「WBA世界フライ級タイトルマッチ」(25日、東京ビッグサイト)
世紀の因縁対決に新たな『因縁』がぼっ発した。タイトル戦の調印式と計量が24日、東京・後楽園ホールで行われ、調印式の席上、協栄ジムの金平桂一郎会長(44)が、亀田陣営に強烈な“先制口撃”を仕掛けた。23日夜に亀田ジムの元会長の五十嵐紀行氏(36)が、立会人のアラン・キム氏(69)と接触したことを指摘。結局、五十嵐氏の行動は不問となったが、金平会長の口撃はルールミーティングにまで及び“場外バトル”を引きずったまま大一番を迎える。計量は大毅、坂田ともにリミットいっぱいの50・8キロで一発パス。
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調印式の冒頭のあいさつで、金平会長がいきなり切り出した。「吉井会長(亀田ジム)にお聞きしたいことがあります。昨日、五十嵐元会長が東京ドームホテルでアラン・キム氏と会ったと聞いています。それは吉井会長の指示ですか」。突然の追及に壇上の吉井会長は驚きを隠せず「初耳です」と答えるのが精いっぱいだった。
発端は23日午後7時過ぎのこと。五十嵐氏がメキシコ人トレーナーを宿泊するホテルに案内したところ、宿泊していたキム氏とロビーで対面した。昨年10月の大毅の世界戦でキム氏が立会人だった関係で、両者に面識があり、あいさつを交わした。時間にして1分足らずだったという。
この状況をホテルに居合わせた協栄ジムのマネジャーが目撃し、金平会長に報告。「このような注目される試合ですから警鐘を鳴らすため」と、あえて会見で追及したという金平会長は、同席した日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛事務局長に意見を求める徹底ぶりだった。
安河内事務局長は会見では「ヒアリングをしてから。今は試合の方に集中させて下さい」とやんわりかわし、会見後にキム氏から事情説明を受けた。その上で「疑惑というほどでもない。亀田ジムから一応、説明を聞きますが今のところ特に問題視していない」と冷静に対処した。
調印式後のルールミーティングでも金平会長の“口撃”は続く。今年2月に大毅が王座奪取した画像をパソコンでレフェリーとジャッジに見せ、大毅にレスリング行為があった場合、厳しく取り締まるよう進言。07年の内藤戦をイメージしているようだったが、2月の試合では反則も、注意もなかっただけに、過剰とも言える追及だった。
後方から金平会長の言動を見ていた兄・興毅は「会見で言うことちゃうやろ」とあきれた様子で吐き捨てた。一方“主役”の大毅は、敵の陽動作戦もどこ吹く風といった様子で「ここか(ここで来たか)っていう感じやった。何にも気にならんよ」と笑顔を見せた。
この1週間、ほぼ絶食状態で苦しかった減量をクリア。「ホッとしてる。あしたは感動させる試合をする」と、日本選手対決への意気込みを口にした。