日銀の白川方明総裁は26日、神戸市での講演後の質疑で、日銀の金融緩和が米欧より消極的との指摘について「日銀の(資金供給規模などを示す)バランスシートは世界(の中央銀行)で最も大きく、日銀は一番緩和をやっている」と反論した。そのうえで「金融緩和が必要ないと言っているのではなく、適切に対応する」と述べ、金融市場や景気の動向次第で追加緩和に踏み切る姿勢を改めて表明した。
足元の円高については「日本経済の下振れリスクを注視する必要がある」と警戒感を表明する一方、「日銀が量的緩和を解除した06年3月以降、為替レートは円安に進んだ。為替レートはいろいろな要因で変動する」と指摘し、為替水準は金融政策だけで決まらないとの見方も示した。
講演では、物価上昇率の目標を明示して金融政策を運営する「インフレ目標」について「(日銀が物価安定の目安を示す)現在の枠組みは(インフレ目標を設定する国に比べて)より進化した枠組み」と述べ、導入に慎重な姿勢を示した。【宇都宮裕一】
毎日新聞 2010年9月26日 20時28分