レギュレータを作ろう!


きっかけ
LAUの電装はしょぼい。下図
LAUの発電機(オルタ)もしょぼい。
ヘッドライトを電球に替えると、
エンジンを吹かすと過電圧で切れる。
アイドリングでは暗すぎる。
という悲しい事態。

FK310のヘッドライトは自転車モードの時にもダイナモで付くよう、ヘッドライトの規格が自転車と同じ。
リアのでっかいテールランプ(12V5W)で過電圧を防止し、
ダイオードで逆流防止と電力を半分にする方法を用いヘッドライトは点いていた。
これではムダが多すぎる。
おまけにアクセルを吹かすとテールランプが煌々と光るのでは逆ブレーキランプである。
これは電装を一新し、LEDブレーキランプとLEDウインカーをつけるためにもオルタの電力安定化は必至である。
(一般的にバイクにはこの機能が付いているが、LAUにはそんなものはない!)


どんなものにするか
電装一新

目標とするのは以下の系統図である。



検討する

とりあえず、欲しい特性は
常に電圧6±1Vを出力すること。
3Wのヘッドライトを安定して灯すこと。
アイドリングの弱い電力(5V前後の低い電圧)を無駄にしないこと。


しかし計ってみると

無負荷アイドリング 25V [DC] 整流後
無負荷アイドリング 7V[ACrms]
8Ωアイドリング 3V [DC]
8Ωアイドリング 3V[AC]
8Ωトップスピード 10V[AC]
短絡アイドリング 1.5A [DC]

となった。
アイドリング時でも短絡電流は1.5A流れる。
オルタ内部のインピーダンスはテブナン的に考えると4.6Ωとなる。
では負荷が4.6オームの時に最大電力が取れたかというと、
抵抗値を変えて計っても直線にはならず、定量的に推測できない挙動を示した。
またオルタ出力の交流はかなりのリプルを含んでいるらしく、整流するとアイドリング時にも25Vの電圧がかかる。

詳しいことは知らないが、
アイドリングでも3W近く取れる。
回転数が高くなるほど内部インピーダンスも上がる。
ということが分かった。
そもそもテールランプ(12V5W)がつながっている状態ではMAXでも10〜12V
なので電圧を6V出力したいならば負荷抵抗を増やせばよい。
このときの消費される電力は数ワット程度になる。



電圧源と電流源

出力電圧を一定にしたい場合、並列型レギュレーションと直列型レギュレーションの2方法がある。
それは電源が電圧源なのか電流源なのかによって使い分けられる。
電圧源とは常に電圧が一定の内部抵抗のない理想電源である。
そして電流源は常に電流が一定の内部抵抗が無限の理想電源である。
一般的な電源はこの2つの中間に位置する。

利用する負荷のインピーダンスに対して電源が電圧源(内部インピーダンスが低い)場合は
直列型レギュレータを用いる。
これは直列に制御された抵抗(トランジスタ)を入れて電圧降下を生じさせ負荷に一定電圧を供給する。

逆に利用する負荷のインピーダンスが電流源(内部インピーダンスが高い)場合は
並列型レギュレータを用いる。
これは並列に制御された抵抗(トランジスタ)を挿入することで電流を負荷に流れすぎないようにする。

これらどちらを利用しても結果は負荷に掛かる電圧は一定になる。

FK-310のオルタネータは高回転時も本当に非力なので
2Aも流さないうちに6Vに落ち着く。よって並列型レギュレータを用いる。
また、並列型はトランジスタなどの回路素子によっての電圧降下や、
出力電圧を入力電圧が下回ったときにロスが全く発生しないのが利点であり、
ギリギリの電力まで変化する場合に有効である。
下図参照


上の図に置いて、並列損失型は余剰電流Ioverが、また直列損失型は余剰電圧Voverがそれぞれ熱となり損失する。

今回レギュレータのの損失は
仮に2Aもオルタが流せたとしても
(2-利用分)[A]×6[V]
となり、最大で12Wとなる。
許容損失が50W以上(無限大放熱機で100W)のパワートランジスタ
2N3055が引き出しの奥に居たのでそいつを働かせることとした。

回路

なんて簡単な回路。単純が一番。

放熱には気をつけるのと、ツェナダイオードや電解コンを放熱器やエンジンの熱で焙らないように気をつけたい。
ラグ版に適当に配置し、振動に対応するためホットボンドかエポキシで止めるべきところをとめておく。

可変電源に接続し、6Vを超えたあたりから急に電流が流れるようにADJボリウムを調節する。

大体こんな感じになる。
ヘッドライトをいたわりたければもう少し低い電圧値にしてもいいと思う。


取り付け

風通しのよい安定したところに取り付ければいい。
お勧めはここ。






放熱器の裏にゴムをつけ、


裏でアルミ板を使いしっかり挟み込む。

出力は直流になりますが、絶対にどちらも車体アースをしてはいけません。
回路図を見ればわかりますね。



結果


安定化されてます。ヘッドライトに6V3Wの電球をつけてみると、
アイドリング時でもほぼ100パーセントに近いぐらい十分明るく光っています。
もちろん飛ばしても明るさは一定。電球まで飛ぶことはありません(笑)
のちにウインカーも付けましたが十分な明るさです。
気になるロスですが、最高速を5分ほど出してみましたが、全く熱くなっていませんでした。
しっかり放熱されたのか、予想以上にオルタがしょぼかったのかもしれません。

とにかく完璧。

素晴らしい。

最初の回路をみればわかるとおり、
今まではテールランプに消えた分とダイオードで半波された分暗かったのです。