ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
  幻想郷訪問録 作者:黒羽
いつも報われない中国に御褒美が!?
中国と休暇 前編
幻想郷訪問録

 今日は学校は休み。そういう訳で幻想郷へ来て、紅魔館でいつも通りに仕事をしている

「つっても能力を使いながら歩き回るだけなんだけど。
 一周したな、今日はこれでおしまいっと」
「お疲れさま。あなたがいると仕事が減って助かるわ。
 それで、今日はどうするの?」
「どうしよう?」

 どうしようか......慧音さんの所へ行って臨時の教師にでもしてみようか、それとも妖怪の山へ遊びに行くか、神社へ行くのもいいかな?

 あれこれと考えていると、最近釣りをしてない事に気がついた

「そうだな。今日は川で釣りでもするか」
「頑張ってね、夕食は魚料理ができるようにたくさん釣って来てちょうだい」
「ん、了解」

 そうと決まれば話は早い。愛用の釣りセットを取り出して、門まで歩く

「中国、釣りに行かないか?」
「私の名前は紅美鈴です!中国なんかじゃありません!」

 怒りだすが、いつもの事なので気にしない

「いや、恒例行事だろう?美鈴の事を中国って呼ぶのは」
 もはや一般常識となりつつある事実を教えておく(誰に?)
 『美鈴の事を見たらまず中国と呼ぶ』俺が人里の子供達に教えているので、あっと言う間に広まった

「いつの間に......」
「ずいぶんと前から。で、行くの?行かないの?」

 それこそ、俺の来る前からそう呼ばれている。主に霊夢と魔理沙が異変の時にそう呼んだのが始まりだそうだ

「たまには仕事の息抜きにいいですね。
 少しメイド長に聞いてきます」
「その必要はない。さっさと行くぞ」
「グエ......」

 襟首を掴み、そのまま飛翔。急がないと一番釣れる時間が過ぎてしまう

「とーちゃくっと」
「ケホッケホ......ヒドイです!痛いのには慣れてるけど痛いのは痛いんです!」
「それはスマン。今のは俺が悪かったな」

 いっつもハリネズミになってるから、てっきりMなのかと......

「......人に謝られるのは初めてです」
「嘘?」
「いえ、ホントです」
「......不憫だな」
「そうですね〜......」

 哀愁漂う美鈴を慰め、釣りを始める

「美鈴、引いてるぞ」
「あ、ホントですね、よっと!」

 軽ーく釣り上げたのは50オーバーの鯛。なんで川にいるのかが不思議で仕方無いが、幻想郷だからありかな?

 そうやって一人で納得すると、

「鯛なだけにありがたいですね」
「おめでたいとも言うな。ッと、これは大きいな!」

 のんびり話していると、急に竿が強く引かれた。大物だ

「クウゥ!せりゃ!!」

 力を込めて一気に釣り上げる。さて、かかった獲物は?

「......お値段以上?」
「......ですね」

 河童だった。こいつは食えんな

「お値段以上じゃなくって、私はにとりだよ!」
「そう怒るな。なんでお前がここにいる?」

 河童の住処はもっと上流のはずだ。なにかあったのか?

「いやー、恥ずかしい事に泳いでたらいつの間にか寝ちゃってて......」
「猿も木から落ちる、もとい河童の川流れだな」

 まさか本当に見る事になるとは......にとり、恐ろしい子!

「河童が流されるなんて、珍しいですね」
「えっと、中国さんだっけ?」
「紅美鈴です!!」
「ごめんね、ちょっと外見でそう思っただけだから、許して?」
「次からはきちんと名前で呼んでくださいね?」

 さて、にとりが暴れたせいで魚が逃げた。ポイント変えるか

「俺はあっちで釣ってくる。じゃな」
「釣るよりも弾幕で取った方が早くないかい?」
「阿呆、身が崩れて食えたもんじゃない」
「そうです。私も一度水面を全力で叩いて魚を取った事がありますけど、美味しくなかったです」

 魚は痛まない方法で獲って新鮮なうちに調理するのが一番おいしい
 てか美鈴って以外と馬鹿力?

 ......待てよ?

「にとり、泳いで魚を獲れるか?」
「うーん、できない事も無いね」
「これに一杯魚を獲ってくれるならキュウリを十本ほどやろう」
「少ないね、二十本!」
「元はと言えばお前が暴れたせいで魚が逃げたんだぞ?十二本」
「それでもね、譲れないもんがあるのさ。十八本」
「強情だな。十二本と半分」
「仕方無いね。十五本。これでどうだい?」
「いいだろう。十五本だな?」

 まるで主婦の値切りだな。そう思いながらキュウリを渡す

「一杯になったら紅魔館に持って行っといてくれ」
「よっしゃ!頑張るぞ〜!」

 勢い良く川に飛び込んだにとり、後はどうするか......

「魚はにとりに任せたし、人里にでも行くか?」
「そうですね、私もしばらく行ってませんし」

 決まった事だし、人里まで行くか

…………..................

しばらく飛んでいると、

「あら久しぶりね」

 顔が引きつる......

「某ラノベの青年の言葉を借りるなら、不幸だ」
「こんな美人に会っておいて『不幸』はないでしょう」

 優雅に日傘を回しているが、あのサディスティックな笑みは健在だ。
 あっちはヤル気満々、こっちはヤル気ゼロ

「誰でしたっけ?前に一度みた事があるような気がするんですけど」
「フラワーマスター、風見幽香だ」
「あ、思い出しました!逃げましょう!!今すぐに!!人里に入れば戦闘は出来ないはずです!!!」
「大賛成。美鈴、目を瞑って耳を塞げ護身『スタングレネード』」
「キャ!!」

一気に逃げる。もちろん、置き土産は忘れない。
足元の岩を122ミリフレシェット砲弾とクレイモア地雷を置いて逃げる。炸裂すれば6000本の鉄の矢と数百個の鉄球の雨だが、幽香にとっては時間稼ぎにもならないだろう

「地上を走った方が早い!降りるぞ!」
「はい!」

 地面を全速力で走り抜ける。人里まであと少し!

「美鈴!ストップ!!」
「キュ!!」

 襟首を引っ掴んで止めたため妙な声をあげて止まる。

「よく避けたわね」
「さすが、あれのコンボを食らって無傷とは......」

 美鈴が止まらなければ潰れたトマトだったな。地面に日傘がめり込んでいる

「無傷ではないわね、ほら」

 腕に軽く掠った程度かよ......
 あれは目眩ましで怯むか、防いだ所を回避不能な面での攻撃の正面と真下からの同時爆破で防御ごと潰す。そんなコンボだったんだけど......

「前に一度戦った時日傘を頑丈にしておいたんだけど、正解だったみたいね」
「頑丈にも程があるだろ......」

 日傘に一つ小さな穴が空いているだけで、あとはどうもない。

「全く、今日は戦いに来たんじゃないのに、どうしてこうも逃げるのかしら?」
「その言葉が真実だとは全く思えん。ついでに言うと日頃の行いを改めるべきだ」

 USCって呼ばれるくらいだしな

「あの〜......嘘を言ってるようには見えませんけど?」

 甘い。ハチミツのように甘いぞ美鈴!

「美鈴、食虫植物ってのはな、虫をおびき寄せてパクっといくもんなんだよ」
「私は草じゃなくて花の妖怪よ?」
「なら食虫花だな。決定」
「はぁ、どうすれば信じてくれるのかしら?」

 さっきまでのサディスティックな笑みは完全に消えている……本当、か?
 だが油断は出来ない。一定以上の距離をとっておく

「……わかった、信じよう」
「で、頼みって言うのは外の珍しい花の種や球根を買ってきて欲しいの」
「希望は?」
「あなたの判断に任せるわ」
「わかった。忘れなければ次来た時に渡そう」
「ありがと。これはさっきのお礼よ」

 鉄球が銃弾のような勢いで飛んできた

「たまには攻撃されるのも良い体験じゃないのか?」
「弱い者虐めが趣味の私には遠慮願うわ」
「それじゃ、早い所太陽の畑にでも戻っててくれ」
「ええ、楽しみにしておくわ」

 幽香がいなくなり、やっと一息つける……

「怖かったです〜……」
「お前とは相性の良いタイプだと思うぞ?」

 殴り合いなら良い勝負になるだろう

「瞬殺されるのがおちです」
「経験と技術はお前の方があると思うぞ?」
「身体能力が違いすぎます」
「それもそうだな。あいつの全力は視認不可能だし」
「一度手合わせして貰ったがあるんですけど、年長妖怪独特の感覚で避けられて一撃もいれることが出来ませんでした」
「で、そのままボコボコにされたと......」
「その通りです......」

 あっちのは獣みたいな戦い方だが、美鈴のは技術を駆使した戦い方だ。
 
「それはともかく、人里に着いたぞ。どうする?俺は慧音さんの所で臨時教師をするけど」
「人里の観光もしてみたいですけど、刀弥さんの教師姿も見てみたいですね......」

 ひとしきり唸った後、

「観光はまたの機会にして、今日は授業の見学にします」
「そうか、んじゃ寺子屋はこっちだから」

 さすがに教師がアーミーベストはマズイので、結果をいじり『和服を着ている』ことにする

「で、美鈴はそのままで行くのか?」

 いつも通りの服装だが、子供には少し刺激が強いかな?

「?なにか不都合がありますか?」
「いや、子供達には少し刺激が強いかなと思ってな」

 スリットからのぞく健康的な足が特に

「む~……そうは言ってもこれ以外に服はありませんし……」
「結果の操作『美鈴の服は和服』これで良し。それ一着って訳じゃないだろ?」
「え、あ、はい。予備がいくつか」

 和服姿の美鈴……なかなか新鮮でいいな

「そういえば給料とか貰ってる?」
「それらしい物は貰ってませんね。三食と住居を提供して貰ってるのでそれがお給料みたいなものですね」
「だったら俺からの給料、おっちゃんこの簪くれ」

 和服にその帽子は合わんしな、やるのなら徹底的に。

「可愛いのつれてんじゃねぇか、彼女かい?」
「いや、職場の同僚。代金置いとくぞ」
「毎度あり~」
「ありがとうございます。でも、いいんですか?」
「ん?仕事に報酬は付き物だろ?」
「でも……」
「デモもストもない。給料がないのは労働基準法違反だ」

 そのまま説得して寺子屋へ歩き出す
 
ちなみに中国はどうもしません。ご希望があれば中国編も書きます