中谷芙二子+高谷史郎 新作インスタレーション 「CLOUD FOREST」
- 日付/時間 :
-
2010-08-07(土)-2010-10-17(日)10:00-19:00 (8月は20:00まで)
- 休館日 :
-
火曜日(祝日の場合は翌日)
※中央公園のみ雨天中止 - 場所 :
- ホワイエ / 中庭 / 中央公園ほか /
- 料金 :
- 入場無料
霧、光線、サウンドによって生まれる「アートとしての環境圏」
YCAMの公共空間に、大スケールの新作3作品を同時公開
山口情報芸術センター[YCAM]では、「アートとしての環境圏」をテーマに、芸術表現と情報技術の融合によって新たに見出される環境創造を提案する展覧会「CLOUD FOREST(クラウド フォレスト)」を開催します。
本展では、これまで様々な場で発表され、国内外から注目を集めてきたアーティスト、中谷芙二子による「霧の彫刻」と、高谷史郎による光とサウンドの表現がコラボレーションし、YCAM館内外の公共空間3ヶ所を会場に、大スケールの新作を同時発表します。滞在制作によるYCAMオリジナル作品(委嘱作品)となるこれらの作品は、人工霧、太陽光、サウンドが組み合わさり、独自の装置と天候の変化によって様々な情景や空間が生み出されるインスタレーションです。
観客は、中庭や公園に広がる霧の中を歩きながら、情報技術を駆使した作品と対話し、自らの知覚の変容を体感することができます。本展では、その発想の一端となった1970年の大阪万博におけるアートと科学の先見的なプロジェクトの紹介・再評価も交え、環境創造の未来とこれからの「情報圏」、そしてアートによる創造的な探索のあり方について考えます。
開連イベント
■オープニングイベント
デモンストレーティブ・パフォーマンス
※開催内容、出演者が変更になりました。
8月7日 (土)19:00-20:00
会場:ホワイエ、中庭 入場無料(先着100名)
出演:中谷芙二子、高谷史郎、softpad(南 琢也、上芝智裕、外山 央)、古舘 健
本展アーティスト中谷芙二子氏、高谷史郎氏、そしてホワイエと中庭で展示中の作品でサウンドデザインを担当した、アート/デザインユニットsoftpad、プログラミングを担当した古舘健氏を交えたオープニングスペシャルイベント。インスタレーション[中庭・ホワイエ]を使った、霧、光、音による実験的ライブパフォーマンスを公開します。
アーティスト・トーク
※開催内容、出演者が変更になりました。
8月8日 (日) 14:00-16:00
会場:スタジオB 入場無料(先着100名)
出演:中谷芙二子、高谷史郎
スペシャルゲスト:磯崎 新(建築家)
モデレーター:浅田 彰(批評家、京都造形芸術大学大学院長)
本展アーティスト、中谷芙二子氏、高谷史郎氏をゲストにむかえ、作品および制作プロセスについてのトークをおこないます。また、本展の発想源となった1970年の大阪万博ペプシ館における実験グループE.A.T.の取り組みも参照し、そこで最初に発表された中谷氏の「霧の彫刻」、ディヴィッド・チュードアのサウンドスケープなど、先駆的な業績についても振り返ります。 さらに、40年を経過した現在の視点から、「アートと環境」の今後の展望についてディスカッションをおこないます。スペシャルゲストとして、YCAMの設計者であり、大阪万博でも多大な業績を残している、建築家の磯崎新氏が討議に加わります。司会は、ポストモダン以降の現代芸術批評で活躍する浅田彰氏が担当します。
※会期中には、専門スタッフによるギャラリーツアーを開催いたします。
YCAMの公共空間に、大スケールの新作3作品を同時公開
山口情報芸術センター[YCAM]では、「アートとしての環境圏」をテーマに、芸術表現と情報技術の融合によって新たに見出される環境創造を提案する展覧会「CLOUD FOREST(クラウド フォレスト)」を開催します。
本展では、これまで様々な場で発表され、国内外から注目を集めてきたアーティスト、中谷芙二子による「霧の彫刻」と、高谷史郎による光とサウンドの表現がコラボレーションし、YCAM館内外の公共空間3ヶ所を会場に、大スケールの新作を同時発表します。滞在制作によるYCAMオリジナル作品(委嘱作品)となるこれらの作品は、人工霧、太陽光、サウンドが組み合わさり、独自の装置と天候の変化によって様々な情景や空間が生み出されるインスタレーションです。
観客は、中庭や公園に広がる霧の中を歩きながら、情報技術を駆使した作品と対話し、自らの知覚の変容を体感することができます。本展では、その発想の一端となった1970年の大阪万博におけるアートと科学の先見的なプロジェクトの紹介・再評価も交え、環境創造の未来とこれからの「情報圏」、そしてアートによる創造的な探索のあり方について考えます。
開連イベント
■オープニングイベント
デモンストレーティブ・パフォーマンス
※開催内容、出演者が変更になりました。
8月7日 (土)19:00-20:00
会場:ホワイエ、中庭 入場無料(先着100名)
出演:中谷芙二子、高谷史郎、softpad(南 琢也、上芝智裕、外山 央)、古舘 健
本展アーティスト中谷芙二子氏、高谷史郎氏、そしてホワイエと中庭で展示中の作品でサウンドデザインを担当した、アート/デザインユニットsoftpad、プログラミングを担当した古舘健氏を交えたオープニングスペシャルイベント。インスタレーション[中庭・ホワイエ]を使った、霧、光、音による実験的ライブパフォーマンスを公開します。
アーティスト・トーク
※開催内容、出演者が変更になりました。
8月8日 (日) 14:00-16:00
会場:スタジオB 入場無料(先着100名)
出演:中谷芙二子、高谷史郎
スペシャルゲスト:磯崎 新(建築家)
モデレーター:浅田 彰(批評家、京都造形芸術大学大学院長)
本展アーティスト、中谷芙二子氏、高谷史郎氏をゲストにむかえ、作品および制作プロセスについてのトークをおこないます。また、本展の発想源となった1970年の大阪万博ペプシ館における実験グループE.A.T.の取り組みも参照し、そこで最初に発表された中谷氏の「霧の彫刻」、ディヴィッド・チュードアのサウンドスケープなど、先駆的な業績についても振り返ります。 さらに、40年を経過した現在の視点から、「アートと環境」の今後の展望についてディスカッションをおこないます。スペシャルゲストとして、YCAMの設計者であり、大阪万博でも多大な業績を残している、建築家の磯崎新氏が討議に加わります。司会は、ポストモダン以降の現代芸術批評で活躍する浅田彰氏が担当します。
※会期中には、専門スタッフによるギャラリーツアーを開催いたします。
CLOUD FOREST
― アートがもたらす、新たな環境創造への展望
「アートとしての環境圏」をテーマにした本展では、「環境」をエコロジーの視点だけでなく、自然環境、社会環境、精神環境、そして今日的な情報環境とが、相互にインターフェイスする視点から捉え、人間の知覚の変化によって新たに生み出される環境創造を探求するプロジェクトです。 YCAMの建築空間と、情報技術を最大限に活かした作品との対話は、様々な知覚体験と空間の変容を意識させ、これからの「環境」の発想を展望する機会となるでしょう。
参考写真:中谷芙二子「霧の彫刻 #47773 Pavilion」 (大阪万国博覧会、ペプシ館、1970) photo:©田沼武能
■アートの表現として「環境」をとらえる
本展では、<生成する><浸透する><反射する>といった相互の領域をつなぐものとして「環境」を捉えています。ランドアートやアースアートなど、環境をアートの場や要素としたムーブメントはこれまでに数多くありますが、本展では、メディアアートの本質的な創造性や探索性の中に新たな「環境」を見出していきます。それは、情報技術によって「環境」が多領域を結ぶものとして開かれ、相互環境性=「環境圏」を生み出す試みです。物質的に加えられた外容でなく「環境」が空間の変容として表現されるコンセプトは、現在において強く静かな主張を持つことになるでしょう。
■大阪万博から40年―。E.A.T.の活動に、今日的な視点を読み解く
世界的に話題を呼んだ1970年の大阪万博では、ペプシ館で実現されたアメリカの実験グループ、E.A.T.(Experiments in Art and Technology)の活動が注目を集めました。アーティストと科学者との共同作業、参加アーティストの斬新な構想は、環境とアートの関係性を探求する先駆的で驚くべき成果を実現しています。本展では、それから40年を迎える現在までを、物質的な生産性に基づく進歩的科学観から、不可視の情報資本主義へ移行する大きな転換期として捉え、E.A.T.の思想や成果を批評的に検証します。アートと科学による先進的な考え方や取り組みを、現代における情報社会学、環境創造の視点を含めて読み解くことで、今日的なリアリティや新しい環境要素を開示します。
■人間の知覚やネットワーク技術を通じ、「環境圏」を提案する
本展は、大阪万博のペプシ館で最初に発表された中谷芙二子の「霧の彫刻」とともに、そこでインタラクティブな音を担当したディヴィッド・チュードア(故人)による思想と表現に着目し、構想されています。YCAMの館内外のメイン会場には、様々な様態を見せる「霧の彫刻」を展示します。さらに、チュードアが開拓した、環境の反射によるサウンドスケープの発想を取り込んだ新作インスタレーションも同時公開します。それは、中谷と万博以降に育った世代である高谷史郎をはじめとするアーティスト、そしてYCAMのスタッフによるコラボレーティブな新しい環境創造への挑戦といえるでしょう。情報技術を用いて、自然の変化と同時に人間の知覚の変化を多様に取り込ん作品は、クリティカルな全く新しい「情報環境圏」を感覚化していきます。
タイトル「CLOUD FOREST」について
「CLOUD FOREST」とは、亜熱帯地域において、常に上方が霧に包まれている森林エリア「雲霧林」を示す言葉です。そこは、人間の社会がおよぶエリアと、完全な野生のエリアの中間に位置する、相互浸透が活性化している特異な場所と捉えることもできます。
さらに、本タイトルは、ディヴィッド・チュードアによるサウンドインスタレーション/パフォーマンス作品「RAINFOREST(熱帯雨林)」を踏まえています。先端技術によって自然の秩序に接近する本展は、70年代に、中谷芙二子がジャクリーン・マチス・モニエらと構想したプロジェクト「Island Eye Island Ear(島・目・島・耳)」の先進性に深くオマージュを捧げたプロジェクトでもあります。
<作品概要>
中庭 ... 霧、光線、サウンドが表現する、インターフェース
巨大な吹き抜け構造により、日光や雨、風が侵入する全面ガラス張りの中庭。ここは、外部[自然環境]と内部[人工環境]が共存/共有する場として機能しています。本展では、この中庭2ヵ所に、人工霧、光線(太陽光の反射)、サウンドによる巨大なインスタレーションを展開し、異なる環境のインターフェースとなる空間を表現します。
多方向からタイミングを変えて放出される人工霧は、周囲の内外の環境に左右されながら対流を作り出し、様々な形態や様態をつくりだします。さらに、鏡を用いた特殊装置で太陽光を反射させ、霧の中へと投射します。霧の形態、太陽の位置、そして気象状態との関係によって、光学的な効果が大きく変わるため、時間、位置、角度の違いで、常に異なる情景が生み出されます。2ヶ所の中庭は、場所やサイズ、設置する装置の位置が異なるため、それぞれ全く違った表情を見ることができます。また、空間内には、局所的に聞くことができる特殊な音響システムが設置されており、観客は霧の中を歩きながらサウンドスケープを体感できます。さらに、ガラス壁の外からは、普段の自然の中で見えてこない、霧や光の細かな動きを発見することができます。
ホワイエ ... 音と光が交錯する、大規模で密なサウンドスケープ
左右の中庭から自然光が降り注ぐホワイエでは、高谷史郎による、音と光の反射に着目した巨大なインスタレーションが展開します。中央床面には、9基の音響装置がグリッド状に設置されています。この特殊な音響装置は、回転式の2m高の四角柱で、それぞれに4台の超指向性スピーカーを備えています。計36台のスピーカーは、同期/非同期を繰りかえしながら、多様なスピードで回転し、超指向性音による音の面を複雑に作り出します。音源には、自然環境で録音されたフィールド音、さらに、ディヴィッド・チュードアによる大阪万博時の制作音源が用いられる予定です。それらは、会場の壁や階段に複雑に反射しながら、複雑かつ密度のある音響環境を生成します。中庭から反射する自然光や周囲の人工光に囲まれた空間で、これまで経験したことのない空間体験が待っています。
サウンドシステム[中庭・ホワイエ]/音源収録:南 琢也(softpad)
中央公園 ... 環境と融合し、流動するオブジェ=「霧の彫刻」
中谷芙二子による「霧の彫刻」を、野外の広大なスペースを会場に展開します。YCAM正面に位置する中央公園に、中庭と同じく、人工霧を発生させます。この場所は、風向、風力が激しく変化するため、霧の群的な動きが瞬時に移り変わります。観客は、中庭とは異なる圧倒的な霧の量感を感じながら、環境と融合し、流動するオブジェとしての「霧の彫刻」を体感することができます。 この中央公園は、中世に建設された山口市旧市街の中心部に位置し、原型である長方形矩形をそのまま凝縮した形をとっています。室町時代から、河川や水とともに、大きな文化的、経済的繁栄を育んできた町、山口の環境と歴史性を踏まえ展開されるプロジェクトです。
※中央公園の展示は「山口開府650年・湯田温泉復活300年記念事業」によるものです。
※関連展示として、本展に関係する過去の写真や映像資料(中谷芙二子、ディヴィッド・チュードア、1970年大阪万博「ペプシ館」など)の展示をおこないます。
主催:財団法人山口市文化振興財団
後援:山口市、山口市教育委員会
山口開府650年・湯田温泉復活300年記念事業
助成:財団法人朝日新聞文化財団
平成22年度文化庁芸術拠点形成事業
共同開発:YCAM InterLab
企画制作:山口情報芸術センター[YCAM]
サウンドデザイン/グラフィックデザイン:南 琢也(softpad)
プログラミング:古舘 健
キュレーター:阿部一直(YCAM)