人気子役も「奴隷契約」、私生活まで管理
成人した芸能人だけでなく有名人気子役も、芸能プロダクション側に絶対有利な、いわゆる「奴隷契約」を強いられていたことが裁判の過程で明らかになった。
童謡大会で何度も入賞し、有名ミュージカルにメーンキャストとして多数出演していた人気子役Aさんは、12歳だった2008年7月、子役専門の芸能プロダクションを経営するB氏と5年間の専属契約を結んだ。
B氏を「甲」、Aさんを「乙」とした契約書は、「乙はあらゆる芸能活動に対する独占的マネジメントの権限を甲に付与する」という条項で始まり、「甲」に一方的に有利な内容になっている。
これによると、「乙は甲の書面による事前承諾なしに、自ら、あるいは第三者を通じて出演交渉をするなど、いかなる芸能活動も行うことはできない」(第6条第1項)、「乙は自らのあらゆる芸能活動に関し、事前に甲と相談しなければならない」(第9条第2項)、「乙が第三者から直接、芸能活動などを要請された場合、第三者に甲の同意が必要だという事実を知らせ、速やかに甲に知らせなければならない」(第9条第4項)といった条項を通じ、Aさんのマネジメントを行っていた。
さらに、「乙は自身の居場所について甲に知らせなければならず、いかなる時も甲と連絡可能な状況にしておかなければならない」(第5条第3項)など、マネージャーがAさんの私生活を徹底的に管理・干渉できるようにした。
また契約上、「芸能活動領域には俳優・声優・テレビタレント・司会者・ミュージシャンなど、活動メディアにはファッションショー・コンサート・演劇・ミュージカルなどが含まれる」としながらも、「これに限定しない」というただし書きを付けた。要するに、マネージャーが要求すれば、ほかのイベントにいつでも出演せざるを得ないというわけだ。
Aさんが芸能活動で得る収入も、ひとまずB氏が管理する通帳に振り込まれるようにし、その後にAさん側の取り分を渡した。さらに、契約違反事項が発生した場合、責任のある側が相手に5000万ウォン(約367万円)を支払うとする条項まである。
Aさんは B氏のマネジメントにより、09年4月まで地上波テレビ局の乳幼児向け番組で司会・進行役を務めていたが、昨年5月にB氏の承諾がないまま、ソウル市主催の市民イベントに出演したことをめぐり、法廷闘争に発展した。B氏が契約解除を通告し、Aさんとその母親を相手取り、訴訟を起こしたのだ。
B氏は、当初の契約通りに5年間、契約が正常に実行されていた場合、B氏の取り分として得られる収入に、慰謝料などを合わせ、約3億1000万ウォン(約2280万円)を弁償するよう求めている。
1年以上にわたってこの訴訟を審理してきたソウル中央地方裁判所民事第24部(キム・ソンゴン裁判長)は、何度も調停を重ねてきたが不発に終わったため、Aさん側が契約条項に一部違反したとして2500万ウォン(約184万円)の支払いを命じた。だが、B氏の主張はほぼすべて棄却された。同地裁の関係者は「判決金2500万ウォンは、問題について認識していながら契約を交わしたAさんの両親の責任を問うもの」と説明した。
公正取引委員会の当局者は「Aさんの契約内容のうち、自身の居場所をマネージャーに知らせるとした条項は、代表的な私生活侵害に当たる。必要ならばAさんの契約に関する調査に乗り出す」としている。
鄭智燮(チョン・ジソプ)記者