異変の終わり
「小町、仕事はサボるなよ?」
「サボることこそ我が生きがいなり。私からサボりをとったら何が残るんだい?」
「その胸とか?」
「結構助平だねあんた・・・」
「気にするな。俺には婚約者がもういるからな、浮気なんかしたら殺されるよ。
それに、浮気なんかする気にもならないよ」
「いいね~・・・私にもあんたみたいな男がほしいねぇ・・・」
「それは置いといて、さっきの言葉を映姫さまが聞いたら怒るぞ?」
「聞かれなきゃ大丈夫だよ」
「閻魔様なだけに地獄耳だったりして」
「うまい!座布団一枚!!」
「「あっはっは!」」
そうこうしている内に対岸に着き、船から下りる。
出来ればここにはもう寄りたくないな・・・
「それじゃ、迷わずに帰るんだよ」
「迷ったら迷ったでそのときで何とかするよ」
「私は寝るから、じゃね」
「みつかるなよ?」
「zzz・・・」
「言っても無駄か・・・」
ため息をつき、空を飛ぶ。
久々の空は気持ち良い。ずっと寝てたからな・・・
それはともかく、早く家に帰らないと・・・宿題がまだだった
「紫に送ってもらうか」
「人使いが荒いと嫌われますよ?」
「射命丸、いきなり後ろから声をかけてくるな。心臓に悪い」
「それはそれは、妖怪以上の心臓をお持ちのお方がそんなことをおっしゃるとは」
「遠まわしに喧嘩売ってるのか?」
「とんでもない!」
「ならいい。もっとも、ついさっきまで生死の境をさまよってたからそれは無いと思うが」
「いきなり何をおっしゃるんですか?」
「彼岸で魂が抜けかけた。なかなか貴重な体験だったぞ?もう二度としたくないが」
「・・・よく生きて帰れましたね・・・(彼岸に行った時点でもうアウトだと思いますが)」
「閻魔様の手厚い処置のおかげで九死に一生を得た。
処置をしてくれた理由は、自分が説教を長くしすぎたからだとさ」
「閻魔ですか・・・」
「そう。閻魔様。外見はかわいい女の子にしか見えなかったが、身に纏うオーラというかなんと言うか・・・とりあえずかなりの大物だって事は一発でわかった」
あの慌てふためいた表情はなかなかかわいかったと思う。
しかし、閻魔様に対してかわいいって言うのはどうなんだろう・・・
一度怒られたし、真っ赤になって否定されたし、今度から言わなければ良いか
「博霊神社までの道を教えてくれ。まだこっちの地理に慣れて無くてな、どうも覚え切れてない」
「これから行くところですし、ご一緒しましょうか?」
「ああ。よろしく頼む」
「ところで、あなたはどうやって空を飛んでいるんですか?
見たところ魔法のようですが、風も使っているようですがメインではありませんし」
さすが天狗。風をつかさどる妖怪だけあって敏感だな
「重力を能力で弄って遮断して、そこを風の魔法で動いている。いきなりどうしたんだ?」
「いえ、少し気になりまして、魔法と能力を組み合わせて発動するなんて負荷が大きすぎやしないかと・・・」
「それはこれ、河童に頼んで作ってもらった魔法の発動媒体。これを使って負担を軽減している」
報酬としてはいろいろな技術書を渡しておいた。
どうやらにとりにはマッドサイエンティストの才能があるようだ。あのときの表情といったらもう・・・
「幻想郷の住民全員と知り合いになってません?」
「そうか?まだ行ってない所もたくさんあるし、あってない奴もたくさんいるはずだが」
「そこのところ詳しく」
「新聞か?また下手な記事を書いたら・・・」
「今回のはまともです。誰がどう見てもまともです」
「そうか、疑って悪かった。ここの住民全員とできれば知り合いになりたいとは思っている」
「なんでですか?」
「幻想郷の管理人と結婚するんだから当然だろ?その報告をしないといけないしな」
「そうでした!そのことで一つ記事を書かせてもらいたいんですけど、いいですか?」
「・・・ロリコンだろうと何だろうと書いてくれれば良い。手を出しちまったしな」
いくら否定しても手を出したという事実は消えないからな。この際ペドだろうとなんだろうと受け入れてやる・・・
あいつら以外には興味はわかないがな
「それはもう書きません。書くのは彼女たちの心情です」
「心情?」
てっきり前のような記事を書くのかと思っていたのだが、はずれだったな
「それはどういった理由でそうなった?」
「ぶっちゃけあなたの記事を書いても面白くないからです。
幻想郷には女性のほうが多いですからね、殿方の心情よりも女性の心情のほうが受けると思ったからです」
「なるほど・・・確かにそうだな。
で、どういう内容だ?」
異性の心情よりも同性の心情のほうが共感しやすいということもある・・・外の雑誌もそうだ・・・
「あなたのどこがよかったのか、どこに惹かれ、どこで出会ったか。など、そういった内容にしようと思います」
「頑張ってくれ。俺も彼女たちがどう思っているかを知りたいしな」
「天狗には新聞のコンテストみたいなものがありましてね、それの一位を一度とってみたいと思ってるんですよ」
「そうか。下手な記事を書いて叩かれるなよ?」
「そんなへまはしません。博霊神社が見えましたよ」
話をしているとあっという間に博霊神社に着いた・・
「霊夢、天と紫はいるか?」
「中でくつろいでるわ」
「相変わらずだな・・・こっちは生死の境をさまよってたっていうのに」
「災難だったわね」
「本当だ・・・」
体と魂が分かれるのはかなり辛かった。
生きながらに肉ごと皮膚を引っぺがされるような痛みだった・・・経験したことは無いが
「刀弥、ここ数日姿を見なかったけれど、何かあったのかしら?」
「三途の川で魂がはがれかけて生死の境をさまよった」
「大変ね」
「ずいぶんと冷静だな」
「死んでないから良いじゃない。
それに霊力も上がったようだし結果オーライよ」
「確かにそうだな」
「それよりも、吸血鬼姉妹とメイドが怒ってたわよ?『こっちに来てるはずなのに屋敷に来ない』って」
「人里から出たら真っ先に行こうと思ったんだがな、出てすぐにフラワーマスターと普通の魔法使いのマスパの打ち合いに巻き込まれ、その後さらに暴力巫女に追いかけられて、必死で逃げた先が三途の川。そこで説教喰らって生死の境をさまよって今日まで寝てた。納得してくれるかな?そこに隠れている三人」
「ばれてたの?」
「当然だ。隠れるならまず妖気を隠せ」
「災難だったわね(今夜は私が相手させてもらうわ・・・)」
「咲夜、同情するならフランを抑えてくれ。今にも爆発しそうだ(今日は勘弁してくれ。元気がありすぎて壊しちまいそうだ)」
「刀弥~!!寂しかったよ~!!」
「そうだな。だがこっちの事情も理解してくれ」
「・・・うん」
「よし、それじゃ送ってくれ」
「わかったわ・・・相変わらず人使いが荒いわね」
「使えるものは卒塔婆でも使え。俺は親がいないからな」
「そ。いつも通り家の前でいいわね?」
「ああ」
足元にスキマが広がり、その中に落ちる。
しかし、何度やっても慣れないな・・・
家の前に降り、鍵を開ける・・・
「フギャ!痛いのじゃ~・・・」
後ろでわめいている奴が1人・・・相変わらずドジだな
「留守番は・・・」
『五件です』
「隆が二件、涼も二件、学校から一件か」
「動くな・・・」
振り向くと銃を突きつけてくる奴がいた
「強盗か空き巣か・・・セキュリティ役立たずだな。これで二回目だ」
「黙れ。まだ死にたくはないだろ?」
「あんたさ~、こんなことするよりまともな仕事探したら?」
「うるさい!黙ってろ!」
「あんたがうるさい。近所迷惑。つーかモデルガンじゃ脅迫になんねー。
お帰りはあっち。盗んだもの置いてさっさと帰りな」
一応元は本物のようだが、銃口に詰めてある鉛が見えるようにしたらだめだろ
「ッチ!!」
「じゃーな。二度と来るな」
今日は疲れているのでわざと見逃す。盗まれたものは咲夜が時間を止めて石ころと摩り替えたようだ
「これで何人目かしら?」
「四、五人くらいか?なんでわざわざこの家を選ぶのかが不思議」
「なんだかいろいろとありそうな雰囲気じゃない。この前の屋根裏とか物置とか、あんな物があるんだから入るってくるんじゃない?」
「そうね。あの時もらったあの懐中時計、魔術文字が裏面にびっしりだったわ」
「探せばまだいろいろと有りそうじゃの」
「探す気にはならん。こら、剣の精、仕事はきちんとしろ。折るぞ」
仏間に飾ったあの刀に向かってそう言い放つと、少女が出てきた
「仕方ないじゃないですか。妖怪とかならまだしも相手は普通の人間なので声も聞こえないし姿も見えないんじゃどうすればいいんですか!」
「斬りかかれ。半殺しの庭師ならためらわずにやる」
「神剣をそんなことに使わないでください!」
「剣は武器。武器は力の象徴。力は脅かすものだ。そのくらいわかるだろう」
「私は神剣です!本来は儀式に使用されるものです!武器とは違います!」
「神剣だろうが聖剣だろうが魔剣だろうが剣は剣。立派な武器だ」
「ひどいです~」
「日本海に放り込んでやろうか?」
「それだけは勘弁してください!いくら神剣でも錆びちゃいます!」
「神剣って錆びるものなの?」
「さあ?」
「どうなんでしょう?」
「試すか?」
「そうしましょう。いままで誰もしたことの無い世紀の実験よ」
「やります!やらせていただきますから!!勘弁してください!」
「本当だな?」
「はいぃ~・・・」
その後はいつも通り夕食を食べ、皆で談笑し、風呂に入り、寝た・・・
・・・しまった、宿題してなかった・・・