シムドライブ清水社長「レアアース規制は影響ない」

2010年9月22日(水) 10時15分
シムドライブの画像
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慶應義塾大学発のEV(電気自動車)ベンチャー企業シムドライブが9月21日、神奈川県の川崎市産業振興会館で、先行試作事業第2号の募集開始の発表会を行った。今年1月に発表された先行開発事業第1号に続くものだ。

ところでEVといえば、最近話題になったニュースに、中国のレアアース(希土類)輸出規制があった。EV用モーターに不可欠といわれるネオジム磁石に使われる素材であり、規制が始まるとEVの普及に水を差すのではないかという懸念もある。この問題について代表取締役社長清水浩氏に伺った。

「現在EVのモーターに多用されているネオジム磁石は、鉄75%に対してネオジムを25%混ぜたもので、エアコンや洗濯機などにも使われています。ネオジムは世界中で採掘されており、EVに換算すれば数億台分もの埋蔵量があるので、まったく心配していません」

ただしネオジム磁石は120度以上で磁力が減少するという欠点がある。同じレアアースのディスプロシウムを5%混ぜれば熱に強くなるそうだが、このディスプロシウムは中国でしか取れない。しかし清水氏によれば、ディスプロシウムに頼らずに問題を解決する方法があるという。

「日本ではディスプロシウムを使わなくても高温に耐える磁石の開発が進んでいますが、当社では120度以上に温度を上げないという考え方で問題解決を図っています。モーターは効率を高めることで温度上昇を抑えられます。それにシムドライブはアウターローター式インホイールモーター方式なので、構造上も温度が上がらない。だからディスプロシウムがなくても心配ないのです」

少し前、バッテリーに使われるリチウムが、ネオジムと同じように希少扱いされ、投機筋の仕掛けもあって価格が暴騰したことがあった。ところが世界各地で採掘され、使用量が微少であるという事実が広まった現在は、何事もなかったかのように落ち着きを見せている。

今回のレアアース規制についていえば、ネオジムについてはかつてのリチウムに似た状況であり、ディスプロシウムは必須の素材ではなくなりつつある。不安を煽るような噂に左右されず、真実を理解し、冷静に対応することを望みたいと清水氏は語った。

《森口将之》
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