剣とナイフ 手合わせ
白玉楼、死者の魂が集う冥界にある屋敷。別に生きた人間が入ることもできる。結界さえ飛び越えればあっさりと入れるからな。
しかし、飛ぶだけで飛び越えれる結界ってのは意味があるのか?
「それで、今日はどのような用件でしょうか。以前のように実験に付き合えとかだったらお断りですよ?」
「いや、今日はそんな用事じゃなくて、もう少し......穏やか?ではないか。
見方によれば物騒とも取れるな」
「用事によりますね」
「率直に言うと、自分独自の流派を作ったから、弾幕無し、俺は能力無しで手合わせして欲しい」
独自の流派、といってもそこまで大層なものではなく、単に剣、槍、弓、銃、無手etc.....、様々な流派、武術の経験を取得して、全ての短所を補っただけのものだ。実戦に使っていないので使えるかどうかも不明。
最初は美鈴に頼もうと思っていたのだが、いつも優雅に午睡を楽しんでいるので、相手をしてもらえない。そういうわけで、幻想郷では珍しく剣を使う妖夢に頼んだわけだ
「どうだ?」
「......いいですよ」
しばらく考えるそぶりを見せた後、大きく頷いて賛成の言葉を口にしてくれた
「そうか、てっきり断るかと思っていたんだが?」
「最近平和で実戦をしてくれる相手がいないんです。仮に相手をしてくれる人が居たとしても、弾幕無しの勝負なんてしてくれませんから」
「そうか」
まあ、紅白白黒に限らず、幻想郷では弾幕メインだからな。おまけに武術なんて使うのは美鈴くらいだし、鬼(萃香)は技術無しの獣のような戦いだし、天狗(射命丸)だと一瞬で背後に回られて勝負にならない。
そういった点ではこういった誘いは少ないだろうな
「それでは幽々子さまに許可を頂いてきます」
「『了承してくれたら料理を7回ほど作ってやる』と伝えてくれ」
サバイバル生活で養った咲夜に褒められた魚料理のスキルは一流までいかなくとも、二流の上程度はある。おそらくこれで落ちるはず
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「さて、準備はいいな?」
「もちろんです」
俺はナイフを構え、妖夢は剣を腰ダメに構えてにらみ合う
「妖夢~がんばってね~」
「あなた、負けたらお仕置きよ」
「ははは、善処する」
なぜか紫が居た。まあいいか、愛する妻に良いところ見せないとな
「それでは、」
「ああ、いざ尋常に......」
「「勝負!!」」
掛け声と共に妖夢が横薙ぎに切りかかってくるが、しゃがんで避ける。そのまま足を伸ばして体を回して足払いを掛けるが、飛んで避けた。しかし、そんなことはすでにわかりきった事、空中の妖夢の首を狙ってナイフを突き出す
「ック!」
「まだまだ」
剣で弾かれるが、その弾かれた勢いを利用して回し蹴り。
「ッと危ない、飛んでなければ当たっていました」
「そっか、飛行禁止は出してなかったな」
普通なら空は飛べないから、空中で避けることも出来ずに喰らうかガードかの二択しかないんだが、完全に想定外だったな。懐からP90を取り出して、狙って撃つ
「んな!!」
「能力を使わないとは言ったが、銃を使わないとは言ってないぞ」
P90はフルオートの制御は難しいが、銃身も短いし、単発なら余裕で片手制御が可能、ナイフを構えたままで使える
「......銃弾を剣で弾くって、無茶だな」
「ック!あなたもそう言いながら両方で攻撃ってずるくないですか!?」
「勝負に卑怯も何もあるものか。ようは勝てば良いんだ」
銃を片手で制御し、ナイフで斬りつける。これは普通に使うぞ?銃で遠距離、ナイフで至近距離、互いの短所を補っているし、中距離ならばナイフを槍に変えるだけでいい。
それに、懐に潜りさえすれば、相手は長い得物を使っているので戦いにくい。こっちは銃とナイフで一方的な攻撃が可能。そのまま相手をじわじわと削っていく。
斬り、突き、抉り、撃ち、蹴り、殴り、様々な戦闘方法を組み合わせたものが俺の流派だ。総合格闘技とも言えるな
「くう!」
「ッチ!弾切れか!」
撃ちまくっていると、弾切れになった。
弾のない銃なんてただの鉄の塊に過ぎないので、はっきり言ってただの荷物にしかならない。
なので銃を投げつけるが、その動作一つで大きな隙ができた
「獲った!!」
「しまった!なんて言うと思ったか?」
さまざまな戦闘方法の中には、当然中に合気道や柔道も入っている。ようはCQCも使えるということだ。少し毛色は違うが
「え?キャ!!」
ナイフを逆袈裟で弾かれるが、それはわざと力を緩めただけで、囮だ。
そのまま追撃に振り下ろしてきた腕を掴み、背負い投げ。地面に叩きつけ、そのまま懐から拳銃を抜き、突きつける。
武器に注意を向けさせることで、その武器をあえて失うことによりある程度相手の行動を操作することができる。どっかの漫画で読んだ
「俺の勝ちだ」
「......私の負けですね、私もまだまだ修行が足りませんね」
「いや、俺のは技術ではなく、相性によって優位に立つことができるだけだ。
長年培った技術には遠く及ばない。
それに、本気を出してなかっただろ?霊の部分を使ってなかったし」
「いえ、あれが私の本気です。霊体の操作と剣術の同時使用はまだできないんです。弾幕との併用はできますが.....、まだまだ師匠には遠く及びません」
「そうか、だが剣術に限れば、師匠にでもなって欲しいくらいだよ」
「いえ、相性ではなく、私は純粋な力量だけでもあなたに負けています」
「そうか?」
「そうですよ」
「さすがは私の夫なだけあるわ」
「妖夢もまだまだね~」
後ろのほうでいろいろと言ってるが、今は無視しよう
「は~、疲れた。今日はありがとう、妖夢」
「こちらこそ、また手合わせおねがいします」
「そのときは、お互いにもっと強くなっていれば良いな」
「そうですね。今度はお互いに全力で」
「あちゃ、ばれてたか」
「動きに不自然さがありましたから。本当は槍が一番得意なんですよね?」
「ご名答、よくわかったな」
「突きのときに片手が不自然に動いてましたから。それと避け方が槍使い独特の動きでした」
「槍が一番、ではなく、訓練のときに使っていたのが槍が多いだけで、一番はやっぱりナイフか刀、それとサブマシンガンを組み合わせたものだ」
本気で殺る気なら、背負い投げから容赦なく頭を打ち抜く。それが本来の使い方だ
「まあ、なんにせよ負けは負けです。今日はありがとうございました刀弥さん」
「どういたしまして。
それじゃそろそろ紅魔館で図書館の整理があるから帰らせてもらうよ」
「またね~」
「たまには私の屋敷に来なさい。暇で暇で仕方ないわ」
「式とでも遊んでいればいいだろ。そんなことより仕事したらどうだ?」
「そうね、そうするわ」
そう言って紫はスキマに引っ込んだ
「幽々子、料理の件については一食につき一回だからな。
一日7食で一回じゃないぞ」
「わかってるわよ~」
「それじゃそろそろ、」
過程を短縮して飛び続ける。
ふと思った。紫に能力の効果範囲の境界を反転してもらえば無敵だな、この能力