ホーム > リング > リング最新紙面記事

坂田引退か…壮絶血染めの完敗

 5回、こん身の右ストレートを亀田大毅にかわされる坂田健史(右)
 5回、こん身の右ストレートを亀田大毅にかわされる坂田健史(右)

 「デイリー後援・WBA世界フライ級タイトルマッチ」(25日、東京ビッグサイト東4ホール)

 王者・亀田大毅(21)=亀田=が、挑戦者・坂田健史(30)=協栄=に3‐0の判定で勝ち初防衛に成功した。

  ◇  ◇

 血染めの坂田が壮絶に散った。「最後のつもりで戦う」‐。ボクサー人生をかけた大一番。左右の目の上をカットし、流血で真っ赤に染まった坂田の顔面は、余裕を見せる9歳下の大毅とは対照的に、硬くこわばっていた。身上のスタミナで期待された終盤の反撃もなく、逆に失速して最大8ポイント差の判定完敗。「一生懸命にやったが…。応援してくれた人を裏切って申し訳ない」と言葉を絞り出した。

 3回、偶然のバッティングで右目上をカットした。流血が止まらず、2分過ぎには大毅の左フックでよろめいた。9回、大毅の右フックで今度は左目上をカット。滴り落ちる鮮血にまばたきし、“赤い視界”に浮かぶ強敵と戦った。リングサイドには10月で1歳となる長女・夕空ちゃんを抱いた妻・志江さんがいた。家族のためにも負けられない。歯を食いしばって立ち続けたが、状況を打開する力はなかった。

 大竹重幸トレーナは「(亀田陣営に)研究されていた。坂田の持ち味を殺された」と敗因を分析。金平会長は「いつもの回転力がなかった。連打が出ず、単発だった」と、本来の坂田とは違う“異変”を指摘した。

 限界なのか‐。進退をかけた試合に敗れたことで、『引退』の2文字が浮上する。坂田は今後について「考えたいと思います」と明言を避けた。金平会長も「本人が決めること。まずは休ませて、それから考える」とした。客席からは「次、頑張れ!」と現役続行を望む声も。坂田は「本当にありがたい。声援のおかげで最後まで戦えた。毎日の練習にも耐えられる」。ファンの思いもくみながら、今後の人生を熟考することになりそうだ。

(2010年9月25日)





Copyright(C) 2010 デイリースポーツ/神戸新聞社 All Rights Reserved.
ホームページに掲載の記事、写真などの無断転載、加工しての使用などは一切禁止します。ご注意下さい。
当サイトは「Microsoft Internet Explorer 4.x」「Netscape Navigator/Communicator 6.x」以上を推奨しています
Email : dsmaster@daily.co.jp