中国遺棄化学兵器処理に関する廃棄事業開始行事の実施について
1.背景
平成22年9月1日(水)、中華人民共和国南京市郊外で、日本政府を代表し平岡秀夫内閣府副大臣が出席して、日中両国政府の国民、OPCW(化学兵器禁止機関)、国際社会に向かって、遺棄化学兵器廃棄処理事業が日中両国の永年の努力を経て、開始されるというメッセージを発することを目的として、遺棄化学兵器の廃棄事業開始行事を実施した。
2.参加者
1) 日本側代表 平岡秀夫内閣府副大臣 2) 中国側代表 張志軍外交部副部長 3) OPCW代表 クリストフ・パトレイ特別プロジェクト室長
3.行事概要
廃棄事業開始行事において、平岡副大臣は、中国における遺棄化学兵器の廃棄事業の開始を宣言した上で、日本政府が廃棄事業を加速化するため努力をしている旨を述べるとともに、遺棄化学兵器処理事業の推進に対する中国側の協力及びOPCWの支援に感謝の意を表した(※)。張副部長は、中国側は引き続き廃棄事業に積極的な協力を行っていく旨を表明した。
(※)平岡秀夫内閣府副大臣挨拶
皆様おはようございます。 私は、日本政府内で遺棄化学兵器処理事業を担当する内閣府の副大臣平岡秀夫でございます。 日本政府を代表して、皆様に御挨拶させていただきます。本日の廃棄事業の開始行事には、御来賓として、中国側から外交部副部長の張志軍様またOPCWからは特別プロジェクト部長クリストフ・パトレイ様に御参加いただいております。厚く御礼申し上げます。 日本政府は、1997年に発効した化学兵器禁止条約及び日中両政府間の覚書に基づき、中国における遺棄化学兵器処理事業を誠実に進めてきており、これまで中国各地において遺棄化学兵器を発掘・回収してまいりました。 今般、遺棄化学兵器の廃棄事業を、ここ南京で開始することは、遺棄化学兵器処理事業が発掘・回収から廃棄という新たな段階を迎えたことを意味するものであり、日中両国にとって極めて意義深いものであるとともに、日中両国関係者の永年の努力の賜であります。 さらに、日本政府は、先月、廃棄処理事業を加速化するために中国北部に導入する廃棄処理設備の設計・製作を開始しました。また、大量の遺棄化学兵器が存在するハルバ嶺においても本格的な発掘・回収に向けた準備を粛々と進めるとともに、試験廃棄処理設備の設計・製作を開始しております。 遺棄化学兵器処理事業がこれまで困難な状況においても堅実に進められてきたのも、日中関係者の努力やOPCW事務局の御理解の賜であります。この場をお借りして、関係者の皆様に感謝と御礼を申し上げるとともに、引き続きこれまで以上の御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。
4.参考
○ | 我が国は、化学兵器禁止条約(1997年4月発効)に基づき、また、日中両政府間の中国における日本の遺棄化学兵器の廃棄に関する覚書(1999年7月)を踏まえて、2000年9月以降、中国各地において、旧日本軍の遺棄化学兵器の発掘・回収作業を実施。 |
○ | 現在までに、中国各地から約4.8万発の遺棄化学兵器を発掘・回収し、保管。 |
○ | 2007年4月の日中首脳会談において、廃棄プロセスを加速化するため、移動式処理設備を導入して処理を行うことが確認され、2008年4月の日中外相会談において、最初の処理地を南京市とすることについて確認が行われ、南京市において廃棄事業のための施設設置が完了したことから、この度の廃棄事業の開始につながった。 |
○ | 9月1日の廃棄事業開始行事終了後、廃棄施設の試運転を行い、運転の安全等が確認され次第、速やかに正式な廃棄作業を実施予定。 |
○ | 廃棄事業を加速するため、中国北部(河北省石家荘等)に導入する移動式処理設備についても既に設計・製作を開始。また、30万発〜40万発と推定される大量の遺棄化学兵器が存在しているとされる吉林省ハルバ嶺においても、本格的な発掘・回収に向けた準備を進めるとともに試験廃棄処理設備の設計・製作を開始。 |
 
廃棄事業開始行事の模様について
 廃棄事業開始行事の会場
 廃棄事業開始行事で、挨拶を行う平岡秀夫内閣府副大臣
 開始行事後、廃棄施設内を視察
 遺棄化学兵器の廃棄処理を行う爆破チャンバー
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