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大毅V1!年末「亀田祭り」でV2戦

 12回、亀田大毅(左)の左フックが坂田健史の顔面にヒット(撮影・棚橋慶太)
 12回、亀田大毅(左)の左フックが坂田健史の顔面にヒット(撮影・棚橋慶太)

 「デイリー後援・WBA世界フライ級タイトルマッチ」(25日、東京ビッグサイト東4ホール)

 王者・亀田大毅(21)=亀田=が、挑戦者・坂田健史(30)=協栄=に3‐0の判定で勝ち初防衛に成功した。鋭い左ジャブで序盤からペースを握り、中盤から終盤にかけて坂田のお株を奪うボディー攻撃で足を止め一方的な展開となった。ダウンシーンはなかったが、最大8ポイント差がつく明確な勝利で因縁の対決を制した。V2戦は年末に計画しており、3兄弟初のそろい踏みとなる「亀田祭り」でV2戦に臨む。また世界王座返り咲きに失敗した坂田は進退に関して明言を避けた。

  ◇  ◇

 パワーの差は歴然だった。ガードを下げたままのスタイルから繰り出す左ジャブで、坂田の前進を食い止めた。いきなりの左フック、右ストレートを変幻自在に決めた。スタミナは終盤になっても落ちることはなく、終盤に強い坂田を後退させた。最終12回には勝利を確信したかのように何度も両腕を突き上げた。

 2月の王座奪取からしばらくの間、練習から遠のいていた。世界王者となり、「ボクシングをやめたい」という気持ちが頭をもたげてきた。日を追うごとに気持ちは切実となった。このまま王座を防衛していく自信がなかった。「俺がこのままボクシングをしていたら亀田家の恥になる」。王者としての「責任感」に押しつぶされそうだった。

 そんな大毅の心の扉を開けたのは興毅だった。興毅は今年3月にWBC世界フライ級暫定王者ポンサクレック(タイ)との王座統一戦で敗れ、亀田家の世界王者は大毅一人となった。全身に重圧がのしかかる大毅に興毅は言った。「おまえの人生やからおまえらしく生きろ」。大毅はこの一言で目が覚めたという。

 減量は過酷を極めた。体重は最大で62キロまで増え、1週間で9キロの減量を強いられた。計量までの1週間で口にした食物はホウレン草のみで、飲み物もほとんどとれなかった。フライ級ではすでに限界に達しているが、今年いっぱいはフライ級で通す。年末に計画している3兄弟そろい踏みの「亀田祭り」がV2戦の舞台となりそうだ。

 「結果には満足している。世界を4度防衛した強いチャンピオンに勝ててうれしい。途中、いいパンチを当てたけど前に出てきてくれた。最後まで打ち合ってくれたのでうれしかった。でもこの内容だったら家に帰ったらオヤジに怒られる」と苦笑いで振り返った。

 試合後、リング上で坂田に歩み寄り耳元で「ありがとうございました。お疲れさま」とささやいた。ジム離脱、ファイトマネー未払い問題と、これまで亀田家と協栄ジムとの間にさまざまな「因縁」があったが、リング上で明白に決着がつき、ようやく終止符が打たれた。

(2010年9月25日)





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