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【中国人船長釈放】“厳戒”ASEAN 米と連携強化のかまえ (1/2ページ)
【シンガポール=宮野弘之】日本が25日、中国漁船衝突事件で勾留(こうりゅう)していた船長を釈放したことを、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国は「中国政府の強い圧力で釈放を決めた」(シンガポール・ストレーツ・タイムズ紙)と受け止め、今後、南シナ海の大半の領有を主張する中国が攻勢を強めてくると、警戒している。ただ、ASEANも中国経済に大きく依存し、中国の政治的影響力も無視できない。ASEANでは中国との正面衝突を避ける一方、米国などのアジア地域への関与を促し、地域での力の均衡をはかっていく構えだ。
「中国の勝ちというだけでなく、(アジア)地域の他の国々に隣の大国(の中国)を、いい加減に扱ってはならないという警告にもなった」。南シナ海の南沙諸島(英語名・スプラトリー)の領有権をめぐり、中国と対峙(たいじ)するフィリピンの有力紙マニラ・タイムズは25日付の社説で、今回の措置をこう評した。
ASEAN各国は「一昨年の金融危機以降、経済での発言力をつけた中国はとみに傲慢(ごうまん)になった」(ASEAN外交筋)と感じている。オバマ米政権が東南アジアへの関与を強める姿勢を示したことは、「アジアは中国がすべてではない」(シンガポールのリー・シェンロン首相)と、「独善的姿勢」(マニラ・タイムズ)を強める中国を警戒するASEAN各国にとって歓迎すべきことだった。
ただ、もともと中華系が多く今も、中国本土からの移民が増えるマレーシアやシンガポールだけでなく、ベトナムやフィリピンのように領有権をめぐり血を流した国でも中国と正面から対立するのは想定外だ。
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