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【プロ野球】

杉内完封 ソフトバンクM1

2010年9月26日 紙面から

 パ・リーグはソフトバンクが日本ハムに勝ち、優勝へのマジックナンバーを1とした。西武が楽天を破り、2位以上でのクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。26日にソフトバンクが楽天を破るか、西武が日本ハムに敗れると、ソフトバンクの7年ぶり優勝が決まる。両チームとも引き分けでも、ソフトバンクの優勝が決定するが、それ以外は29日の西武の最終戦まで持ち越される。

◆ソフトバンク1−0日本ハム

 感極まった。試合直後のヒーローインタビュー。淡々と話していたソフトバンク・杉内の顔が突如としてゆがんだ。「ここ4試合、ふがいない投球だったから…」と言ったきり、声が出ない。熱いものが両目からあふれ出た。極度の緊張感から解放されたエースが、しばしの沈黙を経て続く言葉を絞り出した。「…これがラスト登板。悔いがないように投げました」。充実感が全身を貫いた。

 男を見せた。エースに秋山監督も試合を預けた。「本当にいい投球をしてくれた。継投? あそこは杉内に任せるしかないよ」と脱帽。デーゲームで西武が勝ち、負ければ相手に優勝の“逆マジック2”が点灯する一戦。しかも相手先発はダルビッシュ。精神的に張り詰めた状態で臨んだ敵地での一戦で、シーズン最終盤にきて変調をきたしていたエースが、この大一番で本来の姿を取り戻した。

 最近4試合、防御率9・58。腕の振りが本来よりも横振りになっていた。直球はキレを失い、変化球の軌道が微妙に変わっていた。普段は「抑えても打たれても自分の映像は見ない。いろいろ考えてしまうから。その日の投球フォームで投げたい」という男が珍しく資料室にこもった。18日の西武戦の投球をコーチ陣と確認。軸足に乗せた体重をスムーズに移動させ、腕を振れるよう修正点を確認した。

 力投に応えるように7回、打線が川崎の適時打で1点をもぎとると、力強くガッツポーズ。9回1死一、二塁のピンチも糸井を二ゴロ併殺に打ち取った。5安打完封勝ち。マウンドに駆け寄った主将の小久保とガッチリ抱き合うと、その場にナインがなだれ込んだ。「(地元の)ファンに2連勝して来ると約束した。明日も勝って優勝します」。マジック1で迎えた2003年のロッテ戦は4回途中で6失点KOされ、ベンチで号泣した。だが、この日の涙はエースの気概が結晶と化した。エースでもぎ取ったピカピカの白星でついにマジック「1」。26日、秋山監督が仙台の夜空を見上げて宙に舞う。 (山根崇)

 

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