弁護士や精神科医などからなる「貧困・多重債務・自殺予防ネットワーク香川」が、高松市林町のサンメッセ高松で、ギャンブル依存と自殺予防をテーマにした研修会を開いた。相談員や法曹関係者ら約70人が集まり、ギャンブル依存の経験者や家族の体験談、専門家の話を聞いた。【吉田卓矢】
研修会では、ギャンブル依存症からの回復や家族援助などに詳しい大谷大文学部の滝口直子教授が講演。オーストラリアやカナダ、香港などの調査から、ギャンブル依存の人が自殺のハイリスクグループに入ることを指摘。その上で、ギャンブル依存の人との接し方などを話した。
大谷教授は「『変わることを促す』ことと、『受け入れる』ことのバランスが重要」と指摘。ただ「変わることは『あなたは悪い』、受け入れることは『今のままでいい』という誤ったメッセージを伝える可能性もあり、非常にバランスは難しい」とした。その上で「まず、受け入れることをしなければ、本人が変わることを促せない」などと話した。
また、ギャンブル依存症の経験者や家族も体験談を話した。
香川県内の40代男性は、パチンコなどにはまって消費者金融からの借金を繰り返し、飛び降り自殺をしようと、ビルまで行った経験などを話した。その後、妻が持っていた新聞記事で紹介されていたギャンブル依存症からの回復を目指す自助グループ「GAハッピー高松グループ」に参加し、立ち直り、借金も来夏までに完済できるめどが立ち、妻からの信頼も少しずつ回復しつつある現状を話した。
毎日新聞 2010年9月25日 地方版