15万PV突破記念として、黒羽家のお正月を書かせてもらいます
人と神様と年末と
「大掃除終わった~!」
「長かったの。
わらわのために手抜きをしなかったのは良い心掛けじゃ。
褒めてつかわす」
「ありがたき幸せ・・・時代劇の見すぎだ」
能力で掃除すればあっという間なんだが、それをするのは・・・ちょっと、なんと言うか年末の大掃除っていうのは一年の汚れを払う神聖な儀式みたいなものとして俺は捕らえている。
それを「能力で手抜きして~」なんてできるわけがない。
家にはきちんとした(?)神様もいることだし、なおさら手抜きをするわけにはいかない。
今年は例年よりも気合を入れて掃除して回った。
いつもなら一日で終わらせるところを、冬休みの空いた時間を使い、四日もかけてやった。
いつもならしない屋根裏もしたし、畳も全部新調した。屋根は認識阻害の結界を張り、空を飛びながら拭いて回った。
家は永遠亭とは似てもつかないが、武家屋敷に近い構造の、それなりに古い家だ。掃除のしがいがある。
「そういえば天、こんなものが物置にあったんだが、どんなものか分かるか?」
物置を漁っていると出てきた櫛を渡す。
なんだか持っていると癒されるような感じがしたが、俺は男なので身に着けるわけにも行かない。
今は紫たちもいないので、とりあえず座敷藁氏のかわりに居座っている神様に渡してみる
「ん~?それはー・・・なんというか。とりあえずくりゃれ?」
なんなんだ?
「ほら」
「うむ。なかなか良い代物じゃ。
結構な年数がたっておるし、見た目の優雅さも損なっておらん。
しかも持ち主を災厄から守る効果つき・・・
かなり優秀な者が作ったに違いないの」
「神様が言うほどだ。さぞすばらしい代物なんだろうな」
「しかしの、結構強力な呪いもついておるのが残念じゃのう・・・
そこらにあるものにも大体のものに呪いが付着しておる。
しかし、全てすばらしい代物じゃから、処分するのももったいないしの~・・・」
・・・前言撤回。厄介な代物に違いない。親父だかお袋だかご先祖様だか知らないが、厄介なものばかり残しやがって・・・
「よし!わらわが全て払っておこう!それで万事解決じゃ!」
「大丈夫なのか?力はまだ回復してないんだろう?」
「大丈夫じゃ。この前に行った、幻想郷だったかの?
あそこで人の悩みを聞いて回り、悩みを軽くしてやることで信仰も大分集まった!
これでも神の端くれじゃ。人間の呪い程度解けなくてどうする」
・・・あっちではそんなことしてたのか。どうりで見かけないと思った・・・
「ふぬ!ぬぅぅう~!ふん!」
ずいぶんと力んでいるようだが、そんなので呪いが解けるのか?
「・・・ぜ~~、ぜ~~~。
な、なんでじゃ~、なぜ解けぬのじゃ~
わらわは・・・これでも・・・神の・・・端くれじゃぞ~」
ぜんぜん解けていないようだ・・・神様でも解けない呪い・・・ご先祖様・・・なんて代物を集めてくれたんだ?
「俺が何とかする。天はお茶でも飲んでてくれ」
「わらわは神じゃ~なんでじゃ~」
「最高級の玉露だぞ?」
「よし、ありがたく頂いておこう!」
切り替え早!まぁいいや。
パチュリーのところから借りた本に呪いの解析についての魔道書があったはず・・・
「え~っと、このページだな。『日本の呪いには、恐ろしいほどの効力を持った呪いが存在する。その中で最も代表的なのが、人の憎悪、怨念などの感情を使用した呪いがある。かなり基本的なことでもあるが、それゆえに効果も大きい
このタイプの呪いは、込めた感情が深ければ深いほど効果を増す』ふ~ん・・・」
よほどの感情を込めたか・・・浄化しよう
そう思って手に取った瞬間
「と~や?」
ものすごく甘ったるい声で背後から声が・・・
「好き!」
回避!
「きゃ!」
「いきなり何をする」
「何って、ナニを?」
・・・なになに・・・このタイプの呪いは、恋愛感情が最も効果が大きく、解呪しようとした相手にはこれが一番厄介である。解呪に失敗した場合、込められた感情に飲まれる。
「ッてことは・・・込められた感情は恋愛感情?スキマ!ヘルプ!」
一縷の望みに掛けてみる・・・が、応答無し
「好き~!」
「仕方ない・・・一番使いたくない方法だが・・・コメディ『金ダライ』」
カウンターとして、(なぜか)視界の隅に落ちていた水入り金ダライの結果を『天の頭上にある』と上書き。さらに『当たった』という結果を作る
当然床は水浸しで、天は・・・
「きゅ~・・・」
さすがコメディの王道・・・効果は抜群だ・・・
「さてと、解呪作業に移りますか」
能力で全部結果を上書きする
「『呪いはかかっていない』これで良し。天、起きろ!」
「う~、頭がいたいのじゃ~・・・何があったのじゃ~?」
「呪いに飲まれていたから直しただけ。お茶菓子も冷蔵庫にあるから、食べていいぞ」
「わかったのじゃ~」
さて、この雑貨の数々は・・・こーりんにでも高く売りつけるか?
いや、魔法使いに売りつけるのも・・・
人形もあるからこれはアリスさんにと・・・
「藁人形に、雛人形、フランス人形・・・アリスさんにあげるか」
食器、白玉楼に持っていこう。
酒・・・なんで?
「えっと、・・・60年物のヴィンテージワインがなんでここに?売ったらいくらになるんだろう・・・レミリアにあげれば喜びそうだ」
懐中時計
「咲夜にあげよう。どッからどう見ても高級品だし、クリスマスに何もあげてなかったからな」
歴史書
「いらね」
アルバム
「感傷に浸るにはまだ早い。それに開いたら泣きそうだ」
家計図
「後回し」
家の隠し部屋の場所を記した地図
「面白そうだが、後にしよう」
幻想郷縁起
「なんでこんなものが家に・・・誰か幻想入りしたのか?」
「もらっていくわ」
「紫か。ぜひそうしてくれ。家にあってもどうしようもない」
よく分からないが、なにやら怪しいオーラを放つ仮面
「・・・ティンダロスの猟犬?ゴミに出せば誰かが拾いそうだ・・・普通の魔法使いにでも渡そう」
ネクロノミコン?
「パチュリーに渡そう。喜んでくれるといいが・・・てかご先祖様むちゃくちゃ」
門番の心得
「美鈴さんにも見習ってほしいものだ」
ハリセン
「つっこみ専用?」
解呪し忘れた琥珀のかんざし
「・・・輝夜にでも渡すか・・・いい相手見つければいいんだが」
ソロモン72柱の召喚陣
「本物だとしても使う気にならん。小悪魔さんにでもあげるか」
薬草大全。組合せ編
「永琳さんにあげよう・・・必要ないかな?」
バイキングがかぶってそうな帽子
「・・・慧音さんに・・・いや、頭突きの威力が増加しそうだ・・・こっちの昔の教科書にしよう」
イタズラ全書
「てゐにぴったりだな」
キャノンP 50㎜f1.8
「古!!天狗にでもやるか・・・外で売っても使う人はいないだろう」
銘の無い刀
「みょんなオーラを感じる・・・辻斬り少女にでも、いや、でもこんなきれいな刀・・・あいつは自分の持ってるし・・・
俺が使おうかな?」
銘は無くともかなりの業物には違いない。こんな神々しいオーラを放つほどだしな
精霊とか剣の精とか宿ってないよな?
「おめでとーございま~す!!!あなたはめでたく妖刀の100人目の犠牲者となりまーす!」
「おふざけはやめろ。折るぞ?」
「すみません」
「で、お前はなんなの?この刀の精か?」
「うう~その通りですからその銃口を下ろしてくださいよ~」
「だが断る。良い言葉だよな。『銃は剣よりも強し』ところでお前、妖刀じゃないだろ?」
「・・・良くぞ見抜きました!「うっさい折るぞ。その刀の事を聞いているんだ。さっさとしゃべれ」・・・この刀は神刀の一種です~。なのに盗み出されてそのまま使われなくて倉庫に眠ってたところをたたき起こされてたったの10銭で買われたんですよ~」
「そうか、それはいいから刀の銘は?」
「十束乃剣」
「・・・嘘をつくな」
「天叢雲剣」
「折るぞ?」
「ホントですってばー!!!」
「天叢雲剣は熱田神社に奉納されているはずだ。なのになぜそれがこんな所にある」
「盗み出されたんですよ!百年ほど前に!」
「それで?天。こいつの言ってる事は本当か?」
「そのようじゃの『盗み出されて使われないこと』が悩みのようじゃ」
「ふーん。『戻れ』」「ヒド!」
さて、片付けの続きをしよう
琥珀のかんざし
「琥珀の石言葉は『社交性』『人間関係』だったな。輝夜にちょうど良いかな」
ラピスラズリのブレスレット
「青紫だから、紫にあげよう」
「大体片付いたな」
「わらわはこ櫛が良いのじゃ。くれるな?」
「それは~・・・良いだろう。それだけじゃなく、他のも持っていってくれてもいいぞ」
「これだけで良いのじゃ」
「ふむ・・・それだけで良いならまぁ何も言わない」
年が明けるまで、あと数日・・・
「あ、買い物してない」
「急ぐのじゃ!年末セールで売り切れるぞ!急ぐのじゃーー!!」
「たしかにそうだ」
あの主婦の群れは幻想郷の妖怪たちよりも恐ろしい・・・特にセール品などを狙っているときに飛び込めば、無事でいられる補償はない。
圧倒的な人の波に押しつぶされれば、目的のものには絶対にたどり着けない。
あそこは、まさに戦場と呼ぶにふさわしいだろう
「それじゃ、商店街まで行ってくる。着いて来るか?」
「もちろんじゃ!」
神様と人間は雪の降り積もる中を急いで走っていきました・・・
主人公の家の物置は呪いの倉庫。
人外未踏の魔境です。
呪いの渦で、入ったら(普通の)二度と人間は出てこれません。
ですが魅力的なアイテムはいっぱいです。
普通の魔法使いにすれば、宝の山です