ワシントン(CNN) 米国防総省は、陸軍予備役将校が最近出版した手記に機密情報が記載されていたとして、初版約9500冊を買い占め、処分したことを明らかにした。同省報道官が25日、CNNに語った。
この手記は、陸軍予備役のアンソニー・シェイファー中佐がブッシュ前政権時代のアフガニスタンで秘密作戦を率いた任務を振り返る「Operation Dark Heart」。国防総省が、米国の安全を脅かす恐れのある情報が含まれていると判断した。20日に国防総省当局者らの立ち会いの下で処分し、同中佐には24日に通知したという。
これに対して出版元のセントマーチンズ・プレスは、当局の指摘部分を編集したとする改訂版を発表。改訂版では全299ページにわたり、単語や固有名詞、段落全体などが塗りつぶされている。
シェイファー中佐は25日、CNNとのインタビューで「このデジタル時代に1万冊の本を買い占めて内容をもみ消そうとするのは正気のさたではない」と不快感をあらわにした。
CNNが入手したメモによると、国防情報局(DIA)は先月、同書の原稿に陸軍特殊部隊や中央情報局(CIA)、国家安全保障局(NSA)の機密活動などに関する情報が含まれていると指摘していた。セントマーチンズ・プレス側は、国防総省から先月初め、出荷直前に機密情報への懸念を伝えられたとしている。
シェイファー中佐の弁護士によると、同書は出版に先立ち、陸軍予備役の上官の許可を得ていた。これに対して国防総省の報道官は、予備役にとどまらず軍全体や国防総省から広く許可を求めるべきだったとの立場を示している。
改訂版の価格は25.99ドルだが、ネット競売サイトのイーベイでは少なくとも1人の出品者が、初版を2000ドル近い値で売りに出している。