23日の夜8時、いつもの集合場所である新宿駅西口スバルビル前で落ち合って、函館を目指すことになった我々、高速千円隊。
渋滞につかまった私がいきなり遅刻するという誤算はあったものの、ちゃんと定刻にやってきた2人の隊員を20分ほどの遅れでピックアップして、いよいよ旅の始まりである。いつもの早朝集合と違って千円隊史上初の夜間集合、そして千円隊史上最長距離の遠征とあって、心なしか隊員たちのテンションも高め。「さあ、行くぞ~」という気合が車内には漲っている。
しかしその1時間後、車内のテンションは早くも下がり気味になっていた。
「歩いたほうがよっぽど早い」というレベルの首都高の渋滞に嵌まり、依然として都内すら抜け出せずにいたからだ。
「ったく、なんでこんなに混んでるんだよぉ」と、ちっとも進まない車列に苛立つ軍土門隼夫隊員。「三重の道路はこんなに混まないのになあ」と妙なお国自慢を始める奥岡幹浩隊員(三重県出身)。一方の私は焦燥感に駆られていた。このままでは船に間に合わなくなってしまうじゃないか!
そこで我々は車の窓を開け、口々にこう叫ぶことに。
「すいませ~ん! 船が出ちゃうんで~す! 道を空けていただけませんか!」
だが当然というべきか、周囲の車は無反応。「三重の人たちならこんなときは……」とため息をつく奥岡隊員をはじめ、ガックリと肩を落とす我々であった。
それでも、やっとの思いで渋滞を脱出してからはスムーズに運び、深夜の東北道をグイグイと北上。
白河の関を越え、宮城県を過ぎて岩手県に突入、八戸自動車道に乗り継ぐ頃には序盤の出遅れをほぼ取り戻すことができていた。ん? 八戸自動車道? 青森港からフェリーに乗るなら、そのまま東北道を直進ですよ?
そうなのだ。軍土門隊員が入手してきた「青森発のフェリーは混んでいるらしい」との情報を受けて、我々は出発の前日に急遽、予定を変更。下北半島の北端に位置する大間(本州最北端の地。マグロの漁港としても有名)と函館を結ぶフェリーに乗ることにしたのである。
さらにせっかく大間まで行くのならということで、乗船前にまずは尻屋崎(大間から60キロほど離れた場所にある岬)に立ち寄って、寒立馬(岬の一帯で放し飼いにされている野生馬)を見学していくことに。寒立馬を見に行く機会なんてそうはあるもんじゃないからね。
ところが。朝の5時過ぎに尻屋崎に着いた我々を待ち受けていたのは……。
が、びーん。野生馬だからといって24時間見学できるわけじゃなかったのか。
寒立馬の群れがいるのはこのゲートから数キロ離れた岬の一帯。車を諦めて徒歩で行けば、見学することはできるけれど、そうするとフェリーの出発時刻に間に合わなくなってしまう。
大間-函館のフェリーは1日2便しか出ていないので、船を遅らせるわけにもいかない。かくして我々は本来の目的を果たせないまま、尻屋崎を後にする羽目になってしまった。隊員たちよ、リサーチ不足ですいません(尻屋崎経由のプランは私が発案した)。
でもまあ、ゲート付近の放牧場にいた寒立馬の母仔を見学できたのはせめてもの救いでしたが。
そんなこんなで大間へ移動し、当初の計画通り車はフェリー乗り場の駐車場に残して、我々人間だけが7時10分発の船に乗船。
ちなみに大間-函館の所要時間は1時間40分で、青森便より約2時間短い。なのでビールを飲んで仮眠をとっていたら、アッという間に函館に着いてしまった。は~るばる来たぜ函館~♪さあいよいよ、北海道上陸である。(続く)