2010年9月26日15時6分
集団面接の練習に臨む3年生。「手は軽く握って」「肩の力は抜いて」と教師の細かいチェックが入る=奈良県王寺町の王寺工業高
同校のもう一つの魅力が「部活動」だ。若者の離職が増える中、「3年間一つのことをやり通した」ことを重視する企業は多く、8割の生徒が何らかの部活動に取り組む。2008年に発電用風車の研究が国際大会で2位に輝くなど、「ものづくり」の分野での部活動は特に活発だ。
部活動が志望動機に直結するケースも。電気研究部の杉山真也さん(18)は、1年以上かけてエコバイク作りに取り組んだ経験から、「電車の整備をやりたい」とJR西日本の技術系を志望した。過去に求人のない部門だったが、熱意を知った教師が同社に売り込み、求人票を獲得した。
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生徒たちにとって、先輩たちが残した「遺産」を活用できるのも強みだ。先輩たちが、筆記や面接の試験内容を事細かに書き残したものだ。
先輩たちは、入社試験を受けると、その当日か翌日、記憶がまだ新しいうちに試験内容の報告書を作ってきた。報告書は進路閲覧室で見ることができ、問題や質問の内容だけでなく、面接官の人数やテーブルの配置なども詳しく書かれているという。
過去4年間で12人が就職したトヨタを志望する植田哲平さん(17)は「先輩が道筋を作ってくれたという安心感がある」と話す。(成川彩)