政治

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

迂回献金:樽床氏に疑惑 疑惑の会社、取締役に元秘書 リサイクル工場開設に深く関与

 民主党の樽床伸二衆院議員側への「迂回(うかい)献金」の疑いが浮上した。05年8月、物流会社「ワールド・ロジ」(大阪市、ワ社)会長(当時社長)からの上限2000万円寄付と同じ時期に行われた、関係2社による計1500万円の寄付。当時、ワ社子会社の進めるリサイクル工場に対して環境被害を訴える住民から反対運動が起きていた。工場操業の責任者の1人は、現在、ワ社の代表取締役専務で、当時子会社役員を務めていた樽床氏の元公設秘書だった。【杉本修作、前谷宏】

 ワ社は03年にリサイクル事業を行う100%子会社「リサイクル・アンド・イコール」(大阪府寝屋川市、リ社)を設立。同社所在地にリサイクル工場を建設して04年8月に完成、05年4月から試験操業を始めた。工場では廃プラスチックを加工し、物流コンテナなどの土台になる「パレット」を製造。信用調査会社によると、09年は17億6700万円を売り上げた。02年にワ社に入社した樽床氏の元公設秘書は03年に一時期、リ社の取締役も務め、地元対策などの責任者として工場操業に深く関与したという。

 工場の道路向かい側では北河内4市(寝屋川、枚方、交野、四條畷)が住民から回収した廃プラを圧縮梱包(こんぽう)し、リサイクルの原料となる「マテリアル」を製造する公共施設「北河内4市リサイクルプラザ」の建設計画も同時進行していた。同プラザは08年2月に操業され、マテリアルは公益財団法人「日本容器包装リサイクル協会」(東京都港区)が認定する民間業者を対象に入札にかけられ引き取られるが、これまでリ社がすべて落札。それがパレットの原料になった。

 リ社元役員は「入札参加の認定を得るため樽床氏に相談に乗ってもらったことはあったと思う」と証言した。

 また、同プラザは05年度に環境省から約9億円の交付金を得て建設する計画だったが、住民運動の影響などで交付金の決定が年度末までずれ込んだ。4市の複数の関係者は「決定がおりず、気をもんでいた。国の情報などで樽床先生に協力をいただいた」と話している。

 この2施設を巡り、周辺住民らは大気汚染の懸念があるとして04年に建設反対の8万人分の署名を集めて寝屋川市に提出。05年には実際に有害物質が排出されているとして操業差し止めなどを求めて大阪地裁に提訴した。湿疹(しっしん)や体の痛みなどの健康被害が出ていると訴え、1審は敗訴したが、現在も大阪高裁で争われている。

 ワ社は、樽床氏が代表を務める民主党大阪府第12区総支部に対し、01年に600万円、02年464万円、03年640万円を寄付し、04年には自動車無償提供として84万円、05年には同63万円を支出。会長は00~04年に各10万~550万円を寄付したが、05年の2000万円は突出していた。また、2社の寄付は05年の1回限りだった。

 リ社の社長は樽床氏との関係について「特段ない」とし、樽床氏の事務所は「(入札参加の認定を得るための)相談は受けていない。(交付金の決定を巡り)具体的な情報の提供を行ったことはない」と文書で回答した。

毎日新聞 2010年9月27日 東京朝刊

PR情報

政治 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド