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  幻想郷訪問録 作者:黒羽
今回は主人公の過去に触れます
夢と罪と閻魔様
夢を見ていた・・・昔の、両親が生きていた頃の夢を
あの頃は、どこにでもいるごく普通の家族だった。
どこにでもある、普通の日常を過ごしていた。

「テレビ見せて!」
「ダメだ。今は俺が見ている」
「けちんぼジジイ」
「なんだとコラ!」
「やめなさい!!」
「「ごめんなさい」」

くだらない事で父さんと喧嘩して、母さんに怒られて・・・

「刀弥、最近学校はどうだ?」
「ん?楽しいよ」
「そうか、そりゃ良かった」

親と学校の事を話したり・・・
そんな日常、どこにでもある平凡な日常を過ごしていたある日・・・
いつまでもこんな平和な毎日が続くと思っていたある日・・・
いきなり俺の日常は崩壊した

「君が黒羽刀弥君だね?」
「うん!おまわりさん!」
「・・・すまないが、辛いだろうが聞いてくれ・・・君のご両親が、交通事故にあって、運び込まれた病院で・・・つい、さっき・・・」
「どうしたの?僕のお父さんとお母さんは?」

その時のおまわりさんは、本当に辛そうな顔をして、涙を流しながらこう言った・・・

「・・・ック・・・君のご両親が、ついさっき・・・運び込まれた病院で、亡くなられたそうだ・・・」

当時、近所からは頭が良いと評判だった俺は、その言葉の意味を少し時間は必要としたが、理解した。理解できてしまった・・・

「ねぇ、嘘だよね?嘘なんだよね?そうでしょ?!お願いだから・・・嘘って言ってよ!!お願い、だから・・・お父さんとお母さんは、生きてるって言ってよ・・・嘘でも、いいから・・・」

涙を流しながら必死でおまわりさんに泣きついたが、現実は残酷だった・・・

「すまないが・・・本当だ
本来なら、君みたいな子供にこんな事はあっちゃいけない筈なんだ」

返ってきた言葉は、否定ではなく肯定。
残酷な現実をいくら否定しようとも、現実は変わらない・・・
支えを無くし、思わずその場に崩れ落ちる・・・

「何で?何でなの?父さん、母さん・・・何で僕のお父さんとお母さんなの!返してよ!!
ひ、ヒッグ、うぐ・・・うあああああぁぁぁあああああああああ〜!」

その場でうずくまり泣き叫んだ
ただ死んだ両親を思ってひたすらに泣いた
近所の人達が出て来てもひたすらに泣き続けた
事情を聞かれてもなにも答えずに泣いた
涙が枯れても血の涙を流して泣いた

しばらくしてようやく泣き終わった時には、おまわりさんに貸してもらったハンカチが真っ赤になっていた。

「君には、恐らく莫大な保険金が入るだろう。
手続きを手伝ってあげよう。
もちろんお礼はいらない」
「ありがとう、ございます」

その後、両親の葬式を行い、保険金を受け取るのにおまわりさんに手伝ってもらった。
百万ほどお礼を渡そうとしたが断られた。
「小さい子供からお金を受け取るなんて本官にはできません」と言われた

その後は、保険金を巡って親戚連中がいろいろ言って来たが、おまわりさんがちゃんとした弁護士を用意してくれたので、全部俺の金になった。
弁護士の人には、取り敢えず相場だという数十万円程度を報酬として渡しておいた。

それからというもの、おまわりさんが時々様子を見に来てくれる。良い人だと思う。

更に数ヶ月経った雪の降るある日の深夜。
眠っていると、玄関から話し声が聞こえてきたので起きることにした。

「おい、本当にこの家にセキュリティーとかは無いんだな?」
「その通り、この家には保険金をたんまり持ったガキがいるだけ・・・保険金を奪うときについでに殺せばいいさ。どうせ孤児だしな」
「・・・誰?」
「早速お出ましだ。坊主、悪いが死ねよ」

いきなり二人の内一人がナイフで切りつけてきたのであわてて避ける

「なんですかいきなり・・・」
「ッチ、黙って死ね!」

あわてて避けるが、左腕を切られた。痛いより熱い。

「いいぞやれやれ〜!」
「大人しくしてれば楽に死ねるぞ?」
「・・・いや」
「じゃあお望みどおりゆっくり殺してやるよ」

今度は手を狙った切りつけだったので、おまわりさんに教えてもらった合気道の要領で手を掴み、投げ飛ばす!
ナイフが落ちたのでそのまま拾うと、さっきの投げた方の人が新しいナイフを取り出して切りかかってきた

「もー殺す!ぶっ殺す!!」

あまりのことに驚いて咄嗟に手を突き出す。

ザク・・・

重い、肉を裂く感触があり、温くて紅い水が体を濡らした・・・

「・・・」
「ひ、ヒィイ〜!」

刺した方の強盗は、少し押すとすぐに倒れた・・・
そして、両親と同じように冷たくなっていく様を見て、自分が殺したのだと自覚し、動けなくなった・・・
次の日の朝、いつも通り身にきてくれたおまわりさんにいろいろと聞かれた。
事情を説明して、警察署につれていかれた。
血まみれの俺を見て驚いた職員が何人もいた。
署長さんには正当防衛だから罪にはならないと言われた。
マスコミがもう嗅ぎつけてきたとぼやいていたのを見た。
その後は・・・

意識が・・・

「知らない天井?」

むー・・・確か三途の川で説教されて、その後魂がどうこう言ってたあたりから記憶が無い・・・

「ようやく起きましたか」
「閻魔様?!何でここに!」
「ここは私の自室です。
あなたの魂が肉体から剥がれかけていたので運ばせてもらいました」
「御迷惑をおかけしました」
「かまいません。元はといえば私のせいです」
「そうは言っても・・・」
「気にしない事
それと、あなたの人生を覗かせてもらいました」

さっきの夢はそれの影響だったか・・・
嫌なもの見せやがって・・・

「どこまで見ました?」
「全てです」
「個人情報保護法というものを知ってますか?」
「それは人間が勝手に定めたものです」
「それもそうですね・・・」

釈迦に説法ならぬ、閻魔に法を説くだな。
全部ってのはやはり紫たちとのアレも見られたか?

「〜〜!」
「痛いです!叩かないで下さい!」
「不埒なことを考えないでください!」

しかし、改めてよく見ると・・・閻魔じゃなくって

(可愛い女の子にしか見え「ゲフゥ!!」

今度は全力で叩かれたようだ・・・

「不埒なことを考えるからです!!」
「だったら口に出しましょうか?」
「それもダメです!」

からかうのはこれ位にして、

「ここは彼岸でしょうか」
「その通りです!」
「俺死んだ。責任とるって言ったばっかなのに・・・まだ学生なのに・・・妖怪の山で挙式するって言ったのに・・・親の半分しか生きてないのに・・・」
「まだ死んでませんから安心しなさい」
「嘘じゃ無いよな?」
「閻魔が嘘をついてどうするんですか」

本物が言うと説得力・・・微妙・・・
元はといえばこの人のせいだし・・・

「ともかく、そろそろ帰らないと学校の休暇が終わりますよ?」

?おかしい・・・俺がこっちに来たのはゴールデンウィークの初日だったはず
「映姫様?俺何日寝てました?」
「四日です」
「どうやって帰ろう・・・」
「小町に送らせましょう」
「ありがとうございます」

お礼をいってすぐに立とうとする・・・

「フギャ!」

あれ?足が動かない?

「なんで?」
「魂が抜けかけいましたから。
時間がたてば動くようになる筈です」
「最初に言ってくださいよ」

歩けないなら飛べばいい。そういうわけで風の魔法で飛ぼうとする。

「キャ!」
「〜!!」

前より威力が上がってる?浮かぶの魔力しか使ってないはずなのに天井に頭が・・・
ついでに周りに風が吹き荒れて映姫さまのスカートが・・・

「死にかけたから霊力とかが上がったのか?」
「そうです。今のは言ってなかった私が悪かったですね」

そうか・・・魔力を抑えると、良い具合にうかんだな

「それじゃ、御迷惑をおかけしました」



主人公の昔を夢という形で紹介しました