2010年9月27日10時58分
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経営難に陥っている消費者金融大手の武富士(本社・東京都新宿区)が東京地裁に会社更生法の適用申請を検討していることが27日分かった。顧客から取り過ぎていた「過払い利息」の返還が重荷となって資金繰りが厳しくなったため、自力再建を断念し、法的整理で再建する必要があると判断しているとみられる。
武富士首脳は27日朝、更生法申請について「そういうことにはまだなっていない」と述べた。申請すれば、消費者金融会社が生まれた1960年代以降、大手の経営破綻(はたん)は初めて。武富士は2010年4〜6月期決算で、借入金などの帳簿上の負債が4046億円。破綻すれば、株式を上場している東京証券取引所第1部とロンドン証券取引所は上場廃止となる。
更生法申請後も武富士は営業を続ける見通し。ただ、09年11月以降、新規や追加の貸し付けをほぼ停止しているため、返済を受ける業務が中心となる。無担保ローンの口座数は今年6月末時点で約97万件。顧客は契約通り返済を続ける必要がある。
一方、過払い利息がある顧客は武富士に対する「債権者」になり、払い過ぎていた利息を返してもらう権利がある。ただ、破綻の場合は、裁判所が指名する更生管財人が、武富士の資産を査定し、債権者への返済に充てる金額を決める。資産が大きく目減りしている恐れがあるため、過払い利息の返還額は大幅にカットされる可能性が高い。
武富士は02年3月期まで消費者金融最大手。しかし、03年、創業者で当時会長だった故武井保雄氏が、批判的な記事を書いたジャーナリストらの電話を盗聴した事件で逮捕(04年に有罪確定)されて社会的な信用を失い、貸し出しが伸び悩んだ。