チラシの裏SS投稿掲示板




感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[20987] 【習作】【ネタ】BLEACH 転生TSのお隣さん
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/24 19:30
初めまして。

BLEACH世界に女性になって転生したオリ主が死なないためにがんばる話です。
ノリで進んでいくことが多いと思います。
小説を書くのは初めてですががんばっていきたいです。
ノリとネタがメインです。
オリジナルの能力、オリジナルの設定等があります。
また、一応尸魂界篇までの予定です。

八月11日、前書き修正しました。
八月24日、前書き修正しました。






寝る前にした妄想が元ネタなんて口が裂けてもいえない。



[20987] 一話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/09 00:23
 ちょっと困ったことになった、どのくらい困ったことかというとバンジージャンプで飛び降りた直後にヒモが切れてしまうくらい困った。


「銀行は既に包囲されている! 人質を解放するんだ!」

「黙れ! ごちゃごちゃぬかすとこいつをぶち殺すぞ!」


 今、銀行強盗が俺を人質にとってやがります。




第一話 



 犯人は一人だが、俺の首をがっちりと腕でロックして包丁を突きつけている、しかも腹に爆薬をつけているときたもんだ。
 銀行には俺と犯人意外の人はいない、みんな俺が捕まったとき逃げました。

 どうしてこうなったんだろう、俺はお金をおろして明日の母さんの誕生日のためにケーキを買おうとしただけなのに。
 駅前のケーキ屋さんの先着20名様限定発売のケーキは売り切れてるだろうなあ。母さんはあのケーキが大好きなのになあ。

「おらあ! さっさと100億持ってこいやあ! 」

 この犯人さんは頭が悪いようだ、100億とか用意できるわけないだろう。きっと家庭の事情であまり勉強ができなかったんだろう。かわいそうに。腹に巻いているのも爆薬ではなく馬鹿薬にちがいない。

「円じゃねえぞ! ペセタだ! ペセタ! 」

 シカゴタイプライターでも買う気か? それとも無限ロケットランチャーか?

「後五分で用意しやがらなかったから爆薬を爆発させるぞお! 」
 
 犯人はライターをちらつかせる。

 ひいいい! 頭が悪いとか言ってごめんなさい! 馬鹿薬とか言ってごめんなさい! だからやめてくださいお願いします! 殺さないでええぇぇ!

「ごーお、よーん」

「やめろ! 落ち着くんだ!」

 ちょっとアナタ! なに嘘ついてるの!? 五分と五秒の違いもわからないの!?
 暴れようとするが包丁でちくりと首を刺される、痛い!
 
「さーん、にーい」

「逃げろー!」
「爆発するぞー!」
「ヤメロー! シニタクナーイ!」

 ああ! 周りの野次馬達と警察が逃げてゆく! 俺を助けてー! 見捨てないでえぇー!

「いーち」

「助けてくれぇー! 誰か! 誰かー!」









「ゼーロ」






 一瞬の衝撃 悲鳴 痛み 





 思い出せるのはこれくらいだ。









「翔子ー! おとーさんだぞー! ほら言ってみろ! おとーさんて!」
「もう、まだ無理よあなた。生まれたばかりなんだから」

 目の前には満面の笑みの男性と優しく微笑む女性。

 さて、どうしてこうなった?



[20987] 二話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/29 13:06
 フ、フフ、フフフ、フハハハハハッ! 生きてる! 俺は生きてるんだああっ! 生きてる! なんて素晴らしい! 神様! 俺はこれから真面目に生きます! もう信号無視なんかしません! 古本屋で立ち読みしたりしません!
 生まれ変わったことに感謝して真面目人間なります!

「いやー翔子がおとーさんって呼んでくれるのが楽しみだなあ」

 どうやらこの男性の方が父親らしいな。灰色のスーツ姿でイケメンではないがブサイクではない、そしてガタイが良い。
 デブでブサイクで中学時代女子に変なの呼ばわりされた俺とは大違いだ! 羨ましいぞコノヤロー!

 「そうね……」

 そして俺を優しく抱きかかえて下さっている女性が母親だな! 美人というほどではないがキレイだと思う。

 
 よーし、前世の分までこの二人に親孝行しないとな! 翔子という名前から察するに性転換しているようだがそんなことは気にしない! 第二の人生を満喫してやる!


 

 「それにしても空座総合病院はいいところね、あなた」


 おいまてや。







第二話








 はい? 今なんと仰られたのですか? 母上、私は空座総合病院と聞こえたのですが。ええもちろん私の聞き間違いということも十分にありえます。まさかたった今死んだ私が死亡フラグ満載のブリーチの世界に転生するなんて、そんなことはありませんよね? いやまさかそんなはずはないでしょう。そうです、これは聞き間違いです。そうに決まっています。わかっています、わかっていますとも。しかし確認のためにももう一度だけ仰って――

 「ああ! 空座総合病院は俺のお袋も世話になったところだからな!」

 俺(また)オワタ





 いーやまて俺! いくら虚とかいう俺達一般ピーポーが出会ったら即死ものの化け物が蔓延るブリーチ世界だからって死亡が確定したわけではない! 奴らは霊力の高い人間しか襲わない! そして俺が霊力の高い人間であるはすがない! そう、前世ではホラー関係なんかに興味なかったし、ラップ音を聞いたことも金縛りにあったこともない! だから大丈夫だ! 大丈夫に決まってる!

 
 ふう、ビビッて損したじゃないか。


 まーあれだブリーチの知識はそれほど多くない。せいぜいこの町がなんかヤバイ物を作る生贄にされそうってことくらいまでしか思いだせない。だがそれは一護達がなんとかしてくれるだろう。
 よし、俺は虚VS死神に巻き込まれないようにすればいいんだな!


 






 なーんて考えている間に先生が来た。
 
 「あっ先生どうも!」

 父さんが先生に向かって思い切り頭を下げる、そりゃもう大げさなくらい。
 母さんも軽く頭を下げている。

 「どうも伊藤さん、調子はどうですか?」

 初老のやせ気味な先生が――てあれ? なんか先生が二人? もう一人若い女性の先生らしき人がいる。どれどれ胸のサイズは……ふむ、鎖サイズと。

 ふざけんなバカヤロオオオォーーー!!

 


 




 イヤだあぁー!! 食われるぅー!









 いーやいやいやいや落ち着け俺! いくら霊が見えても主役に関わんなければ危険度は下がるはずだ! きっとそうだ!
 「伊藤翔子」なんていう普通の名前の奴が本編関わるわけがない! だから危険度も少しは下がるはず!

 


  




 そんな俺に希望は、打ち砕かれる。


 自宅に来たその瞬間に。









 帰宅する日になった。
 幸いにも病院ではずっと寝たふりしてたおかげか霊にからまれなかった。そのせいでちょっと期待していたんだ。本編と無関係な一般ピーポーになれることを。



 「ほら翔子、見えてきたわよ」
 「そう! アレがみんなのおうちだぞ!」

 車に乗って帰宅。運転は勿論父さんだ。
 家が見えてきたらしい、が、母さんの腕の中の俺には全く見えない。


 静かに、ゆっくりと丁寧に車が止まる。母さんと俺を気遣っているのがだろう。


 母さんは父さんに優しくエスコートされて車を降りる、そして玄関の前に二人が並ぶ。

 「どうだ! 立派なおうちだろう」
 
 父さんが俺に家を自慢する。家は二階だてで車庫がある一軒家だ。汚れがあまり見あたらない、まだ新しいのか、それとも二人がキレイ好きなのか。ぱっとわかるのはそのぐらいだがマンション暮らししか知らない俺にとっては凄く立派に見える。

 

 でもね、それよりも俺はお隣さんが気になるんだ。

 だってね。









 町医者にしか見えないんだもん。





 黒崎さんのお宅にしか見えないんだもん。









 「おお! 伊藤!」


 
 お願い、来ないで、幻聴であって






 「よう! 黒崎!」









 死んだな、俺。



[20987] 三話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/29 13:08
 どうやら伊藤家は黒崎さんのお隣さんらしい。
 しかも仲が中々良い。駄洒落だぞ。
 さらに俺のご両親は共働きでとても忙しいらしく俺を黒崎家に預ける気満々だ。

 幼馴染ってレベルじゃねーぞおぉ!





 第三話






 俺が黒崎家に預けられてから一週間が経過した。今のところなんの問題もなし。まー強いて問題をあげるとすれば黒崎家の母、真咲さんが俺にも普通に母乳を与えてくるところか。
 真咲さんがすごい美人なおかげで少々いけない気持ちになったよ。まあそこは大した問題ではない。

 この一週間を使い今後のこと等をちょっと整理してみた。赤ちゃんボディなうえ女だから精神的に落ち着かなかったから整理に一週間もかかった。決していけない気持ちが原因ではない。

 まず原作の開始前に起きるヤバイことは

 1崩玉とかいうヤバイのを浦原さんが開発
 2ルキアの姉が死ぬ。白哉涙目
 3汚いヨン様が色々ヤバイ虚を作る、そしてルキアにトラウマが
 4石田のおじいちゃんが白黒のマッドヤローのせいであぼーん
 5真咲さんがどしゅーん
 6井上の兄貴がドシャーン。そしてヤンデレに
 
 うーん覚えてるのはこのくらいか、俺そもそも原作は兄貴が持ってんのを読んだだけなんだよなあ。
 だから兄貴が飽きてしまった、空座町がなんか凄いのを作る生贄にされそうってあたりぐらいまでしかわかんない。
 
 とりあえず1~3はどうしようもないな、ってか尸魂界関係とかは全部無理だな。
 逆に5と6はなんとか出来そうか? 5は浦原さんあたりに頼めればどうにかなると思う。
 真咲さんが生きてると本編それなりに影響が出そうだが、やっぱり生きてて欲しいな真咲さんには。俺もお世話になってるし。
 6は普通に井上に言えばいいだろう、多分井上と同じ中学に俺は行くだろう。井上とたつきが同じ中学のはずだからたつきの幼馴染の一護も同じにちがいない、そして俺も。
 ただ井上の兄貴を助けることでどう影響がでるかは知らんけどね。一護の経験地が下がったり、井上が霊見えるようにならなかったりしそうだな。
 アレ? 意外と影響大きくね? やっぱ原作通りのほうが良いのか? まあそのときになったら考えよう。
 
 そしてなにがなんでもどうにかしなくちゃいけないのが4。
 何故かって? 後のスーパー虚タイムに影響するからさああぁー!
 石田じいちゃんを助けないと石田が一護に喧嘩うって撒き餌まいて虚がうじゃうじゃ、そして俺はメインディィィッッシュ! チャドと井上が覚醒しなくなる? 一護の経験値が大幅ダウン? そんなのはタスケテーウラえもーん、で解決だあ! 俺の安全のほうが大事だ!
 しかし石田じいちゃんを助けるのは大変だ。なにしろどこに住んでるか全然わからない。しかも尸魂界に監視されてるらしい。
 仮に住所が分かったところでどうしようもない、俺が白黒の陰謀を石田じいちゃんに教えても信じてもらえるかわからないし、信じてもらえてもあの白黒はどうにかしそうなんだよなあ。
 とりあえずウラえもんに言っておこう。

 あと二つ絶対にやるべきことがある、まずは霊力を抑えること、独学でなんとかなるとは思えないがウラえもんに会うまでは自分でがんばってみよう。

 そしてもう一つ、これが重要、それは安全なポジションの確保だ。

 安全なポジション、それは所謂「日常の象徴」だ。
 例えばあの年上ハーレム君やRPGクリア男、百合女のような平和な日常を象徴するポジションを確保できれば、死亡フラグは一気に減るだろう。
 死にそうな目には何度もあうけどね。
 だが俺は日常の象徴程度では安心できない、俺は職員室にすらまともに入れない程のチキンなのだ。

 だから、手に入れる。

 生存フラグMAXのヒロインの座を!


 そう、ヒロインならば虚に囲まれても一護が

 「翔子に手を出す奴は俺が許さねえ!」

 とか

 「翔子は俺が守る!」

 とか言って守ってくれるに違いない。そして俺は幼馴染、毎朝起こしに行って一緒に登下校したりすれば楽勝でヒロインポジゲエェッツ!

 だがこの作戦には大きな問題がある。俺は体は女だが心は男だ。しかも運の悪いことにホモではない、つまりヒロインになると抱き合うシーンやキスシーンとかがありそうなわけで――




 …………グハアァァッッッッ!!!!!
 「オギヤァァァ!! イイギャアァーーーー!!!」
 イメージだけでかつて無いほどのダメージ!


 「どうしたの!? 翔子ちゃん!」
 真咲さんに凄い心配された。









 なんてことだ……一番安全そうなポジションが一番精神的に危険だとは……!









 フッフッフ、だが俺は秘策を考えている、それは洗脳だ! 俺を女に洗脳するのだ! 一人称を私にして脳内の考え事とかも女口調にすることで少しずつ女に俺を洗脳するのだ!

 そしてさらに一護を俺の王子様に洗脳して俺を守らせる。

 ん? 王子様?





 王子様のコズプレした一護にお姫様抱っこされる俺を想像する。






 こうかはばつぐんだ! おれはめのまえがまっくらになった










 よーしとりあえずするべきことが決まった、多分穴だらけだろうけどなんにも考えないでいるよりはマシだろう。

 それにしても疲れた、考えるごとをするだけでもこの赤ちゃんボディは体力を使うらしい。普通赤ちゃんがこんなこと考えたりしないだろうからなあ、隣で寝てる一護が羨ましいな。
 よし、 寝よう、寝て寝て寝まくって少しでもこの体を成長させよう。

 俺は寝る、全力で。









 そして、数年が過ぎた。


 現在私は小学一年生だ、残り三年で真咲さんがズシャる。ウラえもんをそろそろ探さないとな……って! そうだ! 一心さんウラえもんのこと知ってるじゃん! 一心さんに話せばよかった! あーもー私のバカ。なんで今まで忘れてた! もう後悔しても遅いなあ。



 霊力を抑えることに関しては上手くいってるのか、全くわからない。
 洗脳計画はとりあえず私のぶんは中々上手くいった。今では脳内でも自然に自分のことを私と呼んでいる。
 一護のほうはまだまだ洗脳が甘いのか私のことをただの友達としか思っていない、困ったものだ。
 しかし今のこの状況に比べればずっとマシかな。









 オカッパの、とても不気味な女の子が、見えます。









 どうしよう。



[20987] 四話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/29 13:10
 どうして真咲さんを殺した虚があそこにいるんだろう。私はちょっとおつかいにスーパーに行く途中なのに。
 でもここ例の川の近くだああ! 雨降ってないからわかんなかったあああぁ!

 なにはともあれ。

 180°ターン! 全力疾走! 目指せ! 黒崎家!





第四話





 「小娘、わしが見えておるな?」

 いいえ、見えていません。シカトして走る! 全力で走る! 

 「久しぶりに美味そうなやつよのう……クックック……」

 だが虚から小学一年生の私が逃げられるはずもなく、ギュルン! と細くて長い舌のようなものが首に巻きつく。息がー!

 「さて、じっくりと味わって食うとしようかのう……」

 虚はあんぐりと口を開け、私を食べようとする。
 舌のうなもので首を絞められている私は悲鳴すらあげられない。

 イヤーッ! 誰かー! 助けてー! ウーラーえーもーん! 一心さーん! 担当の死神さーん! 善良な幼女が食べられようとしてますよおぉー!

 っていうか目覚めなさい私の能力! 一護の近くにあれだけいたんだからなんか影響受けてるはずでしょうがああ! ホラ! ホラァ!

 
 あああぁ頭が奴の口に入り――



 





 そして突然、何も見えなくなった。



 





 ……は、ははは、私食われたの……かな……? いや、でもそのわりには意識がはっきりしている。まさか、これは。




 ――翔子――




 頭の中に! 頭の中に突然声が!




 ――私が見えるか――




 きちゃった! きちゃったよなんか目覚め的なものが!
 目の前に右半分が黒く、左半分が白いコートを着たキレイなおねーちゃん(胸がデカイ)がいる。
 デカイ、メッチャデカイ、それだけでなく美しい、まさに完璧だ。
 この世の全ての財と知と技を結集させてもあれほど美しいものなど作れないし探し出せないだろう。
 クッ……!こんなときに下半身が疼きやがる……!





 ――力が欲しいか?――




 「いいえ! あなた(の特に一部分)が欲しいです!」
 アレークチガカッテニウゴクー




 ――ならばくれてやる!――




 いやったあああぁー!









 非常事態の連続でちょっと私はおかしくなっていた。



 





 「な!? 霊力がいきなり――」

 いつのまにか、右手に何か棒のような物が握られている。
 それを思い切り奴の口の中に突き刺す!
 死ね! 氏ねじゃなくて死ね!


 「ぐああぁ!」

 虚は暴れだし……っておい! 放り出されたあ!


 飛んでる! かなり飛んでる!


 小学一年生では上手く着地できても骨の一本や二本は折れそうな高さにポーンと放り出される。ああ、すごく痛そうだなあ……


 せまってくる地面。
 私は目をつむり体を丸くした。それは着地に備えるわけではなくただ怖くて丸くなってるだけだった。



 メッチャ痛ソオオ!




 

 しかし




 ドサッ

 地面とは明らかに違う、柔らかく、優しい感触。


 

 「大丈夫か!? おじょうちゃん」




 前髪を触覚のようにたらした角刈りの死神が、私を抱きとめていた。



[20987] 五話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/29 13:18
 うーんなにも見えないなあ。
 私は見覚えのない死神さんに助けらたあと気を失ったらしいな。
 ここは多分精神世界だな。


 「翔子」

 
 うわっ! 背後から美女ボイスが! もっと聞かせて!

 「その声を聞かせてください! もっと!」

 「ああ……なんでこんな奴の一部なんだろうか」

 背後の人、てか白黒コートで胸がデカくてキレイなおねーちゃんだろう。
 振り返るとそこには額を手で押さえてヤレヤレ……ってやりながら立ってる、元の世界じゃ実際にやってる人いなかったなー。
 それにしてもキレイだな、ツヤッツヤの長い黒髪、白い肌、黒真珠みたいな目。いや黒真珠なとかアニメでしか見たことないけど。

 「それはアレです、運命」

 「ああそうか、なら仕方ないなあ」

 「仕方ないですよね」

 私がこのブリーチ世界に来てしまったことくらい仕方ないだろうね。そういえば胸が気になって聞くの忘れてたけど誰なんだろこの人。まあなんだっていいけどね、デカクてキレイだから。

 「そういえばあなたはどちら様ですか?」

 「言ってなかったな、私は」

 キレイなおねーちゃんは一呼吸おいてから。

 「翔子の斬魄刀だった者だ」










 第五話









 へ? だったもの?

 「ああ、どうやら……こう、何か別の力がいくつか混じっている、しかも私よりもその力達のほうがお前に深く根付いてる……とでも言えばいいのか? とにかくだ、私自身よりも私に混じってる力達のほうが大きな割合を占めている。最もその力達には斬魄刀のように意思がないから、私の邪魔はされないが」

 別の力? 何だろう、虚か? それともクインシーとか?

 「それってやばいのではないでしょうか。あと胸を触らせてください」

 両手胸へ向かって伸ばす、クソッ! 届かない! 私のこの幼女ボディが憎い!

 「今のところは大丈夫だが……専門家に見てもらいたいものだ。そして女の胸は布団の中かベッドの上で触るものだ」

 両手をやんわりと抑えられる。
 ベッドはどこだ! 布団はどこだ!
 
 「その……私はどうなるのでしょうか……あと布団とベッドはどこなのでしょうか」

 「さて……私には見当もつかない、混じった力達の影響も布団のありかもベッドのありかもな。だがな」

 おねーちゃんは一旦言葉を区切りしゃがみこむ、まさか触らせてくれるのか!? いや触らせてくださいお願いします。さわるだけでもお願いします。それだけです、揉んだりしませんから。
 だが予想に反し、おねーちゃんは私の肩を強く、しかし優しく掴むと真剣な眼差しで見つめる。
 キスか!? キスなのか!? OK、ファーストキスは中学生あたりに

 「えへへ……私のファーストキス、一護にあげちゃった……」

 ってやるつもりだったのだがおねーちゃんに捧げよう。
 さあこい! さあ! さあっ! さあぁっ!


 「翔子は、私が守る」


 ……はい? いやそれは一護に言わせなければいけないセリフでしょ。


 「だから安心しろ」

 安心できません、ヒロインになるまでは。
 
 「ああっ!」

 そうだ! 忘れてた! クソッ! こんな大事なことを忘れるなんて……俺は正真正銘の大馬鹿だ。

 「どうした?」

 「あなたが欲しいという話はどうなりましたか!?」

 「なん……だと……?」

 おねーちゃんはメッチャ驚いてる。イヤな予感がする。

 「あれ? さっき会ったとき言いませんでしたか?あなたが欲しいですって」

 「あ……いや、実はさっきのときは力を持っていなかった、つまり翔子が斬魄刀を持っていない状態だったせいで翔子の声は聞こえていなかったんだ」

 なんですとおおぉー!

 「いやー元気よく答えてたからてっきり力が欲しいのかと」

 おねーちゃんは良かれと思ってしたことが実は駄目なことだったと知ったときのような顔と声で言ってくる。
 そんな顔もいいなー。

 「じゃ……じゃあ……」

 「あーまあ……その……」

 おねーちゃんは私のものではないと。
 よし、いいこと思いついた。

 「うっ……うっ……うえええん!」

 泣く、嘘泣きだが本当に悲しいからわりと本気だ。

 「おねーちゃんが私のものになったと思ったのにいいぃ!」

 「なっ泣くな! ほっほら泣くんじゃない!」

 おねーちゃんは私を抱っこして赤ちゃんをあやすように背中をポンポンと叩く。
 ヒャッハー! 胸だああぁ!

 「それにだ! 私は元だけど斬魄刀だから翔子の一部みたいなものだろう!?」

 おろおろしまくりながら必死で私を泣き止ませようとする、うおカワイイ! 超カワイイ! 連れて帰って抱っこして寝たい!

 「本当……?」

 ぎゅっと服を掴みながら潤んだ瞳で上目づかい、そして弱々しい声で言う。
 くらえ! この必殺コンボを!

 「ああ……本当だ」

 優しく私を抱きしめるおねーちゃん。

 うおおおお! キタアァーー! 胸キタアァァーー!

 




 あれ……なんだか……むね……く……いや……ね……む……く……









 「翔子ちゃん! しょおおくおおおちゃあああん!!」

 うおっ! このデカイ声は一心さん!

 「しょうこちゃん!」

 「よかった……心配したんだから!」

 抱きついてくる真咲さんと一護。

 ここは……ああ黒崎家の病室か、そして私はベッドの上か。

 「翔子ちゃん! 誰だ!? 翔子ちゃんを酷い目にあわせたのは! 今から行ってこの世から抹消してくる!」

 「いや実は幽霊が上から降ってきたみたいで……」

 ちなみに私にはゴリラが投げつけたバナナの皮で滑って気絶した、という記憶がある。
 多分記憶置換とかいうのだろう。
 そうか、あの死神さんが虚を倒してさらに気絶してるからとりあえずここまで運んでくれたのか、多分そうなんだろう。

 「なにい! よし! いますぐ修行して霊を見えるようにしてその霊をあの世へ送りに行ってくる!」

 飛び出して行こうとする一心さんを真咲さんが止める。

 あれ? なんか右手が握られてるみたいだな。

 握られてる手を見ると、一護が私の手を力一杯握っている。

 「しょうこちゃん、おれ、つよくなる、たつきちゃんにまけないくらい! そしたらしょうこちゃんをまもる!」









 ヒロインフラグ……オン……!



 


 ククククク……ハーッ! ハッハッハ!

 これで……! これで死なんぞおおおぉっ!

 ヒロインの座は私のものよおおっ!

 ルキアにも織姫にもこの座は渡さないイイイ!


















 一方そのころグランドフィッシャーは。


 「あの小娘と死神……! 必ず喰ろうてやる……!」


 目の仇にされている翔子であった。



[20987] 六話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/11 16:58
 ふーどういうわけかヒロインフラグがON! これでひと安心。

 小一からの関係ならばルキアも織姫も勝てるわけがな……い……?
 いや違う! まだエンディングじゃないから安心はできない、なぜなら私が死んで傷ついた一護を優しく織姫、もしくはルキアが抱きしめるという場面が簡単に想像できるからだ。
 当て馬的なサブヒロインになったら100%私は死ぬ!

 よし、全力で織姫ヒロインフラグをベッキベキに折らなくては、そのためには中学でイジメられてる織姫を助けて恩を売り、織姫が一護に惚れても結ばれないようにしなくては。
 








 第六話









 あの後私はベッドの上で休んでるように言われた、んで一心さんが色々検査をしたが、特に異常は無かった。首絞められたから首になんか痕とかついてんだろうなあととか思ってたけど大丈夫だった。
 あと虚の口をなんか棒みたいの(多分斬魄刀だろうね)で刺したから返り血ついてそうだけどついてなかった。
 死神さんがなんとかしてくれたんだろう、名前も分からない脇役死神さんGJ。

 さーて一心さんに色々伝えなければ。ちょうど色々な検査で二人きりだ。

 「一心おじさん」

 「なにかな翔子ちゃん! なんでも言いなさい! 例えば翔子ちゃんをこんな目に合わせた奴をこの世から抹消してきてとか!」

 「今日、実は虚に襲われました」

 「……翔子ちゃん……」

 一心さんが急に真剣な顔になり、私の肩を優しく掴む。今日だけで二回目だなあ。

 「一体……どこで虚のことを……?」

 「なんだかよくわからないんですけど……いつのまにか知ってるんです……おじさんが死神さんってことも、一護君が未来で死神さんになっちゃうことも」

 この世界が前世ではマンガとして存在してた、なんてことは面倒なので話さない、てか話さないほうがよさそうだし。

 「……なるほど……予知能力かなにかかもしれないな、霊力の高い翔子ちゃんがなんらかの形で予知能力を得たのか……?」

 うわすごい真面目に話してる、普段が普段なだけに違和感バリバリだ。
 私はとりあえず一護が死神になること、そしてソウルソサエティのごたごたに巻き込まれることなんかを話した、特に崩玉のことをなるべく詳しく話した。

 「まさかこれから先にそんな事が起こるなんてな……」

 「ただ本当に起こるかはわかりませんが」

 「だが、可能性は高いとみたほうがいいだろうな……ああそれと崩玉のことなんだが」

 崩玉? あれを壊す方法でも思いついたんですか?

 「実は……六年前に浦原が、ああ浦原っていうのは俺の知り合いで崩玉作った奴な、で、浦原が壊そうとしたら完全に力を失ったらしいんだ」

 うそお! やったじゃん! さすがウラえもん! ウラえもんバンザイ! アレ? 崩玉ってルキアの魂に埋め込まれてるんじゃなかったっけ? 持って来てたの? だがそんなことはどうでもいい。
 六年前ってちょうど私が生まれた年だよね。

 「そう、六年前、ちょうど翔子ちゃんの誕生日だ」


 嫌な予感しかしない。

 
 「とても無関係とは思えない……とにかく、明日浦原のところへ行って色々見てもらおう」

 ウラえもんキター! でもなんかやばいフラグもキター!









 そして夜。
 ベッドで寝るだけとなった私、でもある重要なことを思い出す、一心さんに色々伝えることしか考えてなかったから忘れてた。


 「斬魄刀どこいった?」


 あのとき虚に刺したきり忘れっぱなしだった。

 
 「それなら翔子が気絶したときに消えたぞ」

 わーお、おねーちゃんがベッドに腰掛けてるよ。

 「死神さんに見つからなくてよかったです、あと私の隣で寝ませんか?」

 「見つかったら面倒なことになっていたかもな、他の人が起きるまでならいいぞ」

 おねーちゃんはベッドにもぐりこんでくる。
 うおおおおおーーー! キター!
 なんだか最近キター! って言いすぎな気がする、でも本当にキター! って気分だからいいよね。

 「そういえば何故具象化してるんですか? ベッドの上なので胸を触らせてくれませんか?」

 「混ざった力達のおかげらしいな、優しくな?」




 ヒイヤッハァーー!! ううおおー! キタキタキタキター!









 

 胸の感触をよくマシュマロみたいというが、マシュマロ程度と比べてもらっては困ると、思った。
 胸の質感を再現できる物質などこの世に存在しない、いや、してはならない。もしも再現できればそれをめぐって世界大戦が起きかねないからだ。









 「変態だなぁ……私」
 「ニヤニヤしながら言うな」









 



 朝、学校に行って、帰ってきて浦原商店へ、一心さんも一緒だ。
 
 いよいよウラえもんとご対面か、緊張するなあ。
 浦原商店につくと。

 「お待ちしてたっスよ? 一心サン、翔子サン?」


 ウラえもんが、待っていた。


 「よう。翔子ちゃん、あの帽子を被ってる奴が浦原だ」

 「初めまして、ウラえもんさん」

 何言ってんだ俺えぇぇ!

 「ぼくウラえもんです」

 ……なんだって? この世界にも猫型ロボットが? でも私の知る限りそんなマンガやアニメは――

 「いやぁ不思議な感覚っスねー……別の世界の、しかもこの世界と非常によくにた内容の漫画があって、最後に銀行強盗しちゃう記憶があるなんて」









 こんなときどいう顔をすればいいのかわからない

 ――驚愕すればいいと思うぞ――

 おねーちゃんの声が聞こえた。



 『なんだってー!?』


 一心さんとシンクロした。



[20987] 七話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/29 13:23
 話を聞いてみると物凄い昔に突然体を謎の精神にのっとられそうになったらしい。しかし抵抗しているうちに融合してしまったそうな。
 しかし精神力がウラえもんと銀行強盗では段違いだ、なのでウラえもんの精神が占める割合が非常に大きい、つまりウラえもんに銀行強盗の記憶と経験がプラスされたようなものらしい。
 最も銀行強盗の精神も多少ウラえもんに飲み込まれているので性格に若干影響が出ているらしい。
 ちなみに銀行強盗はあの『俺』を殺したバカみたいだ。話を聞く限りでは完璧にあのバカだ。
 あの銀行強盗はマッドサイエンティストで資金調達のために銀行強盗したんだって。なんて奴だ。

 だがそんなことはどうでもいい、とんでもないことが起きている。




 「お主が翔子か? 話は聞いておるぞ」

 二人の赤ん坊を抱きかかえている夜一さん。




 夜一さんが浦原夜一になってます。
 砕蜂涙目。超涙目。








 第七話









 OK、とりあえずウラえもんの話をまとめると。
 崩玉はルキアではなく自分に隠し、現世に逃げるために霊子を含まない義骸を作り、トンでも技術持ってるとアピールすることで、わざと追放された、そしてクインシーの技術を夜一さんに頼んでこっそりと石田じいちゃんから得て、ウラえもんのすんごい死神の技術、さらにマッドサイエンティストだったあのバカの頭も組み合わせて、崩玉を破壊しようとしたそうだ。
 が、どういうわけか崩玉は破壊できず、何故か力だけがどこかへとんだらしい。

 ……そのとんだ先ってのが私だよ! ちょっと検査したら出てきちゃったよ崩玉パワー! あとついでに私が斬魄刀(元)持ってるのもバレタ。
 そしてあのおねーちゃんに混ざってる力は崩玉パワーでできちゃった虚の力と、これまた崩玉パワーで目覚めた私自身が元々持ってた力(チャドとか織姫みたなの)、らしい。
 ちなみにおねーちゃん(死神の力)は元々私が持ってたわけではなくこれも崩玉パワーで生まれたそうな。
 ただ崩玉パワーはもう簡単に消せる程度しか残ってない、だから後で消してもらえるそうだ。
 他の虚の力とかはもう大きすぎて消すと私の魂に障害等がでるらしい。

 なんかもう色々ありすぎて疲れた。

 「本当に……申し訳ありません!」

 話が一段落すると土下座をするウラえもん。
 いや、正直土下座とかされるとこっちが困る、なんでかというと私は土下座なんぞされたことが無い。したことなら沢山あるけど! だから土下座なんかされるとこう! 全身を蟲が走るような感覚がする。
 それに多分私が転生した理由も崩玉にありそうなんだよね。なんとなくだけど。

 「あの……顔をあげてください」

 ……顔をあげないウラえもん。

 「その力がなければ私は昨日食べられていたでしょう、だから、むしろ恩人です」

 「それで……いいのかい? 翔子ちゃん」

 あんまりよくないがどうしようもなさそうなもんどうこう言っても仕方ないし、てか崩玉が無いからあの汚いヨン様涙目だな。
 なんだかんだで結局良い方向に動いているとしか思えないんだよね。うんきっとそうだ! 崩玉ないから破面作れないしね! いやー流石ウラえもん! 私の死亡フラグがどんどん減っていくよ! そうだよね! 死亡フラグ減ってるよね! 誰かそうだと言ってくれ!

 ――そうだ――

 おねーちゃんが言ったああぁ!

 「はい。死神の力とか虚とか欲しくありませんし、持っていたくもありませんが捨てられないものは仕方ありません。がんばって有効活用したいです」


 みんなポカーンと私を見つめている、そりゃそうだよね、小一がこんなこといったらね。

 「なんて……なんて強い子なんだ翔子ちゃあぁーーん!!」

 ガバァッ! 一心さんが抱きついてくる!
 痛い! めっちゃ強く抱きしめてくる! でも不思議とイヤじゃないあ、あったかいなー。
 
 「許して……くれるんですか……?」

 ウラえもんがちょこっとだけ顔を上げる。
 許すよそりゃ、だって好感度あげといたほうがよさそうだしね。

 「はい」

 「ありがとうございます……」

 







 まーそんなこんなでだ、明日から休みの日は浦原商店で修行することになった。とんでもない力持ってんだから修行しないと襲われたときヤバイから。


 


 んで休日。私は一人で





 「それじゃー勉強部屋行くっスよ……ポチッと」

 ウラえもんがどこからともなく取り出したスイッチポチッと押す。
 すると壁がウイーンと動いてポッカリと穴が姿を現す。
 その穴の中は四角形で壁にボタンが二つついていて……ってどこからどう見てもエレベーターだ、こんなのついてたっけ?

 「はーい乗ってください」

 ウラえもんがエレベーターの中入る、続いて私も入ろうとしたら。

 「がんばってくるのじゃぞ、翔子」

 夜一さんに優しく頭を撫でられた。さらにメッチャ優しい微笑みを浮かべている。
 やばい、一度も漫画で見たことないくらい優しい微笑みだ。惚れそうだ、所謂ニコポナデポされそうだ。
 いかん! 夜一フラグがたてられてしまいそうだ!


 「はい! がんばります!」

 元気よく返事をしてエレベーターに乗る。
 危うくポッって顔を赤くされてしまうところだった。
 いやーやっぱり母親になってると違うのか?


 



 エレベーターは一瞬で地下についた。もう乗って一秒くらいで、流石ウラえもんだ。


 「地下にこんな広い空間があるなんて! 驚きました!」

 広い、東京ドームよりも多分デカイなこれは、東京ドーム行った事無いけど。
 ただなーんか原作と違うんだよね。上には札束の絵描いてあるし、何か斧投げ込めそうな池あるし。枯れた植物もない。

 「フッフッフ……この地下の勉強部屋……数年後に備えるために作っといて正解だったっスねえ」

 それにしてもあの札束の絵……なんか札束に『100億ペセタ』って書いてあるんだよなあ……ああ、あの包丁の感触が蘇る。


 「さーみんなでておいでー!」

 ウラえもんが左を向いて両手をメガホンみたいにして口に当てて大きな声で言う。幼稚園生とかに指示を出すみたいに。
 同じように左をむくと、少し遠くにでかい扉が見えた。ワゴン車とかトラックとかが簡単に通れそうだ。
 中にモンスターが封印されていてもおかしくない、いや封印されてないほうがおかしいな。

 ゆっくりと扉が開き、中からぞろぞろと何か人型で銀色の何かが出てきてこっちへむかってくる。
 近くで見てみるとそれはロボット達だった、腕が多かったり、包丁持ってたり、爆薬持ってたり、人質をとってたりとバリエーション豊富だ――っておい! あのバカの影響うけまくりじゃないか!

 「さあ、はじめましょうか」

 ロボットが私の前にルームランナーらしき物を置く。

 「はい」

 「まずは魂を抜くっス、ビックリするかもしれないっスから気をつけてください」

 ウラえもんはしゃがんで、杖の先端で私の額をトンッと軽く押す。するとズルッと私の体が後ろ下がり魂が抜ける。
 なんだか変な気分だ。

 「どんな姿の魂かと思ったら……フツーの死神にしか見えないっスね」

 倒れそうになる私の体を支えながらウラえもんが少し意外そうに言う。
 自分の姿を見てみると、私は死覇装を着ていた、ちゃんと斬魄刀も短いけど腰に差してある。虚だったらどうしようかと思ってたよ。
 
 「で、これに乗って走ってください、できるだけ速く」

 「わかりました」

 私はルームランナーに乗って走り始めた。
 よし、脳内で掛け声でもかけながらがんばろう。


 





 いっち! にっ! さんっ! しっ! 死っにたっくなーい!
 いっち! にっ! さんっ! しっ! 死っにたっくなーい!
 いっち! にっ! さんっ! しっ! 死っにたっくなーい!
 いっち! にっ! さんっ! しっ! 死っにたっくなーい!









 ――……もの凄く頭の悪そうな掛け声だな……翔子……――










 どーせ高卒のフリーターですよーまあ今度は大学行けるようにがんばるけど。



[20987] 八話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/29 13:24
 どうも、浦原商店の地下で修行を始めて数年がたちました。現在小六の翔子です。
 あのルームランナーは魂に負担をかけて魂そのものと足を鍛えるマシーンだそうです。走るだけで足や呼吸関係だけでなく魂も鍛えられえる一石二鳥な物ですね。
 今までひたすら走って、木刀の素振りと鬼道とかの勉強をしてました。

 一護フラグのほうも順調で、小五の三学期あたりからなんか一緒に帰ろうとすると照れるようになってきました。

 ちなみに妹二人も大きくなりました、今では私のことをお姉ちゃん、翔姉と呼んできます。

 そうそう、私の体のほうも順調にエロく、いや女らしくなってきました、膨らんでくる自分の胸を見たときはムラムラ、いや複雑な気分になりました。いやーそれにしても男だったころはまさか自分の体に欲じょ――いや興ふ――いやドキマギするとは思いもしませんでした。
 そういえばたつきちゃんも少しずつ体が女らしくなってきました。体育の時間に着替えるときに視姦、いや確認しました。

 あと重大な変化がありました、男の体にも興ふ、いやもういいや、興奮するようになってきました。
 男にドキドキするのか確認するために、一護の着替えとか覗いてたら気づきました。

 女に興奮できなくならないかがとても心配です、できれば両方に興奮できる女になりたいのですが。









 「というのが現状です、おねーちゃん。フトモモスリスリしたいです」

 「大半が変態報告な気がするんだが。膝枕ならいいぞ」









 第八話









 修行を始めて五年、といっても体作りみたいなもんだけど。とりあえず体力と根性はついた気がする。

 虚の力は封印したいところなのだが、完全に死神の力とかと融合してるので無理。
 そのうち内なる虚と戦わなくてはならないだろう。精神世界で。
 精神世界といえば寝てるときによく行って修行するのだが、現在は最初のような真っ暗な世界ではなく、大きな壊れたビルが沢山ならぶ廃墟になっている。服も死覇装だ。
 縦横滅茶苦茶な一護の世界とどっちがいいだろうか。

 今、私はヒビだらけのアスファルトの上でおねーちゃんに膝枕されている、あー気持ちいー。

 「ああ、あと4年くらいで本編かあ……大丈夫かなあ……フトモモ舐めても」

 「大丈夫でいるためにがんばってるんだろう? 少しは信じてみろ、自分と私とあの男の指導を。……ズボンを脱がす気か?」

 自分かー私自分信じたことあんまりないんだよね、前世からずっと。
 まあウラえもんとおねーちゃんは信じてるよ。

 「おねーちゃんの名前って聞いてもいいですか? パンツも脱いでほしいです」

 「ああ、そろそろ聞こえるかもしれないな。だが今のは聞こえなかったな」

 私は頭をおねーちゃんの膝からどかして座る。

 「私の名は、弓美(きゅうび)だ」

 九尾? それにしてはシッポもキツネ耳もないなあ。シッポも獣耳もない九尾なんてみとめません! 早く! 早くつけて!

 「あー一応言っとくが弓と美術の美で弓美だからな」

 あーなるほど。おねーちゃんのシッポ姿もキツネ耳も見られないのか。ぬか喜びさせやがってえええ!

 「普通に聞こえました。これで始解もできるんですか? パンツは脱いでくれないんですか?」

 「できるはずだ。元とはいえ斬魄刀だからな、練習してみるか。ベッドの上か布団の中でなら脱いでやろう」

 弓美さんはわたしに斬魄刀を渡す。ちなみにサイズは弓美さんが調節してくれている。
 鞘から抜いて両手で構える。
 
 目を閉じ、ゆっくり息吸って、吐く。









 「撃ち抜け! 弓美!」









 その瞬間、斬魄刀は持つ部分に白い鬼のような仮面がある黒い弓へと変わった。








 
 「できたな」

 「できましたね」




 できちゃったよ……でもなんか凄い不気味なんだよね! 張り付いてる仮面絶対虚の仮面だよね!
 
 「仮面だけ壊せませんか? それかクーリングオフしたいんですが、それか胸を触らせてください、生で」

 「無理だな、たとえ仮面を割ってもどうせ再生するだろうな。翔子が18歳以上になったらな」

 しかし弓か、いや名前聞いた時点でそうは思ったよ。
 でも私弓道なんかやったことないよ。弓道じゃなくてアーチェリーとかで使いそうな感じの弓だけど。
 
 「使い方も能力も見たまんまみたいですね。コート越しでいいので揉みたいですね」

 矢を放つまねをしてみる。すると青く光る矢が、ってクインシーか!

 「ああ、翔子の霊力を吸って矢を形成して放つ。ただ他の力がどう影響するかは知らないがな。優しくならいいぞ」

 コートを脱ぎながら弓美さんは言う。コートの下には、コートと同じように白黒のTシャツを着ていた。
 服が白黒なのは虚の力と死神の力を現してるのかもね。
 
 「うーん。虚の力が心配で仕方ないですね。そして揉みたくて仕方ないですね」

 「ああ、だがなにがあっても私がついているさ、あの男たちもな。ほらいいぞ」

 ~がついてるとかってどう考えても主人公のセリフだよね。まそれはそれとして。

 うおおー! おねちゃーん! うおおおーーーー!

 ……アレ?

 意識が遠ざかって……









 「胸がっ!」

 あ……あとちょっとだったのに……


 始解できた喜びとかは一瞬で消し飛び、弓美さんの胸を揉み損ねた悲しみだけが私の心に残った。

 朝起きてからの第一声が『胸がっ!』なのは自分でもどうかと思うけど。









 ちなみに今私は自分の家で寝ている。しばらく前までは黒崎家で寝てたけどね。

 さーて今日も一護を起こしにいかないと。


 寝ぼけて私の胸を触るイベントはいつ起こるんだろう。


 「おはようございまーす」

 「おう! グッモーニン! 翔子ちゃん!」

 「おはよう、翔子ちゃん」

 黒崎夫妻と朝のあいさつ。毎朝の恒例行事状態だ、これからも続くといいなあ。

 「毎朝悪いわね」

 「いえいえ好きでやってますから。むしろ毎朝私より起きるのが遅い一護にお礼を言いたいくらいですよ」

 「毎朝幼馴染に起こされるとは! 一護の癖に生意気だなあ!」

 「あら、あなたも私が毎朝起こしてあげているでしょう?」

 この二人は本当に仲がいい、見てるこっちが恥ずかしくなるくらい。

 「それじゃー起こしてきまーす」

 二階の一護を起こしに行く。


 「イーチゴー、おっきろー」


 一護の布団を勢いよく剥ぎ取る。

 「翔子……? 毎日毎日よく飽きなねえなあ」

 「一護の寝顔が見られるからねー、飽きようがないなあ」

 







 さーて今日も一日がんばろう。



[20987] 嘘予告~劇場版(笑)転生TSのお隣さん~
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/13 23:04
 それは、本来存在しないはずの少女。









 「初めまして、伊藤翔子です」

 「はじめまして、くろさきいちごです」








 「私は、死神だ」

 「あら、私も死神だったの」









 物語は、壊れていく









 「私は……死神を憎む」

 「どういうことだ! 観音寺!」





 倒れていく仲間。




 「我が生涯に一遍の悔いなし!」

 「チャド……まさかお前が負けるなんて……」





 傷つく大切な人達。




 「お兄ちゃん……助けて……」
 「一兄……助け……て……」

 「どうして……二人がここに……?」




 全ての黒幕。




 「くらえ……100億ペセタキャノン!」
 
 「卍解でも……勝てねえのか……!」



 そして現れる最後の敵。



 「一護……私ノコト、スキ?」


 「俺は……お前を取り戻す! 俺の魂に誓って!」





 「こんなやつらのためにこれ以上誰かの涙は見たくねえ! だから……見ててくれ……俺の! 卍解!」






 ――世界崩壊まで、あと1秒――





 「いくぞ恋次!」
 「おう! ルキア!」
 『卍解!』


 「クインシーの誇りにかけて……ここは通さない!」
 「黒崎君の大切な人は私の大切な人だから……卍解」
  
 
 「今回だけキスケにつきあってやろう」
 「夜一サン、キメ台詞、覚えてますか?」
 『ジャックポット!!』

 
 「勘違いするなよ一護」
 「お前は俺の中の虚! なんでお前が!」

 
 「斑目一角」
 「有沢たつき」
 
 『手前を殺す男と女の名だ!』

 「我が名はドン・観音寺。死ぬときまで覚えておくがいい……変身!」


 「俺の名を言ってみろ」
 「斬月のオッサン!?」


 「ケイゴ!」
 「ああ、行こう水色」
 『シンメトリカルドッキング!』


 「邪魔をするなコン」
 「お前の思い通りにはさせねえぞ! カイ!」









 劇場版BLEACH~転生TSのお隣さん。存在しない彼女~









 2010年134月67日公開。






















 ノリノリでやった、反省も後悔もしていない。



[20987] 九話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/29 13:27
 さーていよいよ中学生だ、中学時代には一護がチャドに出会ったり、井上(兄)がドシャーンだったり、たつきちゃんが織姫を助けたりとイベントが多いな。
 まあ私のメインイベントは織姫を助けることだろう、あの織姫をイジメてた奴らとはO☆HA☆NA☆死をしなくはいけないな。お話ではない、O☆HA☆NA☆死だ。

 あ、あと新能力が手に入りました。止血能力という中々使えるのが。これは私が元々持ってた力が崩玉パワーでパワーアップしたものらしい、効果はそのまんまで、止血するだけ。怪我は治せないけど血は止められる。
 どんどんチート化していく気がするよー

 ちなみに現在の私は身長平均、体重は秘密、黒髪を短めのポニーテールにした、スポーツ好きっぽい感じの女の子だ。
 自分に萌える日がくるとは思わなかったよ。








 
 第九話









 そんなわけで今日は入学式だ。今日はいつもと違う朝だ、何故かというと。

 「しょーうこー!」

 「おとーさーん!」

 毎日忙しい両親が久しぶりに帰ってきているのだ。
 黒崎家に行こうと玄関のドアを開けたら、お父さんが飛び込んできた。
 私はお父さんと抱き合う。

 「元気そうで嬉しいわ、翔子」

 「うん、お父さんとお母さんもね」

 こんなに両親と仲が良い中学生の娘っているんだろうか? 多分少ないだろうなー。
 私はもう向こうの両親には会えないだろうからこっちの両親にそのぶん親孝行したいのよ。
 ……そういえば母さんの誕生日だったんだよなあ、なんつー親不幸してんだろ、俺。

 「翔子!? どうした? お父さんに会えて嬉しすぎたのか!? ああ! 俺はなんて奴なんだ! こんな可愛い娘を泣かせるなんて!」

 「翔子……? どうかしたの?」

 あれ!? 泣いてた? 私泣いてた?

 「いやちょっとお父さんの服の糸が目に入ったみたいで……」

 「俺の服の糸め! 覚悟しろ! 翔子を泣かせた罪は地球より重い!」

 「そうならいいけど……なんでも相談してね?」

 わかってるってお母さん。
 でもこの話は正直墓まで持っていきたいくらい、話すとしても弓美さんだけで十分だ。

 そして、私は黒崎家へ、私が一護を起こしに行っているのは両親も知っている。
 ちなみにそのことを報告したら。

 「あら、すっかり通い妻ね」
 
 と、母さんは感心し。

 「なああにいぃ! 翔子! 変なことはされてないだろうな! う~ん、プニュッ、キャー! なことは起きてないだろうな!?」

 お父さん、まだ小学生ですから。今日から違うけど。

 







 そんなこんなで一護を起こし、入学式へ、ただその前に。


 「一護君! 娘が欲しくばこのお父さんを倒してみなさい!」

 「え!? いや俺達はそんなんじゃ!」

 「もう! お父さんたら」

 そんなやりとりがありました。









 入学式は退屈だった、メッチャ退屈だったどのくらい退屈かというと弓美さんと戯れたくなるくらい退屈だった。
 まあ織姫と同じクラスになれたのはラッキー。ちょうど席も近い、名前の順だからね。
 井上(兄)の死亡フラグを折るため織姫と仲良くならないとね。一応ウラえもんも色々対策を考えるって言ってたけど、やれることはやっておこう。
 一護の経験値が減るかもしれないけどそのくらい主人公補正でなんとかなるでしょ、仮どうにもならなくなったら私もがんばろう。
 確か事故があったのは誕生日のはず、何年のかは知らないけど。

 「私、伊藤翔子、よろしくね」

 「あ、わ、私は井上織姫。よろしく!」

 ふむふむまだ胸は大きくないな、これが巨乳になるのか。私が大きくしたいな。

 「井上さんの髪、凄くキレイでいいなあ……」

 触りたい、超触りたい、すっごく触りたい。指でサーッてやりたい。
 
 「うん! お兄ちゃんが褒めてくれたのが嬉しくて、伸ばしてるの!」

 笑顔が可愛いねー中一に萌えるのはやっぱりいけないのだろうか。
 大好きなお兄ちゃんが褒めてくれた自慢の髪なんだろうね。
 
 まーそんな感じで髪について話したりして好感度アップをねらう。



 次の席替えをするころには「翔子ちゃんと席離れるの嫌だな……」って言われる程度にはなりました。ヒャホーイ。









 で、とある日のこと。





 私とたつきちゃんが放課後、帰ろうとしていと。

 「たつきちゃん、あれ」

 「何? 翔子」

 私が指さした先には。




 「おまえの髪の色が気にいらねえんだよ!」
 「や、やめて下さい!」

 今まさに髪を切られそうな織姫が。
 
 「たつきちゃん、一護呼んできて!」
 「いやあたしが行くから翔子が一護呼んできて!」
 「いやここは、空手部で足が速いたつきちゃんが!」

 「なに見てんだゴラァ!」

 気づかれたー。
 織姫を囲んでた奴らがこっちによって……ってブサ! 全員ブサ! なんてブサさなんだ! 見ているだけで精神的ダメージが! まさかこれが奴らの作戦か!? 見た目と違って頭が良いみたいだな……。
 
 「翔子ちゃん!?」

 織姫が私に気づいた、涙目だった顔がパアァッと明るくなる。

 「何? 友達助けに来たわけ?」
 「泣けるねー」

 えーと人数は1、2、3、……10人か。

 「先生ー! 先輩方が新入生イジメをしていらっしゃいます」

 「先輩舐めてんの?」
 「テメエも良い髪にしてやろうか?」
 「ふざけてんじゃねーぞ?」

 先輩方ABCDがよって来るが全く怖くない。虚と比べれば戦車とハムスターの赤ちゃんくらいの差があるからな。

 「ふざけてんのはお前等だろ!」

 たつきちゃん怒ってるなー。私も怒ってますよええ。

 先輩Aが私の胸倉をぐいっと掴む。
 先輩B(デブい)もたつきちゃんの胸倉を掴む。

 「イジメ菌が移るー先輩からイジメ菌が移るー」

 「先輩舐めてんじゃねーぞ!」

 先輩Aの右ストレートが私の顔面に……当たらない。

 「……何……だと……?」

 私の右手に拳を受け止められた先輩Aは驚愕している。
 
 「ひでぶっ!」

 先輩B(デブい)は某ハート様のような悲鳴をあげて転げまわっている。たつきちゃんの鉄拳が炸裂したか。

 「覚悟しろよオマエ等……」

 拳をバキバキ鳴らしながら先輩方ににじりよっていく。

 「ハア? この数に勝てるとか思っての?」
 「覚悟すんのはオマエ等だろ」

 先輩方は私達を思いきりバカにして笑う。しかし私は思う。

 敵をバカにするのは死亡フラグだと!


















 やつぱり先輩方はフルボッコになった。死亡フラグ立ててたから当然だね。

 「ありが……っとう……翔子ちゃん……っ」

 「ほらほら、泣かない泣かない」

 織姫に抱きつかれてヒャッハー!

 「あーあんな奴らに怪我するなんて恥だなー」

 「たつきちゃんもまだまだってことじゃない?」

 たつきちゃんは軽く怪我(痣とか)したので保険室へ。

 私? たつきちゃんががんばってくれたのであんまり怪我は無し。
 後で何か奢らないとね。

 さーてこれで織姫に恩を売れた。これで織姫が一護を好きになっても身を引いてくれるだろう。
 織姫のヒロインフラグは折れたも同然!










 尚先輩方は今回の件がトラウマになったのか大人しくなった。

 一人を除いて。




 ちなみに先輩方はほとんど二年だったらしい。こういうのも中二病に……入らないかな。









 「一護ー」

 「なんだよ」

 今私は一護の部屋のベッドでゴロゴロしている。

 「女の子が自分の部屋のベッドでゴロゴロしてんのってどう思う?」

 「べ! 別にどうも思わねえよ!」

 ほーそうですかそうですか、顔が赤いのは見間違いかなー?

 「ふーん……なんとも思わないんだー」

 「なんとも思わねえよ!」

 「悲しいなー私は結構ドキドキしてるのに」

 実はちょっとだけではあるがドキドキしている。多分思春期だからだろうね。
 精神的にはアレだけど肉体は13の女の子なんだよね。

 「な! 何言って!――」

 「じゃーねー」

 私は一護の言葉を遮るようにして、部屋を飛び出していった。



[20987] 十話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/29 13:30
「いやーやっと特製義魂丸が出来たっスよ」

 地下勉強部屋での修行を終えた私はウラえもんから義魂丸が入ったキーホルダーを渡された。
 なんでも私の性格等を今までの修行から導き出して、可能な限り私に近い性格にするために時間がかかったらしい。
 いいもの作ってくれるじゃないの。
 私は義魂丸が入った、ひし形で透明な小さいケースのキーホルダーを見つめる。
 いやーこれで虚に襲われても心配ないな。まあ普段は霊力抑えてるけどね。

 今の修行はいつものルームランナーに加えて包丁人形達と戦ったりもしている。

 そして私に死神の戦術のうち3つがどのくらいの才能かが判明した。
 拳、走、鬼の三つのうち、拳は平均以下、走は天才、鬼は零。

 ぶっちゃけ鬼道は一つも使えないだろうと言われた。
 ただ、霊力のコントールが出来ないわけではない。単純に鬼道を使う機能そのものが無いようなものらしい。
 虚パワーとか混じってるからね、仕方ないね。

 白打も実戦ではまず使えないレベル。対チンピラ専用だ。

 だが走は間違いなく天才。何故かって?











 瞬歩覚えました。









 第十話









 いやー覚えちゃったよ。瞬歩。他の死神さん達涙目だねこれは。冗談抜きで。

 そのうち卍解とかもでちゃったりしそうで怖い。

 「っていうかもう既に具象化は出来てるんだよね」

 自分の家で寝るようになってからはさわさわしながら寝てるから。
 
 自室のベッドで寝る前にそんなことを考えていると。

 「ああ、あとは私を屈服させられるかだな」

 弓美さんがニヤリと笑いながらベッドに腰掛けている。

 「いやまだやりませんよ、別の意味ではやりたいですけど」

 「ある程度の力がついたらやってもらうぞ。別の意味のもいつかな」

 童貞卒業が決定しました。









 そしてまたある日の休日のことなんだけど。

 「この前はよくもやってくれたねー」

 人気のないところでこの間のブサ先輩に路地裏に連れ込まれました。

 「こいつか? 弱いくせに調子のってんの」
 「意外とカワイイじゃん」
 「俺の女によくもやってくれたなー!」

 ブサ男達も一緒だよ! 性格も顔もブサいねー、特に性格は整形してもゴキブリ以下だね。
 『俺』もブサだったけどここまで酷くなかったぞ。

 「ああ……なんかあまりのキモさにゲボりそう」

 「ハア!?」
 「オマエまだ調子のってんの?」
 「ゲボるとかうけるー」

 ゲボッていいの? 私ゲボるよ? マジでゲボる自信あるよ?

 ブサ先輩はたつきちゃんは強かったけど私は弱かったことをよーく覚えてやがった。
 だから私にだけこうして襲いかかってきたようだ。
 ちなみに他の先輩達はたつきちゃんが怖いので大人しくしてるらしい。


 まーこの程度の奴等は修行でパワーアップした私の手にかかればフルボッコだ、ウラえもんの修行は肉体にも意外と影響してたしね。

 しかーし! あともう少しすれば一護が通りかかる。
 少し探れば一護が近くにいるかはすぐわかる、垂れ流しだから。
 そしてどんどん近づいてくる! のもよーくわかる!

 これを利用しない手はない。

 さあこい! こい! こーい!


 「何やってんだ……手前等アッ!」

 キター! 主人公キター!


 「なっ! お、お前は!」
 「黒崎一護!」
 「ちょうどいい……やっちまえー!」

 ブサ男どもは一護に向かって行く。ハッハッハ! 雑魚キャラが主人公に勝てると思っているのか!
 それにしてももう有名人なんだね一護は。

 こっそりと私は路地裏のさらに奥に移動しておく。

 「オラァ!」

 一護の拳がブサ男Aの顔面に炸裂。

 「フンッ!」

 一護の蹴りがブサ男Bの腹に吸い込まれる。

 「この野郎!」

 ブサ男Cが一護に殴りかかる……が、一護はそれを軽く避ける。

 「ウラッ!」

 ブサ男Cは顎にアッパーをくらい、倒れた。

 一護は経験値を1得た。
    
 
 「ひいいぃっ!」

 ブサ先輩は怯えて逃げ出した。
 次きたら私がフルボッコにしよう。

 「おいっ! 翔子! 大丈夫か!?」

 「一護……あーちょっとこっち来て」

 一護からは見えないように、路地裏の奥の曲がり角のところまで移動しておいた私は一護を呼ぶ。
 一護が来る前に服を少し乱れさせておく。
 フツーのTシャツとフツーのスカートという実に適当な服装だが、少し乱れさせるだけでなんて色っぽいんだろう。

 フッフッフ……くらうがいい!

 潤んだ瞳+着崩れた服というスーパーコンボを!

 「翔子!? 悪い! 遅くなっ――」

 「一護っ……!」

 胸に飛び込みひしっと抱きつく。

 「しょ! 翔子!?」

 一護が慌てて引き離そうとするが、逆にひしっとしがみつく。

 「うっ……ううっ……」

 スーパー嘘泣きタイム。

 「ごめんな……遅くなって……」

 優しく肩を抱いて頭を撫でてくれる一護。ああ、なんか安心する。

 「ううん……ありがとう……信じてたよ……来てくれるって……」

 「あの日誓ったからな……」

 その後も一護は私が嘘泣きをやめるまで、ずっと優しく頭を撫でてくれた。

 



 「もう、大丈夫」

 私が離れると一護は

 「本当に大丈夫かよ……」

 と、心配そうに見つめてくる。

 「うん、でも」

 「でも、なんだよ?」

 手を伸ばしながら私は(震えさせるのがポイントだ)

 「手、繋いで欲しいな……」

 「なっ!――そんなことできるわけ――」

 一護の言葉が途切れる、震えてるのに気づいたな。

 「……わかった……今回だけだぞ!」

 「ありがとう、一護」

 握ってくる一護の手は、とても暖かかった。
 








 私達は、さっきあった嫌なことを忘れるくらい楽しい時間を過ごした。








 「今日は楽しかったよ、一護」
 
 黒崎家についた。いやー楽しいデートだった。まさか初デートが男ととはね。

 「あ……ああ……ホンットーに大丈夫なんだな?」

 一護は何度も聞いてくる。

 「だから大丈夫だって、……一護の愛のおかげで」

 「んなっ! かっ! 勝手に言ってろっ!」

 照れて顔背けて、そのまま家に入っていく一護。

 「……可愛いなあ……」









 現実の男を可愛いと本気で感じたのは、今この瞬間が初めてだった。



[20987] 十一話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/29 13:35
 さーてもうすぐ織姫の誕生日、そして井上(兄)が事故る日だ。
 一応ウラえもんも対策たててるらしいけど、私も私で色々やるつもりだ。
 兄妹分ということで、交通安全のお守りを織姫に二つ渡しておいた。プレゼントしてから毎日ちゃんとつけてくれている。嬉しいねー。
 でも流石にお守り程度では意味がなさそうなので、織姫に事故のことを不吉な夢を見たと言って伝えておく。
 さらに弓美さんに頼んで見張ってもらっておく。私から離れても具象化できるのかとか、色々疑問はあったけどなんか普通にできた。

 ああ、でも正直井上(兄)を死神化してストーカーして見張っていたいくらい心配だなあ。
 でも、死神になってるとこ他の死神とか知り合いに見つかると面倒ごとになるんだよね。


 






 第十一話









 ああ……大丈夫かなあ……いやウラえもんも対策立ててるらしいから大丈夫だとは思うけどなー、いやでもなー。
 
 「オキローオキローイチゴオキロー。オキ――」

 「だー! 起きてんだろうが! いつまで揺すってんだ!?」

 おっと、うだうだと心配してたらうっかり揺すりすぎた。

 「何か悩んでんのか?」

 一護が顔を覗きこんでくる、ウホッいい男。

 「いや、ちょっと変な夢見てさー」

 「どんな夢だ?」

 わりと心配そうに聞いてくる一護。いやー主人公に心配されるのは気持ちいいね。

 「一護が私に……いやこれ以上は言えない!」

 「俺に何させてんだァ!?」

 「言えることがあるとすれば気持ちよかったってことくらいだね」

 「なっ――!」

 真赤になって言葉を失った一護を尻目に私は部屋から出ていった。




 その後朝食食べて普通に学校に行った。確か原作だと織姫が井上(兄)背負って黒崎家に来たはず。
 で、確か一護がそのこと覚えてるんだよね。


 でも、何もなかったから井上(兄)は大丈夫なはず。


 ――大丈夫だったぞ――

 おお、突然脳から美声が、いつのまにか弓美さんが帰ってきてたらしいな。

 ――事故にあいそうにはなったが、たまたまとおりかかった筋肉モリモリでメガネの大男が助けたぞ――

 テッサイさんに見張らせてたのか、ウラえもんとテッサイさんGJ。

 よかったなあ……本当に。
 
 織姫って笑顔が超可愛いからなー、織姫が泣いたりするトコは見たくない。
 ああ、そういえばたつきちゃんと織姫を襲ったあのクソ虚はどうしてくれようか。
 石田じいちゃんはもうどうしようもないらしいんだよね。何しろ監視されてるらしいからウラえもんも私も下手に動けないんだよね。

 まあウラえもんも尸魂界にいたときに多少の対策はしたらしいけど、あんまり効果ないだろうって言ってた。

 それに、あのまき餌イベントを起こさないと色々問題も出てくる。ってウラえもんが言ってた。

 まーとりあえずあのイカヤローは私が串刺しにしてやりたい。


 
 

 


 
 「あっおはよう翔子ちゃん! ねえこれ見て!」

 教室に入るやいなや織姫がヘアピンを見せてきたあれ? 確か気に入らなくて喧嘩したまま死に別れたんじゃなかったっけ?
 もしかしたら私が介入したせいかもしれない。

 「ヘアピン? 似合ってるね」

 きっと今まで織姫に違和感があったのは胸のサイズのせいではなくヘヤピンがなかったせいだろうね。

 「この子さっきからずっと自慢してんのよ」
 
 たつきちゃんが少々呆れながら笑っている。

 「うん、だってお兄ちゃんからのプレゼントだもん!」

 もの凄い笑顔、今まで見たことないくらい笑顔。
 あーこんな笑顔みてると渡しにくいな。
 私もちゃんとプレゼント用意してる。自作の小さいキツネのぬいぐるみを。
 弓美さんが獣耳も尻尾もつけてない悔しさから、名前を知った日からがんばって練習したものだ。
 女の子の体なおかげか、それとも弓美さんだと思って作り続けたからなのか、それなりにカワイイ。
 まー弓美さんやたつきちゃんや織姫の足元にも及ばないけど。

 「あんたも持ってきたんでしょ? 早く渡したら?」
 
 私がプレゼントを渡せないでいるとたつきちゃんがいいこと言ってくれる、よーしこれで渡しやすくなった。

 「えっ! 本当!? 翔子ちゃん!」

「あーそのヘアピンほど立派なもんでもないけどね」

 ちょっと遠慮するように鞄から小さめの箱を取り出して渡す。

 「なーにいってんの、手作りなんでしょ」

 「ええっ! そんな悪いよ!」

 「いやいやできがあんまりよろしくないからちょっと恥ずかしいけどね。ああ開けていいよ」

 織姫はさっそく開ける。そしてキツネのぬいぐるみを取り出す。
 織姫の元々嬉しそうだった顔がさらに嬉しそうに。ああ、抱きしめたい。

 「うわあ……かわいい……」

 「へー上手い――って何つけてんだ!」

 たつきちゃんにチョップでつっこまれた。

 「何故!」

 「コレよコレ!」

 たつきちゃんがキツネのぬいぐるみを見せてくる。

 キツネのぬいぐるみは板を持っている。

 安産祈願と書かれた板を。

 「織姫の幸せを祈りました」
 
 「十年早いわ!」









 織姫が赤ちゃん生むのはいつかなー。

 「っていうことがありました」

 「何つけんてんだオマエは……」

 一護に呆れられました。
 
 「いやーでも結構大事だよ、安産は」

 「いや……まあそうかもしれねえけど……」

 おや、一護が照れてるみたいだな。
 まあ出産するまえにやることを知ったからね。複雑なお年頃なんだろうね。

 「私も将来子ども生むのかな……――の子どもを」

 「おい今なんつった!?」

 「何だろうねー」

 「何て言ったんだよ!」

 「もー言わない、恥ずかしいから」

 その後も聞いてこようとする一護をスルーして私は自分の家へと戻っていった。
 



[20987] 十二話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/29 13:37
 今のところはなーんの問題も起きていない。修行も順調で、いつ虚に襲われてもなんとかなりそうだ。まあ霊力抑えまくってるので襲われる可能性も低くなってるだろうけど。

 現に小一のときに襲われてからは一度も襲われていない。
 このまま平穏に過ごしたいけどそうはいかないだろう。なんたってブリーチの世界だからね。

 ああ……神様からチート能力もらってるオリ主さん達が羨ましい。いや、私も死神の力とか持ってるけどさ、多分強敵に一撃で蹴散らされるタイプの力だよ。

 まー某世紀末世界や海賊時代やうずまき忍者世界よりは、元の世界と普段の日常が大差ない分マシなんだろうけどね。
 
 少なくとも圧倒的物量の敵にロボットで挑むよりは遥かにいいな。

 あーでも某子供先生の世界でハーレムとかもやってみたいなあとか思わなくもない。
 








 第十二話









 時がたつのはあっという間だ。まさしく光陰矢のごとしだ。二年では一護と同じクラスになれずに落ち込んだり、織姫とたつきちゃんと別のクラスになったことに落ち込んだり、一護のクラスにチャドが来ることを知ってさらに落ち込んだりとか、それらの悲しみを弓美さんの胸で癒したりとか、色々あったけどなんだかんだで楽しかった。

 いやークラスの男子の一人が手に包帯巻いてきて「邪気眼が……疼く……!」とかやったのは笑った。
 
 その後5人にまで増えてコードネームとか決めたり裏切り者とか出てきたときは流石にひいたけど。

 女子にも「真紀……? 違うな、俺は闇の死者羅真魔(らしま)だ」とか言い出す猛者が現れたときも笑った。

 その後邪気眼ファイブと戦ってたりしたけどどっちが勝ったんだろう。

 ただ私に、前世で俺は世界を救った伝説の英雄だったとか、前世で俺の従者だっただろ、早く思い出せ。とか言い始める奴が現れ始めたときは流石に困った。

 とりえあず先生に相談してみたけどね。









 そんなこんなをしながら二年は終わった、多くの黒歴史誕生の瞬間を見れて楽しかったなー。









 さーてももう三年生だ。でも受験は正直楽勝だろう、だって二回目ですからー。
 でもちゃんと勉強はするけどね、一護と同じ高校に行くために。









 そして中学校生活最後にして最大のイベント、修学旅行の日が、やって来た。
 三年生では一護とチャドとたつきちゃんと織姫と同じクラスになれた、さらに修学旅行では同じ班になった。

 織姫の胸は既にかなり大きくなっていた、おっぱいおっぱい。
 サイズでは弓美さんを上回っている、なんて胸だ。でも美しさと柔らかさでは弓美さんのほうが上だな、比べなくてもわかる。あの胸は世界を征服できるレベルだ。まだ生で触ったことも見たこともないが私にはわかる。

 ちなみに私の胸もたつきちゃん以上にはなっていた。
 膨らんでいく自分の胸にムラムラして結構いじったからなあ。

 







 明日から修学旅行。

 お父さんに電話したら。

 「何いっ! 修学旅行だとお! 一護君が翔子のお風呂シーンを覗くイベントが発生してしまう! 今いくぞ翔子!」

 いいえむしろ私が覗きに行きます。

 「翔子、ちゃんと一護君と旅館を抜け出したりしないと駄目よ?」

 OK、既成事実を作って逃げられないようにします。


 






 そして寝る前の精神世界での修行。


 「あうー」
 
 地面に大の字になる私。

 「大分良くなってきたぞ、翔子」

 相変わらず弓美さんと修行してます。弓美さんと勝負をするのだが、今のところ一度も弓美さんに勝ったことがない。
 まあ弓美の使い方の練習のようなものなんだけどね。

 「いやーでもやっぱり怖いですね、虚と戦うのは。でも弓美さんの胸を触るためならがんばれます」

 「誰だってそうさ、戦うのが怖くない奴なんてそうはいない。ああそうだ」

 弓美さんはコートを脱ぎ、その美しく、大きい胸を撫で始める。
 エロイ、超エロイ、男ならエンピツが龍になっていたところだ。
 触りたい、揉みたい、埋めたい、挟まりたい。

 「もしも私に勝てたら生で好きなようにさせてやろう」









 その瞬間、私は。








 
 「な――っ!」









 風も音も超えた。









 「なん……だと……?」









 弓美さんの目の前で寝転がっていたはずの私は瞬歩を一瞬だけではあるが超えた速度で動き。

 弓美さんの背後に立ち、矢を何本も放っていた。

 矢は弓美さんの頭の周りを頭に沿うように飛んでいく、あと僅かでもずらしていれば弓美さんの頭は串刺しだっただろう。









 「……翔子、やはり翔子は……」

 「ええ……正真正銘の胸好きです……ね……」

 そこまでが限界だった、私は糸が切れた操り人形のように倒れ――

 「大丈夫か! しっかりしろ!」

 弓美さんが受け止めてくれた。ああ……柔らかい、胸だけじゃなくて腕とか手も柔らかい。

 「無茶しちゃいましたね……あづっ!」

 全身に鈍くも激しい痛みが走る。
 それだけではなく、足になにか水のようなつたう感触がある……出血までするとは……。

 「全く翔子は……無茶苦茶だな……」

 弓美さんは私に膝枕をして、右手で優しく頭を撫でて、左手でしっかりと手を握ってくれる。

 ああ……なんだか眠く……









 あれ? いつのまにか精神世界から帰ってきてた。

 「大丈夫か? 体は痛くないか?」

 弓美さんが心配そうに見つめてくる。

 裸でベッドの中にもぐりこんで。

 「ああ結構痛いです。胸を好きにしていいですか?」

 「そうか……いくら精神世界とはいえ、魂にそれなりに影響があるからな、そして魂への影響は入れ物の肉体にも多少影響するからな。……できれば手加減して欲しいが……約束だ」

 弓美さんはポンと私の頭の後ろのあたりに手をおき、ぐいと胸に押し付ける。
 そして耳元に顔を近づけて。

 「好きに、していいよ」









 ヒャッホオォォーーーーウ!!!

 ウオオオオォォーーーーー!!!
 








 「珍しいな……オマエが緊張して眠れないなんて、風邪でもひいたんじゃねえのか?」

 「はは……私も緊張するんだよ一護」

 珍しく起こしにこなかった私を心配する一護の視線が心に突き刺さった。


 ――自業自得だろう……あんなに乱暴にして……――










 精神年齢35くらいで初めて裸の女性と寝た夜だった。



[20987] 十三話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/29 13:38
 いよいよ修学旅行だ、京都楽しみだなー。そしてなにより楽しみなのがお風呂タイムだ。
 というかむしろお風呂タイムが一番の楽しみだ。ハアハア。TSしてよかった!

 いやーTS最高! ブリーチ世界最高! これで虚さえいなければな……。
 京都にもいるんだろうなあ虚……担当の死神さんにはがんばってほしいな。

 ブリーチ学園とかそんな世界はないかなあ、ギャグばっかで死亡フラグの欠片も無い世界。そんな世界に行きたかった。

 








 第十三話









 集合場所に行ったら、元気がないことを織姫とたつきちゃんに心配された。

 新幹線に乗ったら寝よう。昨日ちょっと乱暴にしすぎたせいで眠くて仕方ないんだ、あの美しい胸を好きにしていいなんて言われたら理性が吹っ飛んでも仕方ないよね。

 せっかく新幹線の席がたつきちゃんの隣なのに、少し残念だ。
 
 「たつきちゃん、私寝るから……」

 「わかったけど。アンタ全然元気ないじゃない。大丈夫なの?」

 たつきちゃんの純粋に友達を心配する心が今はダメージを与えてくる、普段だったらたつきちゃんのような美少女に心配されると興奮するのに。
 
 「あー大丈夫、ちょっと(弓美さんの胸に)興奮しすぎて寝れなかっただけだから」

 「小学生かアンタは」

 胸に興奮して眠れなくなる小学生なんて嫌だ。







 突然部屋にやって来た一護。そして私はいきなりベッドに押し倒された。

 「……翔子……」

 「いいよ……一護なら……」

 私達は唇を重ね――









 「翔子ー、ついたよ」

 たつきちゃんがゆさぶってくる。

 あとちょっとだったの……に……?
 あれ? なんで私悔しがってんの? 確かに一護イケメンだし私は男も女もいける女だけど。

 ……あーなんか思い出したら顔熱くなってきた……。

 妙にリアルな感触が残ってる。……特に唇に……

 てゆーか心臓も……ドキドキと……そうなのか? そうなのか?

 「顔赤いけど大丈夫? 先生呼んでこよっか?」

 たつきちゃんは優しいね。

 「あー大丈夫。ちょーっとだけ変な夢見ただけだから」

 軽く手を振って平気だと伝える。
 
 その後軽くフラつきながら新幹線を降りて点呼して、バスへ移動。

 さてどうしよう、これから団体行動なのだがガイドさんのいかなる話も今の私には通用しそうにない。
 現にバスガイドさんが京都について色々語ってるけど全く耳に入らないぜ!
 どうしてあんな夢を見たんだ私! 昨日弓美さんの胸をすき放題しただろ!


 今日は奈良方面の見学、そんなわけであの有名な鹿公園にやって来ました。

 さっそくみんな鹿煎餅買って鹿に集られてます。
 私は買わずにそんなみんなの様子を見て笑ってるんだけどね。

 「わあー! 可愛いー!」

 織姫にやたら鹿が集まってる。いやー織姫のほうが可愛いよ。
 スカートを狙ってる鹿がいる気がするが気のせいだろう。

 「ム……」

 チャドが鹿に煎餅やってる……でもどういうわけか食べてる鹿は一頭だけで、あとの鹿は明らかに避けている。
 チャド……動物にも怖がれたのか……。

 「スカートを狙うな!」

 あ、たつきちゃんがスカートを狙われてた。




 ……そんな感じで他の人達の様子を観察していたんだけど……あーなんか落ち着かないな……。

 ちょっと、他のクラスメートと離れてボーッとしていたら。

 「どうしたんだよ、翔子」

 一護が隣に来て声をかけてきた。

 一護の顔を見ただけで、心がさらに落ち着かなくなる。

 ああ、これはそうかもね。

 「んーちょっと疲れただけだから。大丈夫だよ」

 「ホントかよ……顔なんか赤いぞ?」

 言いながら顔を覗き込んでくるんじゃない。

 恥ずかしいだろ。









 その後の見学とかの間も、一護は私の近くにいた。いや、いてくれた。

 「オマエはいつもみたいにニヤニヤ俺をからかってりゃいいんだよ、……なんか調子狂うだろ……」

 私の調子を狂わせてるのは一護だけどね、夢の。
 
 「うーんそんなに元気ないかな、私」

 たつきちゃんにも織姫にも心配されたんだよね。

 「ねーよ。ったくいつもニヤついたり笑ったりしてるくせにどーして今日に限って……」

 なんでかって? 一護に押し倒される夢見たからだよ。

 「……いや寝不足で……」

 なんだか曖昧な感じの返事しかできなかった。

 いつなら、「心配してくれるの? 優しいねー一護は」とか言ってからかうのになー。









 見学が終わって、旅館についた後も私は落ち着かなかった。

 肝心のお風呂イベントは無事に興奮できた、勿論バレなように脳内でだけどね。
 「織姫の胸おっきー」とか言いながらちょっと触った。柔らかかったであります!









 そして妙な気分のまま消灯の時間に。
 部屋のメンバーは私、たつきちゃん、織姫、本島さん(羅真魔)の4人。
 本島さんが「こんなときに奴が……っ!」とか言い出したけどたつきちゃんが黙らせてた。

 他の部屋の人達は修学旅行の恒例行事、部屋移動をしてるだろうけど、私達には関係ないな。
 本島さんが「機関の会議が~」とか言ってたけど関係ない。


 


 そして、織姫も本島さんも寝たころ。

 「ねえ翔子……」
 
 隣で寝てるたつきちゃんが話しかけてきた。

 「なに?」



 「あんた、一護のこと好きなの?」

 
 
 「そう……みたい……」

 これが、初恋だった。



[20987] 十四話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/18 15:40
 「そっか……がんばりなさいよ?」

 たつきちゃんはポン、と私の肩を励ますように叩いた。



 安全ポジション確保のためにヒロインフラグ立てようとがんばってたら……。

 いつのまにか本気で好きになっちゃうなんてなあ……流石原作主人公。

 織姫! 私は負けない! いや、すでに一護が好きかは知らないけど。









 第十四話









 寝顔が可愛くない美少女などいない。そんなわけで早起きしてたつきちゃんと織姫の寝顔を観察しようと思う。

 まずは織姫から。

 織姫、胸が、胸の谷間が見えてる。
 昨日胸どころじゃなく色々みたけど風呂で見るのと、こう……ちらりと見えるのは全く違う。両方良いがエロさではちらりのほうが上だろう。
 挟んで良い? 何をとは言わないけど挟んで良い?

 誰も起きてないのをいいことにうっかり挟み込みそうになったけど、どうにか我慢した。

 さーて、次はたつきちゃんだ。胸のサイズは私よりも小さいが胸で重要なのはサイズではない、美しさだ。
 
 あと普段男まさりな女の子の無防備な寝顔はたまらないと思う。
 さーて観察観察。

 
 すう……すう……と寝息を立てているたつきちゃん。
 その顔はとても可愛らしく、普段の活発で男まさりな言動が嘘のようで、まるで兎や子猫のようってキスしていいですか? 抱きしめてキスして色々しちゃっていいですか?
 
 「あれ……翔子……アンタ早いわね……」

 あー起きちゃったか。
 ちっ。

 「うん、いつも一護起こしてるからね」

 「そうゆうことやってるうちに?」

 ニヤニヤと笑いながらたつきちゃんが聞いてくる。やっぱり女の子だから恋愛とかには興味あるのかな。
 
 「そう……なのかな……」

 いつ好きになったのかはわからない、気づいたのは昨日だけどね。

 







 その後着替えシーンをじっくりバレないように観察した。
 胸をさりげなく見るスキルがあがってる気がする。









 今日は班行動だ、楽しみだなー。
 でも行く場所は清水寺以外あまり興味がない。一回来てるしね。
 じゃあ何が楽しみかと言うと一護達と一緒に回るのが楽しみなんだ。








 「イーチゴー、私がいなくてもちゃんと起きれた?」

 いつも私が起こしているけど、寝坊するわけないよね、と思いながらからかうつもりで聞いてみた。

 「寝坊していた……」

 チャドが親切に答えてくれた。嘘!? 寝坊したの!?

 「チャド! 言うなって言っただろっ!」

 一護は私がいないと起きれないのか……一生起こしに行こうじゃないか。

 「そうかー、一生私が起こしに行こうか?」

 「何言ってんだよ、そんなにだらしなくねーよ」

 私の告白に近い言葉にも動じない一護。まあ色々ヤバ目な誘惑してるからこの程度じゃ動じそうにないな。

 「……いつも通りに戻ったな……」

 「うん、たつきちゃんのおかげでね」

 一護は優しく笑う。
 急にそんな顔するんじゃないよ。
 いつもしかめっつらだから、笑うとギャップで結構きくんだから。

 







 その後の班行動は、なるべくさりげなく一護のそばにいた。

 なんかね、私の心と下半身と上半身が一護を求めてるんだよ。

 前世も含めて恋なんかしたことなかったけど、恋って怖いね。

 







 そして今日もあっという間に終わった。
 明日は帰るだけなので、もう修学旅行は終わったようなもんか。

 







 二日目もあっという間に終わり、新幹線に乗り空座町へ。
 帰りの新幹線はたつきちゃんが先に寝てしまった。
 なので私も寝たふりして頭をたつきちゃんに寄りかからせた。起こさないようにそーっと、慎重に。

 弓美さんの胸とは別の心地良さがあった。

 あともう何ヶ月かで原作の本編が始まる。

 私は、できれば自分のこと以外も、たつきちゃん達も守りたいと思い始めていた。
 
 







 帰り道、修学旅行の思い出話をしながら歩いていると、あっというまに家の前で来てしまった。

 「それじゃ、またな」
 
 一護が家に入ろうとする、でも。

 「あ、ちょっと待って」

 私は荷物を一旦玄関の前に置き、一護の前に立つ。

 「なんだ――」

 一護の唇に私はサッと軽く唇を重ねた。

 「えへへ……私のファーストキス……一護にあげちゃった……」

 「おっ! お前っ! いっ、今……! 今何を!? 」

 あまりのことに顔を今までにないほど真赤にしている一護。

 「まっ! またね!」

 私は逃げるように玄関の扉を開けて荷物を持ってサッと入った。

 バタン、と少し乱暴に扉が閉じる。









 顔が熱くて、鼓動が激しい。

 「なんだか苦しいな……」

 誰もいない家で、でも誰にも聞こえないように小さな声で呟いた。



[20987] 十五話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/20 00:26
 あー! 体も顔も熱い、氷風呂に入れそうなくらい熱い。

 一護とのキスの後。両親に電話し、夕飯を食べお風呂に入り(シャワーで済ませてしまったが)ベッドへ潜り込む。

 昔は黒崎家と一緒に朝も夜も食べてたけど、今は夕飯は別に食べるときとがある。
 毎日夜もお世話になるのはなんか悪い気がするからね。
 一心さんは「反抗期!? これが噂の反抗期かあ!?」とか言っていたっけ。



 しかしベッドで目をつむっていても心が落ち着かず、全く眠れそうな気配がない。

 いつもは寝てから精神世界にいくのだが今日は、もう精神世界へいこう。









 第十五話









 精神世界では弓美さんが。

 「……良い……ああ……その不安で恥ずかしい、だけど嬉しいという表情が……たまらない……」

 私の目の前で、私が一護に押し倒されるという内容の映像をテレビで見ていた。
 テレビはガラス扉がついた台に乗せられており、その台にはビデオデッキがあり、どうやらビデオを再生中のようだ

 さては私が行きの新幹線で見た夢をビデオに録画してたな? そんな機能があるなら何故もっと早く言わない、織姫やたつきちゃんのお風呂シーンを録画したのに!
 
 それと何故第三者の視点の映像なんだろう、私の夢では私の視点だったのだが。

 「ああ……私も恥じらいながらキスされたい……」

 映像は私と一護とキスシーンに。これも第三者の視点だ、どうやって録画した?。

 ……意外と気持ちよかったなあ……。
 私が唇を触りながらあの唇の感触を思いだしていると。

 「もう一回……」

 ビデオが終わり、まき戻っていく。
 まき戻りは映像が短いせいかすぐに終わる。
 再生ボタンを押すため四つんばいになってビデオ台に近づく弓美さん。
 キレイでスタイルも良いお姉さんが四つんばいになっていると非常にエロイのはなんでだろう。
 
 私に気づいてる様子は全く無い。そんなに私の夢とキスシーンが良いのか。

 再生ボタンを押して元場所に戻ろうと振り返る。

 「……」

 私と目が合う

 「どうも」

 「いつもより早いな」

 スッと立ち上がると、弓美さんはテレビに手を置く、するとテレビとビデオデッキとテレビ台は溶けるように消えてゆく。

 「そんな機能があったんですか、今度盗撮――」

 「駄目だ! 駄目だ! 私は翔子以外撮りたくない!」

 「まあそれはそれとして何故第三者視点だったんですか?」

 それが一番気になった。まさか一瞬だけ具象化したとか無いでしょうね。

 「そ……それは……私の脳内補完で……」

 「便利ですね」

 脳内補完が使えるとは、何て便利なんだ。
 私だったら登場人物を全員私好みの服装にする。

 「弓美さん……」

 私はじりじりと弓美さんに近寄る。弓美さんはイケナイことがバレタ子供のような顔になって少しずつ後ろにさがって行く。

 ああ……いつもは頼れるお姉さんなだけにこういう顔や行動はギャップがあって可愛いなあ。

 「私……唇が寂しくて」

 さっきキスシーンとか見たせいでどうも……こうムラムラする、思春期の体は性的なことに良い反応をするみたいだね。
 
 私はガバッと弓美さんに飛びつく。

 「なにを――ッ! んっ! んんっ!」

 そのままその柔らかそうな唇に自分の唇を重ねた。いや唇を重ねるというより唇に吸い付くと言ったほうが良いな。










 すごく美味しかったです。
 一護とはまた違う味と感触を楽しませてもらった。









 「……あんまり乱暴にしないで欲しいんだがな……」

 私は今仰向けに寝る弓美さんに抱きついて、胸にぐりぐりと顔を押し付けている。
 ああ、心が落ち着いていく。
 
 「まあ、私に恋のことはわかないが……がんばれ」

 「はい。弓美さんともがんばります、性的な意味で」

 「もうがんばっているとは思うが。性的な意味ではもの凄く」

 私は弓美さんの上で静かに目を閉じた。











 「……いつのまに寝てたんだろ……」

 気がつけば朝だった。窓から気持ちの良い日が差してくる。

 今日は修学旅行明けで休み……というか日曜日、明日も振り替えで休みだ。
 今日はとても良い天気……ならやることは一つ。

 「よし!」
 
 私は気合を入れて黒埼家へ行く準備をする。
 服や洗顔等にも気合を入れる。









 「イーチゴー、遊びに行かない?」

 「おっ! お前っ!ちょっとこっち来い!」

 一護の部屋に入りながら言うと、一護が慌てて私を部屋の中に入れて扉を閉める。

 「翔子! 昨日の……そ、その……なんだ、あ、ありゃあ一体なんのつもりなんだ!?」

 真赤になっちゃって、可愛い奴め。

 「キスのこと?」

 「言うなああぁぁー!」

 叫ぶ一護。よほど恥ずかしいんだろう。

 「あーそのね、私はその、あんまり気にしないで欲しいな」

 「んなことできるか! 大体なんであんなこと!」

 どうやら昨日のキスは一護にとってとんでもない大事件だったようだ、多分不良に絡まれるほうが楽だったに違いない。

 「まー心配してくれたりしたお礼といつものお礼」

 「れ、礼なんかでキスすんのかよ! お前は!」

 「さーてねー、自分で考えて欲しいかな。ああそうだ、それより」

 私はすっと一護に近づいて顔を見上げる。背高いなあ。

 「なんだよ……」

 「一護と遊びに行きたいな」

 「は……?」










 デートに行こうと言うのとキスするのは違う勇気が必要だと思った。



[20987] 十六話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/20 15:31
 一護を遊びに誘うことに成功。
 
 「ぬぬ! 一護と翔子ちゃんとデートだな! 母さんいよいよこのときが!」

 「違う!」

 「あら、遅くならないようにね」

 「はい、楽しんできます」

 と、黒崎夫妻に見送られて家を出て行った。

 「ったくあのヒゲは……」
 
 「いやいや、恥ずかしいね、デートだなんて」

 デートとかいわれると恥ずかしい。それにデートは個人的に付き合っている人同士がやるっていうイメージがある。
 実際どうかは知らないけどね。
 








 第十六話










 「で、どこ行くんだ?」

 一護が今日の予定を聞いてくる、どこか緊張しているような気がするし顔もなーんかほんのり赤い。
 あれだな? 照れてるな? いつも起こしに来る幼馴染の美少女(笑)との二人っきりな状況に、思春期真っ盛りの一護は気が気じゃないわけだね?

 そして間違いの一つや二つ犯しても不思議ではないだろう? ホラホラ。

 「私は見たい映画と行きたい喫茶店があるんだけど、一護は?」

 ちなみに喫茶店は織姫からやたら勧められていた店。
 映画は実に心惹かれるかれるタイトルだったのでこれは見なければと思ったやつだ。

 「俺は……別に行きたいところも無えし、任せる」









 そんなわけでやってきました。映画館。

 今やっている映画は。

 怪人人間バッタ男 
 悪の秘密結社に怪人人間にされた主人公が脳改造の直前で逃げ出して、秘密結社と戦う話。バッタ男という部分に実に心惹かれる。
 私の見たい映画だ。

 竜騎士物語
 ドラゴンと契約を結んで復讐のために戦う元王子の物語。
 救いのない話とドラゴンの可愛さが魅力。

 鋼鉄歯車、固体
 恐ろしい兵器を持ったテロリストに占拠された島へ進入させられた男の話。
 敵に見つからないように進んでいく緊張感がたまらない。
 監督は大島監督というらしい。




 ……どこかで聞いたようなのがあってなんか安心したよ。
 ていうか大島監督て、鋼鉄歯車、固体って。
 
 他に色々あったけど今はとりあえずバッタ男を見よう。

 「で、どれが見たいやつなんだ?」

 「怪人人間バッタ男」

 「……やっぱお前女っぽくない趣味だよな……」

 失礼な。









 見ましたよ怪人人間バッタ男。
 早い話が大人向け○面ライダーでした。
 
 苦しみながら変身するシーンが最高でした。



 「なんつーか、どろどろしてたな」

 一護よそこが良いのだよ。でもやっぱ一護はアクション映画とか好きそうだね。
 まあもうすぐ自分がアクションやることになるんだけどね。

 「だがそこがいい」

 「そういうもんなのか? まあお前の趣味はよくわかんねえけど」

 「さーて次は喫茶店に行こうか、織姫から勧められたとこがあるんだ」

 







 私達は喫茶店へ向かう、私も行くのは初めてだけどあの甘いもの好きの織姫が勧めるくらいだから甘いものが多いんだろうな。

 







 織姫からもらった地図片手に探していたら意外と簡単に見つかった。
 ……もしもルキアからもらった地図だったらこうはいかないんだろうなあ。

 その喫茶店は若い男女、つまりカップルがやたら多い店だった。
 雑誌とかにデートスポットとして紹介されてそうだな。
 
 雰囲気も明るく、気軽にホイホイ入れる感じだった(ただしカップルと織姫に限る)。

 空いていたのは奥の席。
 窓際と奥の席のどちらが良いかとかは人それぞれだとは思うけど私は奥のほうが好きだ。
 
 一護は妙に居心地が悪そうだ、まーそりゃカップルが多いからねえ自分達は場違いだとか思ってそうだな。
 
 「なんっか……居心地が悪いんだけどよ……」

 「ああ、カップルが多いからね。でも気にすることないよ」

 私達もカップルに見えてそうだしね。とはなんか気恥ずかしいので言わなかった。

 私は全然居心地が悪くないのだが、これはさっさと出たほうがいいかな?

 そう思いながら食べる物と飲み物を選ぼうとして、驚いた。

 
 ホットケーキ
 つぶあんホットケーキ
 こしあんホットケーキ
 練乳ホットケーキ
 生クリームホットケーキ
 チョコレートホットケーキ
 
 闇のホットケーキ 
 光のホットケーキ
 邪のホットケーキ
 聖なるホットケーキ
 
 ホットケーキ好きにはたまらないな。でも私はホットケーキよりおはぎのほうが好きなんだ。
 とりあえず普通のホットケーキにしよう。

 えーと飲み物は

 コーヒー
 毒消し
 聖水
 ポーション
 きずぐすり
 エーテル
 灰ポーション
 
 うわーい。灰ポーションとかどう考えても回復しなさそうだぞー。

 とりあえずHPは満タンだし、状態異常にもなっていないのでコーヒーにしよう。









 その後はホットケーキ食いながら色々話をした。
 一護も普通のホットケーキとコーヒーだった。

 「受験勉強順調?」

 「ああ、勉強は目つけられないようにするために元々やってたし、大丈夫だろ」

 とか

 「一緒の高校行けるといいね」

 「小、中、も一緒で高校も一緒かよ」

 「できればずっと一緒がいいな」

 とか話した。

 喫茶店から出た後は適当にふらふらして帰った。









 で、あっというまに家についた。

 「一護」

 「なんだよ」

 「お互いがんばろうね、色々」

 「色々ってなんだよ」

 一護は苦笑しながら自宅へ帰っていった。



 「ただいまー」

 誰もいない自宅だがこうやってただいまを言うのをあんまり忘れない。

 「おかえりー」

 へ? あれ? この美女ボイスは?

 「おかえり、翔子」

 コートを脱いで新妻エプロンと狐耳と狐尻尾をつけた弓美さんが奥から出てきた。

 「いつのまに? そして何故具象化しているのですか? 襲って良いですか?」

 ちゃんと周りの家に聞こえないような声で言う。万が一黒崎家に聞かれたらヤバ過ぎる。

 「まあ朝こっそりとな、ああ翔子になにかあったときには一瞬で駆けつけられるから心配するな。精神世界でならな」

 弓美さんは一旦言葉を区切り私の耳元に口を近づけて。

 「……あんなにされたら責任をとってもらうしかないだろう?」

 成程私に責任をとらせるために具象化したのか。









 「とりあえず精神世界(布団かベッド)へGOですね」

 「ああ、そうだな」



[20987] 十七話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/21 19:24
 「ふー……」

 春休みのとある日。受験は無事一護と同じ高校に合格した。

 私は今浦原商店の奥でお茶を頂いている。
 夜一さんとウラえもんも一緒だ。
 ちなみにテッサイさんは店番、雨ちゃんとジン太君だけだとまーだ心配だしね。

 ちなみにこの世界のあの二人は例の赤ちゃんが成長した姿である。
 なので名前も浦原雨と浦原ジン太。あの二人と性格も見かけもほぼ同じなので原作のあの二人も浦原夫妻の子どもなんじゃないかと思った。
 まあジン太の髪は黒いけどね。
 
 今日はいつもの修行に加えて、もうすぐ原作開始なのでヨン様(汚)対策についても話し合っていたところだ。

 「平和ッスねぇ……」
 「平和じゃのう……」
 「平和ですね……」
 
 が、話し合いが終わればこうしてまったりと過ごす。

 ホントに平和だ、もうすぐ虚祭りとは思えない。









 第十七話









 「まーとりあえず浦原さんの策が成功すれば良いのですが」

 「成功しなくても崩玉はもう無いから戦力は減ってるでしょう」

 「ま、やれることをやることじゃな。翔子は特にな」
 
 そりゃそうか、私の戦闘力はあんまり高くない、スカウターで楽勝で測れるレベルだ、ボンッとスカウターを壊せるレベルじゃないと安心できない。

 ちなみに私の斬、拳、走、鬼は

 斬は未解放、つまり普通の剣術は平均以下、平隊員にも勝てない。しかし解放すれば一気に上昇するので雑魚敵が相手でも解放しっぱなしでいたほうがいいとのこと。
 というか解放しっぱなしじゃないと一瞬で蹴散らされそうだ。
 必死こいて解放しっぱなしでいられるようにがんばっている。

 拳はそのへんの不良レベル、ぶっちゃけ余程のことが無いかぎり役に立たない、しかも弓美さんの能力的に遠距離戦ばっかだからむしろ役に立つ機会があってはいけないくらいだ。

 走は相変わらず天才レベル、なので瞬歩で逃げ回りながら弓美さんで狙撃という戦法をとっている。もちろん使う機会が無いことにこしたことはないけど。

 夜一さんには敵わないがそこらの平隊員ではまず追いつけないし、席官クラスでも中々追いつけないくらい速いそうだ。
 私は夜一さんやウラえもんしか比べる相手がいないのであまり自信がないが。

 そして私だけの技、煩悩とエロパワーを使用することによって発動する恐ろしい速度の瞬歩がある。
 その名も零歩。名づけたのはウラえもん達だ。

 本気で零歩を使えば夜一さんすら追いつけない、ただし小回りがあまり利かない上体への負担が滅茶苦茶大きいので本気で使うときがあって欲しくない。
 手加減すれば体への負担も減るし小回りも良くなる。でも手加減しても消費するエロパワーは一緒なのはなんでだろう。

 エロパワーは弓美さんと精神世界でニャンニャンして補給できるが、MAXまで補給しても20秒分ぐらいが限界。

 あ、私が変態だということとか弓美さんのこととかはばらした。弓美さんのことは最近目覚めたということにしたけど。具象化できまくることもバラしたけど、まだ卍解修行するのはもう少し修行してからということになった。

 私が変態だとカミングアウトして、零歩使うのにエロパワーが必要だと知ったときに。

 「キスケを狙うなよ……?」

 と夜一さんにニヤニヤしながら言われたのはいい思い出だ。そしてその後弓美さんとニャンニャンするから大丈夫ですと言ったときの二人の驚いた顔もいい思い出だ。

 そして鬼道は全く使えない。私の魂が死神でも虚でも人間でもないかららしい。

 あとは私が元々もっていた能力である止血能力、血を止めるだけで傷は全く治せないが便利だと思う。

 私がヨン様(汚)に狙われないか、という心配についてだが詳しく調べないとただの死神にしか見えないのであまり心配は必要ないだろうとのこと。ただ解放した斬魄刀に虚の仮面みたいのがついているのでそれだけ気をつけるようにとのこと。


 次にウラえもんの策だが、基本は原作どおりにやって、ルキアに崩玉に見せかけて前もって仕込んでおいたヨン様(汚)とギンと東仙と、崩玉を取り出す道具の使用者のみを狙う細菌兵器で倒す。
 細菌兵器で倒せなくても隙くらいはできるはずなのでその隙に夜一さんと、できれば砕蜂さんとで一気に倒す。

 残りのウルキオラだっけ、とかはウラえもんが開発して現在も増え続けている人形達(包丁持ってたりする奴、これがかなり強い)や対虚用の兵器とかヴァイザードの皆さん達とか一心さんとかと護廷十三隊ががんばればなんとかなんだろーと。

 原作と他に大きく違ってるところは今のところ、崩玉が無いことと井上(兄)が生きてることと真咲さんが生きてることと浦原商店の戦力が半端ないことと私がいることかな。

 特に浦原商店の戦力は凄い、だって人形の中に「俺の名を言ってみろ」とか「レグナーッ! 聞こえないか……」とか「超変身!」とか「ジュワッ!」とか「行きまーす!」とか「光になれええぇぇー!」とか言ってるのがあった。

 色んな意味でやばすぎる。一名以外主人公補正がかかるやつらばっか。

 「生き残れるようにがんばりますよ、一緒にいたい人もできたことですし」

 「なんじゃ? 惚れた男でもおるのか」

 夜一さんがずいっと身を乗り出して聞いてくる、その様子は知り合いの若い子の恋バナに興味津々のオバち――いやお姉さまのようだ。

 「ええ、好きな人が出来ましたよ」

 「ほー、しかしお主のように色事が好きな女に惚れられるとはな……幸せ物なのか不幸なのか」

 「エロいことならがんばるのですが」

 とかなんとか恋バナで盛り上がった。
 ウラえもんと夜一さんの惚気話も聞けてよかった。











 「ところで注文しておいた着せ替え変身バッタ男は届いてますか?」

 「あ、届いてるッスよ」

 着せ替え変身(装着変身とも言う)バッタ男を買った。
 









 そして入学式。

 「おー同じクラスだ」

 「やったあ!」

 「一護達も同じかあ、騒がしくなりそう」

 私は見事に一護達と同じ1-3になった、いやー嬉しいなー。

 「さーて織姫、たつきちゃん、さっさと行こうか」

 「え、もう?」

 「もう少し見てったら? まだ知ってる人いるかもよ」

 いやいやたつきちゃん、早くいかないと一護&チャドVS不良の皆さんに巻き込まれる可能性があるんだよ。
 私は二人の手を握ってぐいぐい引っ張っていく。女の子の手は柔らかいなあ。

 「一護とチャド対不良の皆さん戦いに巻き込まれそうだからね」

 「あー成程」

 そんなわけで教室へGO。









 席順は名前の順、なので当然私達三人は近くになる。
 
 教室につくと石田君が既にいた、真面目なのか友達がいないからさっさと来たのか。
 
 やっぱり原作の人に会うのは心が躍る、石田君イケメンだしね。
 私は男にも女にも興奮できるナイスな女なのだ。
 ああ真面目で純な石田君にあんなことやこんなことをさせたりしてみたい。

 一護にはしてあげたい。

 なーんて思っても顔には微塵も出さない。
 エロは脳内でするものです。
 決して現実世界に持ち込んではいけないのです。
 それがわかってない痴漢達には変態である資格は無い。

 織姫が石田君に笑顔で元気よく挨拶している。
 石田君は織姫の元気さに少し戸惑ったが普通に挨拶を返した。

 んで私達も織姫が石田君に紹介されたのだが、どうも石田君は「そ……そうなんだ……」とか「へ、へえ……」とか曖昧な感じの返事しかできていない。

 さては織姫の胸や笑顔に圧倒されてるな? 今まで女の子とかに、ていうか人と話すことにあんまり縁がなさそうだしね。

 そんなんじゃフラグを立てることは出来ないぞ、石田君。









 そんなこんなで入学式は無事終了。家に帰る。

 もうすぐ原作開始か……ルキアと織姫には負けられないな……。


 






 「さて、弓美さん、ちょっと良いですか?」

 深夜、黒崎家が寝静まったころに起きて弓美さんを具象化させる。

 「なんだ? 夜の相手なら昨日したはずだが?」

 随分お盛んだなあといわんばかりにニヤリと笑ってる弓美さんの肩をがしっと掴み。

 「今から弓美さんを屈服させたいと思います」

 「……なに?」

 「出来れば声ださないでくださいね?」

 正直怖くなってきたんだよね、受験の日が近づいてきた中学生みたいに。なので卍解を習得したいと思う。
 勿論こんな方法で習得できるとは思わないけど。

 グイッと弓美さんをベッドの中に。















 「いや、まて、ちょ…………アーッ!」



[20987] 十八話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/22 15:25
 「イーチゴー、起きろー」

 ゆさゆさ、ゆさゆさといつものように翔子のやつに起こされる。

 こいつは毎日毎日起こしに来る、小学校のころからずっと。よく毎日そんなに早く起きれるな。って前に言ってみたら「一護の寝顔が見れるから楽しいよ」とか言ってきた、俺の顔はそんなに楽しいのか?

 「一護、翔子ちゃん、ご飯できてるわよ」

 「グッモーニンッ! イッチ――」

 居間に下りるなりいきなりドロップキックをかましてきた親父を蹴り飛ばす。
 
 毎朝親父がドロップキックかましてくる家がどこにあんだ?









 第十八話 視点 一護









 「イッチグォー! 爆発しろお!」

 放課後、ケイゴが「彼女持ち氏ね!」と書かれた黒いボールを投げつけてくる、だから俺と翔子はそんなんじゃねえ!

 「だから違うっつってんだろ!」

 黒いボールを受け止めて投げ返す。

 「ヘブォ!」

 ボールは顔面に勢いよくぶつかりケイゴは情けない声をあげながら倒れる。
 
 「あ、今日もやってるの?」

 水色が呆れながら近づいてくる、俺だってやりたくて毎日ケイゴに襲撃されてるわけじゃねえよ。

 「お前もケイゴに言ってやってくれよ、そんなんじゃねえって」

 何度言っても「いーや嘘だ!」とか言ってくるんだよな。

 「はは、でも毎日起こしてもらって一緒に登下校してるんだから付き合ってるようにしか見えないよ?」

 仕方ねえだろ、翔子の奴が別々に帰ろうって言うとなんか悲しそうな顔すんだから。

 


 「なん……だと……?」

 「相性が……最高……? あたしと伊藤が……?」

 「千鶴!」

 「翔子!」

 ふと、翔子のほうを見てみると、誰だ? なんか眼鏡かけたやつと手を取り合ってる、お前ら仲良いな。

 と、そろそろあの子に会いに行くか。

 
 「あ、か……帰るの!? 黒崎君!」

 「おう! ちょっと用事がな! じゃな井上!」

 帰ろうとする俺に気がついた井上が声をかけてくる。
 井上はいつも笑顔だよなあ、翔子もニヤニヤしてないで井上を見習えよ。

 「じゃ、私も帰るね千鶴ちゃん」

 「翔子! あんたの家に行っ――」

 「それは駄目」

 俺に目ざとく気づいた翔子が俺を追いかけてくる。

 「……行くの?」

 「ああ、約束したからな」

 昨日会った子供の霊に飛行機をやる約束をしたことをこいつは知ってる。
 
 「押入れにたまたまあったんだっけ?」

 「ああ、自分が死んでわんわん泣いてたからよ、飛行機やる泣くなって言ったら凄え喜んでよ」

 今も楽しみにして待ってんだろうな、早く持ってってやろう。









 「……なんで、消えてんだよ……」

 昨日あの子と会った場所、そこにあの子はいなかった。
 変わりにあったのは俺と翔子にだけ見える血の痕。

 「……ああホントに来てくれたのかい兄ちゃん」

 後ろからじいさんの声が聞こえる。多分昨日あの子と一緒に会ったじいさんだろう。

 「スマンね、あの子消えちまった」
  
 振り返ると、そこにはやっぱり昨日のじいさんがいた。
 翔子が軽く会釈をしてる。

 「……ああ」

 


 俺は霊が見える、こいつらに触れる、こいつらと言葉を交わせる。
 
 「……ムダになっちまったなあ、その飛行機」

 ただ、それだけだ。

 「いーって、どうせウチの押入れにあったモンだ」

 こいつらは時々こうして消える、どうして消えるのかはわからない、時折、その場に残るのは、俺と翔子にだけ見える血の痕と痛みに似た感情。

 いくら体を鍛えてもこいつらのことは護れない。

 「……仕方ねえさ……これやるよじいさん」

 「いらんよ……あんたがもういらんのなら……そこに置いてやっとくれ……」

 飛行機を血の痕の上にそっと置いてやる。
 誰かが死んだ場所に花やジュースなんかを供えるように。

 でも……俺はわかってる……ここにはもうあの子がいないことを。

 昨日、ここで俺と話してたのにな……。









 「ムダなんかじゃないよ……」

 じいさんと別れて家に帰る途中、ずっと黙ってた翔子が突然喋り始めた。
 ……何がムダじゃないんだ?

 「あの飛行機は、ムダなんかじゃないよ、その子喜んでたんでしょ? 笑ってたんでしょ? だからさ、あの飛行機も、一護がやってることもムダなんかじゃないよ……」

 「けど……俺は……」

 そうだとしても俺はできることならあの子を護ってやりたかった。
 あの、泣いていた子を。

 「だからさ、私上手く言えないけど……そんな泣きそうな顔しないで……」

 いつの間にか手をつながれてた。

 「うるせーよ……」

 つながれた手は暖かかった。









 「よーしわかった! んじゃ明日もっかい来てやるよ!」

 「だからもう大丈夫だよ」

 「ありがとう……おにいちゃん、おねえちゃん」

 「いーから泣くなもう、な」

 ぐりぐりと泣いている女の子の霊の頭を撫でてやる。頭から血が出ててるけど、女の子は痛がってないみたいだった。

 「そうだよ、女の子が泣くのは出産のときと男の子を騙すときなんだから」

 「お前は何言ってんだ!」

 ったくこいつは! 女がこんなとこでその……出産とか言うな! そして子どもに変なこと教えてんじゃねえ!

 「いや天国いっても困らないように武器をだね」

 「んな武器はいらねえ!」

 「あはは」

 いつのまにか女の子が笑ってた。










 力が欲しい

 手を伸ばしても護れないのなら

 その先に握る刃が欲しい

 運命を砕く力はきっと









 振り下ろされる 刃に似ている














 おまけ 伊藤翔子の欲しいもの

 エロが欲しい
 手を伸ばしてもヤレないなら
 その先に握る胸が欲しい
 心の壁を砕く力はきっと

 
 揉みしだかれる 胸に似ている


 おまけ2 弓美さんの欲しいもの

 翔子が欲しい
 手を伸ばす前に触ってくるけど
 それより先に握りたい
 貞操を砕く力はきっと
 

 突き進む 愛に似ている



[20987] 十九話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/23 21:45
 いよいよ原作開始です。

 あの頭から血を出した女の子の霊を助けるのが一話の冒頭だから間違いない。

 そんなわけで今日は余計なことしないように浦原商店で少し打ち合わせしたあと自宅待機します。ルキアを見たい気持ちが無いわけでもないけどそんな理由で大事な事件の邪魔しちゃいけないしね。

 ウラえもんは例の特性義骸を用意している。さらに一話で虚に食われた女の子の霊も魂葬させるらしい。
 私もあの女の子見て思い出したんだけど一護と別れた後になんか食われたっぽいんだよね。

 さーて今日はじっとしてないと。









 第十九話









 さて、虚襲撃イベントまで暇だな、まあイベントが起きても余計なことしてなんか変なことになったら困るからじっとしてるんだけどね。

 一護に死神になってもらわないと色々困る。私は卍解習得したけど卍解してもそんなに強くなんないんだから。っていうかアーッ! んなことで卍解習得できるとは思わなかったな。

 あの習得方法は歴史に残るどころの騒ぎじゃない気がする。いや卍解使う気も尸魂界行く気もないけどね。
 救出篇は完璧にスルーする気満々、そりゃ一護を助けたい気持ちは凄くある、でも死にたくもない。
 尸魂界は行くだけでも死ぬ可能性がビンビンなんだから。

 

 なーんて考えながら一階の居間でくつろいでいると、暗くなってきた、もうすぐルキアが来るのか。

もうすぐ始まるルキアと一護の出会いを色々想像していると。










 恐ろしい霊圧を感じてきました。

 あれ? 何これ? 明らかに一話の敵ってレベルじゃないんですけど?
 こんなに強かったの? 一話の敵……なわきゃーないよねえ!
 明らかに違う虚だよ! どうなってんの!?

 急いで携帯(高校の入学祝い)を取り出してウラえもんに電話――しようとしたら向こうからかかってきたあ!


 「あ! 翔子サン! 破面もどき並の霊圧の虚が黒崎サンの家に向かってます! 霊圧を抑えてても恐らく気づかれます! とりあえず今から急いで死神化して逃げて!」

 OK! 逃げます! 後は任せたウラえもん!

 私は霊圧を押さえまくっているがそれでもやはり強い虚にはばれるらしい。
 破面のなんだっけ? 一息でたくさん魂吸ったやつ、そいつみたいに探すのが下手なやつじゃなければ。

 一護達を残して逃げることに罪悪感を覚えるがウラえもんもルキアもいるから大丈夫……だよね……?

 いつも持ち歩いているウラえもん特性義魂丸を飲んで死神化。

 「霊圧抑えまくって隠れてて!」

 「はい!」

 義魂丸(セイと名づけた)と私は私の部屋がある二階にドタドタとあがっていった。
 そしてセイは押入れに入り、私は窓から飛び出して浦原商店へ。

 空気中に霊子をコントロールして足場を作って空を行く。

 あの勉強部屋以外で死神化するのは初めてだ、この姿を一護とかに見られると非常にやっかいだがそんなことは言ってられない、なにしろ破面もどき並なんだ、確か破面もどきといえばあのグランドフィッシャーが――

 ――まさか。

 まさかね……いやそんなはずはない、もしそうならもっと早く襲ってくるはずだ、少なくとも今日まで待つ必要は、いや、ちょうどあの日のあたりに私の霊力を弓美さんが抑えたから探せなかった?

 でもいくらなんでも――

 








 「見つけたぞ! 小娘!」

 顔の上から半分が剥れ、毛皮のようなものをマントのようにつけた虚が前に現れた。

 うん、この声グランドフィッシャーだね、食われかけたし忘れようがないよ。

 瞬歩をやると目立つのでやりたくないが斬魄刀を解放するよりは目立たないはず、てか戦うよりは逃げたほうが目立たないと思う。
 
 敵に背を向けて全速力で瞬歩をしようとする。

 「逃がすか! あの日より虚圏で鍛え上げたわしの力! とくと見るがよい!」

 後ろから風をきるような音が! 急いで右へ飛びのく。その直後私がいた場所をヒュンヒュンと針のような物が通りすぎていく。

 「はあっ!」

 さらに虚は右腕を伸ばし攻撃してくる。

 速い、だけどあの人形達の包丁や夜一さんに比べればF1も同然。夜一さんや人形は戦闘機とかその辺、だと思う。

 とりあえず私の逃げ足の敵ではない。

 これなら私は逃げ切れ――

 「動くな! 動けばあの人間達に針を飛ばすぞ!」

 虚が突然下を指差す。

 私は虚が指差している方を見る、一体誰を人質に?

 



 虚が指差す先には









 「いつもごめんな……織姫」

 「ううん! 私お料理とか好きだから全然気にしないでよ!」

 


 




 笑いあいながら買い物袋を下げて歩く井上兄妹が。









 「クックック……その顔は知り合いのようじゃなあ……少しでも動けばあの二人が串刺しに――」

 







 大切なのはイメージ、私がヤルイメージ、奴を倒すイメージは全く必要ない。
 ただ私が弓美さんを好き放題するイメージがあればいい、しかし好き放題しすぎてはいけない、速すぎてはいけない。









 「な――」

 私は奴の目の前に立ち、その醜い顔に矢を奴が消滅するまで撃ち続けた。








 ……どうしよう色々。
 
 冷静になって考えると色々とんでもないことになったな……倒せちゃったよ破面もどきのやつ。

 いや、きっとこれは奴が油断しまくりだったからだよね。それに崩玉が無いから一心さんが倒したときよりもずっと弱いはず。









 ま、まーとりあえず一休みしてから考えよう、手加減したけど零歩使っちゃったせいで凄い疲れてるから。

 一護はちゃんと目覚めたかなー。ルキアには……気づかれただろーねー。
ハハハハハ……。



[20987] 二十話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/29 13:06
 その後私は浦原商店に向かった、一度家に帰ろうかとも思ったけどルキアとかがいたらヤバイのでひたすら霊力を抑えて浦原商店へ。

 「いやー翔子サン、無事でよかったっスとりあえずこっちは上手くいきました、漫画どおりっス」

 浦原商店につくとちょっと困り気味な顔のウラえもんがいたそりゃそうだよねー。

 「いやーとんでもないことになりました」

 「いやでも意外となんとかなるもんスよ、黒崎さんが死神代行してもしばらくバレなかったみたいに」

 そうだと良いんだけどね。









 第二十話










 とりあえずさっきあったことを包み隠さずに伝えた、零歩使っちゃったことも解放しちゃったことも。
 そしてウラえもんのほうで何があったかも教えてもらった。
 とりあえず私のことは、凄い霊圧の虚を倒した謎の死神がいた、くらいのことしかルキアにはバレていないらしい。
 そりゃそうか、まさか自分の死神の力を奪った奴のお隣さんが、その謎の死神だったとは思うまい。

 ああ、それと私ががんばった時間はあんまり長くない。でも零歩使っちゃったし解放もしちゃったからなあ。
 多分尸魂界にはバレてるだろうなあ。

 「うーんそれなんスよね、だからもういっそのこと黒崎サンにバラしたほうが安全かもしれないっス、バラしちゃって黒崎さんに護ってもらうとか」
 
 それしかないのか?
 尸魂界に私のことバレてるとしたらなんか強い死神さんが派遣されてきてなんやかんやありそうだし……。そしたらヨン様(汚)に見つかって崩玉パワーなんかもうないけどサンプルとして拉致られそう。

 「まっバレてない可能性もあります、さっきの奴は破面もどきでしたが霊力はメノス以下でしたし出現していた時間も短かったっスから」

 ああ、さっきの奴メノスより弱かったのね、崩玉無いから原作で出てきたときよりもやっぱり弱いんだろう。

 「勉強部屋に隠れ続けるわけにもいきませんからね、とりあえずがんばって卍解の修行をしましょう」

 セイちゃんに代わってもらって騒動がおさまるまで地下に隠れ続けるのは無理、同じ学校で、しかも同じクラスなんだからルキアに義魂丸だとバレかかねない。

 それに仮にルキアにバレなくても一護やたつきちゃんが違和感を感じることだろう、特に一護は死神の力に目覚めたからね。

 あとすみませんもう卍解習得してしまいました。
 少年誌にはとても載せられないようなヤバイ方法で。

 そのことも伝えると。

 「……何かもうなんでも変態パワーで解決できる気がしません?」

 「いやいや無理でしょう私がいくら変態でも」

 そして明日から卍解での修行をすることになった。
 でもあの卍解はあんまり強くならないんだよね。精神世界で何度か修行したけど。

 ちなみにルキアは一護の垂れ流しの霊力のせいでセイちゃん(私の体)には気づかなかったらしい。
 

 







 そして翌朝、いつものように一護を起こしに。

 「おじさーん、あのでっかい穴どうしたんですか?」

 「おう翔子ちゃん、実は昨日の夜トラックが突っ込んできてな! いやー誰にも怪我が無くてよかった。そうだ! 翔子ちゃんは大丈夫か!?」

 ああ、確かそんな話が二話であったっけ。無難な記憶になっててよかったね、確か織姫のときは物凄い記憶だったはず。

 「いやー私も全然気づきませんでしたよ」

 「そうか! よかったよかった未来の義娘が怪我でもしたらどうしようかと思った!」

 「も! もう! おじさん!」

 本当はとんでもないことしてたけどね、多分一心さんも気づいてるだろう。今は遊子ちゃんと夏梨ちゃんがいるから言わないけど、もしも二人きりだったら聞いてきてるだろうなあ。

 未来の嫁かあ……織姫、ルキア(恋次いるけど)、そしてたつきちゃん(どうかわかんないけど)負けない、負けないぞ。

 「それじゃー一護起こしてきます」

 そういえば、一護はみんなが怪我とかしたままだと思ってるんだよね。

 だから「翔子無事だったんだな! 」ガバッ! てなことになんないかなあ……そしてそのまま既成事実を。

 一護の部屋へ入ると。

 「イーチゴーおきろー」

 ゆさゆさといつものように起こす。

 「翔……子……? 翔子!?」

 ガバッと起きた、ガバッと抱きしめて欲しかった。

 「無事だったのか……」

 「へ? 何が? 」

 ああ、やっぱり心配してくれたみたいだね、嬉しいなー。

 「何がって、気づかなかったのかよ!?」

 「昨日すぐ寝たし、私が気づきたいのは一護の気持ちぐらいだしねえ」

 私が完全にそんなの知りませーんって態度をとってると。ぐっすり寝ていて気づかなかったのだろうと無理やり納得した様子だった。

 「そういえば昨日の夜トラックが突っ込んだっておじさん言ってたよ」

 「トラック? なんだそりゃ?」

 私がトラックのことを教えてやると、これはおかしいと思ったのか慌てて下に下りていった。

 






 その後一護は壁の修理と片付けを手伝うために家に残り、私は先に学校へ。

 一人の通学は寂しいなー。


 学校へついたら。

 「おお! 伊藤さん! 今日は一人だね! 一護と喧嘩でもしたの? そうだよね! そうだよねえ!」

 浅野君が実に嬉しそうに聞いてくる、そんなに一護が羨ましいのか。 浅野君も結構面白いからウザくなくなればモテると思うのに。

 「あはは、一護はちょっと用事で遅れてるだけだよ」

 「チクショオオウ! あいつは彼女ほったらかしてなにやってんだああぁ! あれか! 俺達は心でつながってるからとかいうアピールか!?」

 死ぬほど悔しがる浅野君、ああどんなにがんばっても異性の友達ナンバーワンにしかなれないタイプなのか。

 
 その後朝のHRにて謎の美少女転校生朽木ルキアさんが登場。

 男子達と私の脳内で祭りが起こる。

 ああマジ可愛い、ブリーチで一番好きな女性キャラはルキアなんだよね私、家の押入れにこないかなあ。
 でも劇場版を入れると西雫が一番好きだけどね。

 
 あと先生に一護が遅れることも言っといた。


 朽木さん質問タイムが始まるわけだが私は何も聞けなかった、何故かというとあのお嬢様な喋り方のせいで笑いをこらえるので必死だったからさ。








 「あ一護、少しは片付いた?」

 廊下歩いてたら一護に会った。

 「どうにか一段落はな、次なんだっけ?」

 「現国、あ、先生には言っといたから」

 「サンキュ」

 さーてコレを言ったときの一護の反応が楽しみだ。

 「それとね、謎の美少女転校生が来たよ、名前は朽木ルキアさん」

 「朽木ルキア……どっかで聞いたような……」

 どこだったかなーと思い出そうとしている一護、忘れてたのか。

 「あなたが黒崎君?」

 とそこのルキア登場。

 「お、お前!」

 変なポーズで固まる一護、おお面白いなあ。

 「私、隣の席になりました朽木と言います、よろしくおねがいしますわ」

 手の平を握手を求めるように見せるルキア、手の平には多分「騒いだら殺す」と書いてあるんだろう。
 笑顔でなんて恐ろしいことを書くんだ、だがそこも可愛い。

 「ね」

 念を押されて完全に固まった……と思いきやルキアの手を掴んで走りだす一護。

 「ちょっとこいお前!」

 「あーれー」
 
 なんという棒読み。
 ルキアが棒読みでも他の人から見たら転校生をいきなり連れ出したとんでもない男にしか見えない。
 
 「い、一護……?」
 
 がんばってね。










 その後息をしていない一護ボディを校舎裏で発見した。

 「一護! 一護! お願い! 返事して!」

 必死に(笑いをこらえながら)揺さぶる私。

 「いやあーっ! 一護が死んだら……私……私ー!」

 「うお! 何じゃこりゃあ!」

 「中々愉快なことになっているな」

 一護とルキアが戻ってきたけど気づかないふりをする。

 「あーもー! 」

 一護が急いで体に戻る。

 「だー落ち着け翔――」

 「い一護ー!」

 ここぞとばかりに抱きつく。ギューッと力一杯。
 ああ、良い……凄く良い……。

 「こ、こら! 離れろ! 誰かに見られたらどうすんだ!」

 慌てて一護が引き剥がそうとするが。

 「やだー! もう離さないー!」

 私はさらにしっかり抱きつく。
 抱き返しなさい、さあ! さあ! さあ!

 「あー、私は先に戻ってるぞ……」

 「ま、まてルキア! 勘違いしたまま行くな!」

 「ルキア!? ルキアってなによ!? 朽木さんとそんな関係なの!?」

 「違う!」 










 そんなこんなで遊んだ私だった。
 
 この先どうなるかはわかんないけど精一杯やってみよう。



[20987] 二十一話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/25 12:08
 いやー楽しかった。一護が必死に誤解をとこうとする姿はとても可愛かった。私は誤解してるふりしてるだけなんだけどね。
 
 あと、気絶していたのはルキアに殴られたからだとかなんとか言われた。

 まあその後は普通に授業を済ませて放課後なわけだけど。

 「一護ー、大丈夫?」

 「だから大丈夫だって言ってんだろ」

 何も知らない人から見たら意識不明の重体にしか見えないんだよね、魂の抜けた体は。

 「……一護になんかあったらみんな泣くよ? 私も」

 「……わかってるって」

 一護は少し申し訳なさそうな顔をした、これから楽しい楽しい死神ライフが始まるからねえ、でっかい隠し事ができるからねえ。

 「まー何するにしても私達は味方だからねー」

 「ああ、わかってるよ」









 第二十一話









 「それじゃー卍解、いってみましょうか」

 勉強部屋で死神化して弓美を持って卍解準備完了。あ、卍解習得したせいか名前呼ばなくても解放できるようになりました。

 「卍解!」

 強い光に包まれる。

 そして光はすぐに収まり私の卍解が見えてくる。

 「……えーと……それが?」

 ウラえもんが思い切り拍子抜けした声で聞いてくる。

 うん、そうだよね、これが卍解なんて私も信じられなかった。

 








 「九重弓美」
 弓美が若干骨太になり、張り付いていた仮面の凶悪さが微妙にあがった程度の変化しかしていない。
 ただその変わりのように私に狐耳と狐尻尾が装備されている。

 能力は一度に九本の矢を撃てる、でも一本の威力がかなり下がっている、一本を作るのに必要な霊力もかなり下がってるけど。

 弓美の矢一本の威力を10とすると、
 九重弓美の一本の威力は1.2くらい、それが×9だから全部当たっても10.8

 矢を作るのに必要な霊力も同じくらいの差。

 矢は九本重ねて撃つこともできるが、九本じゃないと重ねられない。重ねてうてば単純に威力アップになる。

 ただし弓美で霊力を多く使って作った矢のほうが強い。

 矢の威力は矢を作るときに使う霊力で変えられるけど九本まとめてしか撃てないし作れないから少し威力を上げようとするだけでも消費が激しい。

 防御力が高い敵が相手だと普通の弓美のほうが強くない?

 ちなみに普通に矢を撃つとテレビゲームのショットガンのように散らばる。だから広範囲を攻撃するときは便利。

 そして狐耳と尻尾は身体能力アップ、でも1.2倍くらい。
 尻尾は自由に動かせるけど戦闘では役に立たないレベル。
 あと耳が凄い良くなった。でも聞こえすぎて辛い。

 







 一通り弓美さんとの精神世界での修行で判明した能力を説明。

 ウラえもんは「え? コレ本当に卍解なの?」みたいな顔をしている。

 確か卍解の戦闘力アップは始解と比べて5倍から10倍だっけ、ウラえもんが言うには。

 「うーんなにしろ翔子さんはなにかと特殊っスからねーもしかしたらこれ卍解じゃなかったりするかもしれませんね」

 そう、弓美さんはあくまでも元斬魄刀なのだ、斬魄刀と違うところが今のところ勝手に具象化したりするくらいなのでとりあえず斬魄刀扱いしてるけど。

 「そして何よりこの仮面が気になるっス」

 弓についている仮面を調べながら言う、この虚にしか見えない仮面は全くなにもしていないのだが不気味で仕方ない。
 今まで色々試してみたがやはり何の効果もない。

 「うーん、とりあえずまた色々試してみましょう」

 「はい」

 「あ、あと黒崎さんのことですけどね、虚と死神が見えることくらいはバラしても良いでしょう」

 「わかりました」

 そして研究開始。









 「結局仮面が何なのかわかりませんでしたね」

 「ああ、まあ害がないだけマシだが」

 今は弓美さんと一緒にお風呂に入ってる、精神世界の。どうなってんだろ? 私の精神世界。

 私の家で具象化するとルキアにバレそうなので具象化できないのだ。

 「やっぱり私の弓美さんとお風呂に入りたいという欲望が精神世界にお風呂を?」
 
 「そうとしか思えない」

 ですよねー。

 ああ、それにしてもデカイくて美しいなあ、アレを好き放題したのか私は。

 「恐ろしいですね私の変態パワーは。そして弓美さんのおっぱいも」

 「最近その変態パワーを分析したくなってきたよ。あんまりじろじろ見るな、恥ずかしい」

 その後は背中を流し合ったりとかして楽しいひと時を過ごした。
 あとエロいひと時も過ごした。ナニをしたかは言わないけど。









 
 そして次の日。
 一護の部屋にて。

 「一護ー、大事なお話があるんだけど」

 「なんだ?」

 「……なんか朽木さんの香りがするんだよね、この部屋」

 これは本当、押入れのあたりから美少女の香りがするんだよ、というか美少女が押入れにいることにしばらく気づかない一護は鈍感なんじゃないかと思う。

 「い、いやお前何言ってんだよ!? ルキアが俺の部屋に来たことあるわけねえだろ」

 「ふーん……なら押入れ開けてもいいよね……」

 押入れにルキアがいることは霊力をビンビン感じるので確かだ、というか私の変態レーダーがビンビンに反応している。

 「別にいいけどルキアがなんかい――」

 押入れを開けるとそこには。

 「まさかこうも早くバレるとは……」

 ワンピース(包丁がプリントされてるからウラえもんから買ったりしたものだろう)

 「いたー! お前いつからそこに!?」

 「……一護……? OHANA死しない?」

 いや知ってたけどね、でも押入れに美少女がいる一護への嫉妬、一護と同じ部屋に住んでるルキアへの嫉妬があるのも本当なんだ。

 「……はい……」

 がっくりとうなだれて返事をする一護だった。

 こんな一護も可愛いなあ。









 そして私は死神やらなにやらの説明とこないだあったことの説明をうけた。私にも死神とか見えるかもということで。
 いや全部知ってるけどね。

 「――ということなのだ」

 「なんて恐ろしい……絵なの」

 本当に恐ろしい絵だ、どんなにシリアスな話でもあの絵があるだけで台無しだ。

 ビュンッとルキアが使ってたスケッチブックが飛んできた。

 「一護! 頼む!」

 私は体を後ろへ美しい橋を描くようにそらしてかわす、勿論両腕を回転させながら。

 そしたらペンが飛んできて、私の体を掠める。

 「所詮ただの人間だ」

 ルキア! ナイスなセリフ!

 「何年前の映画パクッてんだよ……」

 一護、それは某小便小僧のCmだ。









 「一護」

 私は一護に抱きついた。自然な動きで。

 「お、おい! なにやってんだよ!」

 「私は怖いよ。一護がいなくなるかもとか思うと……だからさちゃんと帰ってきてよ? 何があってもここに」

 ギュッと服を握ることと震えることを忘れない。

 「ああ……ちゃんと帰ってきてやるから安心しろよ」

 一護は私の頭を撫でてくれた。ああ、これが一番好きだ、あとは強く抱きしめ返して欲しいけどそこまではまだ無理だろう。

 「朽木さん! いやルキアちゃん!」

 私は一護から離れてルキア、いや、これからルキアちゃんと呼ぼう。 ルキアちゃんの手をがしっと握る。

 「な、なんだ? 伊藤」

 流石に私の勢いに戸惑っている。

 「一護をお願い! 色んな意味で!」

 「あ、ああ、だが色んな意味とは一体なんのことなのだ?」

 「気にしない! ああ、それと」

 私はルキアちゃんの耳元に口を近づける、ああこの耳をカミカミハムハムしたいよ。
 そして一護に聞こえないように手で壁を作り。

 「一護の私が見てない姿を、特に寝てるときの様子を報告をしてほしいんだけど……」

 「別に私はかまわんが……」

 「ありがとう、私の家に来て、洋服とか貸しちゃう」

 「ああ、すまんな」

 








 その後私の家でルキアちゃんを着せ替え人形にさせてもらったのは言うまでもない。
 私の家に住んでほしかったが死神の仕事の都合上、一護の家にいなくてはならないそうだ。
 お風呂とかは貸すけど。



[20987] 二十二話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/27 20:25
 カキーンカキーンと一護がボールをひたすら割っている、あの頭か手なのか判別不能なボール割り訓練である。

 あのへんてこなボール発射装置だけど「すーぱーぺせたましーん」と書いてあるので間違いなく浦原商店で買った物だね。
 
 全く変なところに銀行強盗の影響うけてるな。

 一護がたまにコショウ入りを割ってむせたりしている。

 あの絵で手とか頭とか判断するのは難しいよね、結構な速さでボール飛んできてるし。









 第二十二話










 「ところでルキアちゃん、音読してると変な人にしか見えなくなっちゃうよ」

 なんかよくわからない漫画を音読しているルキアちゃんに注意する、周りに知らない人がいないからいいけど学校の人に見つかったら痛い人と思われてしまう。

 いや、お嬢様口調の時点で結構痛いか……可愛いから許されるけど。

 「いや、喋り方の勉強のためには声に出して読む必要がある、確かに傍目から見ればおかしく見えるとは思うがな」

 そうですか。

 ちなみにルキアちゃんの服装はピンクっぽいスカートとTシャツ。私が貸したやつの一つ。
 
 ルキアちゃんは私よりも体が小さいので、服のサイズがあっていない。だがそこは萌えポイントである。
 なんだか小さい子が大きめの服着てるのって良いよね。

 ルキアちゃんにはワンピースが似合うと思うんだけど私ワンピースとか持ってないんだよね、小学校のころはいくつか持ってたけど遊子ちゃんにあげちゃったし。

 そういえば原作だとルキアちゃんは遊子ちゃんの服をこっそり借りたりしてたんだよね……。

 小学生の服を借りる高校生……いいね、いいね。

 えーと小学生時代のスク水はどこいったかな? 多分着られると思うんだけど。

 私も背はがそんなに高くないけど(織姫やたつきちゃんより少し低い)そんな私よりも低いからな、これはスク水を着せなければならないだろう。私の煩悩がそう叫んでいる。

 「おーい、終わったぞ」

 一護が私達を呼ぶ、体からコショウの香りがする、ラーメン食べたくなってきたよ。

 「つーかコレなんの特訓なんだよ、延々変な絵が描いてあるボール割り続けるって、たまにコショウ入ってたしよ。」

 べしべしとボール発射装置を叩きながら言う一護。

 あんまり叩くと襲ってきそうだよ。

 「たわけ、コショウ入りはハズレだけであっただろう! ……まさか全て割ったわけではなかろうな?」

 「おう! 全部割ったぜ」

 頭の絵のボールだけ割るように散々言われていたけどやっぱり全部割っちゃった一護。

 「あれほど頭が描かれた玉だけ割れと言ったであろう!」

 「だからこの絵じゃ頭と手の見分けなんかつかねーよ!」

 怒るルキアちゃんに両手にボールを持って言い返す一護。



 少しの間言い争いになるが、やがて疲れて落ちつく。
 なんか相性抜群みたいな感じだねー。


 
 「いいか、虚の弱点は頭だ、頭を割ればどんな虚も死ぬ。背後から一撃で頭を割るのが虚退治のセオリーだ」

 落ち着いたルキアちゃんが頭の絵と思われる絵が描かれたボールを持ちながら説明を始める。

 「背後からこそこそなんて卑怯なマネできるかよ」

 「やらねばお前が死ぬことになる。そうなったら恋人を泣かせることになるのだぞ」

 恋人? まさか私のことか?

 「恋人!? 一護に恋人!?」

 「む? 二人は恋人ではなかったのか?」

 フハハハ! 勘違いキター!

 「ち、違う! 俺達はそんなんじゃねえ!」

 一護が手や顔をぶんぶん振って否定するが顔は真赤だ。ああもう、そんなウブなところが可愛いなあ。

 「そうだよ! ルキアちゃん違うよ! ……まだ……」

 「いや、毎日起こしに来ているようだし、仲もよいようだからてっきり」

 






 「おーい黒崎くーん! 何やってるのー!」

 そこへ織姫登場。
 そういえばあの井上(兄)のイベントってどうなってんだろ。

 織姫が足に怪我してないし、無いのかな?

 「誰だ?」

 なんか私に聞いてきたルキアちゃん、クラスにきてから何日もたってないからわかんないよね。

 「同じクラスの井上織姫、とってもいい子だよ」
 そして巨乳だよ。とは流石に言わなかった。

 「あら、井上さんご機嫌麗しゅう」

 スカートの裾をピラッとやりながらお上品にご挨拶。

 「え!? ええと、ご、ご機嫌麗しゅう?」

 まねする織姫。

 二人とも、とりあえず何も言わずに私の家に来てほしい。









 その後特訓をしてたことは、三人で霊が見えることについて悩んでましたってことにしてごまかした。

 そしたら織姫がルキアちゃんも霊が見えると知って驚いてた(私と一護が見えることは知ってる)


 その後織姫は笑点が始まるので慌てて帰ってった。そして私達も帰ることに。

 あーそういえば前世のときと同じ番組も結構やってるんだよね、笑点とかね。

 でもなんでドラえもんが無いんだろうね。









 そんなこんなであっという間に夜。

 「翔子、すまぬな、世話になる」

 お風呂を済ませて居間でのんびりしていたら、ルキアちゃんがお風呂を借りに来た。

 あの日からルキアちゃんは私の家でお風呂に入ってる。

 ウラえもんのとこで借りようかとも思ったらしいんだけど一護の家から遠いし、なんかウラえもんが怪しいからやめたそうだ。

 一緒入ろうって言いたいけどそんなことしたら我慢する自信が無い。それに言うとしてもまだ早いな、もっと好感度を上げてから……

 「ううん、気にしないでよ、困ったときはお互い様」

 「そうか……ああそれと今日の分だ」

 ルキアちゃんは一枚の紙を渡してくる。

 「……ご苦労」

 それは一護の寝てる様子を観察したレポートだ。
 毎日ではなくて良いって言ってるのに言った日から毎日渡してくれる。

 「しかし、好きならばそうと言えばよかろう」

 「うーん、今はまだいーよ」

 まだまだ怖い、告白する勇気を持つのは虚と戦う勇気を持つよりも難しいと思う。
 私は虚と戦う勇気もないけどね。

 「そうか……だが後悔はするな?」

 「わかってるって」

 ルキアは今だに後悔してるのかなあ……海燕だっけ? のこと。
 うーむヨン様(汚)め。、私がチート能力とか持ってたらフルボッコにしてやるのに。



 ルキアちゃんがお風呂に入ってる間私はなにをするのかというと。

 脳内以外ではとくに何もしない、ルキアちゃんの脱いだ服でハアハアしたいけどバレたときのことを考えるとやるべきではない。

 エロはバレないようにさりげなく、それが私のモットー。
 
 だから脳内でハアハアする。

 ちなみに服の洗濯も家でやっているからそのときにこっそりハアハアするけどね。

 良い香りなんだよね、女の子って。

 自分のを嗅いだけど自分の香りすら良い香りだと思う。

 

 ルキアちゃんが出てきたのでサッと冷やしたお茶を出す。勿論冷やしすぎてはいない。
 冷たすぎるものは体に悪いからね、女の子は特に気をつけないと。

 さらに居間のテーブルの椅子も引いておいた。

 「相変わらず気が利くな」

 それはね、そうやって微笑むルキアちゃんが見たいからさ、いや微笑まなくても普通に出すけど。

 ルキアちゃんは今私が貸したパジャマを着ている。
 黄色いチェック柄のやつで早い話が井上(兄)の話で着てたやつ。
 あれを着たルキアちゃんが可愛かったのがやたら印象に残っていたので、色違いを3着買った。ウラえもんの金で。

 パジャマと下着類だけはルキアちゃん用をウラえもんに頼まれて一緒に買いに行った。

 あのときのウラえもんに突き刺さる周りの視線は忘れられない。
 てか「これとか似合いそうッスね」とか女性用下着をためらいなく手に取るウラえもんもウラえもんだろう。

 ウラえもん曰く「夜一サンとデートしたときに慣れたっス」らしい。
 そういえば原作で自分からハンサムエロ店長とか言ってたっけ? よく覚えてないけど。

 何故普通の服はそのときに買わなかったかというと、ただ単にルキアちゃんに私の服を着せたかったからだ。

 そういえば私が貸したことになってるけど別に私のでもないんだよね、パジャマと下着は。
 

 ちなみに私が着ているのは長袖の黒いTシャツと柔らかく、楽な灰色のゴムのズボン。
 なんか男っぽい気がするけど気にしないよ。

 「では、そろそろ帰る。また明日会おう」

 お茶を飲み終えたルキアちゃんが席を立つ。

 「うん、またね」


 玄関までちゃんと見送る、一護の部屋の窓と私の家の窓が向かい合っていれば楽に一護の部屋に戻れるけど向かい合ってないんだよね、窓。
 そのおかげで窓から顔を出して夜におしゃべりをするというイベントを起こせなかった。



 さーて、井上(兄)イベントはどーなるのかなー。









 そんなことを考えていたら私の部屋から虚の気配が。

 多分別の虚だろうけどこっちに来たー!

 ぬうっと空間を割るようにして現れた虚は、蛙を人間並みにでかく、ゴツく、そして凶悪にしたような形をしている。

 やっぱり井上(兄)では無いようだ。

 というか全体的に井上(兄)に比べて雑魚敵臭がプンプンするデザインだ。

 沢山敵が出てきたときに主人公にまとめて倒されそうだなあ。

 「クワセロ……クワセロー!」

 とか考えてたら舌を伸ばしてきた。
 
 窓から飛び出してかわす、なんでそんな危ないことをするのか?

 「翔子!」

 一護がすぐそこまで来てたからさ。



[20987] 二十三話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/27 23:32
 「ったく無茶すんじゃねえよ!」

 と、言いながら片手で私を抱きかかえている一護。
 空中に立っているけど多分無意識にやっているんだろう。

 「信じてただけだよ、来てくれるってね」

 このまま抱きついてキスでもしたいところだけど。

 「クワセロー!」

 虚が窓から飛び出してくる。あ、窓が壊れた、どーしてくれる。
 
 「フンッ!」

 片手で斬魄刀を振り下ろし虚を叩き落とす一護。
 虚は地面に叩きつけられる。
 そのまま落下して一護は斬魄刀を突き刺す。

 虚がもがくように暴れるが徐々に動かなくなっていき、そしてバラバラと崩れていった。

 ……やっぱりこの虚は雑魚だったか。

 
 
 





 第二十三話









 「……おい……翔子……?」

 「ん……ちょっとゴメン……」

 虚は倒したけどそう簡単には放さない。勿論ちゃんと震える。

 いつもはからかってくるけど、虚に襲われて珍しく怯える幼馴染の破壊力はどうだあ!

 「ったく……こういうときだけ女っぽくなるなよ……」

 小さい子どもをあやすようにポンポンと背中を叩いて落ち着かせようとしてくれる一護。

 「ん、もう大丈夫」

 一護から離れて自分で立つ。

 「おーい、大丈夫か翔子?」

 ルキアちゃんが駆け寄ってくる、右手にはあの魂を抜くブローブがはめられている。
 あれで魂を抜くとどんな感じがするんだろう、私は義魂丸とウラえもんの杖で魂を抜いたことがあるけど、グローブで抜いたことはないんだよね。

 「うん、一護が守ってくれたからね」

 ね、一護、と笑顔で一護の顔を見る、と恥ずかしそうに「う、うるせえよ」とそっぽを向いた。

 「そうか、おぬしが襲われそうと知って急いで飛び出して行ったからな」

 ニヤニヤと笑いながら私達を見るルキアちゃん。

 「いやー嬉しいなー」

 「お、幼馴染なんだから当たり前だろ。ホラ帰るぞルキア」

 「あ、ちょっとまった。目つむって、一護」

 お礼にキスしてやろうと一護を引き止めようとする、が。

 「いーや、お前の前で目なんか閉じたらなにされるかわかんねえ」

 と止まらず帰ろうとする一護、私が逃がすとでも?

 「ん」

 さっと素早く頬にキスをした。

 「なっ! お、お前今!」

 案の定赤くなってキスした場所を押さえる一護。
 そんな純情な一護が好きだよ。

 「じゃーねー、ルキアちゃん」

 「ああ、また明日な」

 赤くなってる一護をおいて私は家へ入っていった。


 今日は自分の部屋で寝れないなあ。









 次の日、一心さんに窓が壊れた事を伝えて片付け等を手伝ってもらった。
 伝えたときには遊子ちゃんとかもいたので転んで重い物をぶつけて壊れたということにした。
 
 いやーお世話になるなあ一心さんにも一護にも。

 








 まあそんなわけで。

 「ところで、一護」

 ルキアちゃん、一護、私の三人で一緒に屋上で昼食タイム。

 織姫とかにも誘われたけど一護と食べると言って断ってしまった。

 ゴメンよ織姫、今度ね。

 ちなみに私は自作弁当。前世で母親と二人ぐらし(父親は仕事で遠くで暮らしていた)の駄目フリーターだったが多少は自炊をしてた。
 でもチャーハンとか目玉焼きとか、そんなのばっかりだったしあんまり上手くはなかった。

 でも今は遊子ちゃんと一緒に真咲さんから習っているのでそこそこの腕である。
 まあ真咲さんや原作の遊子ちゃんには全く勝てそうにないが。
 でもそのかわり掃除は凄いぞーあの家一人で全部掃除してるし。


 今食べてるのも自作弁当。
 さらに一護が食べてるのは真咲さんが作った弁当だが周に一度ランダムで私が作った弁当、あと毎週金曜日は遊子ちゃんが作った弁当。
 私が作るとちゃんと気づくんだよね一護。

 ああ、料理といえば夜一さんが凄い上手かった、中学時代からたまーに修行してるときにお世話になるんだけど、真咲さんより上手くてビビッたよ。

 夜一さんが言うには母として、妻として家事の一つや二つできなくてどうするってことらしい。

 この世界の夜一さんはどっからどうみても良妻だね。

 何をしたんだウラえもん。……ああ、ナニをしたのか……。

 「そういやルキア、死神になってるときに怪我とかして、そのまま体に戻ったらどうなるんだ? やっぱ体も怪我すんのか?」

 一護がそんなことをルキアちゃんに聞く。いやーしかし高校生三人(一人違うけど)が三人で食事してて話題が死神や霊のことについてって正直どうかと。

 でもそれが良いのは否定できないな。

 「ああ、死神化しているときにうけた傷はそのまま体に現れる。だが安心しろ、多少の傷なら私が治してやる」

 そういえば私の止血能力全然使わないな、いや別に使いたいわけじゃないし使う機会がないのが一番なんだけどね。

 特に自分に使う機会が無いことを切実に祈る。

 「へえ便利なもんだな死神の力ってのは」

 「ああ……そうだ」

 ルキアちゃんは紙パックのジュースを取り出す。あーあったあったこんなの。

 「これはどうやって飲むのだ?」

 ああ、可愛い。
 普段高圧的というか、上の立場的な人が一般常識的なことについて聞くのとか良いよね、実に良いよね。

 「あーこれはね後ろについてるストローをね、ここの穴にさすんだよ、やったげる」

 ひょいとルキアちゃんの手から紙パックをとってストローと穴の位置を教えた後、ルキアちゃんに見せながらストローをビニールから出して伸ばして穴にさす。
 
 うーんこのストローを穴にさすという動作をどうにかしてエロく説明できないかなあ。
 こう、そういう想像しか出来ない感じの文章で説明したい。
 なんかできそうだよね。

 「はい」

 ひょいとルキアちゃんの手に戻す。

 「おお、すまぬな」

 「いやいやお安い御用だよ」

 そのときだった、屋上に誰か上がってきた。多分小島君だろうなあ、と思っていると。

 「あれ? また三人一緒にいる」

 やっぱり小島君だった。可愛い顔して年上のお姉さまと付き合ってるらしいイケナイ感じの人だ、まあ弓美さんとニャンニャンしてる私のほうがずっとイケナイけど。

 軽く挨拶しとく。

 「三人とも随分仲良いんだね」

 「水色か、別にそんなんじゃねえよ」

 「えーと……小島君?」

 偽りのお嬢様スマイルでルキアちゃんが自信なさそうに名前を言う。

 「当たり、こんにちは朽木さん、まだちゃんと自己紹介してなかったね。小島水色15歳! 趣味は――」

 「女漁りだ」
 「ハーレム作りだよ」

 小島君の言葉を遮って私と一護が言う。

 「違うよ二人とも! 酷いなあ……夫婦そろって」

 ブハーッ! と一護が飲んでいたジュースを噴出す、あ、勿体ない。

 「ばばば馬鹿! 俺達はそんなんじゃねえよ!」

 「そ、そうだよ小島君! ……まだね」

 一瞬で顔を真赤にした一護と息をそろえて言う。夫婦扱いのイベントがついにキター!

 「ややっ! そこにいるのは美少女転校生の朽木さん! どうしてここに!?」

 と、そこへ浅野君が登場、相変わらずテンションが高いなあ、そのテンションをもう少し抑えられれば、彼女も少しは出来やすくなると思うんだけどな。

 「一護が口説き落としてつれてきたんだよ」

 さらりと小島君がそれが真実かのように言う、何もしらなかったら信じてしまいそうなほど自然だ。

 「馬鹿! 違う!」

 「イイィーチィーグオオォー……! お前は伊藤さんがいるくせにさらに朽木さんまで! お前なんか爆発しろー!」

 ポケットから「彼女持ち爆発しろ!」と書かれた黒いボールを取り出して一護に投げつける浅野君。

 そしてやはり一護に投げ返される。

 「う……っ! ううっ……! 一護なんか大っ嫌いだあぁー!」

 走りさっていこうとする浅野君。

 「うお! 」

 「グハッ!」

 あ、ヒヨコ頭とその子分が浅野君にひき逃げされた。

 大丈夫! 浅野君なら良い彼女ができるよ! いつか。
 冗談抜きで小川さんとかがお似合いだと思うなんとなくだけど。

 


 そして浅野君と入れ替わるように。

 「ム……」

 「ようチャド、あれ? 怪我してるな」

 「こんにちは、チャド君。怪我どうしたの?」

 怪我をしたチャド君がやってきた。

 「頭のは昨日鉄骨が落ちてきて、手とかのはさっきオートバイと正面衝突した。で、バイクの人が重症だったから病院までおぶっていった」

 「それで遅かったんだね」

 小島君が納得したように言う。そりゃ遅れるわけだ。

 チャド君が、頬が少し赤いインコの入った鳥かごを置く。

 「あれ? どうしたの? そのインコ?」

 小島君がしゃがんでインコを覗き込みながら聞く。

 「コンニチハ、ボクノナマエハシバタユウイチ。オニイチャンノナマエハ?」

 インコとはとても思えないほど流暢に喋る。
 実際に聞いてみるとちょっと不気味だね。

 「チャド、このインコ……どこで?」

 一護が少し緊張したように聞く。

 「昨日…………もらった」

 「へーそうなんだ、可愛いね」

 小島君は興味津々らしくシバタ君に話しかけてみたりしている。


 
 「案ずるな、確かに何か入ってはいるが、悪いものではない。寂しがっているだけの霊だろう」

 不安げにシバタ君を見ていた一護にルキアちゃんが、安心しろと言うように教える。

 「だが、ほうっておくわけにもいかんだろう。そうだな、今夜あたりにでも魂葬したほうがよいだろうな」

 「そっか……」

 「……」

 私は二人の会話をあまり聞かずに、じっとシバタ君を見つめていた。

 








 ただ、シバタ君は何も悪いことしてないのにって、悪いのは全部あの殺人鬼なのにって。
 そんな、もうどうしようもないようなことを、考えてた。
 
 なんで悪い奴が笑ってて、あの子が泣いてるんだろうね?









 「……どうしてなんだろ」

 「翔子?」

 無意識に呟いてたみたいだ。
 一護が顔を覗き込んでくる。

 ……いけないいけない、こういうのは私は苦手なんだ。

 「んーインコ可愛いなって」

 「……嘘つけよ」

 流石だね一護、こういう嘘は見抜くか。

 あの震えとかには騙されているみたいだけど。

 「……理不尽だよね、世の中さ」
 
 理不尽じゃない世の中なんか世の中じゃないんだろうけどね。

 やっぱさーこういうの見るとそう思っちゃうよね。
 見なければあんまり思わないもんだろうけど。

 一護はそれきり何も言わない私を見て、何かを思ったのか、何も聞いてこなかった。

 ルキアちゃんは、なんだか悲しそうな顔をしていた。










 とりあえずルキアちゃんの悲しそうな顔を見て癒されよう。

 ……私って変態だなあ。



[20987] 二十四話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/29 13:04
 ルキアちゃんの悲しそうな顔を見て癒された後、お弁当を食べ終えたら予鈴が鳴って教室へ帰っていった。

 そして放課後。

 帰宅すると黒崎家が何やら慌しい。

 多分交通事故があったんだろう。

 「あ、翔子ちゃん! 悪いけど手伝ってくれ! 一護は邪魔になんねように小さくなってろ!」

 一心さんに邪魔呼ばわりされた一護が隅っこで小さくなった。

 うーん普段なら慰めてあげるのだが今はそんな暇はない。

 「はい!」

 私は右へ左へ走り回る黒崎姉妹の手伝いをし始めた。









 やっぱり二人のナース服姿はいいなあと思いながら。









 第二十四話









 テキパキと簡単な部分だけではあるが手伝っていく。
 こういうときこそ止血能力の出番だ、こっそりと使っていく。

 止血能力とは、手で血が出てるところを抑えればあーら不思議、血が止まってしまうのだ!。
 手で押さえて霊力を少し込めるだけで使えるとはなんて便利なんだろう。

 一心さんは私の能力についてウラえもんから報告されてるから、使う許可は既にとってある。
 
 といってもアレだ、不審がられると困るのでこっそりとバレないように。
 ドッパドッパ出てた血が急に止まったら不自然だから少しずつ止めていく。

 ……ルキアちゃんにバレたら一護の垂れ流しの霊力のせいにでもしよう。多分チャド君の怪我の虚の匂いで誤魔化されると思うけど。

 そんなこんなで手伝っていく。



 そして、鳥かごを持って現れるアロハシャツの巨体。
 


 もちろんチャド君だ。

 「一護ー! チャド君がー!」

 「おお、わかった」

 隅っこで縮こまってた一護が玄関にやってくる。そして自分では立ち上がれない様子のチャド君を見て驚く。

 「チャド、どうしたんだよ? お前が――」
 
 チャド君に肩を貸そうとした一護の動きが止まる。多分虚の匂いでも感じとったんだろう、私もビンビンに感じているしね。

 感じているといってもイケナイ意味ではない。

 「だ、大丈夫か? チャド」

 フリーズから再起動した一護がチャド君を運んでいく。



 「あ……ああ……」

 夏梨ちゃんが青ざめた顔で大量の汗を流して震えていた。虚の匂いにでも気がついたのかな?

 いや、思いだした、確か夏梨ちゃんがシバタ君の記憶見るんだよね。

 「大丈夫? 夏梨ちゃん」

 隣にしゃがんで背中をさすろうとする。
 私が背中に触った瞬間ビクッと体を震わせたが、背中をさすっていっると少しずつ落ち着いていく。

 「翔姉……ありがと……」

 「お義姉さんだからね、でも……大丈夫?」

 「うん……大丈夫だよ……翔姉」

 全く大丈夫には見えない。

 とりあえず少し強引に寝かせておく。

 







 そしてなんやかんやあったけど次の日。

 いつものように黒崎家に行くと。
 夏梨ちゃんの姿が無かった。

 「あれ? 夏梨ちゃんは?」

 「うんなんだか元気がないみたい……」

 遊子ちゃんがなんだか悲しそうに答えてくれる。

 「あいつが? 珍しいな……」

 ちょうど居間に下りてきた一護が――って

 「あら、今日は早起きね一護」

 真咲さんスマイルがまぶしいです、でも早起きした一護もなんかまぶしいです。

 「うう……私の朝の楽しみが……」

 これから私はいつ一護の寝顔を観察すれば良いんだろうか。

 「一護ッ! 大変だ! チャド君が病室から消えた!」

 一心さんが居間に飛び込むように入ってきた。









 「水色! チャドは!?」

 「え? まだ来てないけど?」

 教室に入るなり小島君に掴みかかるように聞く一護。しかし来てないとわかるとすぐに教室を飛び出して行った。

 「何かあったの? 伊藤さん」

 小島君が残った私に聞いてくる。

 「うーんそれがね、昨日のインコがさ、ちょっと病気かもしれないから探してるの」

 勿論嘘。
 でも本当のことなんか話せないしね。

 「へー、そうなんだ。大変だね」

 うん大変、命に関わりまくるくらい大変。今私が妊娠するくらい大変って言えばわかりやすいかな。

 でも私は今回は完璧にノータッチ。ただでさえ色々あって一護の経験値が減ってるのにコレ以上減ったりしたら、あの虚祭りのときに倒されかねない。
 まあ主人公補正でどうにかなるとは思うけどね。

 あの殺人犯は一護が地獄に送ることだろう。


 でもちょーっと気になることがある。
 それは何かというと夏梨ちゃんだ。
 確か原作だと学校行ってて早退する途中で一護に会うはず。
 
 でもこの世界の夏梨ちゃんは学校を休んでる、多分真咲さんが休むように言ったのが大きな理由だろうね。

 真咲さんがいるから家の外に出たりとかはしないだろうけど、なーんか心配なんだよなあ……。

 どのくらい心配かと言うと弓美さんを自宅に送り込むくらい心配だった。

 どうしてこんなに心配しているかというと、夏梨ちゃんが元気じゃないのはかなり珍しいからだろうね。









 とかなんとか考えながら過ごした今日一日。

 結局三人とも学校には来なかった。









 んで、自宅に帰ると。

 「翔子、話がるんだけどよ」

 一護が自宅前で待機してました。

 愛の告白とかではなさそうだ。










 とりあえす私の部屋でお話することに。

 まずは一護達の報告、詳しい話は聞かせてくれないけど、とりあえずチャド君狙ってた虚を倒したことと、今チャド君は黒崎家で治療中ってことと夏梨ちゃんの体調が悪かった理由と、今は夏梨ちゃんは元気だということを教えてもらった。

 とりあえず原作通りっぽくてよかったよかった。

 「で、あのインコの中の霊のことなんだけどよ、お前知ってたんじゃねえのか?」

 あーそうか昨日ちょっとねー、言っちゃったんだよねえ。

 「インコのこと? あのインコの中に小さい男の子の霊が入ってたってことしか知らないよ?」

 この世界が漫画として存在する世界から銀行強盗に道連れにされて転生TSしました!

 なーんて言えるわけがない。

 「本当か? じゃああの理不尽だとか言うのは」

 「あー、あんな小さい子がなんで死んじゃったりするんだろって意味だよ」

 本当はあの殺人鬼とかに対してなのだが、そのことは言えない。

 「……嘘、つくなよ……」

 少し悲しそうな顔で一護が呟いた。
 
 まさかこの嘘がバレるとは思わなかった。

 「ゴメン、私も嘘がつきたいわけじゃないんだけどね……わかった、話すよ。全部じゃないけど……」

 私は軽く頭を下げると、一護に少しだけ話した。

 最初に全部は話さないと言っておいて、追求されても逃げられるようにしておく。

 一心さんに話したように、いつのまにか今日の話を知ってたということにして。

 勿論本当は単なる原作知識なのだが。

 「予知能力でもあるのか? 死神とかに比べたらまだ信じられるような話だけどよ」

 死神の話と予知能力の話だったらまだ死神の話のほうが現実的だろうね。

 「うーん私にもわからないんだよね、正直いつのまにか知ってるだけだから。あ、これから先起こることは知らないよ?」

 「とりあえずそういうことにしとくか……で、話さねえ分は?」

 「いつか話すよ、いつかね」

 流石に弓美さんのこととかは話せないなー、どんな影響あるかわかんないし。

 戦いたくないし。

 「わかった、でもよ、困ったら俺にでも言えよ?」

 「わかってるって。一護こそ……」

 ルキアちゃんのこと好きにならないでね、とか言いたかったけどやめといたほうが良いような気がしてやめておいた。

 「俺こそなんだよ?」

 「なんでもないよ!」

 







 はー、一護に弓美さんのこと話すのはいつになるんだろう、多分撒き餌のときまでが限界かなあ。



[20987] 二十五話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/30 14:54
 とある日、今日はウラえもんのとこに修行しに行く日だ、でも伸びてるのは速さと弓の腕だけで他はさっぱりだ。

 まあ速さがすこーしずつとはいえ、いまだに伸びていることは凄いと思うけど。

 そのうち瞬神翔子とか呼ばれたりは……しないだろうけど。というか明らかに『瞬神』の部分に『翔子』の部分が負けてるね。

 次のイベントはコンの登場だからなーんにも心配とか気にすることはないだろうね。

 強いて言えば一護ボディのコンから織姫とたつきちゃんを守ることくらいだろう、あと私自身も。

 一護にならキスやディープキスくらいしてあげるけど中身がコンじゃねえ。









 第二十五話









 「いやー黒崎サンも鈍いっスねえ、お隣さんが死神なのにぜーんぜん気づかないんスから」

 修行&例の仮面の研究を終えてお茶をご馳走になっているとウラえもんがそんなことを言う。

 ウラえもんと夜一さんと私、の三人が今居間にいる。
 ……今、居間に、いまいまに……いや、なんでもない。

 まーバレたら面倒だしバレなくていいんだけどね。

 「フーム、そんなことに気づかないよりもお主の気持ちに気づかんほうが問題だと思うがの」

 あ、夜一さんに一護が好きだってことバレました。女の勘でわかったらしい、怖いなあ女の勘って。

 いや私も女(元男)だけどね。

 「まーそれはそれとして、とりあえずできれば黒崎サンがウチの勉強部屋で修行始めるあたりまでは隠したいっスけど、撒き餌のところまでが限界でしょうね」

 そこで一旦言葉を区切り、ウラえもんは茶をズズーッと飲んだ。
 今私達が飲んでいる茶は夜一さんがいれました。おいしいです。

 「万が一あのお二人が目覚めない場合のことも考えておかなくてはいけませんからね、そのときは」

 「はい、がんばります」

 そう、万が一にもあの二人が覚醒しない可能性も考えてある、本当に万が一だけどね。
 よっぽどのことが無ければあの二人は覚醒するでしょ。

 でもその万が一が起きたときには私もがんばる、チャド君が覚醒しなきゃ夏梨ちゃんも危ないし、織姫が覚醒しなきゃ千鶴とたつきちゃんも危ない。みんなには死んでほしくない。

 ウラえもんもがんばる対策してがんばるそうだけど、それにも限度がある。
 メノス戦のときの大量の雑魚対策もしなきゃいけないしね。人形達は普通の人間にも見えてしまうのであまり使えないし、ヨン様(汚)戦までできるだけ温存もしたいらしい。

 まあ町中に虚がうようよするわけだから万が一がなくても、死神化しなきゃ私が危ないとは思うけど。
 
 ウラえもんのところに非難していても良いけど、そしたら万が一起きたときに助けに行きにくい。

 そんなわけで一護に隠すのは撒き餌イベントまでが限界だろうということに。

 「そのときのためにもあの仮面のことを詳しく知りたいですね」

 「恐らくは翔子サンの虚の力が仮面となって現れた、というところではあると思いますが……どんなことをしても外れませんし、反応もありません。ただ卍解すると若干形状が変わるくらいっス」

 霊力送ってみようが叩いてみようが斬魄刀で切ってみようがなーんの反応もない。

 弓美さんは詳しくはわからないけどただの飾りでないことだけは確かだろうって言ってた。

 「うーん虚の力でも送ったりすればなんらかの反応がありそうっスけどねえ……」

 「悪い反応が起きそうじゃなあ」

 「ではやっぱり保留ということですね」

 「そうっスね」










 「ところでこの前注文しておいた怪人クモ男のフィギュアは」

 「届いてるっスよ、好きっスねえ翔子サンも、ウチもジン太が好きで」

 どういうわけかこの世界ではバッタ男も人気だけど敵怪人の皆さんも人気なんだ。

 なんか嬉しいね、やっぱり敵とかいるとこういうのは面白いから。

 多分続編では変身する敵怪人が出てくるに違いない、そして着せ替え変身を販売するに違いない。










 そんなわけで今日はコンがやって来る日がやってきた、なんでわかったかというと朝一護が「なんか今日ルキアの奴がいねえんだよな」とか言ってたからだ。

 多分浦原商店に色々買いにいったんだろうね。

 







 んで休み時間にルキアちゃんが偽りのお嬢様スマイルで登場。

 ちゃんと夏服だったけど。
 確か原作だと冬服で小島君と浅野君に聞かれてた気がする、多分ウラえもんがちゃんと用意したんだろうなあ……。

 ん? そういえばどうやってここの制服とか手配したんだろう? もしかしてウラえもんが作ったとか? いや、普通に作れそうだけど違うだろうなあ。

 もしもウラえもんが自作しているのなら夜はコスプレした夜一さんと楽しんでいるとかそういう妄想をして楽しむんだけど。

 浅野君や小島君に声をかけられながらスーッと私と一護の近くへ。

 「ルキアちゃんおはよ、なんかあったの?」

 何をしてたかは大体知ってるけどね。

 「ええ、家庭の事情で少し遅れて……それと黒崎君……ちょっといいかしら?」

 偽りスマイルのまま一護に言う、一見ステキなお誘いに見える。

 「話ならここでッ――!」

 ボディーにルキアちゃんのパンチが入る、完全に油断しきっていた一護はその一撃でダウンしてしまう。

 「一護っ!?」

 「……少し一護を借りる。スマンな」

 「あ……うん」

 私にだけ聞こえるようにこっそりと告げてからルキアちゃんは一護を「保健室につれて行かなくっちゃー」と言いながら引きずっていった。


 






 さーてコンが来たらどうしようかなあ。
 とりあえずたつきちゃんと織姫へのキスが絶対に防ぎたい、いくら中身がコンでも一護が誰かにキスするのは見たくないしね。

 ……でも私にキスしてくるのも防がないとね、一護とか以外の人にキスされたくないし。

 






 いや、あえてコンにキスさせて一護をからかうのもあり……じゃないな、やっぱやだ。



[20987] 二十六話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/31 17:32
 お昼休み、それは私にとって一番楽しみな時間だ。

 それは織姫も同じようで。

 「やっとお弁当だね翔子ちゃん!」

 とってもまぶしい笑顔を私に向けてくれる、この笑顔だけでご飯1杯はいけそうだ。
 
 どんなにまぶしい笑顔を見ていても胃袋には限界があるんだよ。前世なら4杯くらいいけるかもしれないけどさ。

 そんなに体が大きくない私の胃袋は、あんまり大きくないんだよね、いくらウラえもんのところで修行してても。









 第二十六話









 「おね、いや翔子ー。一緒にお弁当食べよー」

 千鶴、人前で私のことお姉さまって言っちゃ駄目だって言ったのに。いや、R18指定なことはしてないよ、ただR15指定くらいのことはたまにしてるけど。

 「あっ千鶴ちゃんも一緒に食べようよ!」

 食パンにあんこつけて自家製アンパンを作って食べてる織姫が喜んで千鶴を誘う。
 
 ちなみに千鶴と織姫とたつきちゃんはフツーに仲良し。私はエロは表にださずこっそり味わうものだとちょうき、いや教育した結果だ。

 そんなわけで四人仲良くお昼を食べる。

 ……そーいえばこの場面で千鶴が、たつきちゃんがもう少し女っぽい性格だったら監禁してじわじわと目覚めさせるとか言ってたっけ。エロかったから覚えてるよ。

 監禁かー、一護にならされたいかもね。

 ……ちょっと想像してみたけど……イイ……。

 「そういえばさ、翔子」

 危険な妄想をしているとたつきちゃんが話しかけてきた。

 どんな妄想をしても顔には全くださないように修行してよかった、もし修行してなかったら「何ニヤニヤしてんの」とか言われてただろう。

 「なんでアンタはあたしのことちゃんづけで呼ぶの? 織姫とかは呼び捨てなのに」

 「いやー昔っからこう呼んでるし今さらかえるのもアレかなーって。それにもう愛称みたいな感じなんだよね、たつきちゃんっていうのは」

 そうなんだよね、昔っからたつきちゃんたつきちゃんって呼んでるから今さら変える気にはならない。

 「ま、それもそうか」

 と、そのときガタッと織姫が立ち上がった。

 「どうしたの? ヒメ」

 「黒崎君の匂いがした!」

 と、フンフンと鼻を鳴らして窓枠にしがみつく、あーもう可愛いなあ犬耳と尻尾がついてるように見えるよ。

 って負けた!? 私織姫に負けた!? 織姫は気づいたのに私は気がつかなかった!?

 そんな……私の愛(変態パワー)が織姫に負けるなんて……。

 これが原作ヒロインの力なの!? 所詮私は幼馴染止まりなの!?

 ああ、私が死んで悲しむ一護を抱きしめる織姫が見えてきた……

 織姫……一護を幸せにしてね……。










 「美しいお嬢さん……ボクにお名前を――」

 ハッ! いつのまにか織姫の手が大ピーンチ!
 
 というかコン、一護の体で変なことをしようとするんじゃない。

 中身がコンだとわかっていてもむかついて仕方ない、ああ、これが嫉妬なのかな?

 「何してるのかなあ……」

 がしいッと織姫の手をいやらしく掴んでる手を掴む。

 「何んだっ……ヒイッ!」

 「翔子ちゃん……?」

 ん? どうしたのかな、コン君、私は君の腕を力の限り掴んでるだけだよ?

 そんなに痛いのかなあ、でもね一護の体を使っていやらしいことをしようとした君もいけないと思うよ?

 「こんの……バカヤローッ!」

 私はコン(一護ボディ)の腕を放すと思い切りその顔面に拳を叩き込んだ。

 







 「やっぱ戻ってきて正解だったな……」

 自分の体が心配で戻ってきた一護が、私に思い切り殴られる自分の体を見て、呟いた。

 「ヤバッ」

 コンは窓から飛び出して逃亡。

 「おい待てっ!」

 一護はそれを追っかけて窓から飛び出す。

 「一護っ!」

 一護と同じように教室に戻ってきていたルキアちゃんも一護を追うために教室から出て行こうとする。

 ルキアちゃんを追いかけて私は何がどうなってるのか聞く。

 いや、何がどうなってるのかは知ってるけどね。

 「ルキアちゃん! なにがどうなってるの?」

 「翔子か……すまない! 後で必ず話す!」

 そう言って走り去ってしまった。

 早く追いかけないとコンがまた女の子襲っちゃうよー。いや原作ではそんなこと無かったけどね。




 「翔子……一護の奴いったいなにがあったんだろ」

 「あんなの一護じゃないよ!」

 それから気を取り直して昼食を続ける私達、教室では色々話しあっていたが。

 しかしそのとき教室にポーンと爆薬のような物が放り込まれ……ってコレ私を殺したやつだー!

 みんながなんだろコレーとか言ってる間に爆薬は爆発。

 爆発音は非常に小さく、缶ジュースを開けるときくらいの音しかしなかった。

 






 そしてクラスメイトの皆は私を残して気を失った。

 「いやー開発しておいて良かったっスねえ、広範囲型記換神機消音タイプ。まあ使い捨てっスけどね」

 「いや凄いですね」

 窓枠にウラえもんが腰かけている。
 このごたごたがバレると面倒なことになるから処理しに来たんだろうね。
 
 「ま、皆さんが目を覚ますんでアタシはこのへんで」

 「はい、がんばってくださいねー」

 「はいはーい」









 そして黒崎家にて。

 「イーチーゴー……今日はどういうことなのかな……」

 「ま、待て翔子。落ち着け」

 「そ、そうだぞ、コレにはとても深い事情が……」

 







 「お話しようよ、私はお喋りがだぁい好きなんだ」

 いや別に何も怒ってないよ? からかってるだけだよ。


 あ、そうだ、ちょっと言ってみたいことがあったんだ。



 べ、べつに怒ってなんかいないんだからね! あんたが何しようがどうでもいいんだからね! 勘違いしないでよ!

 うん、一回言ってみたかった。



[20987] 二十七話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/08/31 20:16
 「ふーんそうなんだ、さっきはその変態玉が一護の中に入ってたんだねー。そうだよねー、あんな変態が一護なわけないからねー」

 変態さでは私のほうが上なんだけどね。

 「そ、そうだろ! 俺もいい迷惑だったんだよ!」

 「そうだねー、ああそうだ、そいつが逃げた後に下駄と帽子の人が来てなんか爆弾みたいなの放り込んだんだよね、そしたら皆変態騒ぎのこと忘れちゃったんだよね」

 一応ウラえもんが来て皆の記憶を消してくれたことを伝えとく。

 「それは恐らく浦原がやったのであろうな、騒ぎになると困るだろうからな。ああ浦原というのはこやつを買った店の店主だ」

 私がウラえもんのとこで修行してるって知ったらどんな顔すんのかなー。

 「それ聞いて安心したぜ、全く……」

 本当だよね。









 第二十七話









 「でもなんで私は忘れなかったんだろうねー」

 「翔子の霊力が高いからであろうな、それかいつも霊力を垂れ流しにしているこやつのそばにいるせいかもしれぬな」

 「まて、俺、霊力なんか垂れ流しにしてたのか?」

 そうなんだよね、私もビンビンに感じてるよ、今もね。

 感じるって言葉をエロいと思うか思わないかがエロい人とエロくない人の違いだと思うんだけど、どうだろう。

 「ああ、それも結構な量をな。最も無意識にいつも垂れ流しているのだから言ったところでそう簡単に直せはしないと思うがな」

 「うるせー、俺は細かいことは苦手なんだよ」

 「それはそれとして」

 私は一旦話を区切り、机の上で放置されているコンを指さして。

 「そいつどうするの?」

 ルキアちゃんはうーむと腕を組んでなにやら考える。

 「そうだな、とりあえず体を探さねば話し合いもできんな。魂の無い体が必要だな……」

 「魂のない体っつったってどうすりゃいいんだ?」

 ぬいぐるみで良いんだけど私の家の狐ぬいぐるみを使う気は皆無だ、コンにはあのぬいぐる以外似合わないと思もうし。

 てかセイちゃんもたまに使ってるんだよね、手で強引に引っ張りだせば取り出せるし。

 ちなみにセイちゃんの名前は特製のセイから。

 「あー、ぬいぐるみでなんとかなんないかなあ」

 「いや流石に無理じゃねえか?」

 「だが試してみる価値はあるな、魂のない体などそう簡単に見つかるものではないしな」

 ルキアちゃんと一護が何故か私を見る、私のぬいぐるみを使う気か? させないよ?

 「なあ翔――」
 「なあ翔――」
 
 二人は同時に口を開く、やっぱりそうか。

 ってか息ぴったりだなー、なんか悔しいなー。

 「やだよ」

 私はきっぱりと断った。









 そんなわけでぬいぐるみが落ちてないか探すことに、買うという手もあったんだけど買うまでもないだろうと落ちてる物を探すことに。

 と、うろついていたら道端に落っこちてるコンボディを発見。

 「よし……入れてみっか……」

 なんかドキドキしながらコンボディにコンを入れようとする一護。

 「動いてるとこ誰かに見られたらどーすんの?」

 「っとそれもそうだな、しゃーねえ、家に持って帰っか」

 と言ってルキアちゃんにコンボディを持たせる一護、やっぱりぬいぐるみ持ったりするのは恥ずかしいんだろうね。

 ……ぬいぐるみを持ってて、「それ一護の?」とか聞かれて「ち、ちげーよ!」って顔を真赤にしながら言う一護が見てみたいなあ……。

 そんな妄想をしていると黒崎家についた。

 「あ、私は帰るね、見たいテレビとかもあるし」

 と言って私は一護達と別れた。

 コンとのゴタゴタに巻き込まれたくないしね。

 







 そして翌日。

 「一護! 起きろコラァ!」

 「何をしてるのかな君は」

 いつものように起こしに行ったらコンが一護の上に乗っかっていたので、コンの頭を摘みあげる。

 このやろー私の朝の楽しみである一護の寝顔観察の邪魔を……。

 「何だテメ……エエエッ!? なな、何でテメーがここにぃ!?」

 はっはっは、昨日のアレがよっぽど怖かったんだね、コンとはエロい話とかしたかったんだけどなあ。

 「ほらほら、騒がないの」

 「そうだぞコン、ぬいぐるみらしくしてろっつったろ」

 「へー、コンって名前にしたんだ」

 「ああ、改造魂魄だからな」

 確かカイだとなんかかっこいいからコンにしたんだっけ。確かにカイよりもコンのほうが似合ってるね。









 そして原作では真咲さんを殺した虚と戦う時期になったのだが、この世界ではそのイベントはない。

 と、いうわけで。

 ルキアちゃんに兎耳と兎尻尾をつけてもらいたいと思うんだ。

 個人的には犬のほうが似合ってると思うけど多分兎のほうが好きだろうしね。

 ルキアちゃんがお風呂を借りに来たのでさっそくつけてもらおう。
 
 「ルキアちゃーん、コレをもらって欲しいんだけど、そしてつけてもらいたいんだけど」

 「これは……!」

 おお良い反応、やっぱり兎とか好きなんだね。いやー浦原商店で見かけたときに狐セットと一緒に衝動買いしてよかったー。

 「私が兎好きだと知っていたのか?」

 「いや、知らないけど」

 兎セットをつけたルキアちゃんの可愛さは私を死神化させかねないほどだった。








 そしてルキアちゃんに写真をとらせてもらい、ルキアちゃんが帰った後。

 良いことを思いついた私は狐セットを装着し、制服の夏服をリボンを外し、胸元を少し開けた状態で着て、ポーズをとって携帯で写真を撮る。

 そして、一護へ送る。


 テーレッテーテレテッテレテ、テレレテーテー
 
 お、早いな。
 ちなみに私の携帯の着メロは某世紀末である。ブリーチは無いけどジャンプは一応あるんだよね、この世界。

 「はい、伊藤で――」

 「ななっなんつーもん送ってんだあー!」

 「いつもがんばってる一護へのご褒美だよ」

 「おおお前はなあー! 恥じらいってもんがねえのかー!」

 







 恥じらい? ないわけないでしょーが、一護以外には見せないっての。



[20987] 二十八話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/09/01 15:31
 「ボハハハハーッ!」

 織姫が腕をクロスさせて高らかに叫ぶ、そう、ドン観音寺のあのポーズだ。

 「ホラ黒崎君と翔子ちゃんも一緒にやろうよ!」

 「だーから私は見てないって」

 「わり、井上。俺も」

 よく一緒にやろうと言われるんだけど私は見てないから気がむかない。それに一護が好きじゃないしね。

 「はいはい、私がつきあってあげるから」

 たつきちゃんが織姫を手をひいて離れていく。

 そして私もさりげなく離れる、何故かというと。

 「ボハハハハーッ! 一護ー! 一緒にやろうぜー! ボハハハハーッ!」

 浅野君がこれでもかといわんばかりに一護の目の前でやりまくるからだ。








 第二十八話









 浅野君はこれが今までのお返しだとばかりに一護に向かってあのポーズをやりまくる。

 「ほーら一護ー! ボハハ――」

 「うるせーよ」

 そして案の定殴られて撃退される。

 しかし今日の浅野君は一味違うようだ、すぐさま復活してまた一護に向かってやり始めた。

 「うぜーよ」

 再び殴る一護、だが。

 「フッ……甘いな一護」

 なんと浅野君はクロスさせた腕で一護の拳を防御したのだ。

 だが。

 「ハギャッ!」

 今度は回し蹴りをボディにくらわせた一護、一味違う浅野君でも流石に蹴りは耐えられなかったのか、動かなくなった。


 それにしても人気だなあドン・観音寺は、そういえば浦原商店にもなんか杖があったっけ。

 

 「ホーラ朽木さんもボハハハハーッ」

 「いやだあ、恥ずかしくてできませんわあ」

 ルキアちゃんに教え込んでやらせて一護を攻撃する作戦か、浅野君。

 

 「まさか生放送で空座町に来るなんてねえ」

 「ハア……ホントだよなあ……」

 窓枠で憂鬱な気分の一護に声をかけてやる。

 一護は一心さんと遊子ちゃんの付き添いで行くつもりって言ってた、もしかしたら真咲さんが行くから一護は留守番かと思ってヒヤヒヤしたよ。

 まあ真咲さんを殺した虚と戦わなかったり、井上(兄)と戦わなかっり、崩玉がなかったりと、既に色々違うんだけどね。

 







 んで帰り道。

 「そういや生放送の日、お前はどうすんだ?」

 「うーん……私も行こうかなあ」

 まあ折角の比較的安全な原作イベントだし、見たい気持ちもある。先生に色々注意されるかもしれないけどね。
 でも本当の狙いは次のセリフを言うためだ。

  「なんかさ……この前のこともそうだけど、一護が離れてく気がして寂しいんだよね……だからさ」

 さりげなーく、ごくごく自然に手を握る。

 一護は一瞬驚いたみたいだけど、黙って握り返してくれた。

 やっぱ大きくて暖かい手だなあ。

 「できるだけ……できるだけで良いから、そばにいたいんだ……」

 「バーカ。家が隣なんだから、いつでもすぐに会えるだろ。俺はあの家からいなくなりも離れもしねえよ」

 「約束だよ……私の隣からいなくなったりしないでね」

 「ああ、約束だ」

 立ち止まり、見つめあう私達。

 ……なんだかドキドキしてきたな……。

 と、そのとき。



 「クオラアァー! 家の前で何をするつもりだー! お前にはまだ100年早いわ! 一護オォー!」

 一心さんのドロップキックが一護を吹き飛ばした。

 あ、いつのまにか黒埼家の前まで来てたんだね。気づかなかった。









 そしてやってきました生放送ターイム。

 あっちからボハボハ、こっちからボハボハ聞こえる。

 浅野君もやってたけど一護に撃退されたよ。

 隣を見ると一心さんと遊子ちゃんが仲良くボハボハしている。そしてそれを優しく見守る真咲さん、呆れ気味に見ている夏梨ちゃんと一護。

 なんか良いなあ、黒崎一家勢ぞろいってかんじで。

 ああ、そういえば浦原一家はもう来てるのかなあ。
 確かテッサイさんに店を任せて家族四人だけで来るとか言ってた。
 ……まあテッサイさんは興味なさそうだけどなんか仲間はずれみたいでかわいそうだなあ。

 
 テーレッテー、テレテッテレテ、テレレテーテー


 ん? あれ、ウラえもんから電話だ。

 「あー翔子サン? 今ついたっス。黒崎サンはどの辺りにいますか?」

 ああ、確かルキアちゃんが抑えられてウラえもんが一護を死神化させるんだっけ。

 私は今いる場所をウラえもんに伝える。

 「わかりました。じゃ、また」

 ウラえもんはそう言って電話を切った。

 「今の誰だ?」

 一護が聞いてくる、まあ気になるよね。

 「ああ、私がよく行くお店の人」

 嘘はついてないぞー。

 「へー、今来てんのか?」

 「うん、だからもしかしたら会うかもね」

 会うんだけどね。









 そして始まる除霊タイム。

 会場はまさしく超エキサイティン!
 うん、言ってみたかっただけ。


 「バカな! あんなことをすれば虚化が早まるだけだ!」

 「くそっ!」

 一護は柵を乗り越えて止めに行こうとする。









 そのとき私は見た、一護のように柵を乗り越えようとする石田君を。

 ……きっと一人で来てたんだろうなあ……。



 一人でよく祭りに行っていた前世を思いだした。



[20987] 二十九話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/09/03 16:41
 ドン・観音寺の間違った除霊を止めようと柵を乗り越えた一護だが、警備員の皆さんに取り押さえられてしまう。

 「一護! こっちに来い! 死神化するぞ!」

 グローブを装備して叫ぶルキアちゃんだがやはり警備員に抑えられてしまう。

 思うけどやっぱりいつもコンを持ち歩いたほうが良いのかもしれないね。こういうときにさっと死神化できるしね。

 振りほどこうと暴れていた一護が警備員に殴られる。

 うわー痛そー。でも今回は何も知らない人から見たら一護が完璧に悪いんだよね……。

 ん? 浅野君達のほうが騒がしいな。どうしたんだろう?

 「いやいやチャド! 今回は一護のほうが悪いって! 見てたろ!」

 気になって見てみると、チャド君が一護を救うべくズンズンと警備員のみなさんのほうへ向かうところであった。









 第二十九話









 浅野君が必死に止めようとしているが、チャド君は全く止まる様子がない。
 一護との約束を果たそうとするチャド君には浅野君の説得など、遊園地とかに来てまだ帰らないと駄々をこねる子ども以下の力しかないだろうね。

 そんなわけでさーっと人ごみをすり抜けてチャド君の前へ。

 「まったまったチャド君」

 「伊藤か、そこをどいてくれ」

 「伊藤さん! チャドを止めてくれぇ!」

 既に涙目の浅野君。

 チャド君は私の横を通ろうとする。

 「あーチャド君、実は一護から伝言を頼まれてるんだよね」

 勿論嘘だ、でも私の言葉じゃ止まりそうにないから一護からの伝言ということにする。

 「一護の?」

 一護からの伝言と聞いて止まるチャド君。

 「そう、もし一護が警備員の人に取り押さえららても、複雑な事情があるから心配するなーとかそういうようなことを言われて伝えにきたよ」

 こんな嘘じゃ多分信じてくれそうにないけどウラえもんが一護を助けるまでここにいてくれれば良い。

 チャド君まで暴れちゃうと面倒な気がするしね。ってこれは原作にあったのかな? 私は覚えてないけど。
 まあ原作にあったとしてもこのくらいなら大丈夫だろうね。多分だけど。

 「どんな事情なんだ?」

 やっぱりそこをついてくるかー、さーてどうしよう。ここで下手なこと言うと後で一護が問い詰められるかもしれないからねー。

 「あーそれはね、私も知らないんだ」

 とりあえずこう言っておこう、まーいざとなったら覚醒した後にでも話せばいいよね。

 浅野君はさっきからあたふたとしている。

 もちつけ、いや落ち着け。

 

 そしてそんなことをしているうちに一護達のほうからボンッと小さな爆発音が。

 ウラえもんがやってくれたな?

 「あ、一護が知らない人に助けられたよ」

 と言って一護達のほうを指差す、そしてチャド君達の視線が一護達のほうを向いた瞬間にサーッと人ごみにまぎれて離れる。

 ルキアちゃんに会いたいしね。

 小島君に見つかるかと思ったけど大丈夫だった。

 「ム……」

 「お、ホントだ! ってあれ? 伊藤さんは?」

 そんな声が聞こえたが気にせずに離れていく。









 「やめろっ!」

 一護をドン・観音寺の間違った除霊を止める、だが間に合わず霊は叫びながらバラバラと崩れていく。

 私はルキアちゃんを見つけて、駆け寄る。

 「ルキアちゃん! どうなったの?」

 ルキアちゃんは私に気づき手に持っていた携帯のような物から顔を上げる。

 「翔子か、通常は整が虚となる場合一度あのように霧散した後別の場所で再構成され、虚となる。だが奴のように、つまり地縛霊となった場合はその場で再構成される、つまり」

 ルキアちゃんはなるべく私にもわかりやすく説明してくれようとしたのか、簡単に話してくれる。

 「上だ一護!」

 ルキアちゃんがちょっと離れている一護に聞こえるように大きな声で叫ぶ。

 つられて上を見てみると屋上で、今まさに虚が誕生しようとしていた。

 白い、何かの欠片のようなものが集まっていき四足歩行の爬虫類のような形になり、最後に仮面が作られる。

 虚は観音寺と一護に向かって飛び降りていく。









 「いたぞー!」
 「捕まえろー!」

 「しまった、つい大声で……」

 警備員のみなさんがルキアちゃんを発見、そりゃあんだけ大きな声出せばね。

 とりあえず私は離れておこう。









 ルキアちゃんが人ごみにまぎれた後、私はウラえもんと会った。

 「いやー翔子サン、どもっス」

 ウラえもんがいつも持っている扇子を軽く上げて挨拶してくる。

 「こんばんは……、翔子さん……」

 雨ちゃんがウラえもんに隠れながら挨拶してくる。

 カワイイカワイイカワイイカワイイカワイイ、とても大事なことなのでたくさん言いました。
 
 連れて帰りたい、そして色々教えてあげたい。

 「……何を考えておるのじゃ……?」

 夜一さんの目が怖い、しかしそんな目もたまらない。

 ちなみに夜一さんはホットパンツにタンクトップらしきもの(名前よくわからない)とGジャンを袖まくりという夏らしい格好だった。

 なんだか旦那との差が激しい気がする。

 それと現世生活を満喫している気がするのは気のせいかな?

 多分気のせいだね。

 「……こんばんは」

 無愛想にジン太君も挨拶してくる。

 原作と違って黒髪でも性格は変わらないのね。

 「こんばんはーみなさん」

 「いやーがんばってるっスねえ、黒崎さん」

 一護は既に廃病院の中なので様子はわからない。
 その気になればどこにいるかくらいはわかるけど、やめておく。

 「さーて、どうなることやら……」

 「ま、どうなってもやることは一つですって」

 「よく言うの、じゃがそのとおりじゃ」









 どーなっても私は生き残る、そして一護の童貞を奪う!

 ってあれ? 二つになってる? ま、いっか。









 その後、まーなんやかんやで倒せたようで、みんなでボハボハやってる。

 「じゃーアタシらはこれで」

 浦原一家は帰っていった。

 何だか四人の中にウラえもんだけ明らかに浮いてるなあ。

 でも、笑いあいながら帰っていくその姿はまさしく家族だった。

 あの四人も最後まで幸せだといーなー。

 勿論私達も。


 






 私は黒崎家と合流して、一緒に帰っていった

 帰った後にメールでチャド君を止めたときのことを話しておく、今度聞かれそうだしね。

 ……狐(今度は水着)写真つきで送ったのでその後一護から電話がきたのは言うまでもない。









 そして次の日、先生に呼び出されてしまった。

 そういえばそうだったね。思い出したよ。



[20987] 三十話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/09/04 19:09
 呼び出されたのは、私、一護、ルキアちゃん、織姫、たつきちゃん、チャド君、浅野君、小島君の8人。

 「全くもって信じ難し!」

 タンクトップとヒゲと鍛えた体が特徴の鍵根先生がでかい声で言う。タハハーそりゃそーだよねー、テレビの生放送で騒ぎを起こすなんてどえらいことだ。

 鍵根先生がリモコンをいじって一護のアップのシーンを出す。

 「俺に似てますね」

 「お前だろうが! 黒崎!」

 一護は先生の言葉など聞いていない。まさに馬耳東風。
 初めて馬耳東風って見たときに、うまみみひがしかぜと読んだことがある、今思い出すとかなり恥ずかしいな。

 「イヤー世の中似た人が一人二人はいる言いますが、ここまで似ているとは」

 「ああ、本当だな」

 私と一護は人事のように言う。

 イヤースゴイグウゼンダナー









 第三十話










 「お前らは……!」

 当然のことだが鍵根先生の怒りはさらにあがる。

 「先生、あたしと井上さんは呼ばれる理由がないと思います、私達は偶然朽木さんと会っただけですから」

 たつきちゃんが先生に言う、さては自分達だけ逃げるつもりだな?   浅野君はたつきちゃん達も誘ってたから。

 「うそだあ! 俺二人も誘ってたじゃん!」

 浅野君が涙目で叫ぶ、浅野君には涙目が似合うなあ。

 「たつきてめえ……自分達だけ逃げる気だな……」

 一護の恨むような言葉にたつきちゃんはベーっと舌を出すことでこたえる。

 その舌をちゅっちゅしたいね。
 
 「ならばよし」

 浅野君の言葉は鍵根先生に信用されなかったようだ。普段の生活態度がものを言うね。

 私の普段の生活態度は良いほうだと思うけど、いつも一護の近くにいるから「一緒に行ってませーん」なんて言ってもまったく信じてもらえない。

 申し訳そうな顔をしながら織姫が、しれーっとしてたつきちゃんが出て行った。

 「じゃー俺も――」

 「お前は駄目だ」

 一緒に出て行こうとした浅野君がむんずと掴まれる。

 浅野君は抗議するが、こうかはいまひとつのようだ。

 しかしそのとき。

 「う……っすみません……私が……黒崎君を止められれば……っ」

 ルキアちゃんの嘘泣き謝罪攻撃!

「く、朽木、泣くな!」

 こうかはばつぐんだ!

 鍵根先生がルキアちゃんを泣き止ませようと色々言ってるうちにさっさと逃げる私達だった。









 あー成績とかが心配だなあ……次のテストはもっとがんばるか。









 だが、そんな心配が一気に吹っ飛ぶような事件が発生しました。
 
 それは、ある晴れてない日のこと。

 「こんにちは、伊藤さん」

 虚以上の石田君が神父っぽい服で降り注いだ。

 
 
 こっちの世界には無いみたいなんだよね、某憂鬱。



 まあそれはそれとして、いよいよ本格的な原作崩壊が始まるのか!? いやもう始まってそうだけどね!

 「石田君……まさか!」

 「そう、君も気づいているみたいだね、僕は――」

 「こんな人気のないところで愛の告白!? 駄目! 私には一護が!」

 とりあえずからかってうやむやにしよう。

 「違う!」

 さっきまで真面目だった石田の顔が台無しに。

 「なら私をどうする気なの? はっ! まさか……」

 石田君は叫んだせいでズレた眼鏡を直す。

 そして再び真面目な顔になり。

 「そう、僕は――」

 「路地裏に私を連れ込んで18禁なことをするきなの!? らめぇー私の初めては一護にー!」

 「僕がそんなことするわけないだろう!」

 顔を真赤にして叫ぶ石田君、おお意外と可愛いな……。

 「あー騒ぎを聞きつけたおまわりさんが!」

 私は石田君の後ろを指差して言う。

 普段であれば騙されるわけがないのだが、冷静さを欠いている今ならば騙されるはず。

 石田君は慌てて後ろを振り向く。

 そして私はその隙にスタコラサッサと逃げ出した。









 いやーまさかコンビニに電球買いに行った帰りに石田君と会うとは。

 撒き餌イベントはどうなるんだろう。

 まあやれることをヤッておこう。うん、ヤッておこう。









 その日夜、一護から石田ってやつを知らないかって感じのメールがきた。

 もしかして一護に会う途中だったのか? 石田君は。

 とりあえず同じクラスで文芸部で頭が凄く良いって内容のメールに、いつもの狐セット+大きめのYシャツ一枚+上目遣い、という男にはたまらない写真をつけて送っておいた。

 案の定電話がきた。

 「だからお前には羞恥心ってもんがねーのかあ!」

 「あるよ、恥ずかしいに決まってるでしょ」

 私の即答に一護は少し冷静になる。

 「だ、だったらなんでこんな写真……」

 「一護だけに見せてあげるんだからね? 一護だから見せたいんだからね?」

 それだけ言ってサッと切る。

 一護は今頃顔が真赤になっていることだろう。

 ……そういえば写真は消してるらしいけど、できれば保存してほしいなあ……そして……キャー。









 どうでも良いけど、精神世界で弓美さんが鼻血を噴いて倒れているのを発見した。



[20987] 三十一話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/09/04 20:29
 さーて、もうすぐ『撒き餌だよ! 虚集合!』が始まるだなあ。八時じゃないけど。

 それにしても一護は人の顔と名前を覚えるのが苦手だね。いや私もイケメンと美少女以外はあんまり覚えないけどね。

 しかし顔と名前覚えるの苦手なわりに学年15位とは、凄いなあ。私は前世の知識をフル活用しても47位なのに。まあ私は修行もしているという言い訳ができるけど。

 そういえばなんか原作よりも成績良い気がするなあ、なんとなくだけど。

 まーそれはそれとしてだ。









 「僕は滅却師、死神を憎む。そう、君もね、伊藤翔子」

 どうして私のとこに来るの? 石田君。

 もしかして意外と女好きなの?









 第三十一話









 私は浦原商店に行こうと制服姿のまま出かけると、石田君が現れた。

 「君は黒崎と違って、霊力を垂れ流しにしたりしていないからわかり辛かったよ。でも、何日も同じ教室で過ごすうちに気づいた」

 「私の魅力に?」

 とりあえずこの前と同じように誤魔化そう。

 「だから違う! 君はそんなに自分に自信があるのか!」

 「まあ一護を赤面させる程度の魅力はあると自負してるよ」

 実際よく赤面させてるしね。あの一護の真赤な顔が可愛いからついついからかっちゃうんだよね。

 「ああもう! また話がそれた! とにかく! 僕と勝負だ伊藤翔子!」

 「嫌だ!」

 単刀直入に言わなければ話をそらされて逃げられると思ったのか、かなりダイレクトに言ってくる石田君。
 
 私は即答する。

 嫌に決まってるでしょ、なんで私がやんなきゃいけないの。

 石田君はやはりな……というような顔をして。

 「そうか……ならばこうしよう、君が勝負を受けなければ君の恋人の黒崎一護に勝負を挑もう、まだ死神の力を手に入れて日の浅い黒崎にだ。それでも良いのかい?」

 石田君は落ち着きを取り戻したらしい。

 こ、恋人って! ま、まだそんなんじゃないって!

 しかしそれにしても何で私と勝負したがるんだろう?

 もしかして私が昔から死神の力を持ってるからとか?

 それならどうして今しかけてくるんだ?

 からかいたい衝動を抑えて私は聞く。

 「ねえ、どうして私と勝負したいの? 私はただのか弱い女の子なのに」

 私の質問に石田君は。

 「今更誤魔化せると思っているのかい? 僕は入学式のあの日から君が死神だと気がついていたよ。そして黒崎一護が5月の半ばに死神の力を得たことも、朽木ルキアの正体も知っているよ。そして黒崎ではなく君と勝負がしたい理由はただ単に君が先に見つかったからだよ」

 あの日からバレてたんかい! そして私と勝負しようとするのはただの偶然かい!

 しかしそうすると何故今になって私に話しかけてくるんだろう。

 「……今になって勝負だなんて言うのはなんで?」

 「これさ」

 石田君は制服の胸ポケットからなにやらコインみたいなのを取り出す。
 うん、撒き餌だね、それ。

 「これは対虚用の撒き餌でね、これを砕いて撒けばこの町に虚が集まってくる。この撒き餌は結構貴重で手に入れるのに時間がかかった、それが今まで動かなかった理由さ」

 へー、そんな設定があったのか。

 この世界だけの設定かもしれないけど。

 「……とりあえず一護のほうに行ってくれないかな? 私は死神の力を使いたくないんだよ。それに一護ならきっと勝負を受けてくれるよ、何なら私が呼び出しても良いよ」

 私がそう言うと石田君は、少し考えてから。

 「……なら、今呼び出してもらえるかい?」

 「いいよ」

 私は携帯を取り出して一護に電話する。

 「あー一護? ちょっと石田君が呼んでるから来て、場所は――」

 さーて原作通りになーれ。

 







 「それじゃ、私はこれで」

 一護がここに来ることになり、私はそそくさと退散しようとする。

 「心配じゃないのかい? 黒崎のことが」

 石田君は私が一護を盾にしたことが気になるようだ。

 「……心配だけど、そのときは助けるよ」

 それだけ言って私は浦原商店に急いだ。









 「翔子……何故ここに?」

 ルキアちゃんが浦原商店にいた。

 ああー! 忘れてた! 滅却師のこと聞きにきたんだっけ。

 「駄菓子を買いに、ルキアちゃんも?」

 まあとりあえず誤魔化そう。

 「いや……私はだな……」

 ルキアちゃんはどうすれば良いのか悩んでいる。

 多分浦原商店の秘密を話して良いのかどうかってところだろうね。いくら死神も虚も見えるからって話したほうが良いことと悪いことがある。

 まあ私は色々知ってるわけだけど。

 「あー翔子サンになら話しても大丈夫っスよ? 霊が見えることについて昔っからよく相談しに来てますから」

 ウラえもんが帽子を直しながら言う。

 ルキアちゃんは少し驚く。

 「そうだよ、浦原さんには昔っから相談にのってもらってるよ」

 私はウラえもんの話にあわせる。

 「そうであったのか……ならば話したほうがよさそうだな。この男は――」

 そのとき、ルキアちゃんが手に持っていた携帯っぽい機械がピピピッと、メールがきたのを知らせるように鳴る。

 「っと虚か、すまん翔子、この話はまた……反応が消えた?」

 ルキアちゃんは信じられないといったふうに携帯のような機械の画面を覗き込む。

 そしてさらに機械は鳴る。

 何度も何度も、壊れたのかと思うほど。

 「これは……何だ……この数の虚は!?」

 さーて、スーパー虚祭りの始まりだ。

 私はもしも、万が一織姫とチャドが覚醒しなかったときに助けるようにウラえもんに言われている。

 勿論言われずとも助けに行くつもりだ。

 まずはチャド君を助けに行く予定。

 「翔子サン……」

 「はい、わかりました」

 「翔子……?」

 覚醒しなかったときすぐに助けられるようにチャド君のところへ向かう、一応チャド君が戦ったと思われる空き地の場所は知ってる。

 できれば覚醒しなかったとわかってから死神化したいけど、それで間に合わなかったら嫌だ。夏梨ちゃんもいるし。

 てかどーせ石田君がバラすと思うけど。

 「ルキアちゃん、行ってくるね」

 「翔子、それは一体どいうことなのだ?」

 私はセイちゃんをポケットに入れてあるキーホルダーから取り出し、飲み込む。









 「な――っ! 翔子! その姿は!?」

 「今まで黙っててごめんね」









 私はチャド君の下へ走り始めた。



[20987] 三十二話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/09/05 16:40
 ルキアちゃんの驚愕した顔をもう少し見ていたかったけど、我慢してチャド君がいると思われる空き地へ急ぐ私。

 通り道にいた虚もとりあえず打ち抜きながら走っていると、夏梨ちゃんを抱えて虚に挑むチャド君の姿が見えてきた。

 夏梨ちゃんにバレない位置で見守ることにする。

 それにしてもほとんど見えない化け物に立ち向かうとは、凄いなあチャド君。

 がんばっていたチャド君だが夏梨ちゃんの友達がやってきて慌てたのか、隙ができて虚に殴られる。

 そして、爆発が起こる。


 
 チャド君が覚醒した力で虚を殴りとばした――ってあれ? なーんか変だぞー?









 第三十二話









 なんかあれだ、チャド君の右手の様子がおかしい。

 原作では右手の肩から先が鎧のようなもので覆われていたはず。

 でもなんだか右手に角っぽいでっぱりがついてるんだよね。

 あれか!? 私の影響も受けたのか!?

 ってか原作では必殺技っぽいの二発で倒したはずなのに一撃で倒してるよ!

 うーんこれはアレだね、織姫が心配になってきたね。

 虚は余裕で倒せたけど力の使いすぎなのか、チャド君は倒れる。

 夏梨ちゃんが一心さんを呼びに行ったのを見てから、私は織姫がいる学校へ走り始めた。

 チャド君と色々話したかったけど、それは今度だね。










 「椿鬼、孤天斬盾! 私は! 拒絶する!」

 結論から言おう、織姫もなんかやたら強い気がする。

 どのくらいかと言うとあのなんだっけ、なんとか六花ってのの一人一人が普通の人間の子どもくらいのサイズなんだよ!

 なんか三天結盾は虚の攻撃跳ね返して反撃しちゃうしさ。

 どういうことなの……やっぱ私の影響なの?

 あーもー色々とんでもないことになってるよー。

 いや、でも強くなってるみたいだからOKかな?

 「やっ……たあ……」

 倒れそうになる織姫を抱きとめる。

 「あ……れ? 翔子ちゃん……?」

 「お疲れ様」

 気を失った織姫を優しく地面に寝かせる。

 「初めまして、僕らは盾舜六花! こんにちは、翔子お姉さん」

 えーと誰だっけ? リーダーっぽいちょんまげの男の子(中々可愛い)が笑顔で話しかけてくる。

 ……翔子お姉さん……?

 「ごめん、もう一度言ってほしいんだけど」

 「え、う、うん。初めまして、僕らは盾舜六花! こんにちは、翔子お姉さん」

 翔子お姉さん……中々良い響きじゃないか……何も知らない無垢な少年にイケナイことを教えたくなるよ……。

 「えーと、どうして私の名前を?」

 しかしそんなことは表情には全くださない。

 「そんなの決まってるじゃない、僕らは翔子お姉さんのせいで生まれたんだから」

 えー、やっぱり私の霊力の影響か……そのせいでパワーアップしちゃったの?

 「とりあえず僕らもそろそろ元の姿に戻るよ……」

 盾舜六花は集まり、そしてあのヘアピンに戻っていった。

 さーて、ウラえもんが来たら織姫を運ぶかなあ……。









 その後、ウラえもんとテッサイさんが来たので一緒に浦原商店へ。

 さーて色々話さなきゃね。

 石田君から一護にはバレそうだし、もう話したほうが楽だしね。










 「お、起きた? チャド君」

 「……伊藤?」

 チャド君が起きた。

 織姫がなにやら「黒崎君……それは鉄塊だよ……翔子ちゃんはあっち……」とかなんとか寝言で言ってるけど放置しておこう。

 「その格好は一体……?」

 チャド君から「なんて格好してるんだこの人」みたいなオーラを感じる気がするけど、気のせいだろうね。

 「あー、それは織姫が起きたら説明するよ」

 「そーゆーことっス、今はとりあえず休んでてください」

 ウラえもんが障子を開けて登場。

 「あんたは?」

 「アタシ? アタシはただのハンサムエロ店長っスよ」

 そして私はただのエロ変態高校生。

 「違うってばあッ!」

 織姫ちゃんがなんか飛び起きた。どーやら相当変な夢を見てたみたいだね。

 「あれ? 翔子ちゃん? ここどこ? 翔子ちゃんの家? リフォームしたの?」

 「落ち着いて、ここは私の家じゃないから」

 「ええっ! 私達誘拐されちゃったの!?」

 「ひ、酷いっスねえ……誘拐だなんて」

 ウラえもんがちょっと傷つく。

 さーてこれからスーパー説明タイムだ。

 「じゃー、これからさっきの化け物とかの説明始めるよ。私のこともね」

 二人が私とウラえもんに注目する。

 「ちょっと長くなるけど聞いてね。まずは――」









 そういえばルキアちゃんどこ行ったんだろ、原作では虚と戦ってたけど。



[20987] 三十三話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/09/06 18:27
 「かくかくしかじか。というわけなんだ」

 「えっ、そうなの翔子ちゃん」

 「そうだったのか」

 「そうだったんスよ」

 ってできたら良いのになー。
 でもできないんだよね。









 第三十三話









 「この世には霊がいるんだけどね。ああ一護と私が見えるのは知ってるよね」

 二人は私と一護には霊が見えるということを知っている。

 二人はうんうんと頷く。

 「で、霊には二種類いるんだよ、普通の霊が整。んでさっき二人を襲ったのが虚。早い話が悪霊」

 「虚……さっきのあの私達を襲った化け物のこと?」

 織姫が確認するように聞いてきたので、そうだよ、と答える。

 「そして、整を尸魂界という所謂あの世に送ることと、虚を退治することが仕事の死神という存在がいます」

 ウラえもんが続きを説明する。

 「死神って、あの鎌を持ってる……?」
 
 「一応そうだね。髑髏でもないし鎌も持ってないけどね」

 そういえばあの髑髏で鎌のほうの死神って誰が考えたんだろう。

 死神を誰かが見て、それが広まったのなら髑髏で鎌持ってるイメージなわけないしねえ。

 いや深く考える気はないけど。

 「実は朽木サンは死神なんですよ、しかし今はとある事情があって黒崎サンに死神の力を渡している状態っス」

 このウラえもんの言葉に二人とも驚愕する。

 まさに。

 な、なんだってー!

 な感じだ。

 それと驚愕したときに織姫の○○○○が結構揺れた。○にする意味はまったくないけどなんか○○○ってやると卑猥だよね。

 ち○こみたいに、○に入るのはなんだろうね。最初に何が思いつくかでその人がエロいかどうかがわかるぞ!
 ちなみに私は迷わず最後のあの文字を入れた!

 「一護が……そういえば……シバタの……」

 チャド君がなにやらつぶやいている、シバタ事件を思い出したかな? なんか記憶置換だっけ? されてたっぽかったけど。

 「じゃあ……まさか翔子ちゃんのその格好って……」

 おー織姫が気がついたよ、流石に学年トップ3に入るだけのことはあるね。

 普段は天然だけど、いざというときには頭がさえるのかな?

 「そ、死神の格好だよ。私はどういうわけか死神の力を持ってるみたいなんだよね。厳密には少し違うみたいだけど」

 なんか虚の力も混じってるからねー。

 基本は死神みたいだけど。

 「そう……だったんだ……」

 織姫は衝撃のあまり上手くリアクションができないみたいだった。









 そして、そろそろギリアンが出てきそうな気配なので、移動開始。

 織姫とチャド君は近くの廃ビルから見ていてもらうことに。

 「翔子ちゃん……本当に大丈夫なの!?」

 「伊藤に何かあったら、一護が悲しむ」

 二人は心配してくれた。

 「私は逃げ足だけは凄く速いからね、大丈夫だよ」

 本当は結構怖いけどね。

 でもそれは表情には出さない、本心を隠すのは得意、何故ならそうしないと隔離されてしまうからさ!

 っていうか私が本心隠すの下手だったら一護は既にパパになってると思うんだ。

 「じゃ、いってくるねー」

 いざ、戦場へ。









 一護と石田君が虚に囲まれている。

 そこへ雨ちゃんがマシンガンポッドを撃ちまくる。

 突然虚を襲った攻撃に注目する二人。

 「あ……あの……こんにちは……」

 ぺこっと頭を下げる雨ちゃん。

 その大人しい性格と高い火力のギャップがたまらない。

 可愛いな……保険体育は私が教えてあげようじゃないか。
 別に変なことは教えないよ、赤ちゃんがどうやってできるのかと人工呼吸の仕方をとてもわかりやすく教えてあげるだけだよ。

 「助けに来てあげましたヨーン! 黒崎さんに石田さーん!」

 ウラえもんが挨拶するように扇子を高々と上げながら、場にあわない明るい声で言う。

 「な……翔子! なんでお前が!」

 一護が信じられないものを見たように言う。実際信じられないだろうね。

 「まーあれだね、これがあのとき言えなかったことかな」

 「お前も……死神だったのか……?」

 「厳密には違うみたいだけどね。それはそれとして……くるよ」

 私は空の、ひびを指さす。

 もうギリアンが出てきそうだった。

 「周りは浦原さん達と私に任せて。二人はあのでっかいのをお願いね」

 「おう! 後でゆっくり話しがしたいからやられんじゃねーぞ!」

 一護ったらやられるなんて……エッチ。

 私が一番エッチで変態だけどね。

 「一護! 一護なら負けないって信じてるからねー!」

 私は次々と虚を倒している雨ちゃん達に加勢しに行く。



 そして一護に見えない位置で斬魄刀を解放、虚を射抜いていく。









 どんなに多くても雑魚虚は雑魚虚。

 当然だが雨ちゃんやテッサイさん、ジン太君、そして私の敵ではなかった。

 しかし、気になることがある。

 先ほどチャド君や織姫がいる場所に行くときに打ち抜いたときにはほとんど感じなかったんだけど。

 なんだかこう……体の奥がざわざわと、いや、ざわ……ざわ……とするような気が……。

 鉄骨を渡ろうとしたりも冤罪でヤバイとこに放り込まれても金と呼ばれたいと思ったりもしてないんだけどなあ。

 ただ単に実戦になれてないせいかな?

 ――いや、そういうわけでもなさそうだぞ、翔子――

 そうですか弓美さん。

 







 体の奥のざわめきが少しずつ、本当に少しずつだけど虚を倒すたびに大きくなっていくのがわかった。

 あれか? 力の覚醒フラグか? 内なる虚と戦うことになるのか?

 虚を倒していくことによって私の中の虚パワーが目覚めようとしているのか?

 くっみんな離れて! 私の中の虚が!

 ってことになりませんよーに。



[20987] 三十四話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:316d4b0c
Date: 2010/09/07 19:00
 雑魚虚相手に矢を撃ちまくっていますが、そのたびに体がざわざわとします。

 これは多分私の中の虚パワーが反応しているんだろうね。

 ――ああ、翔子の中の虚が目覚めるかもしれないな。だがそれもまた翔子の一部だが――

 私はやっぱり死神じゃーないみたいだね。

 そして弓美さんもあくまで元斬魄刀。少なくとも今は死神が持つ斬魄刀じゃあない。

 これから私はどうなるんだろうか。

 まー少なくともがんばりますよ、色々とね……ウフフフ……。

 ――可愛い子だと良いなあ。とか思っているんだろう?――

 当たり前じゃありませんか。









 第三十四話









 雑魚虚を大体倒し終えるころにはギリアンさんが完全にこっちに出てきていた。

 言ってみたいだけなんだけど言わせてね。

 こっちくんな。

 「翔子! 一体どういうことなのだ!」

 ぺたんと座りこんでいるルキアちゃんが話しかけてきた。

 確かウラえもんに動けなくされたんだっけか? 今のうちに気持ちイイことしてあげたいなあ……

 「黙っててごめんね、私さ、どいうわけなのか死神の力持ってたんだよ。んで浦原さんにお世話になってたの」

 「翔子サンに色々教えてあげましたヨン」

 色々? おかしいなあ、子どもの作り方は教えてもらえなかったけどなあ。

 「では、今まで何故黙っていたのだ? そして何故翔子が死神の力を持っていて、解放までできておるのだ?」

 それはねーなんか崩玉のせいらしーよ。なーんて言えないよね。

 「詳しいことは現在も調査中っス。始解できるのはアタシと修行したからっス。そして言わなかった理由は尸魂界にバレると色々面倒でして」

 「……そうか……翔子、一護を助けには行かぬのか?」

 ルキアちゃんがほんの少しだけ、私を責めるような声で言う。やっぱり斬魄刀を解放できるんだからそれなりに強いと思われてるんだろうか?

 でも……ルキアちゃんの責めるような声……意外とイイ……私Mの気もあるのかな……?

 ――私にはSなのにな――

 愛あるSですよ弓美さん、てか弓美さんも喜んでたじゃないですか。

 まー私がSかMかは両方ってことで良いとして、今一護と石田君はギリアンさんに挑もうとしているところだ。

 あ、一護が蹴り飛ばされた。

 「すみません浦原さん、あの長鼻野郎に一発ぶちかまして良いですか?」

 「翔子さんじゃ食べられちゃいますって」

 「そうですか。ルキアちゃん、私は解放はできるけどあんまり強くないんだよ」

 実際速いだけだしね。

 「そうであったのか……すまなかったな」

 ルキアちゃんの申し訳なさそうな顔……食べたい……。

 「ってなんでてめえが死神の格好してんだあああ!」

 あ、コンIN一護がやってきた。

 そういえばルキアちゃんに大事なトコ蹴られてたんだっけ……。

 一護のアレが使い物にならなくなってたらルキアちゃんに責任をとってもらおうかなあ。

 ルキアちゃん、いくら襲いかかられたからって、一護の体なんだからアレを蹴るのはやめてほしかった。

 一護とアレができなくなったらどーすんの。

 「ああコン君、一護の体で変なことしてないよねえ?」

 「お、俺がそんなことするわけねえだろ!」

 「さっき私に襲いかかってきたな」

 「……」

 私の刺すような冷たい視線に顔を青くするコン君、いや、何もしないよ。

 






 その後、なんやかんやあったけどギリアンさんは撃退できた。

 それにしても石田君の頭に一護の斬魄刀を固定しているあの姿は見たとき笑いそうになった。

 そして私の家へお話をしに。

 一護の家だと夏梨ちゃん達に聞かれるかもしれないからね。









 「だからやめろって!」
 
 「いやいや、疲れてるときは異性の幼馴染の膝枕が最高の医療道具だよ」

 そう、私は疲れている一護に膝枕をしているのだ。

 ベッドに端っこに座って膝に一護の頭を乗せている。

 一護ったら恥かしがっちゃって。

 「ったく……色々聞こうと思ってたのに台無しじゃねえか……」

 「とりあえず他人がいるのにイチャつくのはどうかと思うぞ」

 ルキアちゃんの目の前でやっているのは一護の恥ずかしがる顔が見たいから。

 「まーそれはそれとして、全部じゃないけど説明するよー」

 二度目の説明タイム。









 「そうか……あのときに死神の力が……」

 とりあえず以前虚(真咲さん殺した奴)に襲われたときに死神の力に目覚めて、それから浦原さんのお世話になってるってことを話した。

 いくつか嘘も混じってるけど一護は羞恥心のおかげで気づかない。

 それと、あの数年前のときのことは霊に襲われたとかそんなことにした気がするけど、実は虚に襲われたと教えてあげた。

 それと今まで黙ってたのは、予知した未来と違うことが起きると困るから、ということにした。あんまり嘘じゃないね。

 既に大分違ってるってことも話しておいたけど。

 全部話し終わりルキアちゃんは「ごゆっくり」とか言って帰っていった。

 

 「翔子……」

 「一護……」

 二人だけの部屋で、私たちは見つめあっていた。

 一護の頭は私の膝に乗せられたままだ。

 「んっ……」

 「……!」

 そのまま、私は一護に覆いかぶさるように、キスをした。なんだかガマンできなかった。

 一護は一瞬だけ私をどかそうと手を動かしたけど、その手は私の肩へ。

 もう……そろそろ……告白しても……良いのかなあ……?

 でもなんか告白したら死にそうな気配がするからやめておこう。

 私は顔を上げて、唇を離す。

 「……二度目……だね……」

 「今度は……どんな理由なんだ?」

 私は一護の唇に指を当てて。

 「教えないよ、まだまだね」



[20987] 三十五話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:3aa1af82
Date: 2010/09/10 16:34
 「一護……お願い……愛する人の手で……」

 最早限界だ、私はもうすぐ私じゃなくなる。

 「くっそオオー! 翔子ーー!!」

 一護は泣き叫びながら、私の胸を貫いた。


 「ありがとう……私のままで……逝かせてくれ……て……」

 「俺は……俺は……っ!」









 「なんという悪夢」

 汗びっしょりだよ。









 第三十五話









 「いやー怖い夢見たましたよ、そんなときは胸枕ですよね」

 近い未来にありえそうな夢だから余計に怖い。

 そんなわけで精神世界で弓美さんの胸枕で癒されてます。

 ぐりぐりぐりぐり。

 「こっ……こら……っあ……あんまりう……ごくなっ」

 そんな声を出されるともっと聞きたくなるなあ……。

 でもやめとこう、18禁になってしまう。

 「あんまり気持ち良いからつい」

 「まったく……今は駄目だぞ? そろそろ目覚めそうだからな……」

 内なる虚さんが目覚めたときにちょうど私達がクライマックス!

 生まれたての内なる虚さんの脳に刻まれる衝撃映像!

 ……うん、いくらやがては3人でと考えているとはいえ、生まれた直後にクライマックスはかわいそすぎる。

 そしてなにより、申し訳なくて私達が食べれなくなってしまう。

 いつ生まれるかわからないので今のところは12禁くらいで止めている。

 まー代わりに千鶴を……いや代わりなんて言っちゃイケナイね。

 「そ……そこは……っ」

 ん? いけない、いつのまにか服を脱がしていた。









 屋上で昼食。

 今日は石田君も一緒だ。

 一護が誘ったから。

 だからこのとてつもなく重い空気も一護のせーだよねー。

 このイベント忘れてたー。

 ルキアちゃんが「黒崎のこと好きなの?」って誰かに聞かれるイベントのことも忘れてたー。

 もー私のバカ! 変態なことばっか考えてるんじゃないよ!

 「ケイゴ、なんか面白い話して盛り上げろ」

 一護が浅野君にキラーパス。

 「フッフッフ任せな一護……食らえ!」

 浅野君が「黒崎翔子になんかさせない!」と書かれた黒いボールを……っておおい!

 「何書いてんだー!」

 一護がいつもより激しく浅野君を撃退した。

 黒崎翔子かあ……。

 そうなれる日が来ればいいんだけどなあ……。

 「黒崎、この怪我に対する義理か? だとしたらお門違いだし、こういう気の使われ――」

 「ホイ」

 なんか難しそうなことを言いそうになっている石田君の口に梅干をシュウウウー!

 勿論爪楊枝を使ってだ。

 「な、なにをするんだ伊藤さん!」

 もぐもぐと突っ込まれた梅干を食べる石田君。

 「なにやってんだ?」

 「いやー、なんか石田君が難しそうな話をしそうだったからつい」

 「つい、で君は人の口に梅干を突っ込むのか!」

 ズレた眼鏡を直しながら石田君が文句を言ってくる。

 「アハハ、どーせその怪我は自分の責任だから気にすんなとか、ご飯は一人で食べる主義だからこういうのはむしろ迷惑とか言うんでしょ?」

 「う……」

 おー図星だね。ここの場面はあんまり覚えてないから自信なかったけど。

 「でもね、一護なりの善意なんだから受け取っといてあげてね」

 「別にそんなんじゃねーよ、ただなんとなくだ」

 ぷいっとそっぽを向く一護。

 素直じゃないところも可愛いなー。

 「僕が黒崎から善意を持たれる筋合いはな――」

 「ホイ」

 梅干追加。

 「君は何個梅干を持って来ているんだ!」

 「4つ、だからあと二つあるよ」

 そんなこんなで石田君をからかって楽しんだ。









 そして放課後、私は浦原商店へ、勿論虚パワーの相談をしに。

 「恐らく今までは力が少なくて無影響だったのが、虚を倒した際に無意識に虚の力を吸い取っているんでしょう。あくまで推測ですが」

 確かギリアンさんも虚食ってたしね。

 それと似たようなものかな?

 「でもなんだか……こう悪い感じはしないんですよね、なんだかこう……まるで明日遠足に行くみたいなざわめきで」

 あと似てるのは明日旅行とか、クリスマスとか、そういうざわめき。

 お腹の辺りを撫でながら言うと。

 「……もしかして赤ちゃんができたとかじゃあ」

 「違います!」

 全く身に覚えがない。

 強いて言えば弓美さんぐらいだ。









 そして精密検査をした結果。

 意外な判定が。

 「どっちかというと……虚化とかよりも破面もどき達に近い感じっスねえ……」

 あららー。

 







 さーてそろそろあの二人が来るころだなあ……。

 そのときに気づかれないようにしないとね。









 夜、寝るときに、誰かの笑い声が聞こえた気がした。

 なんだろね。



[20987] 三十六話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:3aa1af82
Date: 2010/09/10 18:00
 浦原商店の地下の勉強部屋。

 そこで私は壁にもたれて座っていた。

 側には夜一さんとテッサイさんとウラえもんがいる。

 なんだかそろそろ私の中の虚が目覚めそうなのと、あとあの六番隊の二人が来るころなので隠れているのだ。

 一護と石田君には悪いけど私は助けに行けない。

 

 ――そろそろっ……生まれっ……そうだな――

 弓美さん、なんか弓美さんが出産するみたいに聞こえます。

 精神世界へと行く私。









 可愛い子だと良いなー。









 第三十六話









 精神世界では18禁な雰囲気が漂っていた。

 まあ生まれそう、とか言ったりした時点でなんか想像はしてたよ。

 「ん……ああっ! はっ……あっ……」

 セリフだけ見たら18禁だ! ワーイ、いや違う。

 弓美さんはお腹を両手で押さえ、頬を赤らめて苦しそうにうずくまっていた。

 しかしエロくしか見えない。

 「あっ! ああっ!」

 弓美さんからバンッと何かが飛び出した!

 そしてその飛び出した何かは、白いコートを着ていて、遊子ちゃんと夏梨ちゃんより少し低い背で、真っ白で短い髪の女の子だった。しかし胸はたつきちゃんよりもあるな、もしかしたら私よりあるかも。

 背が小学生で胸は高校生か。

 将来は織姫も超えるかもしれないな感じの子だね。

 あ、胸とかばっか見てて気づかなかったけど頭の横のところに弓美(弓のほう)の仮面がある。

 「クックック……ようやく外に出られたぜ……」

 いかん、この子ちょっとあぶないかも。性格は中学二年生なのかな?

 「さあ……お前の体をよこしな……」

 ニヤリと、あの白い一護のように凶暴そうな笑みで私に近づいてくる彼女。しかも手には斬魄刀のようなものが握られている。

 「弓美さん、これはあれだね」

 体制を立て直した弓美さんに話しかける、あれ? コートの白いとこが黒くなってる。

 「ああ、そうみたいだな」

 私は零歩で虚さん(仮名)の背後へ。

 そして羽交い絞めにする。

 「これで捕まえたつもりか? 私の力を使えばお前なんか――」

 なんか言いたそうだったけど地面に押し倒し斬魄刀を奪う。

 虚さん(仮名)は抵抗しようとしたが変態パワー発動中の私に勝てるはずもなかった。

 簡単に勝てると思っていたのか、虚さん(仮名)の顔が少し青くなる。

 そして弓美さんが両足を押さえる。

 私はマウントポジションになる。

 もうわかるよね。

 「おい、何をする気だ? 今すぐやめれば許してやる、私が本気になる前にやめ――」

 色々言いたそうなその口を迷わずに唇で塞いだ。









 「やっ! やめっ! アーッ!」

 「はいはい良い子になりましょーねー」

 「翔子の体を奪おうなんて考えないようになー」

 ただのマッサージです。









 「ここが気持ち良いんですね」

 ただのマッサージです。

 「もうやめろ! やめろって……や、やめ……やめてー!」

 「お前が良い子になるまでは駄目だ」










 虚さん(仮名)が良い子になり、すうすうと、静かな寝息を立てて虚さん(仮名)が弓美さんに抱きついて寝ている。

 その姿はまるで親子のようだった。

 「やっと良い子になりましたねえ。あ、私も良いですか?」

 「ああ、もう翔子の体を奪おうなんて考えないだろう。この子を起こさないようにな」

 私も弓美さんに抱きついて寝ることにした。疲れたからね。

 







 「弓美お母さん……」

 虚さん(仮名)は弓美さんに母性を求めているようだった。

 虚さん(仮名)、弓美さんの大きな母性に甘えるが良い。

 







 ゆさゆさと揺さぶられて目が覚めた。

 「全く……だらしない顔で寝よって……」

 夜一さんが起こしてくれたらしい。

 呆れきった顔でため息をつく夜一さん。

 あれ? いつのまにかこっちに戻ってた。

 「あははー、いやー無事ちょ――いや教育できました」

 「雨やジン太の前で言うなよ? 教育に悪すぎる」

 夜一さんはまたため息をついた。

 保険体育の教育には最適な人材ですよ? 多分。









 そのまましばらく座っていると、ウラえもんが降りてきた。

 あれ? どっか行ってたのかな? ああ、一護を死神化させたのか。

 「翔子サーン。黒崎サンが六番隊のお二人に負けましたー」

 あ、もうそこまでいってたのね。

 何時間かかってたんだろう、私。

 「こっちは無事に虚さんを良い子に躾ましたー」

 







 さーて、どんな能力なことやら。

 ――私の名前は、ナイル。後で呼んでね。翔子お姉ちゃん――

 はいよー、でもできれば私のこともお母さんって呼んでほしかったな。

 そしたら一護をパパと呼ばせるのに。



[20987] 三十七話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:3aa1af82
Date: 2010/09/12 20:42
 ナニがあったのかをウラえもんに話した。

 「いやー……翔子サンを送り込めばもう全部解決しそうっスね…」

 ウラえもんがなんだか力のない声で言った。

 「あー翔子、雨に妙な真似をしたらどうなるかわかっておるじゃろうな?」

 「いやだなあわかってますよ夜一さん」

 まーいくら私でも人様の子にあんなことやこんなことをする気はないですよ。

 あ、千鶴は別、あの子は自分から望んできたしね。









 第三十七話









 ウラえもんに伝えることを伝え、私がどうなったのかを検査開始。

 準備は既にしてある。

 検査の結果、私の死神の力と虚の力がそれぞれハッキリしたことがわかった。

 今までは死神の力と虚の力と私自身が元々持ってた止血能力の力が混ざった状態だったんだけど、今は3つの力が組み合わさったような状態らしい。

 でもそんなことを言われても、あのざわめきがなくなったくらいしか変化がわからない。

 ウラえもんが言うには始解や卍解にも影響がある可能性があるらしいけど、今日は大事をとって家に帰って休むことに。

 明日、一護にはルキアちゃんを助けたかったけど私は弱くて動くに動けなかった。と言っておこう。

 実際、そういう理由もあるしね。

 一護はまだ起きていない、多分経験値の差がここで響いたんだろうね。

 私は一護にキスしてから、夜一さんに送られて帰った。









 さーて、これからどうするかな。

 私は今のところ尸魂界に行く気はない。

 一護やルキアちゃんをを助けたい気持ちはある。でも、今はないとはいえ崩玉パワーを持ってた私のことがあのヨン様(汚)にバレると、えらいことになりそうなんだ。

 それに織姫とチャド君が原作より強い。

 一護も、ウラえもんが言うには原作よりも修行道具が多いから、経験値の差は大分埋まるらしい。

 ただ、尸魂界に私のことがバレると捜索部隊的なもの送られそうなんでよね。

 特にあのマユリーザ様にバレるとドロドロになるまで実験されそうで怖い。

 一護に性的な意味でドロドロにされるならむしろ望むところなんだけどなあ……。









 と、ベッドに座って壁にもたれて考えていると。

 「翔子お姉ちゃん」

 なんかナイルちゃんが具象化してきた。

 ナイルちゃんもできるんだねー。

 「どしたの?」

 「弓美お母さんがね、言ってたの」

 ナイルちゃんは私の膝に座わって抱きつきながら言ってくる。

 いやー良い子になったねー。

 が、私の胸にあむ、と甘えるように噛む。

 いやーエロい子になったねー。

 「翔子お姉ちゃんは普段は優しくしてくれるって」

 勿論ただのマッサージです。なにもエロくありません。

 エロいと思うのはその人の心がエロいからです。

 まー私の心もエロいわけですが。

 「今日、意地悪だったのは私が悪い子だったからだって」

 「うん、私の体奪おうとしちゃったしね」

 それを言うとナイルちゃんはしゅん、と少し落ち込んでしまった。ああもう可愛いなあ。

 「だから……ね、私良い子になるから……」

 ぎゅう、と胸に顔を押し付けてくるナイルちゃん。

 「優しく(マッサージを)して……」

 「うん……」









 どうなったかは想像におまかせします。

 ただ言えることは、ナイルちゃんが甘えん坊だってことくらいだね。









 「ねえ翔子お姉ちゃん」

 「なに?」

 「翔子お姉ちゃんは一護お兄ちゃんのものだから、私達も一護お兄ちゃんのだって、弓美お母さんが言ってたよ」

 一護のこと知ってたんだね、ナイルちゃん。









 このさきがどうなるかわかんないけど、みんなで最後まで笑いあっていたいって、ナイルちゃんを抱きしめながら、思った。

 







 あと夫が一護で姉が弓美さんで子どもがナイルちゃんっていう家族もステキだと思った。



[20987] 三十八話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:3aa1af82
Date: 2010/09/14 11:52
 ルキアちゃんがいない。

 だけどなーんの違和感もない。

 みんな笑いあいながら夏休みの予定等を話し合っている

 でもそれが当たり前なんだよね。

 元々ルキアちゃんはいないはずの存在なんだし、むしろ今までが異常だったんだ。

 だけどやっぱり悲しいもんだね。

 誰も覚えてなくて自分達だけ覚えてるのは。









 第三十八話









 終業式も終わり、浅野君が旅行を計画したけどみんなそれぞれ予定があり中止に。
 
 それにしても小島君、ハーレム&ハワイとは。

 私実は行ったことあるんだよね、ハワイ。前世でくじが当たったから行ってみたけど暑くて仕方なかった。やっぱり自分の家が一番だよ。

 ん? ハワイ? なーんか違和感があるなあ……なんだろ?










 そして一護と帰る途中で。

 「昨日はさ……ごめん、助けに行けなくてさ……」

 周りに人がいない場所で私は口を開いた。

 「気にすんなって……多分お前がいても変わらなかったって」

 一護は全然気にしてないようだった。
 昨日考えた言い訳は使わなくてもよさそうだ。

 「うーんそうなんだけどさ……」

 「それより、お前はどうすんだ? お前も助けに行くのか?」

 一護は私を正面からまっすぐと見つめる。

 「あー、私は尸魂界に行くと面倒なことになるんだよ、ちょっと変わった力持ってるから」

 私は申し訳なさそうに言う、実際申し訳ないと思ってる。

 「そうか……なあ翔子……」

 一護は少し弱気な声になる、多分ルキアちゃんをこっちに連れ戻すのが正しいかどうか疑問に思ってるんだろうね。

 「ルキアちゃんが死んじゃうのと死んじゃわないのどっちが良い? っそんだけだよ。死んじゃったら家族にも友達にも会えないんだから」

 私はキッパリと、言う。

 死んだらもう家族にも友達にも会えない、それは私も経験したよ。

 今は今で幸せだけど、前世も確かに幸せだったんだよ、友達は一人二人で、親に頼りながらくらす駄目人間だったけど。

 フリーターはフリーターなりにがんばってたんだよーコンニャロー。

 そーいや母さん元気かなあ……。

 「全部お見通しか……ルキアがいねえのに、全然それに違和感がなくてちょっと疑問に思ってた、ルキアをこっちに連れ戻すのは正しいのかって」

 一護は前を向いてまた歩き出す。

 「でも、家族にも友達にも生きてりゃまた会えんだろ」

 「そうだよ! 黒崎君!」

 織姫がいつのまにか一緒に歩いてた。

 「って井上いつのまに!」

 ビックリする一護。

 「え? 二人が見つめあってるときからいたよ?」

 「嘘ォ!」

 今度は私がビックリ、まさかそこからいたとは。

 「あ、一護、織姫とチャド君にも私達のこと見えてるから」

 このことウラえもんから聞いてるのかな?

 「ああ、浦原さんから聞いた」

 「そう……織姫」

 私は織姫の手をがしっと掴む。
 
 突然手を掴まれて困惑する織姫。

 「一護をお願い……一護は回復とかさっぱりだから!」

 織姫は元気よく頷いて。

 「うん! 黒崎君は私が幸せにするね!」

 「何言ってんだ!?」

 







 うーん、最近日本が一夫多妻でないことに不満を感じてきた。









 そして、地下の勉強部屋。

 「地下にこーんな広い空間があったなんてー!」

 「信じられなーい! 驚いたなー!」

 私とウラえもんは一護の代わりに叫ぶ。

 「いや、十分驚いてるって」

 だけど一護のリアクションは薄い。

 「フッフッフこの地下勉強部屋……この日のために何年も前にこっそりと作りあげたものなのです!」

 「斧を投げ入れるための池!」

 私は大きな池を指差しながら言う。

 「斧を投げ入れてどーすんだ?」

 勿論「アナタが落としたのはこの金の斧ですか?」「いいえ、私の心があなたという恋の池に落ちました」ってやるためにきまってるじゃないか。

 そして女神様と結ばれるものの女神様は人間とつきあっている罪で追放されて男のところに逃げこむが、男も女神様とつきあっているのがバレて村を追い出されて二人で駆け落ちしてその二人の子どもが世界制服をたくらむ魔王を倒すんだ。

 ってとこまでチラシの裏に書いてみようかなあ。

 「天井には心に潤いを与えるための札束の絵が!」

 「いや、潤わねえだろ」

 







 ウラえもんに魂を抜かれて一護は特訓開始。

 正義装甲ジャスティスハチマキのつけ方がわからず雨ちゃんから逃げ回る一護。

 「一護! おデコに押し当ててこう叫ぶの!」

 私はおデコに押し付けるジェスチャーをしながら。

 「受けてみよ! 正義の力! 正義装甲ジャスティスハチマキ装っ着!」

 「できるかアアァァー!」

 と叫んだ一護に雨ちゃんの拳が振り下ろされる。

 それをぎりぎりで飛んで避ける一護。

 覚悟を決めたように息を吸って。

 「う、受けてみよ! 正義の力! 正義装甲ジャスティスハチマキ装っ着!」

 がんばって叫ぶ一護、だが何も起きない。

 「うわあ……本当にやっちゃったよこの人」

 ちょっと引きながら口元を扇子で隠しながら言うウラえもん。

 「一護ー! ゴメン嘘! でも可愛かったよー!」

 「フザケンナアアァァー!」









 その後もしばらく逃げていた一護だが、どうにかこうにか雨の攻撃をかわし、雨ちゃんにカウンターの右ストレートを放つ。

 その右拳は雨ちゃんの頬をかすめて……あ、やばい。

 雨ちゃんはスイッチが変わったように遠慮のない動きで、伸ばされていた一護の右腕に乗り、一護を蹴り飛ばす。

 二人の姿が見えなくなるほどの砂埃が舞う。



 ……砂埃が舞う直前になんかオレンジの服を着た人が見えた気がするけど見なかったことにしよう。








 「よくもワシの可愛い可愛い娘の顔に……!」

 「す、すみませんでした!」

 なんか一護が殴られる音が聞こえた気がしたけど気にしない。

 あと夜一さんは織姫とチャドを見ていた気がしたけどなんの関係もない。

 






 んで、一護が夜一さんに因果の鎖を切られてあの虚化を早める穴に放り込まれた。

 でもちゃんとこの後なにをするのか説明してから放り込む辺りまだまだ優しいね。








 「さーて、始めますか」

 私はセイちゃんで死神化する。

 「ええ、今の翔子さんの斬魄刀がどうなってるのかを確かめましょう」

 私はウラえもんにうなずくと、斬魄刀を構えた。

 「撃ち抜け、弓美」

 解放された弓美からは、あの白い仮面がなくなっていた。

 弓美を左手に持って、右手は前に伸ばす。

 すると、すう……とどこからともなく仮面が右手に現れる。

 なにをどうすれば良いのかも、ちゃんとわかる。ナイルちゃんが教えてくれる。

 「走りぬけ、ナイル」









 私の視界は一瞬だけ光に包まれた。



[20987] 三十九話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:3aa1af82
Date: 2010/09/17 19:54
 「これはまた……予想通りというか、なんというか」

 「まあ予想通りじゃな」

 浦原夫妻は「期待してたけどなんか予想通り過ぎて萎えた」みたいな反応をしている。

 いや、正直私もそう思うよ。

 だって、9本の白い尻尾が生えて、白い狐耳が生えるって、予想通り過ぎる。

 まあ他にも、右腕が白く獣のような形に変化しているとか、髪が白く長くなったとか、両目の周りに仮面がついてる(ちょうどパピヨンマスクのような状態)という変化もあるけど。

 狐耳と狐尻尾が予想通り過ぎる。

 ――ご、ごめんね……翔子お姉ちゃん……――

 いやいやいや! 怒ってないよ! 大丈夫だからね!









 第三十九話









 「ああ、そういえば二つ、それなりに重要なことが判明しました」

 うん、虚化……というかむしろあれ、破面の斬魄刀解放、なんて言ったっけ? とにかくそれに近いと思うけど、この姿になってわかったことがある。

 「私がやたら速かったのはナイルの能力の影響のようです」

 二人は少しだけ驚く。

 「フム……つまりその虚の力が漏れ出していてあんなに速かったと」

 「そして走の才能も無かった、ということかの?」

 夜一さん、それは意外と傷つきます。

 でもそのとおりみたいなんだよね。

 「ええ、なんだか能力は超スピードだけと超聴覚だけらしくて」

 ナイルちゃんからガンガン情報が流れてくるんだよね。

 「もしかして零歩のほうも……?」

 ウラえもんが、ふと、思い出したように聞いてくる。その声もかなり大きく聞こえていて、正直うるさい。

 どうなの? ナイルちゃん。

 ――私にそんなHな能力あるわけないでしょ、Hになったのは弓美お母さんと翔子お姉ちゃんのせいなんだから……――

 うーんそうだよね、もしもナイルの能力の影響で零歩が生まれたのならナイルちゃんは元々Hなはずだ。

 どうでも良いけどHって表現よりもエロいって表現のほうが卑猥な気がするのはなんでだろう。

 まーHって言葉には……いや、やめておこう。

 「なんか関係ないみたいです。零歩は私の影響のようです」

 二人は、ああやっぱりか、と言いたそうに同時にため息をつく。

 息ぴったりじゃないか、この世界の二人は、まあ子どもつくっちゃったしね。

 個人的にはそういう妄想が浮かんできて……アレだ、困る。

 「ああ、もう一つ、とっても大事な報告が」

 「なんスか? まさか新しいエロ能力でも……」

 ウラえもんが口元を扇子で隠すいつものポーズで数歩引く。

 「残念なことに違います、これは見たほうが早いですね……卍解」

 私は卍解し、弓美を九重弓美にする。

 今までの卍解は狐耳が生えて狐尻尾が生えて、若干弓の形状が変わるだけだった。

 しかし。

 「これは……成程、今までは虚の力と死神の力が混ざっていて完全には解放できていなかった、というか虚の力をひきだす部分が大きかったと」

 今の九重弓美は、8つの仮面の無い弓美が私の周囲に浮いている状態になっている。

 そして私の左手には始解のときと同じように弓美がある。

 多分これが本来の九重弓美の姿なんだろう。

 「ただ……やはり卍解というほどの迫力というか、霊圧は感じんな」

 「私自身が中途半端な存在ですからね、多分これも死神の卍解にあたるっていうだけで、卍解ってわけではないと思います」

 始解も多分そうだね。

 夜一さんは腕を組み。

 「よし、お主の足を試してやろう……こい!」

 織姫とチャド君はどうしたんだろう、という突っ込みはしないほうが良いんだろうね。

 その瞬間、夜一さんは目にも留まらぬ速さで私から離れた。どこにいるのかは、目で見る限りでは全くわからない。

 しかし、私には夜一さんがどこにいるのかハッキリとわかる、何故ならうるさいと叫びたくなるくらい足音が聞こえるからだ。

 どこから聞こえるのかも、どんなふうに動いているのかもよーくわかる。

 全く恐ろしい耳だと思う、正直私には不釣合いなくらい。

 私は斬魄刀を元に戻して、夜一さんを追い始めた。









 「なん……じゃと……」
 「なん……だと……」

 数秒後、結構手加減していたとはいえ夜一さんに追いつけてしまったことにビビル私と夜一さんだった。

 速過ぎるね、ナイル。

 ――でしょ!――

 ――ウフフ……可愛いなあ……―

 ナイルちゃーん、後ろに興奮した弓美さんがいるみたいだよー。

 でも逃げちゃ駄目だからね。









 その後の追いかけっこでナイル解放中の最大の速さは夜一さんの本気より少し遅いくらいみたいだ。

 でも技術的なことを考えると私と夜一さんの差はまだまだかなり大きいだろうね。

 しっかし速いなあ、ナイルは。

 ――ま、まってお母さん! まだ明るいよ!――

 ――マッサージに時間は関係ないの……――

 あ、いつのまにかナイルちゃんが弓美さんのことをお母さんって呼んでる。








 そして、もう一度夜一さんと追いかけっこという名の修行をした、今度は零歩を使い、なんと本気の速さの夜一さんに追いつくことができた!

 ……まー零歩の使用時間を使い切って、夜一さんの背中に指先が触れた瞬間に気を失なったけど。

 気を失ってる間に日が暮れてたけど。

 それでもやっぱり嬉しいものは嬉しかった。









 日が暮れてしまったので今日は帰ることに。

 ちなみに一護が死神の力を取り戻したら私も浦原商店に泊まって修行に付き合うつもりだ。

 







 その晩。

 「ま……まて翔子! そこは……」

 「お母さんが私みたいに……」

 エロパワーを補給しました。

 体が痛くて仕方なかったけど、そんなものは服を着ようとしている弓美さんを見たら吹き飛んだ。

 というか二人は私が気絶している間ナニをしていたんだろうね。



[20987] 四十話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:3aa1af82
Date: 2010/09/17 22:22
 水が流れる心地よい音が森に響いている。

 その音は私の変態でエロい心を洗い流してくれるかのようだった。

 最も私の心は「こういう場所で……」とかそういう色々なものを台無しにしてくれることを思っていたけど。

 「……黒崎のほうはいいのかい、伊藤さん」

 変な白と紺の手袋をつけて修行していた石田君がどうでもよさそうにだけど、訪ねてくる。

 「一護なら大丈夫だよ。それよりも石田君が気になってね」

 性的な意味でも恋愛的な意味でもないけどね。









 第四十話









 私は今石田君の修行場に来ている、とてもキレイな川に。

 何故かというと、石田君の修行を見学して弓の勉強をするためだ。

 それに一護が死神の力を取り戻すまで、あまりやることもないし。夏休みの宿題は……がんばってる、もう配られた日から必死こいてやってる。

 「用が無いなら帰ってほしいな、気が散る」

 「いやね、私も弓を使うからさ、ちょっと見学したくて」

 私が弓を使うと言うと、石田君は少し不思議そうな顔をした。

 「弓を? 君は死神なんだろう?」

 「んー半分くらいはね、でも私の斬魄刀は解放すると弓になるんだ」

 「解放? ……そういえば家の滅却師関係の書物でそんな内容のものを読んだな……」

 石田君は顎に手袋をつけていない左手を当てて、思いだしながら言う。

 そういえばその手袋ってずっとつけてなきゃいけないんだっけ。

 と、いうことはスーパーに行くときも、彼女をデートしに行くときも、キスするときもつけてなきゃいけないと。

 ……滅却師に愛を。

 「うん、なんか死神の強い人とかはみんなできるみたいだよ」

 「ということはあの二人も……負けられないな……」

 石田君は気合を入れる。

 さーて、見させてもらいましょ。









 30分後









 ……まだ手袋の制御が上手くいかないらしく、思わぬ方向に矢が飛んできて危ないし邪魔になりそうなので帰りました。

 いや、正直言うと石田君が上手すぎて、元々0の自信がマイナスくらいになった気がする。









 そして、山をあと少しで降りて、織姫とチャド君が修行している廃ビルに行こうとしたところで。

 絶望に会いました。










 「まさかもう一人ルキアの死神の力を持ってる奴がいたとはな……」

 赤毛パイナポーの副隊長さんが、ギロりこちらを見ています……。

 唯一の救いはあの川の字触覚なお兄様がいないことだ。

 ……赤毛パイナポーとか川の字触覚とか、本人に言っちゃったりしたらえらいことになるなあ……。

 人気は少ない、廃ビルが近くにあるせいかな?

 人が多ければ民間人にまぎれてとんずらしたんだけど。

 「あ、あのー……と、とりあえず冷静にお話を……」

 「お前の持ってる死神の力……返してもらうぞ……」

 うう……睨んでるよ……多分ルキアちゃんが罰くらうのはお前らのせいだー! って気分なんだろうね!

 でも私あんまり関係ないよ! これルキアちゃんの力じゃないもん!

 「あのっ、ですからね! お話を……」

 「大人しく力を返しゃあ手荒な真似はしねえ、さあ、返しな」

 うん、完っ璧に話し聞く気無いね! まーずっと遠く感じてた幼馴染と副隊長になってやっと話ができると思ったらコレだもんね。

 そーとーストレスとか怒りとかそういうのが溜まってるに違いない。

 原作ではきっと一護にそれをぶつけてたんだろうね。

 「で、どーすんだ?」

 パイナ……いや恋次さんは腕を組み、睨みながら私の答えを待つ。

 多分答え次第ではバッサリとかかもしれない。

 てか今すぐ叫びながら逃げ出したいくらい怖い。

 しかし、私にはある秘策がある!

 「その前にコレを……」

 私は携帯を取り出し、ある画像を表示させて恋次さんに見せる。

 「なんだそ……ってなに撮ってやがる!」

 そう、以前撮らせてもらった兎耳ルキアちゃんの写真だ!

 フッフッフ……こんなこともあろうかと撮っておいて良かったわ!

 ごめんなさい、嘘です。ただの欲望から撮りました。

 「フフフ……この写真はある友人と一緒に撮らせていただいたものでして……アナタの気配を感じたときに既にメールを送ってあります……私に何かあったら世界中にばら撒くようにとね!」

 全て嘘である。

 「てっ……てめえ……!」

 斬魄刀を振りかぶっている恋次さんが止まる。

 怖い、超怖いです。

 「勿論この写真をイジってさらに恥ずかしい写真を作ることなんて、私の友人の技術を使えば造作もありませんよ……例えばこんな写真みたいにすることもね!」

 私は携帯を操作して、一護に送った狐シリーズを見せてやる。

 それを見た恋次さんは顔を真赤にする。

 「こんな写真撮りやがって! てめえは変態か!」

 はい。

 と答えたいがそれをガマンする。

 そういえば尸魂界に写真ってあんのかな、あるんだろうね、多分。

 「自分でこんな写真を撮ろうなんて思うわけないでしょう? その友人がいたずらで作ったものですよ、まー面白いので保存してありますが……わかりますか? その友人の手にかかればこれ以上に過激な写真を作ることなんて朝飯前です……さあ、私に手をだしたらルキアちゃんの恥かしい写真が世界中の変態共(主に私)の魔の手に!」

 もしも本当にそんな友人がいても、そんなことは私がさせないけどね。

 「この……変態女があ……!」

 恋次さんは怒りと私の狐写真に顔をトマトのように赤くしながら、ガチガチと体を燃え上がる私への怒り、というか殺意で震わせながら、斬魄刀を収めていく。

 「あ、それと私の力はルキアちゃんのじゃないですよ」

 これ言っとかないとまた送り込まれてきそう……って言っちゃ駄目かなあ……?

 「あ? そりゃどういう意味だ」

 思い切り睨みつけながら聞いてくる恋次さん、怖い、漏れるかも。

 「詳しいことを言うと殺されちゃいそうなので、言えません」

 私はキッパリと真剣な顔で言う。

 「聞いたら……」

 「ばら撒きますね」

 「……っ! こんの……! 変態女が!」

 怒りと憎しみのオーラを漂わせながら去っていく恋次さんだった……。









 一気に力が抜け、その場に座り込む私。

 確認したら濡れていなくて安心した。ナニがとは言わないけど。

 ハー……怖かった……こんなときは可愛い子の胸でもモフるにかぎる。ああそうだ、千鶴を可愛がってあげていなかったから、千鶴のをモフろう。








 
 ん……? 胸……何か……とても大事なことを忘れてるような……?









 ああー! 空鶴さんおっぱいと乱菊さんおっぱいの存在を忘れていたー!

 なんてことだろう……変態失格だ……。










 その日、私の運命が決まった。



[20987] 四十一話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:3aa1af82
Date: 2010/09/19 12:08
 で、一護が心配だから尸魂界に行きたいと、浦原夫妻に相談したら。

 「いやー、正直翔子サンには行ってもらいたかったんスよ。なんか何が起きても翔子サンならなんとかしてくれそうな気がするんで」

 とウラえもんは「いやー良かった良かった」と扇子で扇ぎながら言い。

 「いやー、普通なら止めたほうがよいのかもしれんが、何故か全く心配できん! むしろ尸魂界が心配じゃな」

 と夜一さんは快くOKしてくれた。

 さーて、尸魂界のおっぱいを拝みに行きましょうか。

 フッフッフ……私の変態パワーとヒロインポジをもってすれば死亡フラグなど前世の私の心も同然!

 つまり、とても折れやすい!

 言ってて自分にダメージが。










 第四十一話









 一護が穴の中でがんばっているころ、私はチャド君と織姫のところで修行を手伝っていた。

 ……一護ががんばる穴はわた……いやなんでもない。

 







 そうして過ごすうちに、一護が死神の力を取り戻し、斬魄刀を解放し終わった。

 そして私はウラえもんに呼ばれて、一護の修行を手伝うために死神化(死神化という表現であってるのかは疑問だけど)勉強部屋へ。

 「イーチゴー、やってるー?」

 勉強部屋には人形に囲まれてがんばっている一護がいた。

 「反中間子砲!」とか「ニアデスハピネス!」とか「いてえよ~!」とか「まずお前から血祭りにあげてやる……」とか「アギトは俺だけでいい……」とか「俺は怒りの王子!」とか「もうよいのか、カイム」とか「オガーザーン!」とか聞こえるけど気にしてはいけない。

 気にしたら負けだ。

 でもとりあえず怒りの王子は待ってほしい、せめて黒にしてあげて。

 私に気がついた一護がこちらを向く。

 「ん? 翔子? どうしたんだよ」

 「いやねー、修行を手伝うように言われてね」

 私は斬魄刀を解放する。

 それを見た一護が驚く。

 「翔子!? お前もできたのか!?」

 「うん、でもあんまり強くないけどね」

 私は瞬歩で一護の背後へ。

 「なっ!」

 「でも、速いよ」









 一護と私とウラえもんの楽しい楽しい修行が始まった。

 しっかし、速さ以外で既に追い抜かれていたとは……流石主人公。

 







 修行の一週間はあっというまに終わってしまった。

 んで、一護を私の部屋に呼んだ。

 「一護、私も行くから、尸魂界」

 「大丈夫……なのか?」

 「うん、修行もしたしね、まーいざとなったら逃げ回るよ」

 「そうか……無理、すんなよ?」

 「うん、一護もね」










 その後、たわいもない話をした、主に花火大会のことを。

 そして、そろそろ遅くなってきたので一護が帰ることに。

 玄関まで見送るために階段を下りる私。

 「なあ翔子……」

 一護が階段の真ん中の辺りで止まり、何かを言おうとする。

 「なに?」

 「……い、いや……やっぱなんでもねえ……」

 恥ずかしがったように言うのをやめる一護。

 そんなことを言われたら気になるじゃないか。

 私は一護の腕を掴みながら。

 「なーに? 言えないようなこと? あ、もしかしてキスしたいとか?」

 「バッバカ! そんなんじゃ――」

 「キャッ!」

 一護が慌てて勢いよく腕を振ったので、私達はバランスを崩して階段から転がり落ちてしまう。









 「ってえ……大丈夫か翔――」

 一護が固まる。

 それはそうだろうね、だって一護は。

 私の胸を右手で掴みながらマウントポジションをとってるんだから。

 「わっ! 悪い! いまどく!」

 私の胸(左)を掴んでいる右手を、一護は急いでどけようとする、しかし私は。

 「一護……」

 逆に左手で一護の右手を胸に押し付ける。

 さらに右手を一護の後頭部に添えて、私の体に押し付ける。

 しらない人が見れば、寝転がって抱き合っているようにしか見えないだろう。

 ぎゅうと、強く強く、抱きつく。

 始めは抵抗していた一護だけど、少しずつ、大人しくなっていった。









 そのまま、お互い無言でしばらく抱き合っていた。

 とても暖かくて、このまま本番へイきそうな心境でした!

 最高でした!









 ――なんかお姉ちゃんずるい――

 ――しっかり録画したからな!――

 二人とも、いつか四人で楽しもうね。

 ああ、私達三人に織姫とセイちゃんとたつきちゃんをいれて『ストロベリーハーレム』を作りたいなあ……。

 そしたら、凄く幸せそうだなあ……、私が。



[20987] 四十二話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:3aa1af82
Date: 2010/09/21 18:42
 夏といえばなんでしょう?

 1 花火
 2 お祭り
 3 海
 4 山
 5 薄着ハアハア
 6 水着ハアハア

 5か6を選んだ人は変態です。
 迷わず5と6を選んだ私はド変態です。

 しかし今日は残念ながら海でもプールでもなくお祭りだ。

 ……浴衣ハアハア。

 







 第四十二話










 浅野君がみんなでお祭り行こうぜ! と呼びかけてきたので、私達はみんなでお祭りに行くことに。

 でもまだまだ時間がある。

 そんなわけで石田君も誘いに行ってみる。

 「石田くーん、みんなとお祭り行かない?」

 「悪いけど遠慮しておくよ。そういうの、興味ないんだ。……それとなんで僕の家を知ってるんだ?」

 「生放送は見に行ってたのに?」

 しかも一人で。前世の私のように。

 「あれは霊が関係してたからだよ、それとどうやって僕の家を?」

 「ああ、ストーカーしただけだよ」

 勿論嘘、本当はウラえもんが教えてくれた。

 私の嘘を見抜けない石田君は驚いて。

 「なにをしてるんだ伊藤さん!?」

 正直に答えると変態なことです。

 「嘘だよ嘘。本当は霊力を探してね」

 これも嘘、でもやろうと思えばできそうだね。弓美さんが。

 それを聞くと石田君は納得する。

 「でも、祭りには行かないよ、黒崎と行ってくれば良いじゃないか」

 と言って石田君には断られてしまった。

 うーん、いつか石田君も入れてみんなで行きたいね。









 そろそろ待ち合わせの時間だ。

 「おーい翔子、そろそろ行こうぜ」

 一護が私の部屋をノックする。

 あ、黒崎家に私の家の鍵おいてあるよ。

 「うん」

 私は部屋から出て行く。

 私の姿を見た一護が固まる。

 「翔……子……?」

 多分私が浴衣姿だったからだろうね。

 淡い桜柄の浴衣。

 着付けとかは、なんか弓美さんが夜一さんに教わってた。私も教わったから一応できるけど。

 しかし、浴衣姿だけではない、薄化粧もしている。

 化粧のほうは弓美さんがやってくれた。夜一さんに教わって。

 この世界の夜一さんはなんか色々母親っぽいなあ。これも雨にしてやるために覚えたみたいだし。
 
 実際母親だけど。

 「どう……かなあ……」

 少し不安そうに聞くのが重要だね。

 「ああ……その……似合ってる」

 一護は照れくさそうに、似合ってると言ってくれた。









 「女子に浴衣は……鼻血……っ!」

 浅野君がなんか鼻血を出していた。

 私に加えて織姫とたつきちゃんも浴衣だったせいだろう。

 あ、そういえばたつきちゃんは空手の大会だっけ? で優勝していた。聞いてから思い出したけど、確か原作だと準優勝だったはず。
 
 なんでだろ、……まさか一護への愛?









 そして、黒崎家の面々もやってきたんだけど。

 気を利かせてくれたのか、すぐに去って行った。

 そのおかげで。

 「バナナチョコはおいしいねー」

 「黒崎くーん」

 「一護ー」

 私、織姫、たつきちゃんの三人と、ハーレム状態な一護。

 周りから嫉妬レーザーが一護に突き刺さってます。

 「……どうしてこうなったんだ……」

 一護がどこか諦めたようにぼやいた。










 普通の高校生としてすごす時間はあっというまに過ぎて。

 いよいよ尸魂界へ行く日がきた。

 フッフッフ……あのおっぱい達を拝みに行くぜ!









 部屋を汚されてしまうのは勘弁してほしいので、既に浦原商店に待機してる私。

 家族には一護と旅行に行くと伝えてある。

 そのときには。

 「ちゃんと二人で一緒に名前を考えるのよ?」

 了解しました母上。

 「まだお父さんはおじいちゃんになりたくないぞー!?」

 まだ、ということはいつかはOKなんですね、わかります。









 「翔子サーン、そろそろ皆さんを呼びますよー」

 「はーい」

 ウラえもんにそう言われたので、私はセイちゃんを飲んで死神化する。

 「あーセイちゃん」

 「なんですか?」

 「帰ってきたらマッサージしない?」

 「別に良いですよ?」

 体は自分の体だけど、全く問題なし!









 そして、みんなが揃って。

 説明も完了し。

 いざ、尸魂界へ!









 あ、おっぱいだけじゃなくてイケメンがいるということを忘れてた。

 いやー尸魂界は天国だねー。



[20987] 嘘予告~尸魂界篇~
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:3aa1af82
Date: 2010/09/21 19:52
 雨が降る廃墟で一人の白い仮面を被った男が、両手を地につき泣いていた。

 「なんでだよ……」

 彼は泣きながら呟く。

 「なんでなんだよ!」

 彼の目の前には、全身から血を流す九つの尾を持つ白い、巨大な狐が静かに眠っていた。








 「翔子ーーっ!!」









 壊れた物語









 「恋次、ルキアを……頼む……」

 「朽木隊長ー!」

 







 そして、もう一つの世界









 「伊藤翔子……? 誰なんだ? そいつ」

 「あなたは私がいない世界の一護みたいだね」

 








 「これは……?」

 「この仮面は、一護には使えない」









 「いくぞ一護!」

 「おう!」

 『ダブル月牙天衝!』









 そして始まる、世界の終わり。










 「その名で俺を呼ぶな」

 「斬月のオッサン!?」










 「私の野望……それは、ミラクル☆アイゼンハーレムを作ることだ」

 「その野望……私がもらう!」










 友の手により壊れる仮面。

 「そんな顔だったのか狛村」

 実は犬耳幼女だった狛村隊長。

 「惚れたぞ狛村」

 「何イ!?」










 「ダンボールの中に人が隠れてるとは思わなかったみたいだねえ……浮竹」

 「京楽……まさか……お前が……!」









 「雛森君のいない世界などとっとと潰れたらいいんだ!」

 







 「砕蜂!」

 「夜一様!」

 『フュー……ジョン! はっ!』









 「お待ちかね……これが100%ダヨ!」

 「そしてこれが私の200%です」「そしてこれが私の200%です」
 「そしてこれが私の200%です」「そしてこれが私の200%です」
 「そしてこれが私の200%です」「そしてこれが私の200%です」
 「そしてこれが私の200%です」「そしてこれが私の200%です」
 「そしてこれが私の200%です」「そしてこれが私の200%です」
 「そしてこれが私の200%です」「そしてこれが私の365%です」
 
 「ハッ! 切りがいがあるじゃねえか!」 









 世界が終わるとき俺達は本当の世界を見る。









 転生TSのお隣さん 尸魂界篇 









 さようなら、一護。



[20987] 四十三話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:3aa1af82
Date: 2010/09/23 12:41
 尸魂界目指して全力疾走。

 どんどん後ろから壁が崩れていき、私達を強制スクロールのステージに挑むプレイヤーキャラの気分にしてくれる。
 もしくは追跡者に追いかけられる元星達のメンバーのパワフル美女。

 「うわっ!」

 後ろのほうを走っていた石田君のマント(ダサイと思う)が捕まってしまう。
 が、しかし頼れる男チャド君がマントを破り石田君を助け、そのまま肩に担ぐ。

 そして少しホッとしたけど、その気分を消し飛ばしてくれるヤツが背後からやってくる!

 「急げ! こやつは恐ろしく速いぞ!」

 先頭を走る夜一さん(猫形態)がみんなを急かす。









 第四十三話









 あと少し、というところでヤツ(名前忘れたし夜一さんの話聞いてなかった)がすぐ後ろまでおいついてくる。

 早く! 織姫早く!

 私の祈りが通じたのか、織姫はくるりと反転し。

 「三天結盾!」

 ヤツの突撃を防ぐように盾を出す。
 あ、既に名前呼ばなくても盾とか出せるよ。

 盾とヤツが衝突し、私達と盾が衝突し、私達は押し出されるようにして門をくぐった。








 「あたた……」

 私はどうやら織姫の盾の上に倒れてるみたいだ。
 体を起こして辺りを見渡してみると、時代劇のような町並みが広がっていた。
 ……写真撮ったら時代劇好きの人に高く売れそうだね。
 それと時代劇というと「お代官様ー」「よいではないかよいではないか」しか思いつかない私は相当な変態だね。
 今更だけど。

 「く……黒崎君……」

 ん? 隣から織姫のとても緊張した声が聞こえるなあ、どうしたんだろうと思ってそちらを向いて見ると。

 仰向けに寝転がっている織姫の、その大きな胸に顔を埋めている一護の姿があった。
 ……一護……それはセクハラだよ……まあ織姫も喜んでる気がするから良いけど。
 もう、一護ったら、そんなに胸が好きなら言ってくれれば良いのに。そしたら触らせてあげるどころか、あんなことやこんなことまでしてあげちゃうよ?
 三人で。

 「えい」

 私はぐりぐりと一護の頭を織姫の胸に押し付ける。

 「しょ、翔子ちゃん!? く、くすぐったいよ!」

 織姫の顔はどんどん赤くなっていく、ああ、可愛いなあ……原作の千鶴の気持ちがよーくわかるねこれは。

 一護が声にならない叫びを上げながら暴れるが、そのせいでさらに織姫の胸が刺激される。
  
 「……まさかこんなに早く替えのマントを使うハメになるなんて……」
 「予備とか持って来てたのか……」

 チャド君と石田君はこちらから顔を背けている、紳士だね、本当の意味で。
 それと石田君、マントは体を覆えるくらい大きいほうがかっこいいと思うよ、こう、マントの下から武器を取り出したり。

 「って何しとるんじゃお主は!」

 夜一さんに頭突き突っ込みをされた。









 「井上……すまねえ!」

 一護が織姫に向かって勢いよく頭を下げる。そして私の頭を掴んで頭を下げさせる。
 
 「気……気にしないで! 黒崎君! わざとじゃないんでしょ!」

 座って胸を抑えながら言う織姫、まだ顔が赤い。
 胸を押さえながら頬を赤らめて喋ると、何を喋ってもエロく感じてしまうね。

 「あーゴメンね、ちょっと悪戯したくなっちゃって」

 私も謝る、いくら喜んでそうだからってこういうのはよくないよね。

 「き、気にしてないからいいよ!」

 うんうん、やっぱり喜んでたみたいだね。
 だって顔がちょっとニヤけてるもん。









 その後、夜一さんから流魂街の説明が軽くあった。
 が、死神が住んでいるほうである瀞霊廷を見つけた一護は夜一さんの話が終わらないうちに走り出す。
 あと少しで静霊廷につく、というところで空から巨大な壁が次々と降ってくる。
 さらに、一護の何倍も大きな体を持つ死神が現れる。

 「奴の名は兕丹坊、尸魂界全土から選び抜かれた豪傑の一人でこの門、通称白道門の番人じゃ。奴がこの任についてから三百年、一度もこの白道門だけは破られたことがない」

 夜一さんが兕丹坊さんについての説明をする、それを聞いた石田君は。

 「そんな奴とどうやって戦えば……」

 と、静かに言う。
 兕丹坊さんに脅威を感じているみたいだけど大丈夫だよ、大きな敵キャラは大抵かませだから!

 「そこは知恵の見せどころ――って戻れーっ! 茶渡ー! 織姫ー!」

 夜一さんは作戦を立てようとするが、チャド君と織姫は一護に駆け寄っていく。
 が、兕丹坊さんは斧で地面をひっくり返し、壁を作る。

 「おめえたつ、行儀がよくねえなあ……さては田舎もんだべ? いいかあ、都会にはルールってもんがあんだあ……ひとーつ、外から帰ったら手を洗う、ふたーつ、床に落ちたもんは食わね、みーっつ、決闘するときは、一人ずつ」

 兕丹坊さんは指を折って数えながら都会のルールを言う。
 それでも二人は一護に手を貸そうとするけど、兕丹坊さんはしっかりと聞かれてしまった。

 「あー井上ー、みんなはそこでじっとしててくんねえかなー」

 壁の向こうから一護ののんきそうな声が聞こえてくる。

 ま-一護なら大丈夫でしよ。









 結果はやっぱり原作通りだった。
 原作より弱くなってないか心配だったけど、ウラえもんとの修行のおかげで原作との差は埋まってるみたいだね。

 負けを認めた兕丹坊さんが門を開けてくれる。
 しかし兕丹坊さんは途中で固まり動きを止めてしまう。しかも怯えるように震えている。

 「どうした? 何かあったのか?」

 不審に思った一護が駆け寄る。

 「誰だ?」
 
 誰かを見つけたのか、一護は言う。
 兕丹坊さんはそれに答えるようにではなく、思わず声が出てしまったように言う。

 「さ……三番隊長……市丸ギン!」

 狐目さんが出てきました。

 ――奴は私のライバルだな――

 いや、弓美さんは狐キャラとかそういうわけじゃないでしょう。どっちかっていうとナイルちゃんじゃないかな? 解放すると私に狐セットが装着されるし。
 それはそれとして、あの狐目ってちゃんと見えてるのかな?
 まさかあのヨン様対策にずっと目を閉じてるとか?

 あと、どうでもいいけど狐目さんは見事なミスリードだったなー。
 ヨン様が黒幕だと判明したときは「な、なんだってー!」ってなったよ。



[20987] 四十四話
Name: タヘ◆a027a2f1 ID:3aa1af82
Date: 2010/09/25 21:10
 狐目隊長、市丸ギンさんが登場しました。私は門の影に隠れているからまだ実際には見てないけどね。
 まあ隠れてもあんまり意味無いような気がするけど。

 どうでもいいけど私って隊長さん達にかなーり失礼なあだ名つけてるよね。意味わかんなそうなのもあるけど。

 ヨン様(汚)に赤毛パイナポーに川の字触覚にマユリーザ様に狐目隊長。
 折角だから残りの隊長さん達のも考えようかなあ……。
 
 と、どうでもいいにも程があることを考えていると。

 ドシイイィン……と、自然を愛するあの人の巨大化時の足音のような音がした。
 ああ……兕丹坊さんの腕がミロのヴィーナスのように……。









 四十四話









 兕丹坊さんへの仕打ちに怒って、狐目さんに飛び掛った一護だけど、やっぱり原作どおりになった。

 兕丹坊さんごと狐目さんに門の外へと突き飛ばされる一護。
 それと同時に門は閉まっていく。
 
 「バイバーイ」

 狐目さんの少し馬鹿にするかのような声がやたら頭に響く。

 「一護っ!」
 「黒崎君! 大丈夫!?」

 突き飛ばされた一護に駆け寄る私達。
 
 「痛ってー! チクショウ! 怪我するとこだった!」

 しかし一護はピンピンとしていた。叫ぶ元気があるくらいだ。
 てか兕丹坊さんのほうが遥かに重傷だね。
 自分のせいで門が閉まったと夜一さんに謝る一護だけど、相手が狐目さんなら仕方ないと言う夜一さん。
 
 とりあえず私は兕丹坊さんの止血をしよう。
 
 と思って兕丹坊さんの怪我に近づこうとしたとき。

 「なんだ? あいつら」

 「今まで隠れていたのか」

 隠れていた流魂街の皆さんが出てきた。
 
 「どうして……?」

 隠れていたのを疑問に思った織姫が言う。
 夜一さんはそれに答えるように、尸魂界に不法侵入した人のことを旅禍と呼ばれてあらゆる災いの原因とされる、ということを説明した。

 そして、村の長的な感じのおじいさんが出てきて、兕丹坊さんの恩人として歓迎したい、と言ってくれた。









 「兕丹坊さんは流魂街の出身でさ、いつも俺等に優しくしてくれた」
 「あんたはその兕丹坊さんのために市丸ギンに向かっていった、だからきっと良い人だ」

 住民の方々に良い人だと言われた一護は頬をかいて照れていた。
 
 それを見て私はなんだかちょっと嬉しくなった。
 一護はあんまり私達以外の人とかに『良い人』とか言われたりしないからなあ……。
 いや、私達はわかってるけどね、一護が優しいって。

 私が「良かったねー」ってニヤニヤとしてると、それに気がついたのか。
 一護は「うっさい」とでも言うみたいに手を、はらうように振った。

 兕丹坊さんの腕が住民の皆さんにより運ばれ、織姫の双天帰盾でどんどん治っていっていく。
 
 私の止血能力<<超えられる壁<<超えられない壁<<盾舜六花

 という図が頭の中に浮かんだ。









 日が暮れるまで織姫は作業を続けていた。

 「一護ー織姫見に行ってあげたら?」

 長さんの家で休ませてもらっている私達。
 休んでいた一護に私は言う。

 「なんで俺なんだ? お前が行ったほうが良いだろ」

 「いやね、一護のほうが織姫喜ぶんじゃないかなーと。まー気にしないで行ってきてあげなって」

 私は手をつけていないお茶を渡して、一護を行かせた。










 んで、一護と織姫が帰ってきて。
 これからのことを話しあうことに。
 
 今日の門、つまり白道門は警戒されまくっちゃってるだろうからもう使えない、さらに他の門へ行こうにも時間がかかりすぎて駄目。
 
 そもそも夜一さんは門を使う気つもりはなかったそうだ。
 まー一護がさっさと行っちゃったからねえ。

 夜一さんは、ならば門以外から入れば良いと言い、志波空鶴さん(おっぱい)の居場所を長さんに尋ねる。

 しかし、そのとき、ドドドドド……と馬か何かが爆走するような音、詳しく言えば猪が爆走するような音が近づいてきていることに皆が気がついた。

 その音が長さんの家の扉の前で止まると同時に男が中に飛び込んできた。
 いや、飛び込んできたというよりも投げ込まれたといったほうが正しいね。

 「な、なんだこいつ?」

 「痛たた……やれやれ……また俺のボニーちゃんに振り落とされちまったぜ……」

 男……てか岩鷲さんは立ち上がると、左手を腰に当てて右手の人差し指と中指を額の右端にピッと当ててポーズをとる。

 「よう! 久しぶりだなおっちゃん!」

 長さんは「カエレ!」「何故来たし」というようなこと言ってここから追い払おうとする。

 が、岩鷲さんは気にせず周りを見る。

 「なんだよ久しぶりに顔見せてやったってのに、ご挨拶だなあ、お客人も驚いて……おんやあ……?」

 岩鷲さんは私と一護を見て視線を止める。
 
 「なんでこんなとこにクソ死神様がいやがんだ……?」

 親の仇、いや兄の仇でも見たように不機嫌な声で私と一護に言う。

 「なんだよ……?」

 「なんだよじゃねーだろーが、なんでこんなとこにクソ死神様がいるんだって聞いてんだよおー!」

 岩鷲さんは一護に近寄り、ガンをとばしながら一護の頬をペタペタとはたいたり、アゴを掴んだりと、思い切り挑発しながら質問した。
 もう質問でもなんでもないけど。

 私は岩鷲さんが一護を思い切り挑発している間に、一護に背後から近寄る。

 そして一護が岩鷲を殴ろうとするけど。

 「よいしょ」

 私は一護を羽交い絞めにしてそれを止める。

 「放せ翔子! あのイノシシ原人を殴らせろ!」

 当然一護は抵抗するが、思い切り暴れたりはしない。
 抑えてるのが私だからかな。

 「だーめ、今はそんなことよりルキアちゃんでしょ?」

 「そ……そうだけどよ……」

 頭が少し冷えたのか、一護の体から力が半分くらい抜ける。

 「やんのかこのタンポポヤロー! そんな女に抑えられるくらいじゃ綿毛みてーに吹き飛ばされるだろーけどな!」

 「なんだとこの猪原人!」

 黒いコートの美女が岩鷲さんにとび蹴りを――って弓美さんなにやってんの!?

 いつのまにか弓美さんが具象化していた。

 弓美さんのとび蹴りをくらった岩鷲さんは家の外へと吹き飛ばされてしまう。
 うわー、弓美さん力つよーい。

 「あのー……弓美さん……?」

 突然現れた胸の大きい美女に唖然とするみんな。

 「……初めまして、翔子の斬魄刀の弓美です」

 と、自己紹介をして頭をペコリと下げる弓美さん。

 「ではそういうことで」

 弓美さんはそれだけ言って消えてしまう。
 消えないで弓美さん! この空気をどうにかしてから消えて!









 その後、私はみんなに色々質問された。
 具象化のこと話すときに卍解のこととかもついでに話した。
 
 ――すまない翔子……つい……――

 いやー一護のこと好きみたいだねー弓美さんも。
 まーそうじゃなきゃナイルちゃんに『私達も一護のもの』なーんて言わないか……。









 ちなみに岩鷲さんは気絶していたらしく、手下の皆さんに運ばれていった。
 明日謝っとこ……。


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
4.86749696732