国債買い入れ増は長期金利上昇につながるリスク=日銀総裁
[神戸 26日 ロイター] 白川方明日銀総裁は26日、神戸大学で開かれた日本金融学会秋季大会で講演し、円高が日本経済に与える影響や経済の下振れリスクを注視しているとして、必要があれば適切な対応を講じるとの考えを示した。
また国債買い入れの増額については財政ファイナンス懸念から長期金利上昇につながるリスクを指摘し、通貨や金融システムの信任維持のためにも財政バランス維持が重要だと強調した。
白川総裁は景気の現状について、「先進国経済はリーマン・ショック後の急速な落ち込みを脱し、緩やかな回復過程にあるが、世界的な信用バブルが大規模なものであっただけに、本格的な回復にはなお時間がかかる」との見方を示した。そのうえで、「今後とも経済・金融情勢を注意深く点検し、必要と判断される場合には、適時適切に行動する」と強調した。
<景気回復、円高抑制、雇用確保などを金融政策1つで達成はできない>
ただ中央銀行の金融政策には限界があるとして、「わが国では、景気回復、デフレ克服、長期金利の安定、円高抑制、株価の引き上げ、雇用確保など、実に多様な目的が金融緩和の理由として挙げられてきたが、金融政策という1つの手段でこれらすべての目的を同時に達成することはできない」と述べた。
金融緩和の手段としての中銀による市場からの国債買い入れについては、諸外国の中銀では「非伝統的政策」と位置付けられているのに対して、日銀では通貨供給の主要手段と位置づけられ、「伝統的政策」そのものになっていると指摘。ただ、「中央銀行による国債買い入れが財政ファイナンス、いわゆるマネタイゼーションを目的としているとみられる場合、将来のインフレ予想から国債金利が上昇する」と指摘した。
また、「通貨や金融システムへの信任は究極的には政府、ソブリン国家への信任に支えられている」として、中長期的な財政バランスを維持することの重要性を強調した。さらに、「政府が中央銀行の通貨発行によるファイナンスという手段に自由にアクセスできるようになると、通貨の過剰発行によるインフレの危険がある。各国ともそうした危険を歴史の経験から学び、その結果、多くの国で中央銀行による財政の直接ファイナンス、すなわち、国債引き受けが禁止されている」と述べた。
<「物価安定の理解」はインフレ目標の長所取り込む> 続く...
日本の措置「違法で無効」
中国外務省は尖閣諸島沖で日本の巡視船と衝突した中国漁船の船長の釈放が決まったことを受け、船長に対する日本側のいかなる法的措置も「違法で無効」と述べた。 記事の全文 | 特集ページ