での話となります。
ネタが多いです。
おかしな友人
 今日は学校。東風谷がいなくなってから一週間程度は水を打ったように静まり返っていた教室だが、今は以前の活気を完全に取り戻している。

「やっぱり賑やかなのが一番だわ、お姉さま」
「私は騒がしいのはあまり好きじゃないわね。刀弥はどう?」

 フランは上機嫌だが、レミリアはそうでもなさそうだ。不機嫌までいかなくとも少しストレスを感じているように見える。

「そのときの気分にもよる。静か過ぎれば賑やかなのが恋しくなるし、逆にうるさければ静かな場所が恋しくなる。まあ、ほどほどが一番だ」
「私も同じよ。妹様はもう少し静かになされたほうが好いかと」
「うーん、そうね。また前みたいにはしゃいで壊したら大変だし…」

 この前、家でトランプをしていてフランの勝ちが続き、やたらと上機嫌になったのはいいが、そのままうっかり能力を使ってしまい壁を壊したことを気に病んでいるようだ。
 
「そうね。フラン、あなたはもう少し落ち着きを持ちなさい」
「む~、お姉さまのイジワル…」

 フランばかり狙うのも少し不平等なので、今度はレミリアに標的を変えることに。

「レミリアは偽りのカリスマを演じるのをやめれば、もっとかわいくなると思うぞ」
「~///!!」
「クスクス…お嬢様ったら顔を真っ赤にして…」
「咲夜、鼻から忠誠心を垂れ流しにするのはあまり感心しない。せめて人のいないところで頼む」
「あ、私としたことが…」

 次の瞬間には鼻から流れていた忠誠心が消えていた。
さっきと立っている位置がずれている。時間を止めて拭いてきたか。

「ねえ、刀弥君」
「どうした」

 机の前にクラスの女子が立っていた。一体何だ?

「早苗の居る所を知ってるって聞いたけど、教えてくれない?」
「……」

 困った……どうするか……正直に話しても信じるわけがないし、かといって嘘をついてもどんな嘘をつけばいいのかがわからない。

「紫」
「はい」
「え?何?」

 周りの視線がこちらを向いていないことを確認して、紫がスキマが開く。

「キャッ!」

 短い悲鳴の後スキマが閉じて女子生徒も消える。

「さて、今日の夕食は何にするか。……帰ってから決めよう」

 今は現在迫っている変人を、どう迎撃するかを考えるべきだ。

「刀弥~、リア充死ね!!」

 隆二から鋭い右ストレートが飛んでくるが、顔を逸らして回避。それを見越してか左でのフック。「せい!」これは右手で掴んで止める。最後に頭突きが「ぬおりゃー!」来るが目潰しをして迎撃。「ギャー!」

 毎度毎度の挨拶。迎撃されるとわかっているのになぜかやめようとしない。学習能力が無いのかそれともマゾヒストなのか、後者であれば是非絶交したいところだ。

「グゥオオォオォォォ~!!相変わらず容赦ねーな!」
「脊髄反射だけで生きているような人間に掛ける情けは無い。とだけ言っておこう。それで、何の用だ?」

 帰り支度を進めながら会話をする。よく相手の目を見て話せといわれるが、気にしない。

「ぶっちゃけて言おう。族に喧嘩売ったから潰すのてt「却下」頼むよ~、俺たち親友だろ?」
「お前を友人にした覚えは無い。一人で潰せ」

 コイツも昔の話だが、結構な規模の暴走族と一人で喧嘩をして、見事に勝利したらしい。問題ないだろう。

「おいおい、ひでーな!友人の生命の危機なんだぜ!?」
「お前は富士山の火口に放り込んでも死にそうにないから大丈夫だろう」
「いや、流石にそれは死ぬ。そういうわけで頼むよ~!」
「くどい」

 そのまま最終下校時刻になるまでその話し合いは続いた。



 そのまま夜へ

「で、どうして俺がこんな所にいるのか教えて欲しいんだが?隆二」

 ここはとある路地。四方八方をなぜか族に囲まれていた。バイクのライトが眩しい。

「簡単な話だ。お前が俺の説得に応じてくれた」
「俺はまったく同意していないが?」
「気にするな」
「気にする」

 一人で十分だろう。なんで俺まで巻き込む。

「オラオラ、漫才かましてないでさっさとこいや!ぶっ殺すぞ!」

 金属バットを持った大柄の茶髪トンガリヘアーの男が地面を叩く。能力を使えば一瞬で片は付くのだが、できれば使いたくない。
外であまり能力を使うと、幻想郷から出られなくなる可能性もある。へたに使って変な組織に目をつけられるのも嫌だし。

「俺関係ないから帰っていいか?俺とコイツは無関係。友達でもなんでもなく、わからないまま連れてこられた哀れな一般学生。OK?」
「何を言ってるんだ?ほら、逝くぞ」
「冗談じゃない。なんでこんな面倒なことをしないといけないのか、詳しく理由を教えてもらいたいんだが?」
「お前がSINNYUUだからじゃないか」

 …ウザ……

「お前一人で逝って来い」
「だが断る!俺の最も好きなことはー!「どうでもいいから帰らせろ」んだよ、ノリが悪いな」

 頭が痛い。なんで俺ばかりこんな目に…実に不幸だ。

「うわっと、残念ながら逃げるにはもう遅いらしいぞ」
「ああ、不幸だ」

 族の包囲の輪が徐々に狭くなってきている。そして、一斉に飛び掛ってきた。

「いいぜいいぜ!そう来なくっちゃなぁ!!」
「一人で頑張れ。俺は一切手助けしないから」

 真正面からバットで殴りかかってくる奴がいたが、避けるだけで済ませる。反撃するのは楽だが、面倒なのでしない。対して後ろの隆二は…

「最っっ高にハイってやつだぁ!ザ・ワールド!!時よ止まれ」

 咲夜が時間を止めたときと同じ状態になる。風は止み、人は動かず、世界から色彩が失われる。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄あぁぁ!ロードローラーだッ!!そして時は動き出す」

時間が動き出すが、相変わらずの無双状態に入っているのがよくわかる。後ろを向けば人が空を舞っている、世にも奇妙な光景が見られるだろう。
それにしても、よく息が続くな。

「よっと」

顔を狙う拳を腕で逸らし、蹴りを横の奴で防ぎ、振り下ろされる武器を避ける。反撃はするのがだるいので一切しない。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラアアァァァ!!」

後ろのほうから何かが折れるような音と物を殴打する音が絶え間無く聞こえてくる。その度にこちらに向かってくる族が少なくなっている。
セリフへのツッコミはしないでおこう。

「無双だな。本当」

残るところあと十数人。戦わなくて済むってのは楽でいい。

「最後の数人だが、どうするんだ?」
「もちろん、やるに決まってるだろう」

 ダメだな、止められない、完全に暴走している。

「しばらく病院生活になると思うが、まあ我慢しろ」

 止められないこともないが、面倒だ。

「さて、覚悟は?」
「ば、化け物…」

 全くもって同感だ。コイツが人間であることが不思議で仕方がない。
 ん?隆二の背後にうっすらと人型が見える。

「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ、アリーヴェデルチ!(さよならだ)」

 持ち上げて空中に放り投げたあと、その後すぐに体が拳の衝撃で浮ぶほどのラッシュを叩き込む。拳が体にめり込んでいるから病院送りは確実だろう。全治何ヶ月になるやらさっぱりだ。

「隆二、以前から気になっていたんだが、お前本当に人間か?」
「あえて言おう。カスであると!」
「答えになってないぞ」
「ん~、ちょっとやりすぎたな。ちなみに鬼だ」
「あっそ」

 意外な回答だ。まあ嘘だろうが。

「おいおい、ツッコミはねえのか?」
「お前が鬼だろうと吸血鬼だろうと天狗だろうと河童だろうと不思議ではないような気がしてな」

 霊力も魔力も一般人と同じ程度。妖力も感じない。雰囲気は…かなりずれてはいるが人間。断言できる。コイツは人間だ。
 まあ、この性格は人間にしては珍しいが。

「お、吸血鬼ってのも悪くねえかな。いいねー旦那っぽくて。かっこいいじゃねえか『ぶち殺すぞ、人間(ヒューマン)』ってか?うん。かっけーね!」

 ケラケラと、こいつは本当によく笑う。しかし、長年付き合っていはいるが、こいつの考えることは本当にわけがわからない。いや、意外と何も考えていなかったりして……あえて裏の関係者だったりして…

「知り合いに吸血鬼がいる。と言ったらどうする?」
「おっ!マジで!?」

 眼を少年のように輝かせてこちらを向く。この反応からして、それはないか。

「嘘」
「ハ~…だよな~、吸血鬼なんてこの世にいるわけないもんな~…」

 いや、本当はものすごく近くにいるが、お前が気付いてないだけだぞ。

「まあ、それが世の中だ。人間以外の知的生命体はこの地球上に存在しない」
「それはともかく…いや~、これの後片付けどうしようか?」
「知らん。自分でやれ」

 辺りは死屍累々。まるでD○O様とジ○ジョが同時に大暴れしたかの惨状だ。なぜかロードローラーが道のど真ん中にあるし、壁には穴が空いてるし…修理はしてやるが、説明はどうしようもない。

「まあ、これだけやって死人が出ないとは、流石俺様!」
「片付け頑張れよ。俺は帰る」
「ちょww待っ「待たん」」

 そのままその場を全力で離れる。遠くからサイレンが聞こえてきたのもあるが、早く帰らなければ夕食に遅れてしまう。


「ただいま」
「お帰りなさい。夕食ならもうできてるわ」

 家に帰ると、まず一番に咲夜が出迎えてくれた。

「ありがとう咲夜。だが、わざわざ出迎えてくれなくてもいいんだぞ?」
「私が好きでやってるんだから文句は言わないで頂戴」

 ここまでしてもらうような価値は俺にはないと思うんだが、本人がどうしてもと言うなら仕方がないだろう。新婚じゃないんだから…

「遅かったの。神を待たせるとは何事じゃ。反省するのじゃ。このド低脳」

 玄関の扉をくぐると、まず一番に天が出てきて俺と同じ目線になるように浮いてからこう言った。
仮にも神なのだからもう少し言動には気をつけてもらいたいものだ。

天は最近、人里で『懺悔箱』なる建物を設置して、自分の信仰を増やしている。そのせいで自分の力が増し、偉そうな態度を取ることが多くなっている。

「お前にそこまで言われる筋合いは無いぞ。無能の居候」

 ちなみにこいつは、我が黒羽家のカーストでは最下層に位置する。順番はレミリア、フラン、咲夜、紫が最高層、次に俺。その次に自身の武器であるアマノ。最下層に天となっている。

「グ…そう言われると辛いのじゃ…」
「幻想郷では仕事をしているそうだが、ここでは本来なら必要ない食事を毎食請求し、寝床まで咲夜にセッティングさせ、アマノとは違って家事もしない。そんな奴に対して謝罪する必要がどこにある?無能」
「ぐう…負けじゃ、完璧にわらわの負けじゃ。神であるわらわが…完全敗北じゃ……」
「相変わらず容赦が無いわね」
「やるときは徹底的に相手をねじ伏せるのが俺のやり方だ。ところで、今日の夕食は?」
「お嬢様と妹様の激しい論争の末、妹様の希望でミートソーススパゲティになったわ。私としてはアラビアータのほうが好きなんだけど」

 アラビアータ、あの辛いのか。香辛料のよく効いた。

「私は蕎麦が一番好きよ。パスタも嫌いじゃないけどね」

 玄関から上がり、居間に向かって歩きながら話していると、紫がいつもと同じようにスキマを開いて会話に入ってきた。

「ジャンルが違うわよ」

 立ち止まることなく話す咲夜。どうやら紫の意見に不満があるようだ。

「なんで?同じ麺料理でしょう?」
「紫、それはどうかと思うぞ」
「そうよ。大体、うどんや蕎麦はアジアの料理でしょう。パスタはヨーロッパ諸国の料理。文化も食事も料理法も製法も違うんだから比べないで頂戴」
「そのくらいわかってるわ。ちょっとからかってみただけよ」

 口元を扇子で隠しながらいつものようにクスクスと笑う紫。何度見ても………胡散臭い。きれいだとも思うが、やはり胡散臭さの方が際立っている。


「本気と冗談の境界をいじって話すな。と言わせてもらいます」
「アマノ、それは正論だが紫に言ってもあまり効果はないぞ」

 柳に風、暖簾に腕押し。馬の耳に念仏。映姫様の説教でも真正面から論破しそうだ。

「ばれたら面白くないじゃない。人生楽しまなきゃ損よ?」
「あなたと話していると、自分の言っていることが全て無意味だということに気付かされますね。ご主人様、どうしてこんなババ……」

 ある単語を言おうとした瞬間、アマノの後ろの壁が一瞬にして崩壊した。

「あらあら、何を言おうとしたのかしら?よく聞こえなかったの。もう一度言ってくださらない?」
「いえ、紫さんは素敵な女性です。ご主人様にふさわしい美女です。ですからその笑顔を収めてくれませんか?」
「女性?少女の間違いじゃないのかしら?」

 スゴクイイ笑顔でアマノを見つめる紫。妖怪は歳のことは誇るべきだと思うんだが…

「少女です、ハイ」
「よろしい。それじゃ刀弥、早く食べましょう」
「少々大人気ないような気がするが…」
「気にしたら負けよ。スキマ妖怪のやることにいちいち疑問を抱いていたらきりが無いわ」
「そうだな」

 天を引きずり食卓へ。食事の後は掃除、入浴、宿題。その後は四人に囲まれながらゆっくりと寝た。

 一緒に寝ただけで手は出していないから、そこのところは誤解しないで欲しい。
ネタに走りすぎました。反省しています。ものすごく深く反省しています。