「救命(助けてくれ)」。危急を知らせる電子メールは中国語の2文字だけだった。中国で調査中だった社員が、当局から拘束され取り調べを受けている建設会社「フジタ」(東京都渋谷区)の本社は、24日早朝から、担当者が少ない情報にいら立ちながら安否確認に追われた。
4人は、本社から出張した社員2人と現地法人の社員2人でいずれも男性。20日から数日間の予定で河北省に入り、遺棄化学兵器処理の事業を受注するための現地調査をしていたはずだった。
21日午前、4人のうちの1人から現地法人の同僚に助けを求める携帯電話のショートメールが届いた。「救命」。すぐに外務省に相談したが、拘束までの経緯は分からない。
フジタの広報担当者は「下見に行っただけ。中国のことを熟知している現地社員が加わって(4人以外に)中国人スタッフも同行していたのに…」「とにかく心配だ」。何が起こっているのか、信じられない様子だ。
その後、フジタは24日午前11時すぎから緊急記者会見し、幹部が沈痛な面持ちで「早期の解決と解放を望む」と訴えた。
土屋達朗常務執行役員は中国漁船衝突事件の中国人船長逮捕への報復との見方もあることについて「事実関係が分からないので答えられない」とコメント。「仮に意図的な報復であれば非常に遺憾」と述べた。
菅沼広夫国際事業部長は事前にインターネットで地図を確認して出張命令を出したといい「軍事施設がたくさんある場所という認識はなかった」と明らかにした。
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