日本が尖閣列島（中国名・釣魚島）を侵犯したという理由で拘束した中国漁船の船長を２４日に釈放することを決めた。日中関係を崖っぷちに追い込んだ尖閣列島の領有権争いで、日本が事実上「降参宣言」したわけだ。

尖閣列島が属する沖縄県の那覇地方検察庁は同日、日本海上保安庁の巡視船に衝突して逃げた容疑（公務執行妨害）で今月７日に拘束した中国漁船の船長・�･其雄容疑者に対して、「処分保留」のまま釈放することを決めた。�･容疑者は近く釈放され、中国に送還される予定だ。

検察は、釈放理由について、「日本国民に及ぼす影響や日中関係を考慮し、船長を継続して拘束捜査することは適切でないと判断した」と説明した。政治的な理由のために釈放する点を明確にしたのだ。

これで、日中の外交分野を越え経済文化などの両国の関係全般に広がった「外交戦争」は、ひとまず鎮静化するものとみえる。しかし、今回の事態の進展過程で、日本が中国の無差別的な実力行使に耐えられず両手を上げたという点で、今後の両国関係に少なからぬ影響を及ぼすものとみえる。世界最大の人口大国である中国が、巨大な市場と戦略資源を武器に全方位で圧力を加えれば、耐えられる国は多くないという点を如実に見せつけたためだ。両国の国民感情にもかなりの溝ができた。

日本は７日、中国と台湾、日本が互いに領有権を主張する尖閣列島の近海で中国漁船を拿捕し、船長と船員１５人を拘束した。１３日に船員１４人は釈放したが、船長は拘束を続けた。日本は拘束期間を一度延長し、法に則った対処を強調したが、拘束期間の終了日（２９日）を５日も残した状態で釈放決定を下さなければならなかった。日本は、この事件を機に「尖閣列島で発生した事件に対しては、日本国内法に則って起訴し、裁く」という先例を残し、領有権を国内外に確固にするという意図だったが、失敗した。

中国は、この事態を領土主権問題に追い込み、△閣僚級会談の拒否、△日本への中国人観光の取り消し、△中国での日本芸能イベントの中止、△トヨタ自動車系金融会社の中国法人に罰金賦課、△中国国内の日本人４人を拘束、△先端製品に必須のレアアース（希土類）の輸出中止など、相次いで報復措置を出している。日本はこれに持ちこたえることができなかった。

日本の菅直人首相は、民主党代表選挙で勝利して新内閣を発足するやいなや、初外交の舞台で中国に白旗を振り、国内の保守勢力の強い反発に直面するものとみえる。