清水−名古屋 後半26分、ハットトリックとなる直接FKを決める玉田=アウスタで
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赤く染まったゴール裏へ左手を高々と掲げた。その指が誇らしげに「3」を示していた。6年ぶりのハットトリックでゴール数を「10」の大台に乗せた名古屋の玉田は「残り何試合? 10点で止まるつもりはないし、1点でも多く決めたい」と胸を張った。
まずは1点を追う後半5分、高めの浮き球に体をひねって技ありの同点左足ボレー。2−1で迎えた同17分にもマギヌンのパスから抜けだし、左足でGKの脇を射抜いた。最後も左足。同26分、ゴール正面で得た約25メートルの直接FK。「コースはよくなかったけど、勢いで入ってくれた」という弾道が7枚の壁を越え、右ポストをたたいてネットを揺らした。
実はFK直前、ダニルソンをキッカーに指名したストイコビッチ監督に対し、闘莉王が玉田にけらせるよう進言していた。期待と信頼に応える一撃だった。試合後のミックスゾーン、その指揮官からサインをねだるしぐさとともに「ヒーロー。アリガトウゴザイマス」と感謝された。
7月24日の清水戦でも2得点。しかし、この時はPK失敗でハットトリックを逃し、チームも勝利を逃した。「だからこそ、きょうがある」。13得点のケネディとのチームメート同士の得点王争いも現実味を帯びてきた。求める理想は果てしなく高い。ストライカーの誇りと、フォアザチームの精神をともに追い求めながら、初戴冠へチームをけん引する。 (塚田陽一郎)
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