「大相撲秋場所14日目」(25日、両国国技館)
横綱白鵬が、自身初の4連覇を決めた。大関琴欧洲を寄り切り、初日から14連勝。2敗だった平幕の嘉風と豪風がともに敗れたため、結びの一番を前に16度目の優勝は決まっていたが、きっちりと白星で飾った。これで初場所14日目から続く連勝記録を「61」とし、千秋楽に昭和以降最多タイとなる8度目の全勝優勝を目指す。大関魁皇は小結稀勢の里を寄り切って勝ち越し、13度目のかど番を脱出した。
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横綱の強さだけが際立った。鋭い踏み込みから一気に琴欧洲を土俵際まで追い立てる。一度は残されたが、攻め手を緩めず上手投げから掛け投げで圧倒。大関を全く寄せつけず、白鵬が一方的な内容で寄り切った。
優勝の瞬間は支度部屋で迎えた。2敗だった嘉風と豪風が3敗目を喫した一番は、テレビ観戦で見届けた。本人は「ちょっとホッとした部分があって、勝負に対する甘さが出た」と言うが、圧巻の相撲で16度目の優勝に61連勝の花を添えた。
自身初の4場所連続優勝に、「前回、前々回は3連覇。今回は4連覇ということで達成感がある」と喜びをかみしめた。「優勝と連勝の両方を意識することで、自分を集中させてくれた。いい刺激を受けながら頑張りたい」。連勝記録に大きな注目が集まった今場所を振り返り、充実の笑みを浮かべた。
母国モンゴルでは、一段と祝福ムードが高まっている。政府はすでに最高勲章にあたる「チンギス・ハーン勲章」授与を検討しているが、11月にエルベクドルジ大統領が来日する計画まで浮上した。モンゴルの国会議員で元小結旭鷲山のダヴァー・バトバヤル氏によると、九州場所(11月14日初日、福岡国際センター)を訪れ、白鵬に勲章を贈るつもりだという。
同氏は「日程は調整しないといけないが、行けるなら(11月)22日がいい。記録を過ぎているだろうから」と話す。順調なら九州場所7日目の20日に、双葉山の69連勝に並ぶ。期待は高まるばかりだが、「まだ一番ある」と千秋楽へ気を引き締め直した。勝てば4場所連続8度目の全勝優勝で、双葉山、大鵬に並ぶ最多回数となる。「あこがれの先輩に並びたい気持ちがある」と、まずは目前の一勝に全力を注ぐ。
取組後はハリウッドスターのシルベスター・スタローンと対面し、「意外とちっちゃいんだね」と笑顔。気を休める暇もない横綱に、一服の清涼剤となったようだ。